カードローンの借入は1回でまとめて返済してしまえるのかという疑問を持つ人もいるのではないだろうか。
結論から言えば1回で返済することは可能だ。一括での返済を基本的に受け付けているので安心してほしい。
通常、カードローンは毎月、決められた日までに決められた額を返済し続ける約定返済をすることになる。
しかし、約定返済では借入期間が長引いてしまうため最終的に支払う利息の総額が増えたり、返済期間が長引いたりする。
なるべく早めに返済したいと思う人も多いはずだ。そんな人は一括返済をするとよいだろう。
本記事では一括返済について知っておきたいメリットやポイントを解説する。一括返済を検討している人や基本的な知識を確認したい人は参考にしてほしい。
カードローンの一括返済は借入残高と利息をまとめて返済すること
カードローンの一括返済とは「借入残高と利息をまとめて返済すること」だ。他の返済方法と比較すると理解が深まるので、以下のように整理してみよう。
内容 | |
---|---|
約定返済 | 毎月、決められた日までに決められた額を返済する 元金と利息をあわせて算出された額を返済する |
繰上返済(一部繰上返済) | 約定返済とは別に任意のタイミングで任意の額を返済する 借入残高の元金返済のみに充てられる |
一括返済(全額繰上返済) | 借入残高の元金と利息をまとめて返済する |
カードローン返済は約定返済をするのが基本だ。毎月、決められた日までに決められた額を返済するのが決まりだ。
約定返済で決められた額だけを毎月、返済していると返済期間は長引いてしまう。期間が長くなるとその分、利息は増えてしまう。
しかし、カードローンには約定返済に加えて、任意の額を任意のタイミングで返済することもできる。
これが、繰上返済だ。通常、約定返済で毎月支払う額は元金と利息を合わせて算出された額を返済する。
しかし、繰上返済の場合、借入残高のみを減らすことに使われる。そのため、利息を減らして返済額を減らせる効果が高い。
そして、繰上返済でも特に借入残高と利息をまとめて全て一度に完済してしまう返済方法を一括返済と呼ぶ。
一括返済は別名で全額繰上返済と呼ばれることもあり、繰上返済の一種と考えれば分かりやすいかもしれない。
そして、繰上返済と一括返済はまとめて任意返済と呼ばれることもある。
整理すると以下の通り。
約定返済 | 毎月、決められた日までに決められた額を返済する |
---|---|
任意返済 | 繰上返済(一部繰上返済)元金のみ減らす |
一括返済(全額繰上返済)元金も利息もまとめて一度に返す |
他の返済方法と比較すると、より一括返済の特徴が分かりやすくなったのではないだろうか。
カードローンを一括返済する3つのメリット
メリットは大きく分けて以下の3つだ。
- 利息を抑えられる
- カードローンの利用限度額に余裕ができる
- 完済の履歴が残る
それぞれ、詳しく確認してみよう。
利息を抑えられる
返済期間が長引くほど利息は増えていく。特に約定返済のみで返済を続けていく場合、完済する頃には利息も膨らんでしまう。
しかし、一括返済をしてしまえば返済期間は必然的に短くなるため利息を抑えられる。特にカードローンは、他の自動車ローンや住宅ローンなどに比べると金利が高い傾向にある。
借入額にもよるが初回の借入なら大手消費者金融ならば18.0%前後はあるだろう。
100万円以上の借入ならば利息制限法で15.0%以下にはなるが、それでも決して低い金利とは言えない。
カードローンは無担保、保証人なしで借入できる反面、金利は高いので一括返済、または繰上返済などの任意返済を積極的にすることで利息を抑えることが返済負担の軽減につながる。
カードローンの利用限度額に余裕ができる
一括返済をしてしまえば当然、カードローンで新たに借入できる額に余裕ができる。
すぐに新しい借入をする予定がなくても、急に資金が必要になったときの備えとして利用限度額には余裕があった方が良いだろう。
利用限度額の上限を増額申請で増やすこともできるが、再審査が必要になったり、審査結果次第で限度額を引き下げられたりする恐れもある。
そのため、なるべく使える利用限度額を大切にしたい。
完済の履歴が残る
一括返済をすることで、完済したという履歴が残る。借入金を完済したり返済に遅れたりしたという情報は信用情報機関に記録される仕組みになっている。
借入金の返済が遅れたり、返済しなかったりすると信用情報に傷が残ってしまう。
しかし、完済した履歴が残れば信用情報には良い影響があると考えられる。新規の各種ローンやクレジットカードの申込の審査で、完済した履歴は信用情報機関を通じて照会される。
完済した履歴を残しておけば審査にも良い影響があるだろう。情報が多い場合は、カードローンの審査が難しくなる可能性がある。
カードローンを一括返済しても解約とはならない!
カードローンの借入残高がなくなっても自動的に解約されるわけではない。一括返済であろうと約定返済であろうと契約自体は続く。
新しい借入が必要になれば、再びそのカードローンは利用できる。もちろん、借入残高がなくなれば利息を払う必要はないので安心してほしい。
あえて解約をせず、とりあえず新しい借入が必要になったときの備えとして持ってカードローンと契約し続けるのも手だ。
ただし、様々な事情でカードローン自体を解約したいという事情はあるだろう。
例えば、将来的に銀行から融資を受けたい、住宅ローンなどを利用する必要があるなどの場合、カードローンと契約していると審査で不利になるかもしれない等の心配はあるかもしれない。
実際に審査に影響があるかどうかは別として、使う予定がないなら一旦、解約してしまう方が安心できると考える人もいるはずだ。
その場合は一括返済とは別に解約手続きをする必要がある。解約が必要ならば一括返済とは別に解約手続きをする必要があることをおさえておこう。
特に各種ローンの新規契約などで「解約証明書」を求められた場合、一括返済で借入残高がなくなったとしても証明書を発行できない。
一括返済後に解約するべきかどうかは各々の事情で異なるが、一括返済しても自動的に解約にならないという点に注意してほしい。
カードローンの一括返済をシミュレーションしよう
約定返済と一括返済で支払い総額と利息がどのくらい変わるのか気になるところだろう。
そこで、本記事ではアイフルを例に約定返済と一括返済のシミュレーションをしてみることにした。結果は以下の通りになった。なお、借入額は40万円で計算した。
約定返済のシミュレーション
返済回数 | 返済予定日 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
借入日 | 2024/11/20 | 400,000円 | |||
2024/12/20 | 11,000円 | 5,099円 | 5,901円 | 394,901円 | |
2025/1/20 | 11,000円 | 4,970円 | 6,030円 | 389,931円 | |
2025/2/20 | 11,000円 | 5,039円 | 5,961円 | 384,892円 | |
・・・・ | ・・・・ | ・・・・ | ・・・・ | ・・・・ | ・・・・ |
52回 | 2029/3/20 | 11,000円 | 10,714円 | 286円 | 20,764円 |
53回 | 2029/4/20 | 10,203円 | 10,050円 | 153円 | 0円 |
累計 | 582,203円 | 182,203円 |
上の数字はアイフルで40万円を金利18.0%で約定返済通りに返済した場合のシミュレーションだ。
返済回数が53回、つまり約定返済のみで返済を続けると完済まで4年以上かかる計算になる。返済総額は582,203円、利息の合計は182,203円という結果になった。
約定返済だけで返済を続けると40万円の借入でも返済に4年以上、利息だけで18万円以上かかることになる。一括返済した場合のシミュレーションは以下の通りだ。
40万円を金利18.0%で借入して1ヶ月で一括返済した場合で試算してみよう。
一括返済のシミュレーション
返済回数 | 返済予定日 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
借入日 | 2024年11/20 | ||||
1回 | 2024年12/20 | 407,000円 | 401,099円 | 5,901円 | -1,099円 |
累計 | 407,000円 | 5,901円 |
※シミュレーション上、マイナス残高となるが返金される 無利息期間は考慮していない
返済総額は407,000円、利息は5,901円という結果になった。
あくまでシミュレーター上の試算ではあるが、約定返済を続けた場合と一括返済した場合の返済金額と利息の差に大きな違いが出ることを確認するには十分だろう。
返済回数 | 返済総額 | 最終的な利息の合計 | |
---|---|---|---|
約定返済 | 53回(4年5ヶ月) | 582,203円 | 182,203円 |
一括返済 | 1回(1ヶ月) | 407,000円 | 5,901円 |
差 | 52回 | 175,203円 | 176,302円 |
このシミュレーションで確認してほしいのは、細かい数字よりも約定返済のみで返済を続けた場合、返済期間が長引くことと利息の負担の重さだ。
約定返済だけで返済を続けると借入の負担が長引いて、利息も大きくなっていく。
そのため、一括返済や繰上返済などの任意返済を活用してなるべく借入期間を短く、利息を抑えることを意識すると返済負担を軽くできるはずだ。確認することが重要である。
カードローンを一括返済するなら知っておくべき3つのポイント
カードローンの一括返済は、返済期間を短くし利息を抑える効果が高い。
そのため家計に余裕があるなら積極的にしたほうが良いだろう。ただし、一括返済をする前に知っておきたいポイントが3つある。
- 一括返済の金額は毎月異なる
- まとまった支出が発生する
- 手続きに手間がかかる
それぞれのポイントを確認してみよう。
一括返済の金額は毎月異なる
カードローンの一括返済の額は毎月、異なる。より正確にいうと日々、一括返済に必要な額は変化している。
理由は利息が日割り計算で算出されるため、日々増えていくためだ。そのため1ヶ月も経つと1ヶ月分の利息が反映されるため、一括返済に必要な金額も変わってしまう。
借入残高80万円 金利18.0%で利用日数が100日と101日、130日
- 100日の場合
- 39452円
- 101日の場合
- 39846円
- 130日の場合
- 51287円
このように利息は利用日数が変わるだけで毎日、変わっていく。30日も違えばかなり変わってしまう。
一括返済の額は日々の利息が反映されるため、返済額が日々、変わっていくことが分かるだろう。
カードローン会社によってはアプリなどで一括返済に必要な額を確認できるところもある。
例えば、SMBCモビットなら一括返済予定のシミュレーションで、予定日に必要な額が分かるようになっている。
もし、一括返済に必要な額を確認できなければ直接、一括返済予定日をカードローン会社に伝えて確認してみることをおすすめする。
まとまった支出が発生する
一括返済となると、まとまった支出が発生する。利息を軽くしようと一括返済をして、目先の生活費がなくなってしまうのも問題だろう。
そのため、一括返済をする際には収入や家計の状況を踏まえてタイミングよく行う必要がある。
もし、まとまった支出があると家計がまわらなくなってしまうということなら無理に一括返済をする必要はない。
約定返済で最低限の返済だけはしっかり続けて、余裕があるときに繰上返済で元金を早めに減らしていくのがおすすめだ。
そして、一括返済の額が家計的に無理のない範囲になったときに検討すれば良い。家計の状況に応じて無理のない範囲で返済をしよう。
手続きに手間がかかる
一括返済は利息もまとめて返済する。そのため、日々返済に必要な額が変わっていくという特徴がある。
このような事情もあり、約定返済や繰上返済とは異なる手続きが少々、手間がかかる。
一括返済に関しては各消費者金融で具体的な手続きは微妙に異なるが、概ね以下の流れで進める。
- 一括返済予定日を確定する
- 予定日から必要な額を確定する
- 口座振込やATMなど所定の方法で返済
もし、返済する日が変わってしまうと返済額も変わってしまうため再度、一括返済の額を確定させなければいけないため注意しよう。
また、ATMで返済するとなると1,000円や10,000円単位で返済できず端数が発生してしまうことがある。
完済のために多めに返済した場合、マイナスの残高になってしまうこともある。
もしカードローンを今後、利用する予定がなくマイナスの残高を清算するとなると、銀行振込や郵送などで対応してもらう手続きが必要になる。
逆にATMでの返済で端数が1円でも借入残高として残ってしまうと完済にはならない。
そのため、約定返済や繰上返済をATMで行なっていた人も一括返済に関しては、1円単位で返済できる口座振込などで返済すると手間が省けるだろう。
逆に1,000円未満の半端な借入残高が残っている場合も注意が必要だ。
1,000円未満の半端な残高に関しては消費者金融各社で対応が異なり、無利息残高となり完済扱いになったり、逆にならなかったりするところもあり扱いはまちまちだ。
ただし借入している情報が信用情報機関に残ったり、解約の際に清算が必要だったりするため一括返済後に別のローンを組んだりする予定があれば1円単位で返済したほうが良いだろう。
カードローンは一括返済もできる!返済計画に応じて活用しよう
カードローンは一括返済にも対応している。
毎月決められた約定返済だけだと、返済が長引いて利息の負担が重くなる。
しかし、繰上返済や一括返済といった任意返済もあわせて行うことで返済期間を短くし、利息の負担も軽くできる。
ただし、一括返済となると借入残高次第では大きな支出となるだろう。そのため家計のバランスも考えてタイミングよく行うことが大切だ。
一括返済をするには額が多すぎるという場合は、約定返済を滞りなく行いつつ、余裕があれば繰上返済で借入残高を積極的に減らしていこう。
また、一括返済の額は日々、日割の利息によって変化していく特性がある。
そのため、いざ一括返済をするときは返済する日を確定し具体的な返済額を算出しよう。
端数を出さず1円単位で返済するなら口座振込がおすすめだ。一括返済、繰上返済、約定返済それぞれの返済方法をうまく組み合わせながら、計画的な返済をしていこう。