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借金が返せない!個人事業主(自営業)が債務整理を行う方法とは?手続きの流れや注意点を徹底解説!

この記事で解決できるお悩み
  • 個人事業主が債務整理する方法が知りたい
  • 債務整理が自営業に与える影響を知りたい
  • 個人事業主が債務整理をするときの注意点が知りたい

自営業の債務整理にはどんな方法があるのだろう。債務整理をしたら事業は継続できるの?個人事業主が債務整理する時の注意点を知りたい。

このような悩みを抱えてはいないだろうか。今回は、個人事業主が債務整理する方法と、事業と事業外それぞれに与える影響などを、分かりやすく解説していく。

この記事を読めば、借金を返せず苦しんでいる個人事業主が、自分に合った債務整理の方法を見つけられるはずである。ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。

目次

個人事業主(自営業)が債務整理する方法とは

個人事業主が債務整理する方法は、効果の高い順に下記の通りである。

  • 自己破産
  • 個人再生(小規模個人再生)
  • 個人再生(給与所得者等再生)
  • 特定調停
  • 任意整理

ひとつずつ解説していく。

自己破産

自己破産とは、裁判所を通して、全ての借金が免除される手続きだ。裁判所は、債務者の収支などを元に判断し、支払不能だと認定すれば免責許可を出す。

これにより債務者は、全ての借金が免除となる。ただし、税金や社会保険料など、特定の債務は免除されない。

詳細は後述するが、自己破産には、いくつかデメリットがある。とりわけ、事業にとっては、車や家などの高価な財産が差し押さえられるため影響が大きい。

では、自己破産後も事業の継続は可能なのだろうか。事業内容によって、継続できる可能性もなくはない。

しかしほとんどのケースでは、財産の所有が制限され、融資も受けられないため、事業継続が難しい。

個人再生(小規模個人再生)

個人再生とは、一定の基準に従って借金が減額される手続きである。個人再生にはいくつか種類があり、小規模個人再生は、個人事業主が利用しやすい制度だ。

小規模個人再生を利用するには、下記の要件を満たす必要がある。

  • 継続的で安定した収入が見込める。
  • 住宅ローンを除く債務が5,000万円以下。

また、債権者の半数、もしくは債権額の半額以上の債権者から承認を得る必要がある。小規模個人再生を行うと、借金の額が「最低弁済額」か「精算価値」のどちらか高い方まで減額できる。

最低弁済額とは、債務総額ごとに定められた弁済金額の最低値である。例えば債務総額が3,000万円であれば、10分の一の300万円となる。

清算価値とは、自己破産をした際に債権者に配当される金額である。大雑把に言えば「手元の財産をお金に換えた時の総額」と捉えていいだろう。

債務者が自己破産した時よりも少額しか回収できないなら、債権者は不当に損してしまう。そのため、最低ラインとして清算価値が定められているのだ。

なお、個人再生では、清算価値の算定に使われた財産が、全て没収されるわけではない。事業用資産は手元に残せるケースが多く、事業を継続できる可能性がある。

個人再生(給与所得者等再生)

事業の内容や形態によっては、給与所得者等再生を利用できるかもしれない。給与所得者等再生とは、一般的な会社員が利用しやすい個人再生だ。

しかし、固定の取引先から安定的な収入を得ているなど、状況により個人事業主も利用可能である。小規模個人再生と違い、債権者の同意なく手続きを行える点が大きなメリットだ。

借金は「最低弁済額」か「精算価値」のほか、税金や生活費を除いた「可処分所得2年分」の中で、最も高い金額まで減額できる。

そのため、所得が高いと、減額できないケースもある。個人再生を検討する際は、前述の小規模個人再生と比較し、どちらが自分に適しているか確認しよう。

特定調停、任意整理

特定調停と任意整理は、どちらも債権者と交渉して、返済の金額や期間を定める手続きだ。特定調停は、裁判所の仲裁により調停員が双方の間に入るため、債権者と直接協議しない。

任意整理では、裁判所は仲裁せず、債権者と直接交渉が必要となる。メリットは、複数の借入先がある場合に、どの債権を対象とするか債務者が選べる点だ。

また、手元に資金があれば、原則事業が継続できる。しかし多くの場合、元本は減額できず、将来発生する利息のみ免除となるため、大きな債務の減額は期待できない。

債務整理が自営業に与える影響

債務整理を行う際は、自営業に影響があるか把握しておこう。ビジネスへの影響を知らないと、債務整理後「こんなはずではなかった。」と後悔するかもしれない。

以下で、債務整理の方法別に解説していく。

自己破産

自己破産をすると個人事業主のビジネスには下記の影響がある。

  • 事業に関する財産が差し押さえられる可能性がある。
  • 一切の契約が解除される。
  • 最低でも5年間は融資が受けられない。

自己破産を行うと、自動車や持ち家など高価な財産は差し押さえられる。しかし、全ての財産が差し押さえられるわけではない。

民事執行法131条6号では、差押禁止財産として、「技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)」と規定されている。

つまり、債務者の生活を守るため、仕事道具は差し押さえ出来ないのだ。しかし実際、破産財団に該当すれば、事業に必要とされる道具や機材でも、差し押さえられてしまう。

どこまで財産を残せるかは、個々の状況によって変わる。ビジネスへの影響は、財産の面だけではない。自己破産を行うと、破産法53条、民法631条、653条に基づき事業に必要な契約が解除される。

例えば、従業員の雇用契約、事務所の賃貸借契約、機器や自動車などのリース契約、そして取引先との業務委託契約などが該当する。

加えて、信用にも影響がある。信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト」に入るのだ。

登録期間は5~10年程度で、その間は金融機関から融資は受けられない。このような影響があるため、ほとんどのケースで事業の継続は難しいだろう。

個人再生

個人再生(小規模個人再生や給与所得者等再生)が、自営業に与える影響は下記の通り。

  • リース物件やローン支払い中の物件を引き上げられる可能性がある。
  • 最低5年間は融資が受けられない。

個人再生は、原則、財産を手放す必要はない。しかし、リース契約中の機器や、所有権留保がありローン支払い中の自動車などは、債権者に引き上げられる可能性が高い。

なぜなら、所有権留保や別徐権といった債権者に有利な権利が設定されているケースが多いからだ。別徐権とは、他の債権者より優先し債権の回収などが出来る権利である。

別徐権の行使を避けるために、債権者と別除権協定を締結し、一定の料金を支払うなどの対応が必要だ。自己破産と同様、個人再生でもブラックリスト入りするため、5~10年間は金融機関からの融資は受けられない。

その他にも、仕入先取引への影響などが考えられる。ビジネスによっては、継続が難しくなる可能性もあるだろう。

特定調停、任意整理

特定調停や任意整理が自営業に与える影響は、主に1つ。信用情報が事故情報に登録(ブラックリスト入り)され、金融機関から新規の融資が受けられないことだ。

クレジットカードの新規作成や更新、既存のカードの利用もできない。運転資金が手元にない場合は、事業継続が困難になるだろう。

債務整理が自営業以外に与える影響

債務整理を行うと、自営業以外の面でも影響がある。

ここでは自営業以外への影響を、債務整理の方法別に解説していく。

自己破産

自己破産をすると、自由財産に該当する一部の財産を除き、高価な財産は全て差し押さえられる。車や住宅・土地などを手放す必要があり、生活環境を大きく変えざるを得ないケースもある。

そして前章でも触れたが、信用情報に事故情報が登録され、5~10年間は、消費者金融や銀行のローンは組めない。

クレジットカードの新規作成や利用もできない。買い物の分割払いもできず、スマートフォンの本体代金などは一括で支払う必要がある。誰かの保証人になることも難しい。

その他の影響としては、官報公告に氏名や住所が記載される。しかし、あまり閲覧されないので、日常生活に大きな影響はないだろう。

個人再生

個人再生では、原則財産を手元に残しておけるため、生活環境は維持できる可能性が高い。

しかし、自己破産と同様、個人再生でも信用情報がブラックリストに入るため、ローンが組めない、クレジットカードが作れない。などの影響が出る。

また、官報広告にも氏名と住所が掲載される。

特定調停、任意整理

特定調停や任意整理においても、信用情報がブラックリスト入りし、個人再生と同様の影響がある。

ただ、自己破産や個人再生と違い、官報広告への記載はない。

個人事業主が債務整理をするときの流れ

個人事業主が債務整理をするときの流れを確認しよう。

債務整理の方法により、手続きの流れは変わるが、ここでは共通する主な流れを解説する。

専門家へ相談

まずは弁護士や司法書士など債務整理の専門家に相談をしよう。相談の前に、債務状況と返済可能額、今後どうしたいかなど、情報をまとめておくと相談がスムーズに進むだろう。

相談の際には、隠し事なく全て正直に話すことが大切だ。昨今は相談無料の事務所が多数ある。状況が悪化する前に、まずは相談をしよう。

債務整理の方法が決まったら、費用の見積もりをし、納得すれば正式な契約となる。

受任通知の送付

弁護士や司法書士は、依頼を受けると、債権者に受任通知を送付する。これにより、債権者は債務者に直接連絡が取れなくなり、返済の督促が止まる。

合わせて、債務状況を確認するため債権者に取引履歴の開示請求を行う。債務状況を確認、整理するためだ。

その後、任意整理なら和解案の作成、個人再生なら裁判所への申立書の作成などといった債務整理の準備を行う。

債務整理の手続き

選んだ債務整理の方法に応じて、債権者との交渉や、裁判所への申立を行う。

任意整理の場合は、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉を進める。

個人再生や自己破産の場合は、裁判所の監督のもと手続きを進めていく。

債務整理の完了

一通りの手続きが完了したら、それに基づき事業の継続や再建を行う。

任意整理や個人再生であれば、返済計画に従い返済を行う。

自己破産であれば、免責許可をもらい債務が全て免除される。

個人事業主(自営業)が債務整理する時の注意点

債務整理する時や、債務整理前の注意点はなんだろうか。

ここでは注意点を3点解説していく。

債務整理後の事業継続の可否を冷静に判断する

債務整理の手続きに入る前に、債務整理後の事業を継続するか廃業するか判断しよう。

事業に思い入れがあるのは理解できるが、債務整理後も収益がなく返済が滞っては、問題の解決にならない。

専門家へ相談する中で、現実を見据え冷静に判断する必要がある。

事業継続に必要な財産、信用、運転資金の確保

債務整理後も事業を継続すると決めたなら、必要な財産や信用、運転資金を確保できるよう段取りを行おう。

事前の知らせなく弁護士から受任通知を送付すると、その後の取引に支障をきたす恐れがある。

事業継続に欠かせない取引先には、事情を話しておき、取引を現金引き換えにするなどの対応が必要になるだろう。

債務整理後は、ブラックリストに入り金融機関からの融資は受けるのが困難になる。そのため、事業を継続していく資金を手元に確保する準備も必須だ。

経営の実態を詳細に調査される

個人再生や自己破産では、経営の実態を詳しく調査されるため、法的にグレー、もしくは知らずに違法行為していて発覚する恐れがある。

例えば家族経営で、業務に従事していない家族を従業員としているケースがあるが、本来は違法である。本当にクリーンなビジネスが出来ているか、事前に専門家に確認しておこう。

個人事業主(自営業)の債務整理は専門家へ相談しよう

今回は、個人事業主の債務整理をテーマに解説をした。個人事業主の債務整理にはいくつか方法があり、方法によっては事業継続の可能性がある。

しかし、どの方法であれ債務整理後はブラックリストに登録され、融資が受けられない点に注意しよう。

また、クレジットカードが使えないなど、事業以外にも影響が出る。個人事業主の債務整理は、専門的な知識や手続きが必要だ。状況に応じて、専門家への相談も検討しよう。

よくある質問

収入が安定していないけど、債務整理はできる?

収入が安定していなくても、債務整理できる方法はある。個人再生は安定収入が認可要件となっているが、任意整理と自己破産はその限りではない。

債務状況を整理できてないけど大丈夫?

手続きを進める中で、債務状況の整理が必要になる。自分で行うのが難しいなら、専門家に相談し、アドバイスを得るのが良いだろう。

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