- 債務整理するとどうなるのか知りたい
- 債務整理すると生活への影響があるのか知りたい
- 債務整理すると家族へどのような影響があるのか知りたい
借金返済に追われる毎日から抜け出したい。そんな思いで債務整理を検討している人は少なくないだろう。
しかし、債務整理は借金問題を解決できる一方で、様々な影響が生じることも事実である。
この記事では、債務整理後の生活がどのように変化するのか、家族や保証人への影響はどの程度あるのかなど、知っておくべき情報を詳しく解説していく。
債務整理の判断材料として、ぜひ参考にしてほしい。
債務整理すると借金や預金はどうなる?
債務整理を行うと、借金や預金などの金銭面で大きな変化が生じる。
その影響は債務整理の方法によって異なるため、それぞれのケースについて見ていこう。
任意整理での金銭的影響
任意整理は、債権者との話し合いにより返済条件を変更する方法である。まず借金については、将来の利息がカットされるのが一般的だ。
元金は残るものの、分割払い支払期間の延長などで無理のない返済が可能となり、毎月の返済負担が軽減される。
預金に関しては、債権者から相殺される心配は少ない。ただし、債権者である金融機関に預金がある場合は、その預金と借金が相殺されることがある。
そのため、別の金融機関に預金を移すなどの対策が必要となる。
個人再生での金銭的影響
個人再生は、裁判所の管理下で借金総額の一定割合が免除され、残りを原則3年(最大5年)で分割返済する方法である。
総額に応じて最低限支払わなければいけない「最低弁済額」が定められている点には注意が必要だが、総額の1割から2割まで減額される可能性がある。
また、住宅ローンがある場合でも、条件を満たせば住宅を手放すことなく返済を継続できる。これは家族がいる場合の大きなメリットとなる。
預金が多額な場合は、弁済額に影響が出るものの、支払い能力がある場合は手元に残すことができる。
自己破産での金銭的影響
自己破産は、裁判所から認められた場合、借金の返済が免除される手続きだ。最も債務者の負担が軽くなる一方で、影響も大きい。
借金は、原則としてすべて免除される。ただし税金や養育費、損害賠償金など、免除されない債務もある。これらは破産後も支払い義務が残るため、注意が必要だ。
預金は、破産管財人によって換価・配当されることになる。
つまり、手持ちの現金や預金は債権者への返済に充てられる。ただし、99万円以下の現金は一般的に「自由財産」として手元に残すことができる。
債務整理した後の生活はどう変わる?
債務整理後は、借金の返済負担が軽減される一方で、様々な制限も生じる。どのような変化が起きるのか、詳しく見ていこう。
すべての債務整理に共通する生活の変化
債務整理を行うと、信用情報機関に記録が残る。これにより、以下のような制限を受けることになる。
- クレジットカードの作成が困難になる(5年程度)
- 住宅ローンなどの各種ローンが組みにくくなる
- 賃貸物件の契約時に審査が通りにくくなる
このため、当面は現金での生活が基本となる。計画的な家計管理が必要となるだろう。
任意整理を選んだ場合の生活変化
任意整理の場合、上記の制限は比較的緩やかである。信用回復も他の方法に比べて早く、5年程度で徐々に制限が解除されていく。
通常の生活費とは別に、毎月の返済額を確保する必要がある。
ただし、利息が大幅に引き下げられ、返済期間も柔軟に設定できるため、無理のない返済計画を立てることができる。
また、任意整理は裁判所を介さない手続きのため、日常生活における行動の制限は最小限に抑えられる。
必要に応じて、デビットカードなどの現金決済型のサービスを利用することも可能だ。
個人再生を選んだ場合の生活変化
個人再生の場合は、返済計画期間中(3〜5年)は裁判所の監督下に置かれる。この間は、贅沢な支出を控え、計画に従った返済を続ける必要がある。
収入から生活費と返済額を差し引いた金額については、自由に使うことができる。ただし、予期せぬ支出に備えて、できるだけ貯蓄に回すことが望ましい。
返済計画を完遂すれば、その後の信用回復は比較的早い。まじめに返済を続けることで、将来的な信用取引の再開にもつながっていく。
自己破産を選んだ場合の生活変化
自己破産の場合は、制限が最も厳しくなる。免責決定後も7年程度は様々な制限を受けることになる。
また、破産者であることが公的な記録として残るため、社会的な信用回復には相応の時間を要する。
手持ちの財産は原則として手放さなければならないが、生活に必要な最低限の家財道具や数か月分の生活費は手元に残すことができる。
破産後は借金がなくなる一方で、クレジットカードやローンが利用できなくなるため、すべての支払いを現金で行う必要がある。
家計管理を徹底し、計画的な生活を送ることが重要となる。
ただし、いずれの方法でも、生活必需品の購入など日常生活に最低限必要な支払いについては大きな支障は生じない。
将来の生活再建を見据え、堅実な家計運営を心がけることが大切だ。
債務整理による家族への影響とは
債務整理を行うと、本人だけでなく家族にも様々な影響が及ぶことがある。
その影響は債務整理の方法によって異なるため、家族への配慮を含めて慎重に検討する必要がある。
任意整理が家族に与える影響
任意整理は、家族への影響が比較的小さい方法である。裁判所を介さない手続きのため、家族の日常生活に大きな支障は生じにくい。
ただし、収入から返済に回す金額を確保する必要があるため、家計のやりくりに影響が出る可能性がある。
家族で話し合い、支出を見直すなどの協力が必要となるだろう。計画的な返済を続ければ、債権者からの取り立てが減少し、家族の精神的な負担は大きく軽減される。
個人再生が家族に与える影響
個人再生の場合、裁判所による手続きが必要となるため、家族にもある程度の協力が求められる。
特に、配偶者の収入や資産状況についても開示が必要となる場合がある。
また、返済計画期間中は家計の見直しが必要となり、家族全体での支出抑制が求められる。一方で、借金が大幅に減額されることで、家計の改善が期待できる。
これにより、子どもの教育費など、将来的な支出にも余裕が生まれる可能性がある。
自己破産が家族に与える影響
自己破産は、家族への影響が最も大きい方法である。
基本的に配偶者に直接的な影響が及ぶことはないが、配偶者が持つ財産が破産者との共有財産であると疑われる場合は、配偶者名義の預金や不動産についても、調査対象となることがある。
さらに、親族間での金銭貸借がある場合、破産手続きによって請求できなくなる可能性もある。
このため、親族との関係が悪化するリスクも考慮しなければならない。
債務整理による連帯保証人への影響とは
連帯保証人は、債務者が返済できない場合に代わって返済する義務を負う。
そのため、債務整理を行う際は、連帯保証人への影響を十分に考慮する必要がある。
任意整理時の連帯保証人への影響
任意整理の場合、債務者の返済条件は変更されるが、連帯保証人の保証債務は残り続ける。
もし債務者が任意整理後の返済を滞らせた場合、連帯保証人に対して請求が行われる可能性がある。
その際、連帯保証人は債務者が支払うはずだった金額を、一括で支払うよう求められることもある。
なお、連帯保証人に対しても、債務者と同様の条件での分割払いを認めてもらえる可能性はある。
ただし、これには債権者との交渉が必要となる。債務者が真面目に返済を続ける限り、連帯保証人が実際に支払いを求められることは少ない。
個人再生時の連帯保証人への影響
個人再生では、債務者の借金は減額されるが、連帯保証人の保証債務は減額されない。
つまり、減額されなかった部分について、連帯保証人への請求が行われる可能性がある。
例えば、借金1000万円が個人再生で200万円に減額された場合、残りの800万円について連帯保証人への請求権は残ることになる。
このため、個人再生を行う際は、事前に連帯保証人と十分な話し合いを持ち、対応を検討する必要がある。
自己破産時の連帯保証人への影響
自己破産の場合、連帯保証人への影響が最も大きくなる。債務者の借金は免除されるが、連帯保証人の保証債務は免除されない。
そのため、債権者は未回収となった借金の全額を、連帯保証人に請求することができる。
また、連帯保証人が請求を受けて支払いを行った場合でも、破産者に求償権を行使することはできない。
つまり、支払った金額を破産者に請求することができないのだ。このように、自己破産は連帯保証人に重い負担を強いる可能性が高い。
そのため、自己破産を選択する際は、連帯保証人の状況も慎重に考慮しなければならない。
債務整理による仕事への影響とは
債務整理は仕事にも影響を及ぼす可能性がある。
特に、一部の職種や資格では大きな制限を受けることもあるため、事前に確認が必要だ。
任意整理が仕事に与える影響
任意整理は、仕事への影響が最も少ない方法である。裁判所による手続きではないため、会社に知られる心配は比較的少ない。
ただし、給与振込口座の変更が必要になる場合がある。これは、債権者である金融機関との取引を避けるためだ。
その際、会社の経理担当者には口座変更の理由を問われる可能性もある。
個人再生が仕事に与える影響
個人再生の場合、裁判所での手続きが必要となるものの、弁護士などに依頼した場合は仕事への影響は少ない。
また、給与所得者の場合、返済原資として給与が重要な要素となる。そのため、現在の仕事を継続できることが、個人再生を成功させる重要な条件となる。
特に注意が必要なのは、個人再生中の転職である。収入が大きく変動する場合は、返済計画の変更が必要となる可能性がある。
転職を考える場合は、事前に弁護士に相談することが望ましい。
自己破産が仕事に与える影響
自己破産は、仕事への影響が最も大きい方法である。特に、以下のような職種や資格には一時的に制限がかかる可能性がある。
- 弁護士、司法書士、税理士などの法律関係の資格
- 宅地建物取引士
- 保険の外務員
- 金融機関の役員
- 警備業の管理者
公務員が自己破産しても、基本的に失職や懲戒処分を受けることはない。
特別職の公務員(例:国家公安委員会や公正取引委員など)の一部は、自己破産により一定期間仕事ができなくなる可能性があるが、これは例外的なケースだ。
また、会社員が自己破産しても、基本的に会社をやめる必要はない。自己破産を理由とした解雇は、通常は不当解雇にあたる。
自己破産は個人的な事情であり、業務遂行に直接影響する事由ではないため、解雇理由にはならないとされているからだ。
債務整理するとどうなるのかを考慮し最適な選択を
債務整理は、借金問題を解決する有効な手段である。返済額の減額や免除により、経済的な負担は大きく軽減される。
しかし同時に、様々な制限も生じる。
信用情報機関への登録により、クレジットカードやローンの利用が制限され、当面は現金での生活を余儀なくされる。
また、家族や連帯保証人への影響も無視できない。
特に自己破産の場合は、連帯保証人に大きな負担がかかる可能性がある。仕事面でも、職種によっては重要な制限を受けることがある。
このように債務整理には考慮すべき点があるが、借金の重荷から解放され、新たな人生のスタートを切れるという大きなメリットもある。
専門家とともに、これらの影響を最小限に抑えられる、あなたに最適な債務整理の方法を検討するのが望ましい。