- ショッピングローンが債務整理できるのか知りたい
- ショッピングローンを債務整理したときのデメリットが知りたい
- ショッピングローンを債務整理した方が良いのかどうかがわからない
ショッピングローンを利用しすぎて返済が困難になり、ネットで解決策を調べているうちに債務整理という制度を知ったものの
「ショッピングローンで作った借金も債務整理できるのかな?」「借金を減らせるなんておいしい話があるわけない。何か裏があるはずだ」このような疑問を抱えている人は多いのではないだろうか。
結論を述べると、ショッピングローンによる借金であっても、他の債務と同様に債務整理が可能だ。国が認めている制度であるため、違法性も全くない。
一方、デメリットも確かに存在する。そのため、安易に債務整理を決断するのは危険だ。
本記事では、ショッピングローンを債務整理した結果やデメリット、注意点などを解説する。
また、債務整理を検討したほうが良い具体的なケースも紹介しているので、自身に当てはまっているか確認してみよう。
ショッピングローンも債務整理できる
冒頭でも述べた通り、ショッピングローンの過度な利用により膨らんだ借金でも債務整理できる。ここでは、債務整理の方法ごとの特徴を整理する。
任意整理
任意整理は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼し、債権者と交渉して返済条件を見直す法的手続きである。
具体的には、将来発生する利息のカットや返済期間の見直しが実施される。
ショッピングローンを任意整理するメリットは、手続きにかかる時間と金銭面でのコストを抑えられる点だ。
任意整理は裁判所を介さないため、手続きが簡単なうえ、弁護士や司法書士に支払う報酬額も少なくて済む。
ショッピングローンの場合、年15.0%程度の金利が設定されているケースが多いため、その分の返済負担がなくなるだけでもだいぶ楽になるだろう。
また債権者を選べる点も大きなメリットだ。例えば、他に保証人がついている債務がある場合は、任意整理の対象から外すことができる。
一方、借金が大幅に減額されるわけではない点がデメリットだ。カットされるのはあくまで利息分のみであるため、元金は引き続き返済していく必要がある。
また、任意整理の場合、返済期間は3年から5年程度に設定されるケースが一般的だ。
そのため、仮にショッピングローンの元々の返済期間が6年以上であった場合、月々の返済額が大きくなってしまう可能性がある。
まとめると、任意整理は元本のみであれば返済していける目途が立っている人におすすめだ。
個人再生
個人再生は、裁判所を通じて債務を1/5から1/10まで減額してもらい、残りを約3年かけて分割返済していく方法だ。
減額幅が大きいため、ショッピングローンなどによる借入が数百万単位まで膨らんでしまった場合などにおすすめである。
任意整理は、返済負担を許容範囲内まで抑えられない場合に検討されるケースが多い。
また個人再生の場合、高額な財産を手放すことになるケースが限定されている。そのため、自己破産よりは住宅や自動車などを失うリスクが小さい。
ただし、個人再生は任意整理とは異なり、対象とする債権者を選べない点がデメリットだ。
例えば、ショッピングローン以外に、保証人がいる債務を抱えているとしよう。
この場合、個人再生によって減額された借金の債務は保証人が負うことになるため、債権者からの催促も保証人に対して行われる。
さらに、保証人による代位弁済の場合、債権者からは残債の一括請求を求められるケースが多い。つまり保証人に多大な迷惑をかけてしまう恐れがあるのだ。
それゆえ、保証人がいる債務は整理対象から外したいと考える人は多いだろう。しかし、任意整理とは異なり個人再生ではそれができない。
したがって、整理されると困る債務を抱えている場合は、任意整理を選ぶのがおすすめだ。
とはいえ、個人再生には債務を現在の5分の1~10分の1と大幅に減額できるメリットがあるため、あまりにも経済状況が厳しい場合は検討しても良いだろう。
自己破産
自己破産は裁判所に申し立て、返済不能に陥っていることが認められれば、一部を除く債務を全て免除してもらえる法的手続きだ。
ショッピングローンによる借金が膨れ上がってしまい、かつ収入が少なく返済していけるような目途が全く立たない場合は検討する価値がある。
特にショッピングローンで購入した商品の大半が生活必需品で、返品や換金が難しい場合には有効だろう。これらの物品は、自己破産しても没収される可能性が低いためだ。
しかし、自己破産は返済負担をほぼゼロにできる一方で、デメリットも大きい。代表的な例が、財産の没収である。
先述の通り、自己破産では生活必需品を手放すことになる可能性は低い。自己破産はあくまで債務者の生活を再建するための制度であり、生活必需品を奪うことは趣旨に反するためだ。
一方、高額な電化製品やブランド品は生活必需品とは言えない。査定額はある程度高額になるため、債権者へ少しでも資金を分配するために換金されるケースが一般的である。
他にも、裁判所から債務が免除される「免責許可決定」が下りるまで特定の業務に従事できなかったり、旅行や出張などで居住地を離れる際に裁判所からの許可が必要になったりなど、自己破産特有のデメリットが存在する。
よって自己破産は、自力ではどうしても生活再建の目処が立たない場合に選ぶ最終手段として考えておこう。
ショッピングローンを債務整理したときのデメリット
前項では、債務整理の各方法のメリットだけではなく注意点も解説したが、ここで改めてショッピングローンを債務整理したときのデメリットについて掘り下げる。
ブラックリスト入りする
債務整理した場合、方法を問わずブラックリストに掲載されることになる。厳密には「ブラックリスト」というものは存在しないが、一般的にはこのように表現されている。
一般的に言われるブラックリストとは、正確には「信用情報機関」という機関のデータベースのことだ。こ
のデータベースには、借金の滞納や債務整理などの「事故情報」が登録される。
事故情報が登録されると、削除されるまでは新たなローンの契約やクレジットカードの発行ができなくなってしまう。
そのため、債務整理後の生活に支障をきたしてしまう可能性がある。
事故情報の削除にかかる大まかな期間は以下の通りだ。
債務整理の種類 | ブラックリスト解除までにかかる年数 |
---|---|
任意整理 | 約5年(残債の完済後から起算) |
個人再生 | 約5年~10年(残債の完済後から起算) |
自己破産 | 約5年~10年(免責許可決定後から起算) |
信用情報機関から事故情報が削除された後は、再度借入やクレジットカードの新規発行ができるようになる。
債務整理時に利用していた会社では、個別に事故情報を半永久的に保管している可能性がある。
そのため、新たに審査を受けても通過できる可能性は非常に低いうえに、他社で審査を受ける際にもマイナスの影響を及ぼす恐れがある。
したがって、債務整理の対象とした会社での借入やクレジットカードの発行は諦めたほうが良いだろう。
購入商品の引き上げリスクがある
ショッピングローンで購入した商品は、債務整理すると引き上げられる恐れがある。
ここで言う「引き上げ」とは、債務不履行が発生した際に、債権者が目的物を回収することを指す。つまりショッピングローンで購入した商品を手放すことになる可能性があるのだ。
債権者による引き上げが可能なのは、ショッピングローンの契約に「所有権留保条項」が含まれているためだ。
所有権留保条項とは、商品の購入代金が完済されるまで目的物の所有権を債権者に留める決まりのことである。
引き上げられた商品は競売にかけられ、売却益は購入代金の弁済に充てられる。
なお実際の引き上げリスクは商品によって異なる。例えば自動車やブランド品など、高価な物品は引き上げの対象となりやすい。
特に注意すべきなのは、自己破産を選択する場合だ。他の債務整理方法よりも、債権者が少しでも多く債権を回収しようとするため、購入した商品を引き上げられる可能性が高い。
債務整理による引き上げのリスクを避けたい場合は、債権者側に商品が必要な理由を伝えることで、要求に応じてもらえる可能性がある。
弁護士や司法書士と相談のうえ、可能であれば試してみよう。
ショッピングローンを債務整理したときの生活への影響
ショッピングローンを債務整理する際のデメリットを解説したが、他にも生活への影響が及ぶ可能性がある。
ここでは、具体的にどのような影響が想定されるのか見ていこう。
クレジットカードが使えなくなり新規発行も当分はできない
ショッピングローンを債務整理することにより、5年~10年の間クレジットカードが新規発行できなくなる点は先述の通りだ。
しかし、それだけではなく、現在使用しているクレジットカードも債務整理の対象とした場合は強制解約となる。
債権者側としては、債務整理に至るほど貸付リスクの高い人のクレジットカード利用を止めたくなるのは当然だ。
クレジットカードが使えなくなると、決済で不便を感じる場面が多くなるかもしれない。特にネットでの買い物については、クレジットカードがないと決済できないケースもある。
一方、現在では現金以外にもデビットカードや電子マネーを支払いに利用できる店舗が増えてきている。そのため、以前ほどは不便を感じにくいだろう。
ともかく、債務整理はクレジットカードを当分利用できなくなる点も踏まえたうえで検討しよう。
住宅ローンなど新しい借り入れはできない
こちらも先ほど少し触れたが、ショッピングローンを債務整理すると信用情報機関に事故情報が登録され、削除されるまでは新規の借入ができない。
特に住宅ローンのように金額が大きな商品ほど利用が困難となる。
盲点となりやすいのが、スマートフォン本体代の分割払いも厳しくなる点だ。スマートフォンの利用自体は債務整理手続き中も可能だが、機種変更には制約がかかる。
また住宅ローンの場合、事故情報の記録が消えた後も審査に影響する可能性がある。
多くの金融機関は「これまでに債務整理をしたことがあるか」という質問項目を設けているため、正直に申告しよう。
虚偽が発覚すると、ローン契約の取り消しなど厳しい処分が下される恐れがある。
このように新たなローンの契約ができなくなることにより、金額の大きな買い物は難しくなる。
そもそもショッピングローンが原因で債務整理に至る場合は、過度な買い物の習慣をなくすべきだと考えられるが、一応このようなデメリットがあることも頭に入れておこう。
賃貸住宅の契約ができない場合がある
債務整理により、新規の賃貸契約に影響が出る可能性がある。
特に問題となるのが、賃貸保証会社の審査だ。現在は多くの賃貸物件で保証会社の利用が必須となっている。
そして保証会社によっては、信用情報機関の情報を照会し、事故情報がある人を審査で落とすケースがある。
保証会社には大きく「信販系」と「独立系」の2種類があるが、特に信販系の審査は厳しいとされている。
したがって、債務整理後に他の賃貸物件へ引っ越したくなった場合は、独立系保証会社をつけている物件を選ぶと良いだろう。
また、保証会社ではなく、保証人の用意により契約できる物件を探すのも選択肢の一つだ。
なお現在入居中の賃貸物件については、債務整理を理由に追い出される可能性は低いので安心してほしい。ただし、家賃滞納は契約解除の要因となるため注意が必要だ。
ショッピングローンの債務整理を検討した方がいい人とは
ここまでショッピングローンの債務整理による負担の軽減効果やデメリット、注意点を解説してきた。しかし、まだ債務整理したほうが良いか悩んでいる人もいるだろう。
そこで、ここからはショッピングローンの債務整理を検討したほうが良いケースを紹介する。
返済額のほとんどが利息の返済になっている
返済額のほとんどが利息の返済に充てられてしまっている場合は、早めに債務整理したほうが良い可能性がある。
毎月ショッピングローンを返済しているにもかかわらず、借入残高がほとんど減っていない場合は、返済額の大半が利息に充てられている。
特に年15.0%など高金利のショッピングローンを利用している場合は、このような状態に陥りやすい。
借入残高が100万円で、毎月の返済額が20,000円、金利が年15.0%のケースを想定してみよう。
この条件だと、毎月の返済額のうち12,500円が利息に充てられるため、元金はわずか7,500円しか減らない。
元金がなくならない限り返済は終わらず、いわゆる「借金地獄」と呼ばれる状態に陥ってしまう。
そのため、借金問題がさらに拡大してしまう前に、債務整理を検討してみるのも良いだろう。
利息分のみカットする任意整理であっても、負担は大幅に軽減される可能性がある。
返済が長期間にわたり完済のめどが立たない
先にも述べた、返済額のほとんどが利息の返済に充てられている場合とつながる話だが、自力で返済を続けても完済できそうにない場合は、早急に債務整理することで今の苦痛から逃れられる可能性がある。
返済は長期化するほど、途中で滞納してしまう可能性が高くなる。そして一度滞納すると、遅延損害金が発生し、完済はさらに遠ざかっていく。
完済の目処が立たない場合は、事態がより深刻化してしまう前に弁護士や司法書士に相談したほうが良いかもしれない。
収入の減少や無収入で返済が困難である
病気や怪我などによる収入の大幅な減少や、失業などが原因で無収入となった場合、ショッピングローンの返済は困難となるだろう。
このような状況では、自力で完済を目指すのは無謀に近いため、債務整理を検討してみよう。
収入が大幅に減少した際、特に注意すべきなのが以下の状況だ。
- 生活費を切り詰めた結果健康を害し、収入を元の水準まで戻すことが難しくなる
- さらに借入を増やして自転車操業に陥る
- 家賃や公共料金の滞納などが発生し、精神的な不安が大きくなり、冷静な判断ができなくなる
一時的な収入の減少であれば任意整理や個人再生でも対応できるかもしれない。一方、収入の回復が見込めない場合は自己破産で再出発を選ぶのも選択肢の一つだろう。
特に、収入が絶たれてしまった場合は、ほとんどの債務を免除してもらえる自己破産が有力な選択肢となるだろう。
債務整理でショッピングローンの負担を抑えられる
ショッピングローンも債務整理の対象となるため、任意整理や個人再生、自己破産により返済負担を大幅に軽減することが可能だ。
ただし、以下のようなデメリットがあるため、手続きは慎重に検討しよう。
- しばらくの間ローンやクレジットカードを利用できなくなる
- 購入した商品が引き上げられる可能性がある
- 賃貸契約の際に受ける審査で不利になる恐れがある
特にローンやクレジットカードを利用できなくなる点は、債務整理後の生活に大きな不便が及ぶ可能性がある。
債務整理を検討する前に、果たして本当に自力での返済が難しいのか、再度家計を見直しつつ考えてみよう。
改めて考えた結果、どうしても自力での完済が難しい場合は、債務整理に踏み切るのも選択肢の一つだ。
その際は、まず弁護士や司法書士などの専門家に相談しよう。