- 公務員が自己破産すると会社にバレるのか知りたい
- 会社員が自己破産すると会社をクビになるのか知りたい
- 公務員が自己破産することのデメリットが知りたい
公務員が自己破産をすれば、クビになってしまうのでは、と心配している人もいるかもしれない。
あるいは、クビにならなくても、自己破産をしたことが職場でバレたらどうしようかと、自己破産をすることに戸惑っている人も少なからずいるだろう。
本記事では、公務員が自己破産をすればクビになるのかどうかについて解説する。
自己破産をすれば職場にバレるのか、自己破産した場合のデメリットやメリットについても紹介する。
自己破産以外の債務整理の方法もあわせて解説するので、自己破産をしようか悩んでいる公務員は参考にしていただきたい。
公務員が自己破産するとクビになる?
公務員にとっての心配ごとのひとつに、自己破産することで会社をクビになるのでは、ということがある。しかし、公務員が自己破産をしたからといってクビにはならない。
公務員がクビにならない理由について以下で解説する。
公務員は資格制限の対象外
自己破産をすると、破産手続きの開始決定から免責許可決定されるまでの期間、一定の職業につけなくなる。
資格制限の対象となっている職業には、弁護士や公認会計士、警備員や生命保険募集人などの職業がある。
しかし、国家公務員や地方公務員は資格制限の対象に含まれていない。
つまり、自己破産をしても、警察官や教員、消防士などに従事するほとんどの公務員は今まで通り仕事が続けられる。
自己破産を理由に公務員がクビになることはない
国家公務員、地方公務員のいずれも、自己破産を理由にクビになることはない。理由として、公務員の欠格事由に該当しないためだ。
地方公務員法には、以下のように欠格条項が定められている。
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
- 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
- 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
罪を犯したり、懲戒免職の処分を受けたりした場合などが欠格事由であり、自己破産は欠格事由に該当しない。
つまり、自己破産をしたことで公務員はクビにならないのである。
公務員が自己破産するとどうなるのか?
公務員が自己破産すると、どうなるのかについて紹介する。
生活面での影響として、資金面で余裕ができ、将来に向けて再出発がしやすくなる。
公務員が自己破産すると、借金返済に関する負担がなくなるので、借金返済に充てられていたお金が、生活費や将来の貯蓄に資金を回せるようになる。
安定した収入が公務員にはあるので、自己破産後の生活の再建が見込めるだろう。
仕事面での影響として、集中して業務遂行が図れる可能性がある。
自己破産前では、資金繰りに悩んだり、返済の見通しが立たなかったりすると、精神的なストレスが大きくなる。そのため、仕事どころではないことが予想される。
自己破産を行い、借金の返済義務が免除されることでストレスから解放され、精神的余裕が生まれ、仕事に集中でき職務に支障をきたすことがなくなるだろう。
その他の影響として、自己破産後の5~7年間、ローンの利用やクレジットカードの新規作成が難しくなる点に注意が必要である。
自己破産した事実が個人信用情報機関に登録されるからだ。
そのため、自己破産をした公務員は、ローン利用やクレジットカード新規申し込みを控えるのが賢明だろう。
公務員が自己破産したときのデメリット
公務員が自己破産したときのデメリットした場合のデメリットとして、以下の3点がある。
- 高価な財産が清算される
- 個人信用情報機関に自己破産した情報が登録される
- 破産手続き中は破産管財人に郵便物が転送される
それぞれ解説しよう。
高価な財産が清算される
公務員に限らず、自己破産をした場合、財産が処分されることがある。現金化して債権者に分配する必要があるためだ。特に自宅や車といった高価な財産は清算対象となる。
また、20万円を超える預貯金や、99万円を超える現金も対象となるので注意したい。
個人信用情報機関に自己破産した情報が登録される
前述のように、自己破産をすると、個人信用情報機関に情報が登録される点がデメリットとしてある。
自己破産したことが登録されることにより、金融機関から融資を受けたり、クレジットカードを作成したりができなくなる。
破産手続き中は破産管財人に郵便物が転送される
破産手続中、郵便物は破産者あてでなく、破産管財人あてに転送され、中身をチェックされることもデメリットとして考えられる。
破産手続きを円滑に行うため破産管財人は、他に未申告の債権者や隠し財産の有無のチェックが必要だからだ。
なお、破産管財人あてに転送された郵便物は、後日破産者に返してもらえる。
公務員が自己破産した時のメリット
自己破産を行うことで公務員が得られるメリットとして、以下の3点があるので紹介しよう。
- 借金返済義務が免除される
- 最低限の生活を送るため財産は確保できる
- 取り立てや差し押さえから回避できる
借金返済義務が免除される
自己破産を行い、裁判所から「免責許可」が下りた場合、基本的にすべての借金返済義務が免除される点がメリットとしてある。
免責許可を得ることで、借金の返済に追われる生活から解放され、経済的に再出発するチャンスが得られ、借金や返済について考えることがなくなる。
最低限の生活を送るため財産は確保できる
自己破産をすると、保有している財産はすべて債務に充当されるのではと考える人もいるかもしれない。
前述のように、高価なものは債務の返済に充当されるが、最低限の生活を送れるだけの財産は確保できる。確保できる財産は、以下の通りである。
- 新得財産
- 生活に最低限必要な家具など差し押さえ禁止財産
- 99万円以下の現金
- 20万円以下の預金や査定額20万円以下の自動車など
- 自由財産の拡張
新得財産とは、自己破産手続き後に取得した財産をさす。
自由財産の拡張とは、自己破産をした者それぞれの事情を踏まえて、裁判所が破産者の手元に残す財産の範囲を広げる制度である。
取り立てや差し押さえから回避できる
自己破産して、免責決定がされると、返済義務がなくなり、債権者からの取り立てや強制執行といった差し押さえもなくなる。
今後の取り立てや差し押さえもなくなるので、応じる必要もなく、給与の差し押さえの心配もない。
差し押さえがなくなることで、生活費が確保でき、公務員としての生活の安定が見込まれるだろう。
公務員が自己破産するとなぜ会社にバレるのか?バレない対処法も解説
自己破産をしてもクビにはならないものの、会社でバレるケースがある。ここでは、公務員の自己破産がなぜバレるのか、また。バレない対処法を紹介する。
自己破産が会社にバレる理由
自己破産が会社にバレるケースとして、以下の3点がある。
- 官報に掲載される
- 共済組合からの借入がある
- 互助会で積立てを行っている
それぞれ解説しよう。
官報に掲載される
自己破産の手続きを行うと、破産手続き開始決定が裁判所から出された時、および免責許可決定が出された時の2度、官報に掲載される。
官報とは、行政機関の休日を除き毎日発行している広報誌だ。
政府や各府省などが公布する文書といった公文と、国や各府省、地方公共団体、および 裁判所の情報である公告が記載されている。
裁判所公告のなかに、破産や再生、特別清算などの情報が掲載されている。
一般人が頻繁にチェックするものではないため本人が黙っていれば、周囲に気づかれないケースが多いが、万が一官報での自己破産の掲載が会社の人の目に触れた場合、バレることになる。
共済組合からの借入がある
共済組合からの借入がある場合も、バレる可能性が高い。共済組合とは、公務員に対して、年金制度の運営や組合員への貸付を行っている組織のことである。
自己破産を行う場合、裁判所から、あるいは担当弁護士より各債権者に対して「債務者が自己破産手続きを開始した(もしくは、自己破産手続きの準備に入った)」旨の通知が送付される。
共済組合から借入をしている場合、共済組合にも通知が届く。そのため、自己破産がバレてしまうことになる。
互助会で積立てを行っている
互助会で積立てを行っている場合も、会社で自己破産がバレてしまうケースがある。
互助会での積立金は、財産としてみなされ、自己破産をする場合、財産は債権者に分配しなければならないからだ。
自己破産では、20万円を超える財産があれば、債権者に債権金額に応じて配当される。
互助金が20万円を超えている者が自己破産する場合、破産管財人より互助会あてに連絡が届く。
破産管財人からの連絡により、互助会の会計担当者は自己破産の事実が知られることになり、バレてしまう。
自己破産がバレない対処法
自己破産がバレない対処法として、自分の口から周囲に自己破産のことを話さないことが最も有効な対処法である。
自己破産のことについて、つい親しい人に話したくなることもあるだろう。しかし、自己破産のことを聞いた人が、いつどこで話をするかわからない。
気がつけば噂が広がっていて、結果として、自己破産の噂が周囲に広がっている可能性も否定できない。
会社に知られたくないのであれば、自己破産について自ら話すことは厳に慎むべきだろう。
自己破産以外で公務員が債務整理する方法
公務員が自己破産以外で債務整理を行う方法として、次の方法があるので解説する。
任意整理
任意整理とは、利息のカットや返済期間の見直しなどにより、毎月の返済金額の負担を減らして借金の完済を目指す手続きである。
自己破産とは異なり、裁判所に申立をせず、直接債権者との交渉により返済金額や返済期間を決定する。
メリットとして、特定の借入先に対しての手続きが可能である。特に共済組合からの借入がある公務員は、任意整理の対象から外すことも可能なため、会社にバレずに済む。
家や車などの財産を処分する必要がない点も任意整理のメリットだ。
とりわけ互助金で積立金を行っている公務員は、処分が不要で通知もいかないため、会社に知られることがない。
デメリットとして、個人信用情報に任意再生を行った異動情報が登録される点がある。金融機関などからの借入や、クレジットカードの新規作成が難しくなるので注意が必要だ。
毎月の返済金額や返済期間など、借入先に提示した条件によっては、必ずしも任意整理に応じてもらえない恐れがある点にも注意しよう。
個人再生
個人再生とは、裁判所から再生計画の認可決定を受けることで、借金を5分の1から10分の1ほどに減額してもらえる手続きである。
減額された借金を原則3年かけて支払うことで、支払い義務がなくなる制度だ。
再生計画を裁判所から認めてもらうためには、将来的に安定した収入があり、再生計画通りに返済できることや、借金の総額が5,000万円以下であることなどの要件を満たす必要がある。
メリットとして、借金が大幅に減額できる点である。また、原則3年で返済が終了するため、返済負担が軽くなる。
個人再生は、住宅ローン特則があり、要件をクリアすれば、持ち家を失うことなく住み続けられる。
デメリットとして、裁判所に申立てる必要があるため、手続きに時間がかかる点がある。
自己破産同様、官報に個人再生したことが掲載されるため、場合によっては、会社にバレる恐れがゼロではない。
公務員が自己破産しても仕事は続けられる
自己破産を行うと、一定の職業につけなくなる。しかし、公務員は資格制限の対象外なので自己破産をしてもクビにはならない。
公務員が自己破産をすることで、金銭的・精神的不安から解放されるされ、再出発が見込まれる。
公務員が自己破産をするデメリットは、家や車など高価な財産を手放したり、個人信用情報に登録されたりする点などだ。
メリットとして、借金の返済義務が免除される点や取り立ておよび差し押さえから回避できる点などがある。
公務員は自己破産しても会社にはバレにくいものの、共済組合から借入があったり、互助会の積立てがあったりする場合、自己破産の手続きに入った旨の通知が届くのでバレる恐れがあるので注意が必要だ。
自己破産がバレない対処法は、自ら自己破産を行ったことを周囲に話さないことが重要である。
自己破産以外にも債務整理する方法として、任意整理や個人再生がある。
任意整理は、利息のカットや返済期間の見直しにより毎月の返済金額の軽減が可能となる。裁判所へ申立を行う必要がなく、自己破産より手続きが簡単だ。
個人再生は、自己破産同様裁判所に申し立てる必要があり手間がかかるが、借金を5分の1から10分の1ほどに減額が可能である。
要件を満たせば、住宅ローン特則により、持ち家を失うことが回避できるメリットがある。
自己破産以外にも、任意整理や個人再生といった債務整理を行う方法はあるので、総合的に判断・検討してみてはいかがだろうか。