- 銀行系カードローンは債務整理できるのか知りたい
- 銀行系カードローンを債務整理するときのデメリットが知りたい
- 実際に銀行系カードローンを債務整理した例が知りたい
近年、銀行が提供するカードローン、いわゆる「銀行系カードローン」の利用者が増えている。
審査が早く、担保保証人不要、コンビニのATMを利用でき、非常に便利なサービスだ。
一方、借りたお金は何に使っても良く、「銀行」という安心感も手伝って、身の丈以上に借金をし、返済に苦しむ人が増えている。
もし、このような状況に陥ったら、債務整理を検討すべきだろう。銀行系カードローンは、消費者金融や他の借金と同じく、債務整理の対象となる。
しかし、銀行系カードローンの特性上、気を付けるべき点がいくつか存在する。
今回は、銀行系カードローンを債務整理する効果、デメリットと注意点、そして実例を紹介する。
この記事を読んで、債務整理を上手く活用すれば、月々の返済額を減らし余裕のある生活を取り戻せるだろう。ぜひ参考にしてほしい。

銀行系カードローンは債務整理できる!効果は?

銀行系カードローンは債務整理ができ、利子や元本の減額が可能だ。
ここでは、債務整理の種類と効果を解説する。
銀行系カードローンは債務整理の対象
債務整理とは、借金の返済に苦しむ人を救うための制度である。
金融機関からの借入やローン、クレジットカードの支払い、奨学金など、ほぼ全ての借金が対象になる。
一方、税金や社会保険料、損害賠償金などは対象外である。では、銀行系カードローンはどうだろうか。
その名の通り、銀行からの借入のため、債務整理の対象になるのだ。
債務整理の3つの方法
債務整理には主に3つの方法がある。自己破産、個人再生、任意整理だ。
それぞれを簡単にまとめると、下記の通りとなる。
- 自己破産
- 裁判所の手続きを経て、対象の借金が全額支払い免除になる。
- 個人再生
- 裁判所の手続きを経て、対象の借金が規定の金額(1/5〜1/10)まで減額になる。
- 任意整理
- 個別に債権者と交渉し、将来利息の免除や返済期間の延長ができる。
いずれの方法も、返済額が減額できたり、返済期間を延長できるため、生活を立て直すのに非常に有効な手段である。
ここで、任意整理を活用した例を考えてみよう。
某大手銀行のカードローンは、借入額100万円以下の利息が14.5%である。(2024年10月現在)3年間で返済する場合、月々の返済額は34,000円で、返済総額はおよそ124万円となる。
任意整理をすれば、2年目以降の利息およそ11万円が免除になる可能性がある。加えて、支払い期限を5年間に延長し、月々の支払額を14,000円に減らせるかもしれない。
結果、毎月の返済額を半分以下に抑えることとなり、生活に余裕が生まれるだろう。ただし債務整理には、当然デメリットも存在する。
次の章では、デメリットに焦点を当てて解説する。

銀行系カードローンを債務整理するデメリットとは?

それぞれの債務整理のデメリットを正しく理解すれば、自分に最適な方法を見つけるヒントになる。
ここでは債務整理全般におけるデメリット、そして銀行系カードローン特有のデメリットについて解説していく。
一般的な債務整理のデメリット
先述の通り債務整理には、3つの方法がある。それらに共通したデメリットが2つある。
1つ目は、あなたの信用情報が事故情報、いわゆるブラックリストに登録されることだ。
登録期間は、5年から10年と言われており、その間は下記のような影響がある。
- 新規の借入やローン契約が利用できない
- クレジットカードの作成と利用ができない
- 買い物の分割支払い(スマートフォン本体代金も含む)が利用できない
- 保証人になれない
一見大きなデメリットだが、そもそも借金の返済が遅れたら、ブラックリストに載る可能性がある。
そのため「債務整理で新たに発生するデメリット」とは言い切れないだろう。
2つ目は、連帯保証人に請求が行くことだ。原則、連帯保証人への請求は避けられないため、事前に事情を話しておくべきだろう。
ただし、銀行カードローンに保証人や連帯保証人は必要ないため他の人が請求される可能性はほぼない。
上記2点に加えて、自己破産や個人再生には、主に下記のデメリットがある。
- 自己破産
- 官報公告にのる
- 高価な財産を差し押さえられる
- 手続きが終わるまで就けない職業がある
- 個人再生
- 官報公告にのる
- 財産を差し押さえられる可能性がある(残せることもある。)
借金減額の効果が高い債務整理ほど、デメリットも大きい。
債務整理を行う際には、自分の収入と借入残高、月々の返済額を考慮し、どの方法が最適かよく検討する必要がある。
銀行系カードローンを債務整理するデメリット
銀行は独自に、顧客情報を管理・保管している。借入金を完済し、ブラックリストの登録が解除された後でも、債務整理した銀行とは、ローンが組めないことがある。
また、独自の顧客管理情報はグループ会社に共有されることがあり、同系列の消費者金融やクレジットカード会社でも、借入やローン契約が出来ない可能性がある。
銀行系カードローンを債務整理するときの注意点

銀行系カードローンを債務整理する際、気を付けるポイントが数点ある。
知らないと最悪の場合、「生活ができない」といった事態が発生し得るため、事前に知って対処しておくことが非常に重要だ。
銀行口座が凍結され、預金と相殺をされる
もし、債務整理したい銀行に口座を持っているなら対策が必要だ。必要な対策は下記の通り。
- 預金を全額引き出し、口座残高をゼロにする。
- 給与など収入の振込先を、別の銀行口座に変更する。
- 自動引き落としなどの支払い設定を、別の口座に変更する。
なぜこのような対策が必要かというと「相殺」という手続きを防ぐためである。「相殺」とは、二者間で互いに持っている債務と債権を打消し合うことを言う。
銀行口座にある預金残高は、銀行から見ると、あなたへの債務である。そして、カードローンはあなたへの債権だ。
カードローンを債務整理すると、銀行口座を凍結され、預金残高とローン残高が相殺される可能性が高い。
これは通常の債権者の「強制執行」と似ているが、銀行は裁判などの手続きなく「相殺」出来てしまう。
口座を凍結されると、入金も出金もできなくなる。”生活するお金が手元にない”といった状況もあり得るのだ。
こういった最悪のケースを避けるために、前述の対策は必ずやっておこう。
月々の返済額が増える場合がある。
通常、債務整理をすると、返済期間を原則3年間、最長5年間に設定される。
もし元のカードローンの返済期間が5年よりも長いと、債務整理後に、月々の返済額が増える可能性がある。
例えば、300万円を7年間利息10%で借入しているとしよう。
任意整理により2年目以降の利息支払いが免除され、5年間の返済期間になると、下記の計算になる。
任意整理後、返済総額は約90万円減額されるが、毎月の返済額は、およそ6,000円増えてしまう。
「せっかく債務整理したのに、また返済が出来なくなった。」という事がない様、債務整理を行う前に、返済計画をシミュレーションしておこう。
任意整理の場合は、保証会社の巻き込みに注意
銀行系カードローンは、借入時に保証会社をつける。大半は同グループ内の消費者金融会社やクレジットカード会社が保証会社になる。
任意整理を行うときは、この点が非常に厄介だ。銀行でカードローンの任意整理をすると、銀行から保証会社に回収出来なかった分の請求がいく。
保証会社は、あなたの代わりに銀行に返済を行い、(これを代位弁済という)保証会社があなたの債権者になる。
つまり、保証会社に債権がまとめられるのだ。もし保証会社で別の借り入れがあるなら、これも任意整理の対象になる。
さらに、もし銀行系カードローンと保証会社の債務が合計で140万円を超えると、法律上、司法書士は債務整理を受任できない。
そのため別途、弁護士に依頼せざるを得ない。面倒な手間と、余計な費用が発生してしまうのだ。逆のパターンもある。
消費者金融やクレジットカード会社の借入を債務整理すると、その会社は、同グループの銀行系カードローンの保証会社から外れる。
銀行の立場で見ると、保証会社がなくなったので、貸付金の回収が急務となる。
よって、銀行の口座が凍結され、預金残高とローンの相殺がされる可能性があるのだ。
グループ会社の「巻き込み」を回避するため、銀行とグループ会社を把握し、両社セットで任意整理の対象から外す、といった対策が必要だ。
なお、主な銀行とそのグループ会社は下記の通りである。
- 三井住友銀行
- SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
- 三菱UFJ銀行
- アコム
- みずほ銀行
- オリエントコーポレーション(オリコ)
銀行系カードローンを債務整理した実際の例

銀行系カードローンを債務整理した例を紹介しよう。
ぜひ自分の状況と照らし合わせ、検討の参考にしてほしい。
毎月の返済額が半分以下に!会社員Aさんの例
30代半ばの会社員Aさんは、某M銀行カードローンの返済に苦しんでいた。
きっかけは数年前。当時、友人の結婚式や出産祝いでご祝儀が連続し手元にお金がなかった。TVCMで好きな女優が宣伝していたこともあり、3万円を借りたことがきっかけだ。
大手銀行のサービスなので、安心して利用していた。
しかし、気がついたら借入総額は200万円、毎月の返済額が6万円まで膨れ上がっていた。
生活が苦しく、返済額を減らしたいと悩んでいたところ、無料で専門家に相談できると知り、勇気を出して相談した。
話し合いの結果、任意整理がベストだと診断。将来の利息が免除されるとともに、返済期間も2年間延長できた。
結果、毎月の返済額が2万円台になり、以前と比べ余裕ある生活を送れている。
Aさんはこのように述べている。

一人で思い悩んでいた時期が非常に辛かった。知識のある専門家に相談したら、気持ちが非常に楽になった。それに債務整理を依頼して、生活に余裕ができた。今は日々充実しています。
浪費グセのあるBさんの例
20代後半のBさんは大の買い物好きだ。ブランド物には目がなく、数十万円のバックを何個も所有している。
お金が手元にない時は、コンビニのATMから引き出せる、某大手銀行のカードローンを愛用していた。
ある日、食料品を買うため、ATMに向かうと残高が3,000円しかなく、生活費が賄えないことに気付いた。
Bさんは2社のカードローンを利用しており、合計の借入額は350万円。毎月の返済額が12万円にまで膨れ上がっていたのだ。
どうしようもなくなり友人に相談したところ、専門家への無料相談を勧められた。藁にもすがる思いで、翌日すぐ相談に行き、任意整理をすることになる。
結果、毎月の返済額が5万円になり、返済総額も利息分の約30万円減額に成功。Bさんはこう語っている。



生活費が無いことに気付いてパニックになった。銀行のカードローンは、手軽にお金を借りられるため、当時の私は借金している感覚が薄かった。今では本当に反省している。だけど、すぐに専門家に相談に行ったのは正解だった。あの時の行動力で、人生が救われたと思う。そして相談を勧めてくれた友人にも、本当に感謝している。
銀行系カードローンの返済で悩んだら債務整理を


今回は、銀行系カードローンの債務整理を解説してきた。
銀行系カードローンは債務整理が可能だが、口座凍結や相殺を避けるため、事前に預金残高をゼロにするなどの対策が必要だ。
また、銀行独自で顧客情報を管理しており、今後の借入やローンに影響が出る可能性が高い。
加えて、グループ会社への情報共有や、任意整理時の巻き込みが発生するリスクがあるため注意が必要である。
しかし、支払い総額や毎月の返済額を、大幅に減額できる可能性があり効果は高い。
もしカードローンの返済に悩んでいるなら、債務整理を検討する価値は高いと言える。
債務整理を行う際は、複雑な知識や情報が必要だ。もし悩みを解決したいなら、専門家への相談も検討してみよう。
債務整理のカードローンに関するQ&A

