一般的に、転職希望者は入社後に即戦力として会社で活躍することが求められる。企業は、手厚い研修・育成等を挟む必要がなく、すぐに活躍できる力を持った人材を探しているのだ。
そのため、履歴書で採用担当者が評価するポイントとは、「あなたがその職場でどう働いてくれるのか?」という点である。この前提がある上で、面接官にしっかりと伝わるような志望動機を書くためには、「希望する職種の業務内容をきちんと把握すること」「どのような資質が求められているか」を理解することが必要だ。
本記事では、事務職への就職を希望する方向けに、志望動機を作成するポイントについて解説する。本記事のタイトルに「ピン!」と来た方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
事務職に求められる資質
ひとえに「事務職」と言っても、実は様々な分野が存在する。具体的には、一般事務、経理事務、営業事務、医療事務等に分かれる。分野が異なるからこそ、各職種別の特徴・必要とされるスキルは大きくことなる。
まずは、あなたが希望する職種が他の分野とどのように違うのかを理解した上で、あなた自身のどのような要素が職種とマッチしているのかを面接官へ伝えるようにしよう。
一般事務
一般事務職は、いわば会社の縁の下の力持ちである。具体的な仕事は、書類作成や伝票の入力、電話対応、来客対応、社員の業務サポート等と非常に幅広く、正確かつスピーディな事務処理スキルと、社員や外部との円滑なコミュニケーション能力が求められる。
基本的なことではあるが、パソコンスキルも必須項目である。書類作成の経験があれば明記しよう。多方面から仕事を請け負うため、「話しかけやすい」「効率よく作業ができる」等の資質を持っているのであれば、存分にアピールすると良い。
営業事務
その名の通り、営業部門で活躍する営業事務。顧客管理やデータ集計はもちろん、お客様と対面や電話、メールで直接やり取りする機会も多いため、ビジネスマナーやコミュニケーション能力が必要である。
会社の顔になる場合もあるため、意欲的かつ積極的な姿勢を示そう。
経理事務
日常的な伝票整理、決算関係の書類作成、現金の入出金、出納管理、給与計算など、お金に関係する仕事を担うポジションだ。一般事務と違うのは、経理の知識が求められる点だ。
簿記の資格がある、税務知識を勉強している等、専門的な知識があれば存分にアピールしよう。
医療事務
病院や健診センター等の医療関係の職場で、受付、会計対応、診療報酬の請求等の仕事を行う職種だ。勤める企業によっては、更に仕事が細分化される場合もある。受付等で患者とコミュニケーションをとるため、明るく丁寧な対応力が必要とされる。さらに医療費の計算では、正確で早い処理スキルが必要とされる。
最近では医療事務職を目指すための学校等もあり、人気が高まっている分野のため、医療事務関連の資格を持っていると強みになるだろう。
強みにしたいスキル&資質
事務職を志望するのであれば、当然の如く、WordやExcel等で簡単な資料を作成するスキルは必要とされる。そのため、たとえば高校や大学で資料やグラフを作った経験があるとアピールポイントにできるだろう。またミスができない職種のため、丁寧に正確に仕事ができることを示すのも有効だ。
さらに、社員や外部の人と接することが多い事務職には、基本的なビジネスマナーはもちろん、積極的にコミュニケーションがとれる能力や、周囲との協調性なども必要とされる。
対人能力をアピールできる経験
- 接客経験
- 電話応対
- 営業・販売経験
事務処理能力をアピールできる経験
- データ入力
- シフト管理
- 発注・納品
- マニュアル、販促物の作成
- 個人の業務日報や売上報告書作成
一定スキルの所有をアピールできる資格
- 簿記検定
- 秘書検定
- 文書情報管理士
- ITパスポート
- パソコン資格(MOSなど)
その他
- 医療事務の場合:医療事務関連資格
- 人事・総務関係の場合:社会保険労務士
- 英語対応が必要な場合:TOEIC/実用英語技能検定
事務の志望動機で周りと差をつけるためには?
これまで、事務職に求められるスキル・適性について詳しく解説した。一定のハードルは存在するものの、事務職は数ある職種の中でもTOPクラスに人気の職種である。
そのようなレッドオーシャンで企業から「選ばれる人材」となるためにも、周りと差がつくポイントについて解説しよう。
事務職経験者の場合
書類選考・面接で、なぜ前職を辞めて再び事務職を志すのかが注視される可能性が高い。前職の業務を否定することなく、希望職場で新たに始めたいことや、業界・会社規模への興味等を書いて、事務職の仕事自体への意欲が高いことを示そう。
「前職では社内サポートが多かったが、今度は顧客対応にも貢献したい」など、前向きな姿勢をアピールしよう。
志望動機の例文
「前職では飲食店で経理事務職員として働いていました。しかし東京オリンピックをきっかけに日本を支える建設分野への関心が強くなり、国内だけでなく海外でも戦略的に規模を拡大している貴社に強く惹かれるようになり、貴社の社員として建設分野に貢献したいと思うようになりました。前職ではデータ入力のミスの少なさや、対応のスピーディーさを評価されておりました。貴社で内定をいただけた際には、自分が迅速に業務を遂行するだけでなく、周りも滞りなく業務が進められるようなシステム作りにも挑戦していきたいと考えております。」
未経験者の場合
未経験ではありながらも、事務職に携わりたいと考えたきっかけをこれまでの経験の中から伝えよう。ひとえに、「事務職に興味があります」だけでは、「薄い志望動機だな」としか見られないのが現実だ。
例えば、「前職では営業職をしていたが、事務職の仕事に何度も助けられ・・・」と、経験したことを交えて話をすると良い。
志望動機の例文
「前職では、一般事務職員として社内の事務業務を任されていました。しかし、働くうちに、もっと多くの方と接したい気持ちが強くなり、お客様や外部の方と対応する機会の多い営業事務を志望するようになりました。昨年秘書検定1級も取得しましたが、大変な勉強の中でも、相手のことを考えたビジネスマナーを習得する喜びを感じました。貴社の「お客様への思いやりを第一に」という経営理念に惹かれ、貴社で即戦力として頑張りたいと考え、志望いたしました。」
ポイント1:その企業がもつ魅力に触れる
「事務職だったらなんでもよい」ではなく、「貴社で働きたい」ということが伝わるように、企業のことを良く調べた上で、他企業と異なる魅力に惹かれていることを伝えよう。
ホームページや求人情報等で情報収集するのもよいが、最近だとSNSで企業や社員が発信している場合もあるので、それらも隅から隅まで細かくチェックしておこう。
ポイント2:自分がそこでどう働くか伝える
まずは求人情報の「業務内容」「求める人物像」等から、その企業が求める人間像を把握しよう。その上で、自分のどの部分がその人間像にフィットするかを整理し、さらに具体的にしてどう働くかを伝えよう。自己PRと同じ部分もあるかもしれないが、かまわない。
例えば、求人票に「協調性がある人」となっている場合は、学生時代や前職でどのようにチームに貢献したか、あるいは自分はどのようなポジションでチームと協力するかを考え、それを生かせることを伝えよう。
ポイント3:第三者からの評価を加える
「営業」や「販売」のように数値で実績を示しにくいのが、事務職の志望動機を作成する上で困るところだ。例えば、売上部門1位、前年度より販売数〇%UP等、インパクトのある数字を入れることができない。可能ならば、業務の効率化をアピールするのも手だ。
「マクロやVBAを導入して作業工程の効率化に成功した」等の経験があれば、かなりの強みになる。これが難しい場合は、上司や同僚、お客様からの声をエピソードとして挙げよう。
例えば、「お客様から電話対応が丁寧ですねと喜ばれた」「入力ミスが少ないので入社半年で点検業務を任されるようになった」等、客観的な第三者の声を経験として書くと良い。
まとめ
本記事では、事務職を志す方向けの志望動機の書き方について様々な観点から解説した。事務職は様々職種があるが、志望動機を作成する際は、志望する事務職の業務内容を詳しく理解し、どのような能力が求められるのかを把握した上で、興味を持ってもらえる志望理由書を書くことが鉄則だ。
本記事をヒントにし、あなたが志望する事務職へ無事に転職できることを願っている。