新卒で入社した会社を退職後、転職を希望する人は少なくないが、その会社で過ごした時間が限られていると、転職のタイミングを選ぶのは難しいかもしれない。じっくりと自分の経験を振り返り、自分の力を発揮できるタイミングを見極めることが、初めての転職を成功させるためのカギとなる。
本記事では、新卒入社後の転職活動の最適な時期について解説しよう。在職期間における注意点やコツ、転職活動を有利に進めるためのポイントについて詳しく紐解いていきたいと思う。
転職は何年働いた後がベスト?
少し前までは、入社3年未満での転職は不利というのが一般的であった。実際に、就職して1年未満で転職してしまうと、よほどの理由がない限りは「忍耐力がない」と認識されてしまいかねない。
ところが、勤続1〜2年段階であれば、現在はむしろ今後の伸び代を見込んだうえで採用してくれることもあるのだ。今では、転職は若いうちに!と言われることも多い。前向きな理由があるのなら、我慢せず新しい環境に飛び込んでもよいだろう。
異業種間の転職を希望する場合には、勤続3~4年での転職がベストだ。いわゆるキャリアチェンジのことである。3~4年の間社会人として働いていたなら、最低限のビジネスマナーは身についているだろう。別の業種からキャリアチェンジしてくる応募者は仕事内容を一から学ぶ必要があるため、若いかどうかを重視されがちである。
続いて、同業種間でのキャリアアップを目指すのであれば、どのタイミングが有利だろうか。同業種間ということであれば、これまで身につけてきたスキルやキャリアがそのまま役立つ可能性が高い。
企業側も即戦力になる人材を求めると考えられる。ある程度知識やスキルが身についた5~6年目がもっとも有利である。教育にコストをかけなくてよく、将来的には幹部やリーダーとして会社を支える人材に成長する可能性もあるので、同業種企業からのニーズは当然高くなる。
各年代別に求められるスキル
転職希望者の年齢によって、企業から求められる能力は大きく異なる。以下では各年代別に分けて企業が重視するスキル・経験についてまとめている。ぜひ参考にしてみてほしい。
25歳以下
この年齢層の場合、経験値よりも伸びしろ・ポテンシャルを重視して採用されるケースが多い。また20代前半という若手層として、ポテンシャル枠の第二新卒として扱われることも多い。
スキルや能力はこれから身につけてくれれば良いという企業も多いため、「自分のスキルに自信がない」という方ほど早めに行動しよう。
20代後半
20代後半であればある程度社会人として経験を積んでいるため、「もっと条件のいい会社に移りたい」「キャリアアップをしたい」と考えることも多いのではないだろうか。
企業側では、ゆくゆくは幹部候補として成長してくれそうな人材を20代後半に期待している傾向がある。そのため、前の会社でしっかりとビジネスマナーを身につけていることや、リーダーシップなどをアピールすることをおすすめする。
30~34歳
この年代において企業側が重視しているのは、「入社してすぐに活躍を見込める能力があるか」という点である。いわゆる即戦力としての能力だ。
また、通常業務以外にも人を統率する力やチームを引っ張っていく力を求められるケースも多い。しかし、このあたりまで年齢が上がってくると、場合によっては転職前より年収がダウンしてしまう可能性があるので注意しよう。
30代後半
この年代に求められているのは、ずばりマネジメント力の高さだ。そのため、現職でマネジメント経験を積んでいる場合は高く評価され、企業にも迎え入れやすいだろう。
しかし、年齢が上がるほど企業側もそれなりの年収を出すことになるため、相応の活躍ができるかどうか審査の目も当然厳しくなると考えられる。
40代以降
40代を超えた時点で、他の年代とは少し毛色が違ってくる。特に管理職から管理職への転職が目立つ。求人サイトでは通常募集がほとんどかかっていないため、エージェントを活用したり、ヘッドハンティングや引き抜きといった形で次の勤め先を決めるケースが多い。
専門的なスキルを持っていることが有利に働きやすいだろう。
年齢別に見るタイミング
続いて、実際に転職すると仮定して最適なタイミングを年代ごとに解説しよう。
20代
社会人としての経験が浅い20代では、一見不利に思える経験の少なさも武器として使える場合がある。独自の色を持っておらず、企業に合わせて柔軟な活躍を見込めるからだ。ひとつの企業に長く勤務していると、知らず知らずのうちにその企業でのやり方を覚えてしまい、転職後に困ってしまうケースも多い。
未経験の業界・職種に挑戦することも多い20代では、この柔軟さを積極的に活かして自分をアピールしよう。第二新卒と呼ばれる1~2年目をはじめ、3年前後の社会人経験がある場合も採用されやすい。
30代
この年齢層になると、今後の会社を担う中堅クラスとして扱われることが多く、年齢が上がるにつれて求められるスキルも高くなるのが特徴だ。そのため、できるだけ早いうちに転職を始めることをおすすめする。20代と違い、現在の役職も判断基準の一つになると考えておいた方がよい。なるべく早めに行動することがポイントだ。
30代後半の場合は圧倒的に即戦力としての能力が求められる。そのため、「この会社ですぐに活躍できるか」を基準に企業を選んでみよう。ある程度キャリアを積んでそれなりの役職についているなら、採用でも有利になるとみてよい。
またマネジメントスキルも求められるケースがあるため、マネジメントの経験があるならアピールしておこう。若い年代と比較するとハードルが高くなっているため、20代、30代のように焦らず、むしろ落ち着いてタイミングを見極めることが肝要だ。
40代
40代で、若いころに比べてハードルが非常に高くなる。そのため、転職は長い目で見てじっくり取り組むことがポイントだ。40代における転職活動開始~内定が決まるまでの期間は、3ヶ月程度とされているため、参考にしてみよう。
40代の場合、そもそもの求人数が少ないという特徴があるので、企業側がどのようなタイミングで人材を増やしたがるのか見極めることも重要だ。ボーナス支給後には退職者が増える傾向があるため、ボーナスが支給される7~8月、1~2月も狙い目である。
まとめ
冒頭でも触れた通り、一般的に新卒入社した会社に3年以上は勤務してから転職するのが望ましいと言われてきた。しかし、現在は第二新卒と呼ばれる年代にしかない「柔軟性」や「ポテンシャル」という武器も魅力的に映る。
とはいえ、あまりにも短スパンで退職してしまった場合、その事実が後のち不利に働く可能性もあるため、タイミングの見極めが肝心だ。いずれにせよ、短い期間であっても社会人としての経験は全てプラスに活かせるものと考えておこう。