いざ、「新たなキャリアステップへ進みたい」と考え、真っ白な履歴書に一つひとつ文字を綴っていく。過去に一度でも転職経験がある方は、このような道を必ず超えてきたであろう。履歴書の作成は、いわばあなたが過去にあなた自身が歩んできた道のりを振り返る、「自分を見つめ直す」工程である。
文字を書き進めていく中、ふと存在する「学歴」という項目。これまで転職経験がある方の中でも、「学歴ってどれくらい影響があるんだろう?」という疑問を持った経験があるのではないだろうか。
早々に結論付けると、転職市場が激化する中、企業が自社にエントリーしてきた転職希望者を精査する上で、「学歴」というステータスは非常に重要な要素であるという事実はたしかに存在する。
実際のところ、選考基準の一つである「学歴」を軸として、転職希望者を振り分ける企業は一定数存在するのだ。しかし、どのような場合においても、これは転職面接において学歴フィルターが存在するということなのだろうか。今回は、このテーマについて詳しく掘り下げていきたいと思う。
学歴フィルターとは
まずは簡単に、「学歴フィルター」の大枠の定義から説明しよう。ざっくり言うと、「企業が転職希望者を面接へ進めるか否かをジャッジをする際に、転職希望者が歩んできたこれまでの学歴を考慮すること」である。
この判断基準を取り入れている企業は、学歴を見た上で転職希望者に専門性があるか否か、偏差値の高低等等をフラットに判断する。自社が定義する一定以上の学歴を持つ転職希望者のみを選考に通すのだ。この基準の有無は会社によって大きく異なり、会社の部署や職種によって異なる。
そのため、あらゆる企業に通ずる選考基準ではないが、中には厳密な選考基準として取り入れている企業も存在することを頭に入れておこう。
面接にどのような影響を与えるか
企業が学歴フィルターという基準を設けることは、企業にとってメリット・デメリットがそれぞれ存在する。まずメリットとして挙げられるのは、学歴フィルターを設けることで、募集ポジションで活躍するために必要な資格・スキルを持っていることを「学歴」という基準から判断することができる点だ。
一定のスキルが求められる募集ポジションの場合、「採用したけど全然活躍できない、スキルがない」というミスマッチが起こってしまうのは避けたい。リスクヘッジのために、「学歴」という事実を基に採用したい人を判断したいというのが企業の本音なのだ。
一方、デメリットとして挙げられるのは、応募者を限定してしまう点だ。たとえ学歴がなくても、オンライン講座等を通して自己学習に勤しみ、着実にスキルを磨いている転職希望者も一定数存在する。そのような転職希望者を書類選考の段階から弾いてしまい、機会損失を生んでしまう可能性も存在するのだ。
そのような点から、「学歴フィルター」とは、必ずしもメリットだけが働く選考基準ではないと言い切れる。中には、学歴がなくても自己学習に励む転職希望者であれば面接を受けるチャンスをくれる企業も存在する。もし自分自身の学歴に自信がないのであれば、オンライン講座等を通して自己学習に励み、その部分をエントリーの段階でアピールすると良いだろう。
判断基準としての必要性とは
そもそも必要な判断基準かどうかに焦点を当てるのであれば、結論として、募集ポジション、仕事で求められるスキル・資格によって大きく異なるため、一概に定義づけることはできない。とある職種では、あるレベルの学歴が成功に不可欠であり、その場合はどうしても必要かもしれない。
しかし、他の職種ではそれほど重要ではない、むしろ全く関係ないという場合もある。この基準を使用するか否かを決定する際には、企業が特定の職種の特定の要件を考慮することが重要だ。
中途採用において求められる基準
中途採用は、大卒以上が求められる割合が高いと言われている。しかし、実際の求人情報を見てみると、学歴不問の求人も同数あり、絶対条件というわけではない。
中途採用の場合、あくまで最初のチェック項目であり、企業が掲げる要件を満たしていなくても臆する必要はない。大卒以上を条件とするケースもあるが、絶対条件ではない。確かに中途採用レベルのポジションでは、大卒以上でないといけない場合があるが、これは必ずしも堅苦しい条件ではない。
例えば、中途採用の求人の多くは、経験に基づいて提供されます。多くの企業は、候補者の経験、スキル、態度等を考慮して採用を決定する傾向がある。
チェックポイントではあるが、絶対的なものでない
中途採用の職種では、学歴が必須条件、もしくは望ましい資格として記載されていることが多くある。しかし、絶対的なものではない場合が多いので注意が必要で、求職者が業務に必要な資格を持っていれば、見過ごす採用企業も少なくない。
また、学歴を全く問わない仕事も多く、そのような仕事であれば中途採用者にも門戸が開かれている可能性があることも知っておくと良い。一方、新卒採用の場合、採用側は一定以上の水準を求めるのが一般的だ。
しかし、中途採用の場合は、このフィルターが甘くなることがある。採用するポジションに必要な経験やスキルがあれば、学歴に満たない候補者でも採用する可能性があるのだ。つまり、求人票では必須条件として記されていても、それがそのポジションの絶対条件であるとは限らないということだ。
他にアピールできること
転職を考えるにあたって、「私の学歴は通用するのかな・・・」という不安が浮かぶ方も決してゼロではないだろう。誰もが羨む学歴でなければ、転職は難しい、あるいは不可能だと考えている人も少なくないかもしれない。しかし、多くの企業が求めているのは、「即戦力」となる人材であり、経験に裏打ちされたスキルを持つ中途採用の人材だ。
そのため、あなた自身が即戦力として活躍できることを証明するスキルや実績があれば、やむなく転職をあきらめる必要はないため、安心してほしい。そこで以下では、学歴に自信がない人でも転職を成功させるためにやるべきことについて詳しく解説しよう。
スキルを磨き、実績を作る
最も重要なことは、自分のスキルを磨き、経験と実績の積み重ねに注力することだ。企業は、即戦力となる高いスキルを持った人材を求めている。仕事に必要なスキルに関しては、自分が有能であり、自信を持っていることを示すために、現職で実績を積んだり、オンライン講座等を通してスキルアップに勤しむ等、あなたの実績アピールに繋がるであろう、あらゆる機会を駆使することをおすすめする。
実績・スキルは一朝一夕で培えるものではないため、転職を決した段階で、コツコツと積み重ねていくための計画を立てて事を進めていこう。
転職に役立つ資格を取得する
職務に必要な資格を持っていない場合、その職務に役立つ資格を取得できないか考えよう。オンラインコースの受講、セミナーへの参加、専門組織への参加などを検討してみてほしい。
すぐにその仕事に就くことはできないかもしれないが、あなたがキャリアに専念し、スキルアップのためにさらなる努力を惜しまないことを企業にアピールできる。また、資格取得にむけて日々勉強している、という事実があなたの確かな自信となり、転職活動へプラスに働くだろう。
人材紹介サービスを利用する
人材紹介会社は、自分に自信が持てない人をサポートしてくれるサービスだ。あなたの現在のスキルや経験に見合った適切な仕事を一緒に探してくれるメリットも存在する。また、履歴書や志望動機のブラッシュアップ等を始めとした、あなたを企業にアピールするための準備も手伝ってくれる。
内定をゲットする可能性を高めるためのアドバイスも提供してくれるため、エージェントサービスはぜひ積極的に利用してみてほしい方法の一つだ。
まとめ
結論として、ほとんどの場合、学歴はあくまでチェックポイントであり、絶対条件ではない。そのため、必要な基準を満たしていなくても、落ち込む必要はない。
一方、企業側は、募集ポジションにおける具体的な要件に基づいて、「この人は採用基準に値するか否か」をフラットに判断する。あなたがこれまで培ってきた経験、スキルと企業に響くような熱意の2つを持っていれば、希望する仕事に就くチャンスを狙うことは、決して不可能ではない。
どうか、学歴という判断軸だけに囚われず、あなた自身が望む未来に向かって、可能性を追求していってほしい。本記事があなたの背中を押すための手助けとなれたなら幸いだ。