転職を検討する際にまず考えるのは、同じ業界または職種への転職だろう。現職の経験がそのまま活かせるため、転職先において即戦力として活躍できる土壌もあり、アピールしやすいのも事実だ。
しかし、「今の業界は今後市場が縮小するから業界を変えたい」「職種を変えてキャリアの方向性を変えたい」などと考えるビジネスパーソンもいるだろう。
未経験業界・職種への転職は、業界によって間口の広さは異なり、転職の難易度が上がる傾向にある。その一方で、転職を成功させたら「スキルの横展開」につながり、新たなキャリア形成に大いに役立つだろう。
本記事では、未経験からの転職活動を成功させるための志望動機の書き方について詳しくまとめた。
企業が未経験の人材に求める3つの要素
企業が業界未経験のビジネスパーソンに求めるのは、大きく分けて以下の3点だ。
- 飲み込みの早さと伸び代
- 社会人としての基本的なマナー・基礎体力
- 社風にマッチしそうか
業界に対する知識などがない分、一般的なビジネスマナーや素養などで補うしかない。転職先のしきたりや、業界・職種の知識を一日でも早く習得する飲み込みの早さと伸び代の大きさは必要不可欠だ。
また、どの会社においても必須となるビジネスマナーやパソコンのスキルなどの基礎体力も、採用を判断する上でもちろん重要になる。
そして、経験の有無に限らず、企業の社風にマッチする人材かどうかは、会社に長く貢献し続けてくれるかを判断する上で肝になるだろう。
未経験者を採用する企業数は業界によって大きく異なる
業界によって、未経験者を採用する企業数は大きく異なる。一般的に飲食や介護業界は慢性的な人材不足であるため、未経験者を採用する企業はかなり多い。
また、IT系のシステムエンジニアに関しても人材の流動性が激しいため、一定のポテンシャルは必要だが、未経験者を採用する企業は比較的多いだろう。
職種に関しては、営業職はどの業界においても必須な職種であり、業界間で程度の差はあれど人材が不足しているのは事実だ。
転職活動の第一歩は、業界や職種の研究・リサーチである。さまざまな可能性の中から、あなたがピンときた業界・職種を検討してみよう。
未経験の業界・職種に転職するなら早めが吉
未経験の業界・職種に転職する場合、早ければ早いほど成功率が高まる。採用する企業の立場に立てばわかるが、未経験者のあなたに求めるものは、ビジネスパーソンとしての素養や飲み込みの早さ、伸び代である。
一般的に若年層ほど飲み込みの早さや伸び代はあるし、一定程度キャリアを積んできた中堅ビジネスパーソンの場合は、こだわりが強い印象を持たれかねず、転職活動が難航する可能性は比較的高い傾向にある。
今日が人生で一番若い日だからこそ、今すぐにでも動き出すのが重要だ。
転職エージェントの活用は必須
未経験業界・職種への転職を成功させるには、転職エージェントの力を借りるのが必要不可欠だ。
- 求人の紹介
- 転職のプロから客観的なアドバイスを受けられる
- 履歴書や職務経歴書の添削
- 面接対策
エージェントを活用すれば、これら全てを無料でトータルサポートしてくれる。「未経験」はハンディキャップにならざるをえないため、志望動機の推敲などは転職のプロを頼るのが最も手っ取り早いだろう。
志望動機を考える際に気をつけたいポイント3選
本章では、志望動機を考える際に気をつけたいポイントを3つにまとめた。
- なぜ未経験の業界・職種を希望しているのか【納得できる論理展開が必須】
- 現職で培った経験などを具体的にどのように活かして貢献するのか
- 謙虚さや素直さをアピール【熱意はアピールするな】
なぜ未経験の業界・職種を希望しているのか【納得できる論理展開が必須】
転職先を検討するなら、同じ業界内の企業が一般的だ。そんななか、敢えてあなたが未経験の業界を希望するのか、転職先でどのような仕事をしたいのかなど、転職の理由や志望動機に納得できる論理展開が必要不可欠だ。
転職エージェントなら、自己分析やキャリアに関する相談にも乗ってくれる。キャリアの棚卸しや仕事観の言語化など、転職先に求めるものを自信持って発言できるよう、エージェントの力を借りることも検討しよう。
現職で培った経験などを具体的にどのように活かして貢献するのか
未経験業界への転職は、現職で培った経験をトレースして活かせるものではない。
今まで培った経験と、これから経験していくはずの仕事との共通項を探し、あなたのスキルが志望先でも活かせることを、どれだけ具体的に伝えられるかが非常に重要だ。
志望動機が抽象的な内容では、書類選考を通過できない。具体的な内容まで落とし込むには、志望先企業のリサーチも必須である。
あなたのスキルが、未経験業界の企業にも通用することを文章だけで伝えられるよう、企業研究にも時間をかけることをおすすめしたい。
謙虚さや素直さをアピール【熱意はアピールするな】
志望動機のNG例としてありがちなのが、熱意だけをアピールしてしまうパターンだ。はっきり言って、熱意を言葉にしたところで採用担当には何も伝わらない。
未経験である以上、謙虚さや素直さをアピールして、飲み込みの早さや伸び代があることを伝えよう。
根拠のない自信や熱意をアピールできるのは学生までだ。ビジネスパーソンとして自分を売り込むなら、企業が欲しがる人材をイメージし、企業が欲しがるスキルや素養を持っていることを具体的にアピールしよう。
【未経験でも魅力的に】職種別の志望動機や自己PRを書くときのポイント
ここでは、職種別の志望動機や自己PRを書く際のポイントを、以下3つの代表的な職種に関してまとめた。
- 事務職
- 営業職
- 製造業
上記の志望動機を考える際に気をつけたいポイントも踏まえたら、十分魅力的な志望動機を書けるだろう。
事務職
未経験から事務職に転職する場合は、以下のスキルを志望動機に含めると良いだろう。
- 基本的なビジネスマナー
- エクセルやWord、パワーポイントなどのパソコンスキル
- コミュニケーション能力
- 事務系の資格
営業職や接客業からの転職であれば、コミュニケーション能力を起点に志望動機をまとめられるし、システム系やIT系からの転職なら、パソコンスキルや事務職における業務改善などにも貢献できるだろう。
事務職の業務は、他職種と根本的なビジネススキルで共通することも多い。現職の経験を深掘りすれば、きっと具体性のある志望動機を書けるはずだ。
営業職
未経験から営業職に転職する場合は、以下のスキルを志望動機に絡めよう。
- カスタマーサポートの経験
- 行動力
- 人のふところに飛び込むスキル
- コミュニケーション能力
事務職への転職と同様に、営業職に求められるスキルは、他職種の根本的なビジネススキルに共通する点が多い。
現職でカスタマーサポートをしている人は、自身の経験が営業職でもそのまま活かせるだろう。現職が事務職の人も、職場内における円滑なコミュニケーションや、事務職特有の上司への機嫌取りなどは、相手に合わせた営業トークに展開できるはずだ。
製造業
未経験から製造業・工場の作業員などに転職する場合は、以下のスキルを志望動機に含めるのがおすすめだ。
- 決められたことを滞りなくこなせる遂行力
- 集中力
- 知的好奇心
- 学ぶことへの貪欲さ
製造業の場合、志望企業の業界における立ち位置や製品の特性、競合との違いなど、ビジネススキル以外に学ぶべき内容が多岐に渡る。新しい領域に対する探究心や学びへの貪欲さに関して、現職の経験を結びつけて志望動機にまとめられると良いだろう。
また、工場のライン業務や生産管理・品質管理などの業務に従事するなら、コツコツ仕事を進められるスキルや集中力の高さなどを志望動機にまとめよう。
【スキルの横展開】未経験業界の転職は志望動機の具体性が重要
未経験からの転職活動は、決して簡単なものではない。しかし、未経験業界への転職が成功すれば、全く新しい業界・職種の知識を吸収でき、自身のキャリアを広げる大きなきっかけになるのは間違いない。
同じ業界・職種で40年以上のキャリアを重ねるのも一つの選択だが、変化の激しい現代において、市場の盛衰も分からない。だからこそ、未経験の市場に飛び込む勇気を持っておいて損はないだろう。
転職成功の鍵は、志望動機にどれだけ具体性を持たせられるかだ。業界をまたいだスキルの横展開を視野に入れている人は、ぜひ本記事を参考に、あなたらしいキャリア形成をしていこう。