「今の仕事にやりがいを感じない」「人間関係が辛い」「社風になじめない」・・・転職活動を考える多くの人が、様々な理由を抱えているだろう。本当にやりたいことが明確に定まっていなかったり、異業種への転職を考える人にとって、どのような業界・職種を選ぶのが良いのか、という判断軸がないことは不安要素の一つだ。
そこで、本記事は未経験の業界・職種への転職を考える20代の方々へのお役立ち情報を紹介する。本記事を読めば、たとえ未経験スタートであっても、チャレンジしやすい業界・職種に関する理解が深まるだろう。
転職先の業界を選ぶ際のポイント
まず、どのような業界を転職先の候補として選ぶことが望ましいのかを紹介しよう。
現在拡大中の業界である
拡大中の業界は、新たな事業拡大、人材採用へ積極的に取り組んでいる傾向がある。新たな風を取り入れる=教育が必要、という風に人材育成への感度も高いため、教育体制が充実している場合が多い。
また、更なる業界・企業拡大を見据えて、入社してくれた人材に対する雇用条件・キャリア制度を充実させている企業も少なくない。若いうちから経験・キャリアを積みたいのであれば、業界の発展性は押さえておきたいポイントの一つだ。
業界の労働環境がホワイトである
「働きやすい労働環境であること」は、転職を考える誰もが願うことだろう。業界の体質をしっかり調べないまま転職してしまうと、「想像以上に激務」「体力的に辛すぎてヤバい」と言ったことになりかねない。
最終的に労働環境を決めるのは業界ではなく転職先である企業だが、中にはどうしても労働環境がブラックにならざるを得ない業界も存在する。業界に根付いたブラックな労働環境は、企業が相当努力しない限り、なかなか改善できない側面もある。そのため、あらかじめ業界の労働環境について下調べしておくことをおすすめする。
離職率が低い業界である
初めての転職活動は、どんなに入念な下調べをしても、入社後のギャップ・ミスマッチを1%も生まないことは難しいだろう。なぜなら、入社して初めて知る独自の文化、社風等が確かに存在するからだ。
そのような前提がある上で、入社前から正確に判断できる要素は『離職率』である。全ての企業が公開しているわけではないが、大手企業であれば四季報を見るだけで離職率を知ることができる。中小・ベンチャー企業であっても、自社の採用サイトや掲載中の転職サイトで、離職率を明らかとしている場合が多い。
後者の理由は、中小・ベンチャー企業であっても、入社前後のギャップ・ミスマッチをなくす上で、情報をクリアに示すことの重要性が認知されているためだ。離職率はあくまで一つの判断材料だが、『離職率』という数字データは主観を含めない客観的要素であるため、判断材料としての信頼度は高いだろう。
転職でおすすめの業界
続いて、未経験からチャレンジしやすい業界について3つ紹介しよう。
IT業界
ネットの急速な普及によって、IT業界の拡大は日を追うごとに加速化していると言っても過言ではない。業界の発展=需要の拡大と同義であるため、IT業界の人手不足は深刻化している。そのため、企業側も未経験者採用を積極的に行う『ポテンシャル採用』へ方向転換し始めている。
数年前までは、スキル保有者・経験者でなければIT業界へ飛び込むチャンスは得られなかったが、近年はIT業界未経験者でも、業界に飛び込むチャンスがある。未経験スタートの場合、最初の期間はあまり高い年収を見込むことは難しいだろう。
しかし、業界の特性上、必要スキル等が明確に定義しやすいため、経験とスキルに応じて、年収アップが望みやすい点も魅力の一つだ。また、他の業界と比べて在宅ワークを積極的に導入している企業も多いため、計画性があり、かつ自宅の仕事環境が整っている方にはおすすめの業界だ。
人材業界
基本的に、経験を有していた方が転職活動は有利に進められるものだ。しかし、人材業界は未経験者採用を積極的に行っている業界である。人材業界は、求人広告や採用ツール等の形を成していない無形商材を取り扱う業界である。
クライアント、求職者等を始めとして『人』とのコミュニケーションの機会が非常に多い点が人材業界の特徴である。人とかかわることが好き、対人コミュニケーションを磨きたい方であれば、未経験者でも積極的に採用してくれる企業が多い。
今や、転職活動が『当たり前』の時代であるからこそ、人材業界のニーズはますます高まるだろう。企業経営の根幹である『人材採用』に携わり、かつ求職者の人生の転機である『就職』に直接関わる業界のため、プレッシャーや責任感が大きい業界でもある。
しかし、難易度が高い無形商材への関わりを通して営業スキルを磨くことができ、対人コミュニケーション能力も高めることができるだろう。自己成長を叶えたい方にとって、人材業界は成長チャンスを掴める選択肢の一つだ。
広告業界
ネットが急速に普及した時代背景に加え、コロナ禍によるオンライン化の影響から、広告業界の成長率は留まることを知らない。広告業界と言っても業種は様々だが、特にECサイト等のネットショッピングを取り扱う業種は非常に伸びている。
未経験から制作・クリエイティブ関連の職種にチャレンジすることはハードルが高いが、営業職・企画職等であれば、業界未経験者でも挑戦できるチャンスは残されている。また、業界自体が20代を始めとする若手層の視点・センスを必要としていることが多いため、あなたのフレッシュなアイディアを活かせる可能性も高いだろう。
一方、広告業界は非常に華やかな印象があるが、クライアントとの折衝が求められるため、高いコミュニケーション能力が必須だ。華やかな舞台の裏側は意外と地味で泥臭い部分も多い。コミュニケーション能力に加えて、仕事を捌くスキルとガッツを身に着けることができるだろう。
転職でおすすめの職種
続いて、未経験からチャレンジしやすい職種を3つ紹介しよう。
営業職
営業職は、未経験から特に挑戦しやすい職種の一つだ。多くの場合、営業職にはノルマ/目標数字が課せられ、ノルマ/目標数字を達成することで営業インセンティブが支給される。精神的プレッシャーも大きい点から、他の職種よりも離職率は高い職種だ。
しかし、昨今は自発的な顧客開拓を行う必要がない『インサイドセールス』の普及に加えて、営業活動のオンライン化も浸透しており、未経験スタートでも、入り込みやすい職種になりつつある。
営業職はプレッシャーも多い反面、対人コミュニケーション能力や折衝力も身につけることができる。あらゆる仕事の基盤となる基本スキルを培えるのが営業職の魅力の一つだ。
一般事務職
一般事務職は、表立って目立つ仕事ではないが、企業を支える『縁の下の力持ち』的なポジションの仕事である。大半の一般事務職の仕事は、パソコンを用いた基本的なword、excel操作、データ入力等がメインである。
中には、企業が指定するシステム操作が含まれる場合もあるが、未経験者OKの一般事務職を募集している場合は、必要な資格・経験がなくても問題ないレベルの難易度だ。
基本的なパソコン操作は難なくこなすことができ、ルーティーンワーク・決められた手順に沿って仕事を捌く働き方が好きな方には、一般事務職はおすすめの仕事の一つだ。
エンジニア職
エンジニア職は、この数年間で未経験者採用の間口を広げ始めている。数年前は、エンジニア職=経験・資格必須というイメージが強かったが、コロナ禍を転換期として、IT業界が急速な発展を遂げた背景がある。
IT業界の成長率に比例して、エンジニア職の人手不足も顕在化したため、企業側が未経験者の積極採用にも舵を切り替えたという背景がある。そのような企業の場合は研修サポートを始めとして、職種未経験者も着実にスキルを培える教育体制を整えている場合が多い。IT業界は今後も間違いなく拡大し続ける業界のため、エンジニア職へのチャレンジは、実りある選択肢の一つとなるだろう。
まとめ
新たな業界・職種へのチャレンジは、不安がつきもの。だからこそ、不安や疑問を払拭するために、業界体質や職種別の仕事内容、企業の社風等を入念にリサーチしておこう。
事前リサーチは、入社後の「こんな筈じゃなかった」という、ギャップ・ミスマッチをなくすことに繋がるだろう。一歩足を踏み出す勇気と、事前リサーチを怠らない慎重さの二つを相棒に、より良い転職活動にむけて動き出してほしい。