より良い未来を目指して転職活動に打ち込んだにもかかわらず、どこか腑に落ちない自分がいる。むしろ、腹落ちしないどころか、転職活動に対して『後悔の念』が頭から離れない。そのような状態に陥ってしまった場合、「転職活動に失敗してしまった」という気持ちに囚われるだろう。
そのような状態は、誰もが避けたいものだ。では、転職活動はどのようなことが原因となって失敗へ繋がるのか、転職活動を失敗しないために何が出来るのか。これからの未来、あなたが悔いのない転職活動を実現するために本記事を綴りたいと思う。
転職失敗のありがちな原因
まず、転職活動を失敗したという考えが浮かんでしまった場合の主な原因について、ケース別に解説しよう。
業務内容が想像と違う
転職活動において、業務内容が思っていたものと違う、というケースも決してあり得なくはない。どれだけ面接や事前調査で業務内容について理解を深めていたとしても、実際に業務に携わなければ分からない要素があるのは事実だろう。
同業界同業種での就業経験がない限り、想像上の業務内容と実際の業務内容を100%完璧にマッチさせることは難しい。なぜなら、同じ業務内容を複数の企業に当てはめた場合でも、個社ごとの独自ツール・使用ツール等が全く異なるからだ。百聞は一見に如かずというという言葉は、転職活動でも言えることなのだ。
想像よりも活躍できない
あなたが描いていた理想の活躍像と、現実の活躍ぶりが大きく異なる場合もある。異業界への転職の場合は、理想と現実とのギャップが生じることの想像は容易いかもしれないが、同業界でのキャリアアップを見据えた転職においても、理想と現実とのギャップが生じるケースは決して少なくない。
なぜなら、ひとえに「活躍する」と言っても、個々が持つ経験・スキルが転職先でどう活かせるのか、所属先の人間関係、与えられる業務の難易度等、様々な要因が上手く噛み合って、初めて人は活躍できるからだ。
労働条件が聞いた内容と違う
入社時に把握していた労働条件が聞いていた内容と異なる場合もある。具体的には、給与額、有給の取りやすさ、手当・福利厚生等が挙げられる。このような部分を防ぐためにも、企業へエントリーする際、募集要項内でどのような労働条件が記載されているかを必ず確認しよう。
続いて、事前に目を通した募集要項をふまえて、面接の場でも具体的な労働条件を面接官と摺り合わせすることが望ましい。労働条件に関しては、企業側が社員へ正しい情報を伝える義務があるため、不明点・懸念事項はあらかじめしっかりと払拭しておくべきだ。
社風が合っていないと感じる
会社独自が掲げるカルチャー、会社に属する人々の人間関係を総括して「社風」と言う。社風は、会社の数だけ存在すると言っても過言ではない。とにかくコミュニケーションが活発、社内イベントも多いような、ウェットな人間関係を結ぶ社風もあれば、業務外のコミュニケーションはほぼなく、飲み会等も一切実施しないドライな人間関係を結ぶ社風もある。
どちらが良い悪いではなく、重要なことは、「転職先の社風が、あなたの価値観にマッチするか否か」だ。会社はあくまで仕事をする場所だが、転職活動を行うきっかけ第1位に「人間関係」が挙がるほど、会社の社風・居心地の良さは重要だ。社風が合わない場合、非常に心理的ストレスを感じてしまう可能性がある。
退職したことを後悔してしまう
「なぜ、あの会社を退職してしまったんだろう・・・」と、前職への未練が断ち切れない場合もあるだろう。未練が断ち切れない理由は人それぞれだが、上司への苛立ちや積み重なったストレスが爆発した勢いで、退職の道を選んでしまう人も決して少なくはない。
退職は、いつどんな企業にどうやって転職するのか、計画を立てた上で選ぶべき人生の岐路だ。勢い余って退職の道を選んでしまった末、後悔の意が残ってしまう可能性もある。
後悔を防ぐために打てる対策
続いて、転職活動で後悔しないための対策について解説しよう。
今の職場で経験を積む
まずは、今の職場でスキル・経験を積むことも一つの手だ。転職活動を考える理由として、仕事内容・社風・人間関係等のように様々なケースが挙げられるが、いずれの場合でも、次のステージへ進む経験とキャリアが十分に構築できていない状態では、あなたが望むキャリアステップは難しい可能性がある。
転職したい気持ちだけが先走りした結果、結果的に後悔してしまったのでは、後の祭りだ。そのような結果を防ぐためにも、まずは今の職場で経験値を積む選択肢は残しておいた方が良いだろう。中長期的に、虎視眈々と転職活動にむけた自身をレベルアップさせる選択肢は、あなたが望むキャリアステップを実現できる未来に近づく手段だ。
「休職」を通して心身を休める
既に心身共に限界を感じている場合は、決して今の職場で無理し続ける必要はない。まずは「休職」という選択肢を取って、あなた自身を休ませてあげる選択肢があることも忘れないでほしい。
なぜなら、極限のストレス状態に陥っている場合、人は正常な判断ができないからだ。勇気を振り絞る必要があるかもしれないが、現職で『休職』という選択肢を選び、一休みした上で今後のキャリアを考える時間をつくることもあなたの自由だ。
ちなみに休職制度は会社の義務ではないが、就業規則に休職制度を設けた場合、会社は休職制度の適用を義務付けられている。現職で定められている就業規則をチェックしておこう。
職場見学でとにかく就職先を深く知る
本記事で紹介した、転職活動で後悔する主な原因の共通点は「企業理解の不十分さ」だ。前述したように、理想と現実を1%も生み出さないことは難しい。それでも、ギャップを最小限に抑えることは可能だ。ギャップを最小限に抑えるためには、「あなたの目と耳で直接企業を知る」ことが重要である。
企業の選考を受けている際、職場見学は可能かを面接官に相談してみることをおすすめする。職場の雰囲気、働く人の様子等は実際に見なければ分からないからだ。中には社員面談を選考フローの一環として案内する企業もあるが、あなたと年次、キャリアが近い現社員との面談を打診するのも一つの手だ。
リアルに働いている社員とざっくばらんに話してみることが、企業理解度の構築に繋がるだろう。
後悔してしまった後にやりたいこと
続いて、転職活動で後悔の意を抱いてしまった後にできることを解説しよう。
失敗してしまった原因を分析する
後悔した直後だからこそ、「なぜ後悔してしまったのか?」を冷静に分析しよう。原因が明らかにならなければ、次の改善策を打てないからだ。
もし、自分自身で冷静に見つめ直すのが難しい場合は、キャリアアドバイザーの力を借りることも一つの手だ。原因を客観視することで、あなたに足りなかったことが明らかとなり、改善策をいち早く練り直すことができるだろう。
キャリアビジョンを具体的に描く
一度立ち止まって、あなたのキャリアビジョンをより具体的に描いてみてほしい。キャリアビジョンが定まっていない状況下では、いつどんな企業に入社して、何年目までに何ができるようになるべきか、というこれから歩む具体的な道筋を立てることができない。
まず、あなたが目指すキャリアビジョンをゴールとして定めるところから始めよう。
自分の市場価値を客観的に知る
あなたの市場価値を客観的に知るには、転職活動を行うことが最善の方法である。市場価値とは、需要と供給のバランスで決まる。社会で必要とされている業界、職種、スキル等を需要と例えるのであれば、それらにマッチする転職希望者の数を供給と言えるだろう。
それらを知るためには、普段なかなか関わることがない面接官、キャリアアドバイザー等とコミュニケーションを取る必要がある。そのような場でもらったフィードバックが、「客観的に見たあなたの市場価値」と言えるだろう。
まとめ
本記事では、転職活動が失敗に繋がる主な原因、予防策、後悔した後の対策について解説した。大前提となるが、転職活動とは失敗がつきものだ。一度でも転職経験を持っている誰もが最初は初めてであり、様々な学びと失敗を重ねて、試行錯誤の末で転職活動の経験値を培うものだ。
そのため、本記事のタイトルと矛盾してしまうかもしれないが、失敗を恐れないでほしい。なぜなら、どのようなことでも失敗という経験は必ずあなたの糧になるからだ。
転職活動を通して、あなたの未来が、最高なものへ形づいていくことを切に願う。