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転職の内定辞退はどうやって伝えたらいい?【マナーを守ろう】

転職活動が順調に進み、晴れて内定を得られたものの、「複数社から内定が出た」「第二志望からの内定が先に出た」などの場合に必要を迫られるのが、内定辞退だ。

企業の採用活動には相応のコストがかかっており、先方に迷惑をかけないで済むよう、スマートに連絡する必要があるだろう。

本記事では転職の内定辞退に関して、連絡方法やタイミングなどのマナーや、よくある疑問についてまとめた。

場合によっては賠償責任を負わされかねないため、本記事の内容はしっかりと確認しておこう。

目次

内定を辞退する方法やマナー・タイミングなど

内定辞退の際は、できるかぎり速やかにその旨を連絡しよう。連絡の目安は内定の通知を受けてから1週間以内と考えておけば問題ない。

そもそも内定とは「正式な雇用契約を締結する前の内々の決定」である。最終的な雇用条件や契約書面の内容を踏まえ、納得できないのであれば断っても問題ないことは覚えておこう。

内定を出す企業としても、応募者が複数企業の面接を受けているのは想定しているし、妥協して内定を承諾するのは本末転倒である。

内定辞退の申し出は、面と向かって伝えるのが最も誠意ある対応だ。しかし、先方との日程調整やトラブルを避けつつ記録を残すという意味で、電話とメールで連絡してもよいだろう。

内定承諾書の提出後でも大丈夫?

最終面接時などに、「内定承諾書」を提出することもあるだろう。このような場合、内定を辞退してよいのか疑問・不安に思う人も多いかもしれないが、内定は辞退して問題ない。

内定承諾書も法的な拘束力があるわけではないため、極度に心配する必要はないのである。しかし、内定承諾書の提出以後の連絡は、先方に対して良くない印象を与えてしまうだろう。

企業が採用に対して具体的な準備を進めた段階での辞退は、極力避けるべきというのが結論だ。

理由を詳しく聞かれた場合はどうしたらいい?

内定を辞退する理由は人それぞれで、多くが個人的な事柄である。しかし、その理由によっては角が立つ恐れもあるため、「一身上の都合」などの詳しい内容は伏せた状態で伝えよう。

詳しく聞かれた際は、先方への不満や批判と判断されそうな言い回し・内容は避け、答えられる範囲で回答すれば問題ない。いざとなれば、「大変申し訳ございませんが、お答えできかねます」と返答しよう。

損害賠償を請求されることはあるの?

内定辞退は基本的に違法ではないため、損害賠償を請求されることはないと考えておこう。しかし、先方との信頼関係を著しく損ねた場合に損害賠償請求が認められた裁判例がある。

一般的に、中途採用における採用コストは、一人あたり100万円〜150万円とされる。採用には相当のコストがかかっていることを踏まえると、入社直前のタイミングで突如辞退を申し出るなどすると、先方にかかるコストは想像以上に甚大だから十分注意しよう。

内定を保留するという選択肢も

内定をもらった際は、「内定保留」という選択肢があることも覚えておこう。

「後悔なく貴社に入社するためにも、他社との選考を踏まえて、〇月〇日まで返答の猶予をいただきたい」などの内定保留を伝えるのも手段としては考えられる。

しかし、企業としてはその時点で第一志望ではないことが伝わるため、内定を取り消されるリスクもある点は注意が必要である。実際のところ、企業も応募者が複数企業と面接していることは想定しているし、転職するかどうかの決断は慎重に行って当然だろう。

獲得した内定に対しては、「承諾」「辞退」以外の選択肢も視野に入れ、後悔しない決断を最優先させよう。

内定辞退の具体的な伝え方を解説

本章では、内定辞退の伝え方に関して、以下の3パターンで具体的に解説しよう。

  • 直接伝える
  • 電話
  • メール

直接伝える

先方に面と向かって連絡する場合に限らず、全てのパターンにおいて以下の3点を伝える必要がある。

  • 内定に対する感謝の弁
  • 内定辞退の意思と理由

直接伝える場合、まずは電話またはメールで先方とアポイントをとろう。先方に出向いた際は、上記の順番で内定辞退の旨を伝えればよい。

企業もあなたの選考に対して相当の時間やコストをかけているため、その点に対する感謝もしっかりと伝えるのがビジネスパーソンとしてのマナーだ。

内定辞退の理由は、具体的な内容まで踏み込む必要はない。詳細を聞かれた時に、答えられる範囲で答えよう。

電話やメールでは、自身の気持ちが伝わりにくい。少なからず先方に迷惑をかけてしまっている以上、お詫びの気持ちは面と向かって伝えるのがベストだろう。

電話

電話で連絡する場合は、以下の項目を順番に伝えるとよいだろう。

  • 自身の名前
  • 内定に対する感謝とお礼
  • 内定辞退の意思と理由
  • 電話で連絡したことへのお詫び
  • 迷惑をかけたことへのお詫び

電話をする際は時間帯にも注意しよう。昼の休憩時間は避けるべきだし、午前中は比較的忙しい傾向にある。終業時間が過ぎているのはもちろん避けるべきであるから、午後2時〜午後5時を目安に電話をかけよう。

メール

メールを送信する場合は、以下の文面を参考にすると良いだろう。

件名:内定辞退のご連絡【名前】

〇〇株式会社 採用担当 御中

お世話になっております。先日内定の通知をいただきました〇〇(名前)です。

先ほどお電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールにてご連絡させていただきました。

今回は内定を頂戴しまして、本当にありがとうございました。

頂戴した内容を改めて熟考させていただいた結果、誠に恐縮ではございますが、今回頂戴した内定を辞退させていただきたく、ご連絡差し上げました。

お忙しい中、履歴書や職務経歴書の検討や面接のご対応に貴重なお時間を割いていただいたのにも関わらず、このような形となってしまったことを、大変心苦しく感じております。

本来なら直接お伺いしてご連絡とお詫びをしなければならないところですが、メールでのご連絡となりましたことにつきましても、重ねてお詫び申し上げます。

採用に関わっていただいた皆様には、心から感謝しております。

末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

メールを送信する際の注意点

内定辞退の連絡をメール送信だけで済ませるのは、マナーとして控えた方が良いだろう。少なくとも電話で一報を入れ、「言った言わないのトラブルを防ぐためにメールを送信する」という認識が望ましい。

転職活動におけるメールの返信に関しては、「【これで安心】転職活動のメール返信ガイドブック完全版」も参考にしよう。

転職エージェントを使用した場合における内定辞退の連絡方法と注意点

今まで紹介した方法は、個人で転職活動をしている人がとるべき行動だが、転職エージェントを活用している人の場合は少し勝手が異なる。

企業とあなたをつなぐのが転職エージェントの役割であることを踏まえれば分かるかもしれないが、以下の3点には注意しよう。

  • 企業に直接伝えない
  • まずはエージェントに相談
  • エージェント経由で伝える

企業に直接伝えない

内定辞退の連絡は、企業に直接伝えなくてよいことは押さえておこう。面接の日程や合否などの連絡を担当者経由で受けていたのと同じで、企業と本人が直接やりとりすることは基本的にないのだ。

後述する内容を踏まえ、担当者に対してマナーのある振る舞いを心がけよう。

まずはエージェントに相談

転職エージェントの担当者は、客観的なアドバイスをくれる相談役でもある。内定辞退するかどうか悩んだ際は、その旨を担当にしっかりと伝えよう。

担当者との対話により、なぜ悩んだのか、どんな条件なら内定を承諾できるのかなど、自身では言語化できていない内容も言語化できるはずだ。

エージェント経由で伝える

担当者と相談した結果、自身の気持ちが固まったなら、エージェント経由で内定辞退を連絡しよう。

担当者に伝える内容は以下のとおりである。

  • 内定に対する感謝の弁
  • 内定辞退の意思と理由

なかでも、内定辞退の理由は詳細かつ具体的に伝えよう。理由がはっきり分かることで、今後紹介される求人の質も上がる可能性があるからだ。

感謝の気持ちを持って早めの行動と決断が重要

内定辞退は、企業の採用に対する時間や労力を無駄にするに等しく、空いてしまった枠を再度埋める必要もあると考えると心苦しいかもしれない。

内定辞退を連絡するなら、相手の立場に立ち、感謝とお詫びの念を心から伝えよう。

内定の連絡をもらってから時間が空きすぎると、連絡も億劫になるし、場合によっては損害賠償請求されかねない。スピード感のある決断を求められるが、理想の人生に近づくために、妥協しない転職活動を続けられるよう、本記事の内容も参考にしてほしい。

なお、「転職時に覚えておくべき住民税の基礎基本【滞納に注意】」では、転職に伴う住民税の手続きを紹介しているから、併せて確認しておこう。

この記事を書いた人

アドバイザーナビ株式会社。野村證券出身者が2019年に創業した会社で、金融に特化した転職エージェント業務を行なっている。『金融機関勤務者が転職に使いたいサービスNo.1(日本マーケティングリサーチ機構2020年3月調査)』を獲得している。

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