今の年収や環境に不満を抱いている公認会計士の方もいるのではないだろうか。公認会計士は取得するまでの勉強時間が約3500時間とも言われており、難関の資格であることから市場価値が高い資格だ。そのため、金融業界へはかなりの高待遇で転職することが可能である。
今回の記事では、金融業界でおすすめの転職先と他業界への転職について紹介していく。
金融業界での公認会計士の市場価値は高い
金融業界において公認会計士の市場価値は非常に高い。その理由は、金融に関して高度な知識を有しており、日本の会計関連でトップクラスの資格だからである。三大資格と呼ばれるうちの一つで、合格率も低い。令和3年度の合格率は、公認会計士監査審査会「令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について」(2022年11月調査)によると9.6%となっている。
日本の平均年収は約430万円だが、公認会計士の平均年収は約900万円と日本の平均年収と比べても2倍以上の差があることがわかる。また、転職してしまうと年収も下がってしまうケースも多いが、公認会計士では転職をしても年収が下がるケースは少ない。業態によって年収がどのくらい変わるかも紹介していく。
監査法人の年収
公認会計士試験に合格した人は監査法人に入社する事が多い。合格者の7割前後が入社するとも言われている現在日本には260社近くの監査法人が存在するが、BIG4と呼ばれる大手監査法人が全体売り上げの88%を占めている。そのため、このBIG4と呼ばれる監査法人に就職する公認会計士が多い。
BIG4の名前と一番下の役職(スタッフ)の年収は以下の通りだ。
- あずさ監査法人・・・約560万円
- 新日本監査法人・・・約600万円
- PwCあらた監査法人・・・約560万円
- トーマツ監査法人・・・約600万円
BIG4の監査法人全体では役職がなくてもこのような金額になる。通常は2,3年ほどでシニアスタッフに昇格する。シニアスタッフになると年収800万円前後になるため、20代で1,000万円近くの年収になる。
その後は、実力次第でマネージャー、シニアマネージャーとして昇格していき、実力次第では40代で2,000万円の年収を手にすることができる。
民間事業者の年収
銀行や企業税務関係に勤めている場合の平均年収は600万円〜800万円の求人が多い。企業の税務系では年収が低く、金融やコンサルなどでは年収が高くなる傾向にある。
企業の税務では、外部で公認会計士事務所に依頼することも多く、能力が生かしきれないためあまり年収が高くならないと考えられる。
会計事務所の年収
会計事務所の平均年収は500〜600万円ほどと言われており、公認会計士の中では低めだ。会計士事務所では監査法人と比べるとフリーランスや中小企業を相手にする事が増えるため、単価も安くなりがちなのが理由だ。利益率が低いため、年収も低いとされている。
将来独立を考えている人であれば、会計事務所で働くのは良いことだ。しかし、平均年収だけをみると、200万〜300万円ほど低い。年収を上げたい人は転職を視野に入れることをおすすめする。
公認会計士の主な金融業界での転職先は?
公認会計士は年収を選ばなければ引く手数多だ。日本の三大資格と言われていることから、どの業種でも採用されることは難しくない。
しかし、転職先を選ばなければ年収が大幅に下がる場合もあるので要注意だ。今回は、公認会計士が転職で年収を上げるためにおすすめの金融業種について紹介する。
外資系企業
20代で1,000万以上の年収を目指している方におすすめなのが外資系企業だ。外資系企業でも公認会計士は高く評価されており、転職市場でも難易度の高い外資系でも転職することは可能だ。採用の際は、ミドルオフィス、バックオフィスと呼ばれる営業のサポートや、経営戦略を考える部署に配属されるため、業務の幅も広がる。年収の幅は800万円〜2,000万円と言われており、激務でも高年収を狙う人は外資系が良い。
注意しなければならないのが、語学力も必要ということだ。外資系企業のミドルオフィスやバックオフィスでは海外とやりとりすることも多いため、語学力は必須だ。
投資銀行
投資銀行は、M&Aや証券業務など法人を対象にした仕事だ。ファイナンスや財務諸表が読めないとスタートラインと言われているが、公認会計士であればどちらの分野も明るいため、採用には有利だ。1年目のアナリストでも年収700万円〜と非常に高給な事がわかる。給与が高いと言われている金融業界でも1,2を争う平均年収を得られるのがこの投資銀行だ。
投資銀行でも外資系、証券系、独立系、銀行系と幅広いため自分の適正に合わせて選ぶことができるのもおすすめできる点の一つだ。
事業再生コンサルタント
事業再生コンサルタントとは、ビジネスの総合格闘技と呼ばれており、経営から財務まで幅広くタッチする。悪化、低迷している企業を救うために売り上げ向上のため事業戦略の設定等の攻め、コスト削減のための守りの両方を行うためやりがいが大きい仕事だ。経営にも関わりたい人にはおすすめ。
年収も700万〜1,200万円ほどと言われており高年収が特徴だ。しかし、幅広く業務を行うため激務な会社も多いため注意が必要。
金融業界以外の転職は可能?
金融業界以外にももちろん転職は可能である。公認会計士はどの業界でも歓迎されるであろう。
しかし、金融以外の民間会社に転職した場合のほとんどで年収が下がるので注意が必要だ。主な転職先としては企業の税務関係になるが、前述したように年収は600万円〜800万円になることが多い。仕事量は会社によってまちまちなため、転職の際はエージェントを使って念入りに確認することをおすすめする。
独立という選択肢
公認会計士には独立という選択肢もある。独立すれば2,000万円〜3,000万円の年収も夢じゃない。独立する人は会計事務所を立ち上げ、個人や中小企業をターゲットとした税理士業務をする事が多い。
やりがいも大きいが、会社として経営しなければならないため、税務だけではなく、経営や労務、人事といったことも考えなければならない。
- 事前の顧客獲得が必要不可欠
会計事務所を設立する場合に気をつける点は、事前の顧客獲得が必要不可欠であるということ。会計事務所をオープンしたからといっていきなり顧客が来るわけではない。そのため、以前勤めていた場所から自分を信頼してついてきてくれる顧客を探すことが大切。
非常勤で働くことも可能
公認会計士としてフルタイムで働くのに疲れてしまった人は、非常勤で働くことも可能だ。公認会計士は年収も高いが業務量も多いため、どうしても激務になりがちなのだ。そこでおすすめなのが非常勤だ。
会計事務所や中小監査法人では時給単位で公認会計士を募集しているところも多い。公認会計士の時給は5,000円〜7,000円が相場で、週3回8時間を時給5,000円で働いたとして480,000円になり、手取りでも40万円近くになる。何かをやりながら副業で公認会計士をやる人も少しずつだが増えてきているのため、このような働き方もありなのではないだろうか。
公認会計士は市場価値も高いので転職も有利!
公認会計士は市場価値が高いため転職には有利だ。どの業界でも基本的に転職はできるが、業界によっては年収が大幅に下がるので注意が必要。おすすめは公認会計士を必要としている金融業界だ。年収も高く、業務の幅が広がるため自分のキャリアアップにもつながる。
公認会計士といえど転職はやはり若いうちが有利なことには変わりない。転職を考えている人は転職エージェントに相談だけでもしてみることをおすすめする。