証券会社に勤めていて、外資系企業に転職したいと思う人が近年増えてきている。外資系企業は日系企業に比べ、高給であり入社のハードルが高いのは周知の事実だ。しかし、証券会社で働いている人で外資系企業の転職は他業種に比べハードルは低い。
今回は証券会社から外資系企業へ転職ができるかどうかと、外資系企業で働くことのメリット・デメリットについて紹介していく。
証券会社から外資系企業に転職は可能?
証券会社から外資系企業への転職は可能だ。他の業種と比べると外資系企業への転職の難易度は低いと言える。
証券会社は給与は他業種と比べると高いが、激務であり高い営業力や精神力を必要とされる。高い能力を要求される外資系企業にとって証券会社で働いていた人は良い人材として重宝されるのだ。
外資系企業に転職するために必要な能力をご紹介していく。
英語力
必ずと言っていいほど必要なのが英語力だ。外資系企業では当然日本人だけではなく様々な人種の人たちと働くことになる。アメリカ人や中国人、インド人など会社の規模が大きければ大きいほど様々な人種とコミュニケーションを取る機会が増える。同じ会社の従業員だけではなく、顧客も日本国外であることが多い。
TOEICの基準で示すならば、最低でも730点以上が望ましいとされる。たとえTOEICの点数が基準を満たしてない場合でも、会話ができるのであれば問題ないケースも多い。日本ではTOEICを基準に足切りをされる事が多いが、外資系企業では点数ではなく実用性も見てくれるためしっかりとアピールすることが大切だ。
営業力・コミュニケーション能力
証券会社では高い営業力とコミュニケーション能力が必要で、それはほとんどの外資系企業でも同じだ。投資や保険の商品を売る「無形商材」を販売するためには、顧客の資産状況等の理解や傾聴力、提案力が不可欠だ。
また、金融商品は一度売って終わりではない。運用や切り替え、他の商品の購入などもあるため、一人(社)の顧客に数年、数十年の付き合いをする事が多い。顧客と良い関係を築くため、高いコミュニケーション能力も必要だ。
面接においても、営業力とコミュニケーション能力が高ければいい印象を与えやすい。日本人は特に言葉を濁しがちだが、外資系企業においては好かれない。堂々と自信を持って話すことが面接のコツだ。
具体的な成果・実績の提示
外資系企業に限るわけではないが、具体的な成果や実績の提示も重要だ。
「〇〇証券会社で10年営業を頑張りました」よりも「〇〇証券会社で10年間営業活動に従事し、うち4年間トップセールスとして表彰されました」という具体例を出すと良い。
外資系企業に向いている人とは?
外資系、日系それぞれの大きな違いは「個人」を重んじているところだ。外資系企業では社員それぞれに責任を持たせた仕事があり、役割が明確なのが特徴。成果も責任も明確なため向いている人とそうでない人の差が顕著に出やすい。
外資系企業に向いている人はどんな人かここでは紹介していく。
はっきりと自分の意見が言える人
自分の意見をはっきりと言う事ができる人は外資系企業に向いている。
日本人の特徴として協調性の高さが挙げられるが、外資系企業の個人主義には合わないことが多い。そのため、自分の意見を持ち、上司にも臆することなく意見を言うことができる人は外資系企業がおすすめ。
自分のキャリアプランが明確である
自分のキャリアプランが確立されている人は自立性が高く、目の前の仕事にもきちんとした計画性を持って臨める人が多い。外資系企業では研修や勉強会がほとんどないため、自分に必要なものを自ら選択し、常に学んでいく必要がある。
キャリアプランを明確にしておくことにより、不安定な雇用の外資系企業でも自分の能力を存分に活かす事ができるのではないだろうか。
外資系企業で働くメリット・デメリット
ここでは、外資系企業で働く際のメリットとデメリットを紹介していく。外資系企業では日系企業と異なる点が多く、メリットとデメリット両方が存在するので入社を考えている際は注意が必要。
メリット
給料が高いことが多い
外資系企業は給料が高いことが多い。令和2年の国税庁「民間給与実態統計調査」(2022年11月)の調査によると、日本の平均賃金は433万円であり、外資系の賃金はおよそ2倍の約800万円ほどと言われている。
外資系企業の人気の理由が給与の高さである。日系企業のおよそ2倍の給与をもらえるのであれば激務でも構わないという人たちが外資系企業に就職を希望するのだ。
風通しがいい
プロジェクトを進めていく上で、非常に風通しが良いのが外資系企業の特徴でもある。日本の企業の多くは上から命令が来るのを待つトップダウン型であるのに比べ、現場から意見を吸い上げるボトムアップ型の経営が多い。そのため、自分の提案でチームや会社を動かすことができるため、やりがいも大きい。
女性の社会進出が遅れている日本ではまだまだ少ないが、外資系企業では女性が役員やプロジェクトリーダーになっていることも多い。
成果をあげた人に対する評価がきっちりとされやすいという点も外資系企業の魅力だ。
仕事のオンオフがきっちりしている
外資系企業では退勤後や休日などはしっかり休める事が多い。仕事とプライベートをしっかりと分けている人が多く、激務でも働きやすい。日本では休みに上司から連絡がくることも多いが、外資系企業では少ない。上司もプライベートを守るために時間外の対応をさせないことが多いからだ。
また、日本に比べて有休消化率が高いため、ちょっとしたことでも有給を使えるのが外資系企業の特徴でもある。
デメリット
言語の壁がある
最初の難関が言語の壁である。様々な人種が働く外資系企業では、日本人以外とコミュニケーションを取ることも多い。英語が苦手な人は気をつけたい。
また、プライベートの時間の使い方も日本とは異なり、退勤後に電話に出なかったりメールの返事がないことも。言語の壁の他に文化の壁もあるので注意が必要だ。
安定した雇用ではない
日本では終身雇用が一般的で、よほどの事がない限り解雇はない。
しかし、外資系企業では成果があがらないと解雇されたり、すぐ左遷させられることも多い。日本国内の企業なので海外のようにすぐ解雇になることは少ないが、外資系企業は雇用というよりも契約という概念で動いているので気をつけたい。
退職金がない
日本では退職金を積み立て、退職後にある程度まとまった退職金を受け取るのが一般的。
しかし、外資系企業では退職金が出ない。その代わりに退職勧告特別金など定年前に退職を促し手当をもらえたりすることはある。
アメリカやヨーロッパでも退職金はなく、老後は資産運用しつつ自分でお金のやりくりをするのが当たり前なのだ。老後の資金は若いうちから資産運用して稼ぐように心がけることが大切だ。
福利厚生が少ない
外資系企業では、終身雇用というものが少ない。アメリカやヨーロッパでは数年ごとに転職してキャリアアップするのが当たり前である。
そのため、長期間働くことを前提とした住宅補助手当などの福利厚生があるところは珍しい。
転職を考えてる人はぜひチャレンジしてみよう
日本では終身雇用が当たり前となっていたが、近年では少しずつ転職する人が増えてきた。
海外では転職は当たり前で、キャリアアップのため数年ごとに転職する。外資系企業もその風潮が強く、長年在籍している人は日系企業に比べ少ない。
自分のキャリアを見つめ直し、その会社で何をしたいのかを明確にする事が外資系企業では大切だ。少しでも外資系企業に興味があり、転職を考えている人はぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。