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転職理由は「スキルアップ」それって本当?面接で説得性を持たせるためのポイント

いざ、転職にむけて諸々の準備を進めることになった場合、必ず固める必要があるのが「転職理由」だ。新たなキャリアステージへ進むあなたの指標であり、前へ進むための原動力だ。実際に、面接官から「なぜ、うちの会社に入社したいんですか?」という問いをもらったことがある人も多いだろう。

あなたは「スキルアップしたいから」という回答例を口にした、もしくは耳にしたことはあるだろうか。この回答には、いわば特定の職種において腕を磨きたいという意味合いが込められており、非常に向上意欲が高い回答に聞こえる。

しかし、どこか具体性を欠いた曖昧な回答であり、伝え方が簡単ではない理由の一つといえる。本記事では、理由として「スキルを磨きたいから」と伝えることはありなのか、伝える際に押さえるべきポイントについて詳しく解説しよう。

目次

「スキルアップ」したいからと伝えるのはアリ?

本記事のタイトルにも挙げている疑問ではあるが、結論としてアリだ。

非常に向上意欲が見られる回答であり、また次の転職先ではスキル向上が見込める環境、事業等があるのであれば、入社希望の理由として紐づきやすいためだ。また、スキルは「資格取得」という共通言語として伝わるバッチにも関連しやすい。

そのため、スキルを磨くために資格取得を目標にしていたor目標している等と、具体的な行動へと紐づけやすいメリットもある。特に専門性が高いスキルを必要とする専門職であれば、スキル向上を志す転職希望者は、非常にニーズが高いと言えるだろう。

「スキルアップしたい」という理由が難しい理由

一方、「スキルを磨きたいから」という理由を面接官の心に響くように伝えることは、決して簡単なことではない。では、なぜ伝えることが難しいのだろうか。具体的な理由について詳しく解説しよう。

言葉が綺麗すぎて嘘くさい

まず、シンプルにどの聞こえがよく、言葉として綺麗すぎるからだ。実際の本音にかかわらず、面接の場で転職理由を伝える際はネガティブな言葉を使ってはならない。必ずポジティブな表現を図ることが鉄則である。

その前提で、「スキルアップしたいから」というのは、言葉だけをかいつまむと本音が分かりにくい言葉であり、聞こえが良すぎるという印象がある。実際のところ、面接官としては「どの企業の面接を受ける際も同じことを言っているんじゃないのか?」と勘ぐることが大半だ。

そのため、本心としてスキル向上を目的として転職を決意することは素晴らしいことだが、聞こえ方としてはあまりにも綺麗すぎるため、「なぜスキルを磨きたいのか?」「どうやってスキルを磨きたいのか?」「スキル向上を通して何を成し遂げたいのか?」を細かく細分化して、筋道立てて話すことが必要だ。

現段階で一定のスキルがあることが前提

もう一つの理由は、大前提として一定のスキルを有していなければ使えない回答だからだ。いわば、完全未経験の業界・業種へチャレンジする際に、「スキルアップしたいから」という理由を伝えることは、「そもそもスキルはゼロじゃないのか?」と見なされ、説得性が薄いと判断されやすい。

言い換えると、この理由を面接の場で話せる人は、過去に経験したことのある業界・業種内でのキャリア層のみであるということだ。スキルを具体的に表現できる資格を取得しているのであれば資格を伝えたうえで、資格がない場合は過去の職務経歴の中で具体的に行った業務、経験年数、実績等の数値で述べることが望ましい。

前職でスキルアップできなかった理由が必要

次に、前職でスキル向上を実現できなかった理由も明確に伝えるべきである。なぜなら、面接官は「スキルアップしたいから転職を決めました」と述べる相手に対して、心の中には「そっか。だけど、前職ではなぜ実現できなかったんだろう?」という疑問を持つからだ。前職では、年功序列等の社内体制からスキルを磨くチャンスに繋がる仕事を持つことができなかった、チャレンジできる事業の幅に限界があった等、形はどうであれ、スキルを磨くに至らなかった何らかの理由があるはずだ。その理由に関しても、しっかりと面接の場で伝えることが必要だ。加えて、「次の転職先ではスキルを磨けると思った理由」についてもしっかり伝えることで、あなたのチャレンジ意欲が伝わるだろう。

「スキルアップ」を理由として伝えるには

これまで、「スキルアップしたいから」と伝える場合のポイントについて解説した。

次に、面接官にアピールする上で押さえてほしいポイントについて具体的に解説しよう。重要な要素を押さえて解説するため、当てはまる事項があった際はぜひ参考にしてみてほしい。

ポジティブな表現になるように伝え方を工夫する

既に本記事でも何度も述べているが、最大限ポジティブな表現となるように伝え方を工夫することが必要だ。

ここで、ポジティブな表現にふさわしい具体的な一例を挙げてみよう。

<本音>

うちの会社は年功序列だから、成果を出しても新しい仕事を任せてくれなかった。

本当は、営業プレイヤーじゃなくて管理職としてマネージメントも経験したかった。

もっと出した結果に準じた評価・チャンスをもらえるような働き方で仕事したかった。

経験・キャリアがなくても、成果を出せば裁量権をもって働ける会社に転職したいな。

<伝え方>

前職は年功序列であり、年齢が30代後半になるまで管理職へ昇進できません。

私が所属する営業部では、課長職がメインクライアントの担当及びマネージメントを行い、

現場社員はどんなに優秀でも、サブのプレイヤーとしてしか働くことができませんでした。

しかし、同業他社で活躍する方から話を聞く中で、たとえ若い頃からでも実績を出すことで

管理職として、責任あるクライアント対応やマネージメントに携われるのだと知りました。

そのことから若いうちから裁量をもち働ける環境で働きたいと考え、退職を決意しました。

以上、たとえ本音がネガティブな要素を含んでいても、ポジティブに言い換えることで伝わり方が大きく変わるということをお分かりいただけただろうか。

ポジティブに言い換えることで、「マイナス要素もプラス要素に捉えられる人材」として、面接官に印象づけることが可能なのだ。この部分は必ず必要な伝え方のポイントであるため、必ず押さえておいてほしい。

努力してもスキルアップできなかったことを伝える

次に、スキル向上のために諦めずに努力したことを具体的に伝える必要がある。スキルアップできなかった理由は、周りの環境等が要因となることがリアルな部分であるが、その部分だけをストレートに伝えてしまうと、他責に見られてしまう側面がある。

実際には周りを取り巻く環境が要因でスキルを磨けなかったとしても、実現するために努力したことをしっかりと伝えることが重要だ。他責思考=何か浮かない時に周りのせいにしてしまう、と判断されてしまうのだ。他責思考ではなく、自責思考の人間が、企業にとって「採用したい」と思う人材なのだ。

スキルアップした後に実現したいことを話す

続いて、最終的なゴールとして実現したいことも具体的に伝えていってほしい。ただ闇雲に伝えるだけでは、最終的にどのようなゴールを見据えているのか、という行動原理がイマイチ分からない内容になってしまう。

そうなると、せっかく現職を頑張っていたとしても言葉として具現化できないという状態に陥ってしまうだろう。具体的に、どのような実績・成果をもたらしたいのかというゴールから逆算して、スキルが必要である理由を細分化してほしい。

企業が求めるキャリアビジョンとあなたの希望がマッチすれば、あなたの転職姿勢は非常にプラス要素として働くだろう。

まとめ

転職理由として「スキルアップしたいから」と伝えることの意義性、注意すべきポイント、伝える際のポイントについて詳しく解説した。

スキルアップを目的とする転職は、非常に向上心のある人材としてあなたを企業へは話せるが、そこまでに至った理由をとにかく深掘り、面接官へ伝わるように伝えることが重要だ。他の理由と比べると伝え方がやや難しいが、しっかりと落とし込むことができれば、非常に魅力的な人材として企業へアピールできるだろう。

ぜひ、本記事で解説したポイントを意識して実践してみてほしい。

この記事を書いた人

アドバイザーナビ株式会社。野村證券出身者が2019年に創業した会社で、金融に特化した転職エージェント業務を行なっている。『金融機関勤務者が転職に使いたいサービスNo.1(日本マーケティングリサーチ機構2020年3月調査)』を獲得している。

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