会社に勤めていて、何一つ不満がない人はほとんどいないだろう。時代の変化は激しく、会社の存続年数は23年と言われる現代において、転職はもはや当たり前におこなうものとなった。
実際のところ、転職を決意した人はどのような理由で転職したのか、面接時はどのように伝えているのかが気になる人も多いのではないだろうか。
本記事では、転職理由を各世代や男女別で比較したデータからわかること、面接での伝え方などをまとめた。
転職理由をあらゆる角度で観測してわかること【本音】
本記事で解説する転職の理由に関しては、「転職サービスdoda」が20歳から59歳までの男女768名に対して、2021年8月に実施したアンケート調査をもとにしている。
2020年7月から2021年6月までの1年間に転職した人のデータであるから、コロナウイルス蔓延により、働き方について考えた結果として行動した人も多いだろう。
【総合ランキング】転職理由の上位3つを紹介
まず初めに、35の転職理由について当てはまる理由を複数選択するアンケートの回答結果は、以下のとおりであった。
順位 | 1位 | 2位 | 3位 |
転職理由 | 給与が低い|昇給が期待できない | 昇進やキャリアアップが期待できない | 評価方法に対する不満 |
割合 | 35.0% | 29.4% | 26.8% |
「給与が低い|昇給が期待できない」を選んだ人は全体の3人に1人という結果だった。2位の「昇進やキャリアアップが期待できない」を5%以上引き離し、経済的な理由を原因にする人が多かった。
国内には緊急事態宣言が発令され、飲食や旅行など、休業を余儀なくされる業界はいくつかあった。需要が急増した業界・会社も中にはあっただろうが、それは局所的な変化にすぎない。
前回調査では「社内の雰囲気が悪い」が1位だったことからも、社内における待遇の変化や業績の落ち込みから行動喚起に至ったと推測される。
【年代別】転職理由の上位3つを比較してみた
続いて、年代別における転職理由の上位3つを見ていこう。なお、こちらのアンケートも複数回答による集計結果となっている。
年代 | 1位 | 2位 | 3位 |
20代 | 給与が低い|昇給が期待できない | 肉体的・精神的なつらさ | 評価方法に対する不満 |
30代 | 同上 | 昇進やキャリアアップが期待できない | スキルアップしたい |
40代 | 同上 | 業界や会社の先行きが不安 | 尊敬できる人がいない |
50代 | 社内の雰囲気が悪い | 給与が低い|昇給が期待できない | 同上 |
世代間で比較すると、50代を除いて「給与が低い|昇給が期待できない」が1位を獲得。50代のみ「社内の雰囲気が悪い」が1位だった。40代・50代の転職理由を見てみると、社内の人間関係や会社の先行きに不満を持つ傾向が伺える。
会社員のキャリアも後半戦に突入し、同じ会社でキャリアを全うすることに躊躇した結果として、転職を決意した人が多いのではないだろうか。
30代はキャリア形成における転換期とも言うべき期間であり、転職理由の上位にも色濃く反映された結果である。大卒で就職すれば現職に10年程度在籍し、次のキャリアを描き始めるタイミングなのだろう。
20代の転職理由に関しては、欲望にやや忠実といった印象は否めないが、20代の転職なら第二新卒の枠で採用される可能性もあるし、企業も若い人材を必要とすることが多い。今の会社が合わないと思うなら、早めの行動が肝心なのは言うまでもないだろう。
【男女別】転職理由の上位3つを比較してみた
続いて、男女別における転職理由も見てみよう。こちらのアンケート結果も、複数回答による集計結果となっている。
性別 | 1位 | 2位 | 3位 |
男性 | 給与が低い|昇給が期待できない | 昇進やキャリアアップが期待できない | 評価方法に対する不満 |
女性 | 同上 | 同上 | 肉体的・精神的なつらさ |
1位と2位は男女ともに総合ランキングと同じ理由がランクインし、3位が男女で異なる結果となった。なお、女性における「評価方法に対する不満」は7位、男性における「肉体的・精神的なつらさ」は10位であった。
男性の場合は同僚との評価や昇進スピードを意識する背景が考えられるし、女性の場合はライフステージによる環境の変化も大きい上、配属先の人間関係に関して相性が合わなかったという背景が想像できる。
転職先に求めるものは結局この3つに集約される
年代や男女別の切り口で転職理由を見ていったが、つまるところ、転職の理由は以下の3つに集約される。
- 給料
- キャリア形成
- 人間関係
毎月の生活をしていくには、安定した給料は当然必要だし、40年以上のキャリアプランを考える上で、必ずどこかのタイミングで転職は視野に入るだろう。もちろんライフステージの変化もあるし、定年まで一つの会社で働き続けることの方が稀である。
また、働く会社は選べても、一緒に働く人は選べない。職場の人間関係に疲れて心の病にかかる人も少なくないから、上記3つの転職理由はもはや普遍的な理由なのだろう。
採用担当はなぜあなたの転職理由を確認したいのか
転職するおもな理由がわかったところで、面接において、転職の理由やきっかけをどのように伝えるべきなのか、そもそも採用担当は、なぜ転職の理由を聞くのだろうか。
採用担当はあなたに対し、大きく分けて以下の3点を確認するために転職理由を尋ねている。
- 志望度や熱意の確認
- 採用に関してミスマッチを防ぎたい
- ライフスタイルや価値観・仕事観の確認
採用担当や企業側としては、熱意のある即戦力候補や、長く会社に貢献してくれる人材を望んでいる。転職した理由やきっかけは、転職先の企業においても同様に生じる可能性はもちろんある。
さらに、あなたの話す口調や言い回しなどから、転職の理由が本音か建前か伝わる可能性も十分ある。転職は人生において数少ない経験だからこそ、心境の変化や自身のライフスタイルで大切にしたい価値観などは、しっかり棚卸ししておく必要があるだろう。
転職する理由や転職を考えたきっかけは面接でどのように伝えるべきか【建前】
採用担当があなたに転職する理由を訪ねるのは、ミスマッチを起こさず、長期で会社に貢献してくれる人材なのか見極めるためである。それでは、採用担当から転職理由を聞かれた際はどのように伝えるべきかについて、以下の2点に留意すると良いだろう。
- ポジティブな内容に変換する|ありのままには伝えない
- 退職理由と志望動機に筋を通す
たとえ転職した理由がネガティブな内容だったとしても、ポジティブな内容に変換するのは必須だ。
- 現職のどこに不満を感じるのか
- 現職では何を叶えられないのか
- 次の職場で何をしたいのか
- どんな仕事なら自分の人生が充実するのか
転職を考えたきっかけは、おそらくとても些細なことだろう。もしくはとても抽象的で「なんかこのままではダメな気がする」といったものかもしれない。
まずは、不満のタネをしっかり言語化しよう。そして、状況を変えるために転職先で新たなキャリアを構築したいなどの、転職のきっかけから志望動機までに筋が通ると、採用担当も納得してくれるだろう。
面接での伝え方に迷うなら転職エージェントに相談
転職の理由やきっかけを深掘りするのは簡単なことではないし、転職先に合わせて筋の通った理由を説明するのは難しいと感じる人もなかにはいるだろう。
面接における転職理由の伝え方に迷うなら、転職エージェントをぜひ活用しよう。専属のアドバイザーが求人の紹介から履歴書などの添削、面接対策に至るまで、あなたの転職活動を無料でトータルサポートしてくれる。
現職で忙しく働く隙間を縫って転職活動をするなら、転職のプロの力を借りない手はないだろう。
転職した理由よりも転職先でどのようにしたいか
前職を転職した理由に関して、「給与の低さ」と回答した割合が3人に1人を超え、世相を表す結果となった。
そのほかにも、キャリアアップや会社の雰囲気など、人生をより充実させるための転職や、新しい人間関係を求めて、環境を変えて心機一転といった背景が伺える結果だった。
転職活動においては、転職の理由や考えたきっかけよりも、「次はどうしたいか」が重要である。転職の理由はポジティブな内容に転換し、採用担当を納得させられる筋の通った志望動機につなげる意識が大切だ。
面接における転職の理由をどのように伝えたら良いか困っているなら、転職のプロである転職エージェントの力を借りて、面接対策を受けながら自己分析を進めよう。