転職活動を進める過程で、現職とは異なる仕事にチャレンジしたいと考える人もいるだろう。しかし、業務の経験がなくても採用してくれるのか不安に感じる人も多いはずだ。そもそも、異業種への転職を志望するとしても、どの職種を選べば良いか分からないこともあるだろう。
そこで本記事では、異業種への転職が実は珍しくない理由や業務経験がなくてもチャレンジしやすい職種、転職する際の注意点をまとめた。
【未経験OKが多い理由】4つのポイントを解説
求人情報をみてみると、実は未経験者を歓迎する求人が多数見つかる。ここでは、転職市場において業務経験がなくても応募可能な求人が多い理由を4つに絞って紹介しよう。
- 育てる風土が染み付いている
- ハングリー精神に富む
- コストを抑えられる
- そもそも経験者が集まらない
育てる風土が染み付いている
日本では古くから年功序列・終身雇用制度が確立されており、「人材=育てるもの」という風土が染み付いている。
長期的には終身雇用が崩壊する可能性はあるものの、本人の経験よりも「伸び代」を評価し、人材を育成して会社の将来を担わせるケースが大半だ。
業務経験のないビジネスパーソンがアピールすべきは「ポテンシャルの高さ」である。ビジネスマナーや素養は必須だが、会社への貢献に対する「熱量」が伝われば、業務経験がなくても十分転職可能だ。
ハングリー精神に富む
転職希望者を経験の有無で比べた場合、企業としては「未経験者の方が向上心やハングリー精神が勝る」と考える場合もある。スキルが備わっていない以上、会社で活躍するために必死になるのは当然だ。
業務経験を問わない企業は、本人のメンタル・ポテンシャルを買って採用するのである。ハンディキャップを背負っているとは考えず、自分の強みをしっかり言語化して面接で伝えれば、結果はついてくるはずだ。
コストを抑えられる
社員を採用するには当然コストがかかる。企業としては、当然採用コストを抑えたいだろう。採用コストを抑えるなら、40代の即戦力として活躍しそうなビジネスパーソンより、20代で伸び代のある未経験者の採用が手っ取り早いのである。
このとき「とにかく人材を集めたい」という理由で業務経験のないビジネスパーソンを募集している企業には気をつけよう。ブラックな労働環境である可能性が高いし、ミスマッチを起こしてすぐに転職となると、キャリアとしてもマイナスな印象となりかねない。
採用側の意図として、採用コストを抑えたいという側面があることも覚えておこう。
そもそも経験者が集まらない
企業によっては即戦力となる人材だけを募集しているものの、なかなか集まらないケースもある。
即戦力人材が集まらない以上、業務経験がなくても見込みのありそうな人材を募集するのは当然の流れだ。
しかし、前提として即戦力を募集する採用サイドとしては、業務を経験していないビジネスパーソンの採用は消極的である。仕事内容が特殊・資格が必要などのパターンもあるから、求人情報はこまめに確認してチャンスを逃さないようにしよう。
【狙い目はここ】転職におすすめしたい職種4選|業務がなくてもOK
ここでは、未経験業務に挑戦したい人にぴったりな職種を4つ紹介しよう。
- 営業職
- 事務職
- ITエンジニア職
- 介護職
なお、転職に有利な業界を把握しておきたい人は「【転職するならこの業界】選び方のポイントとおすすめ5選を解説」を確認してほしい。
営業職
営業職はどの企業においても必須だ。特定業界の経験や実績以上に、人柄やコミュニケーション能力が試される。いわゆる「ポテンシャル採用」の場合も多く、今まで営業職の経験がなくても採用されることも。
ビジネスパーソンとしてのマナーや素養さえ備えていれば、やる気次第で十分転職可能だ。
事務職
営業職に限らず事務職も、どの企業においても必要な仕事だ。
- エクセルでマクロを組んで業務効率化をしたことがある
- 簿記を学んで会計知識が豊富
パソコンを使った効率的な業務遂行は、他の業界でもそのまま活かせるし汎用性も高い。あらゆる業界の企業に募集できるという点でも、事務職への転職は選択肢に入れてよいだろう。
ITエンジニア職
ITエンジニアも、慢性的に人材が不足しているから狙い目な職種である。経済産業省の調査によると、2030年には約79万人ものIT人材が不足すると予測されている。
IT業界は拡大の一途を辿っているし、需要は十分あるだろう。
しかし、未経験からのエンジニア転職は容易ではない。専門的な知識や技術は必須だし、入社後もスキルアップし続ける必要があるだろう。
個人でも食うに困らない、市場価値の高い人材を目指したい人は、エンジニアを目指すのも有効だ。
介護職
介護職は慢性的な人材不足に陥っている。高齢化が進む状況下で、介護士の需要は右肩上がりだ。
業務経験がなくても積極的に採用しているし、マネージャーなどを目指す際は専門的な知識や技術が必要だが、転職時から必要なわけではない。
業務経験のない領域に転職する際の注意点2つ
業務経験のない領域に挑戦する際は、以下で紹介する2つを覚えておこう。
- 年収が下がることも
- 入社後に苦労する可能性
年収が下がることも
晴れて転職できたとしても、年収は下がる可能性が高い。冒頭でも書いたように、即戦力として活躍できる人材には相応の報酬が支払われる。
しかし、業務経験のないビジネスパーソンの場合、育成に時間がかかる。そのため、前職よりも年収が下がってしまうことは覚悟しておこう。
それでも、転職先の業界全体として報酬が高いのであれば、キャリアチェンジ自体は長期的にみてプラスにはたらくはずだ。
自分らしいキャリアを構築する過程で「学びながら報酬をもらえる」という気持ちで業務に取り組むと良いだろう。
入社後に苦労する可能性
未経験の業務である以上、入社してから苦労するのはやむを得ないだろう。「思っていたのと違った」というイメージとの乖離も生まれかねない。
「華やかなイメージで入ったら、実は地道な業務ばかりで泥臭い仕事だった」ということも往々にしてある。
想像とはかけ離れたイメージにより苦しんだ挙句、早期転職すると、その後のキャリアにマイナスな影響を及ぼす可能性も。
入社後に苦労するのは、即戦力として働く場合も大差ないはずだ。希望する職種に関する情報収集は、しすぎて損することはないだろう。
転職の軸を定めて自分の強みを明確にすることから
未経験者歓迎の求人が多い理由は、日本独自の雇用環境も影響しているだろう。そして、業務経験がなくてもチャレンジできる4つの仕事は以下のとおりだった。
- 営業職
- 事務職
- ITエンジニア職
- 介護職
これらは、ポテンシャルがあれば採用の可能性は十分ある。しかし注意すべき点もあるから、まずは理想のキャリアを明確にするのが最優先だ。
転職の軸、転職先に求める条件、強みと弱みなど、自己分析を入念に行い、後悔しない転職活動をしていこう。