転職回数が多いと、転職活動にマイナスの影響を与えるのではないかと不安に感じる人も多いのではないだろうか。一般的に転職回数が多いほど転職に不利と言われているが、転職を繰り返し成功させているビジネスパーソンがいるのも事実だ。
本記事では、転職回数の多さに対して企業がどのように思っているのか、転職回数の多い人が転職を成功させるポイントなどをまとめた。
転職回数の多さに対して採用担当はどう見ているのか
そもそも、転職回数が多いと書類選考の時点でマイナスな印象を与える可能性は否めない。
企業の平均寿命は23年と言われており、国民総転職時代と呼ばれる昨今。転職は一般的になってきたものの、「採用してもすぐ辞めそう」と考える採用担当は一定数存在する。
実際のところ、転職回数だけが問題視されるのではない。採用サイドとしては、転職した理由やキャリア形成における目的意識、当人のスキルを重視するケースも増えている。
ここからは、転職回数の多さが転職活動に与える影響を具体的に見ていこう。
転職回数は影響があるの?
結論としては、転職回数は転職活動に全く影響しないはずはない。少なからず影響を与えることは事実だ。年功序列・終身雇用が当たり前だった頃は、新卒で入社した会社で定年まで働くスタイルが一般的だった。しかし現代において、働き方は大きく変化している。
「転職回数の多さ=多くの実績・キャリアを積んだ、向上心がある」と評価されることもある。結局大切なのは、転職先でどう貢献するか具体的に伝えられるかどうかだ。
転職理由に筋が通っていれば採用担当を納得させられるし、極度に悲観する必要はないだろう。
転職回数が多くても欲しいと思われる人材とは
転職回数がたとえ多くても企業から採用したいと思わせるためには、今まで培ったスキルや経験が実績として具体的に表れており、その実績が転職先でも役立つと印象づけることが重要だ。
転職を重ねる都度、できる範囲が広がるビジネスパーソンは、企業側としても重宝する存在になれるだろう。
- これまでの転職で得た経験を言語化する
- キャリアプランを具体的に語れる
- コミュニケーション能力の高さをエピソードで語れる
こうした引き出しを用意できるなら、転職回数の多さはハンディキャップにならないはずだ。
転職回数を気にする企業が抱く3つの懸念点
それでも転職回数を気にする企業は間違いなく存在する。具体的には、以下の3点を懸念していることが多い。
- 採用してもすぐ辞めるのではないか
- キャリアに一貫性がないのではないか
- 求職者自身の人間性に問題があるのではないか
短期で転職を繰り返しているビジネスパーソンに対して、長く会社に貢献してくれるか、ストレス耐性に乏しいのではないか、明確なキャリアプランがないのではなどと疑問視される傾向は否めない。
採用にはコストがかかるし、入社してすぐに辞められるのは避けたいところだ。
企業が懸念するポイントに対し、面接で採用担当を納得させられる説明をできるかどうかが転職成功の鍵を握るだろう。
転職回数の多い人が転職を成功させるコツと面接の注意点
転職回数の多さに対する印象は、採用担当によって異なる。あなたがどのように語れるかで、転職の成否が左右されることは覚えておこう。その上で、転職回数の多い人が転職を成功させるコツと面接の注意点を紹介する。
転職を成功させるコツ4選
転職回数の多い人が転職を成功させるコツは、大きく分けて以下の4点だ。
- キャリアを棚卸しして強みをグルーピングする
- 在籍期間と転職理由を整理する
- 転職理由は一貫性を持たせる
- 転職回数をあまり気にしない業界を選ぶ
キャリアを棚卸しして強みをグルーピングする
これまでの転職で得た経験やスキル、実績は、あなたにしかない強みである。その強みを言語化するためにも、今までのキャリアの棚卸しを入念に行おう。
以下で挙げる内容は、複数の企業で働いたからこそ伝えられるスキルだ。
- 初めての環境でもすぐに適応できる
- 状況に応じて柔軟に振る舞いを変えられる
- 各企業特有の仕組みや手法を取り入れて業務を改善できる
複数の企業を渡り歩いたからこそ身についたスキルがあるはずだ。あなたにしか積めない経験から伝えられる強みをグルーピングし、面接で端的に伝えられるように準備しよう。
在籍期間と転職理由を整理する
キャリアの棚卸しをする際、各社に勤めた期間と転職した理由を一覧表にしておこう。転職先で培った経験だけでなく、どんなきっかけで転職したかも見える化しておくと、自身のキャリアプランがはっきりと見えてくるはずだ。
すべての転職理由を書き出した上で、ネガティブな理由もポジティブに言い換えできないか考えてみよう。
転職理由は一貫性を持たせる
各社の転職理由を書き出した結果、転職理由に一貫性はあるだろうか。理想のキャリアプランがあるなら、そのプランに沿った行動になっているか確認しよう。
その場しのぎで回答してもボロが出る。転職理由に一貫性があれば、ぶれない軸を持ったビジネスパーソンであることが伝わるはずだ。
転職回数は操作できなくとも、その理由や背景はある程度脚色できるだろう。転職理由に一貫性を持たせ、採用担当に自分らしさをアピールしよう。
転職回数をあまり気にしない業界を選ぶ
成果至上主義を採用する業界を選ぶのも一つの手段だ。ほかにも、ベンチャー企業への転職なら、実績やスキルのある即戦力人材なら採用確率は十分高い。
エンジニアやデザイン系のクリエイティブ職といった専門性の高い職種なら、スキルさえあれば転職のハードルはかなり下がるはずだ。
社内で業務を兼任することが多い中小企業でも、複数の企業で培った幅広い業務経験をアピールできるはずだ。
面接で受け答える際の注意点
転職回数の多いビジネスパーソンにおいては、面接時の受け答えで以下の3点は特に注意した方が良いだろう。
- 他責志向
- 言い訳がましく答えない
- 結論から簡潔に答える
前職の体制に関してマイナスなことを話すと、他責志向があると思われかないから注意しよう。その会社を選んだのは自分である以上、自分以外に原因を探す姿勢は取らない方が賢明だ。
周りの環境に原因があるのは事実かもしれないが、答え方次第では言い訳がましく捉えられかねない。ダラダラと説明してしまわないように注意し、質問に対しては結論ファーストで簡潔に回答しよう。
転職回数の多さを取り繕って回答しようとするほど、採用担当の印象を悪くする可能性があるから注意しよう。
転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方
職務経歴書は履歴書とは異なり、年次ごとに職歴などを書く必要がない。そのため、転職回数が多いビジネスパーソンの場合、以下で紹介する内容を踏まえて職務経歴書を書くと良いだろう。
- 業務内容別に書く
- 軸になる経験・スキル・得意分野を書く
- 姿勢や能力を伝える
- 具体的な実績を伝える
そもそも情報量が多すぎると採用担当は評価しにくいため、応募する企業で活躍できることが伝わる内容だけをピックアップしよう。
その上で、職種、業務内容、プロジェクトごとに端的にまとめ、アピールしたいポイントを凝縮させるのが重要である。キャリアごとでまとめると、転職回数の多さが目立ちにくくなるというメリットもあるからおすすめだ。
職歴に一貫性がないのであれば、応募する企業の業務内容に関連する経験があれば重点的にまとめ、その他の職歴は業務遂行の姿勢を中心に据えると良いだろう。
どのようなまとめ方をするにせよ、「具体性」が重要である。数値を出せる実績があるなら、できるかぎり数値を交えて職務経歴書をまとめていこう。
転職回数の多さは武器になりうる|ぶれない軸を持とう
転職回数が多いと、マイナスな印象を持たれかねないのは事実だ。しかし、重要なのは転職した理由に明確な意図・プランがあるかどうかである。各社で培った経験やスキル・実績を活かして次なるステージに移行したと伝われば、むしろ優秀な人材として写るだろう。
キャリアの棚卸しを入念に行い、キャリアを振り返って自身のぶれない軸を言語化しよう。
複数の企業を渡り歩いた経験があるから伝えられる強みやスキルを言語化し、さらなるキャリアを構築していこう。