地方勤務や地方から都心部への転職を行う際は、引っ越しについても準備を進める必要がある。その際に浮かぶ懸念点とすると、「転職と引っ越しは同時並行で進めていくべきなのか?」「転居のベストタイミングはいつ?」等、挙げたらキリがないほど、様々な疑問・不安が浮かび上がってくるだろう。
本記事では、「転職と引っ越しをどのように並行するべきなのか?」についてとことん解説していこう。本記事の内容をしっかりと押さえておけば、本記事のタイトルで挙げている疑問は間違いなく解消されるだろう。
さっそく結論を述べると、ベストタイミングは「転職先から内定を得た後」である。内定先が定まっていない状況で事を進めてしまった場合、現在住んでいるところと離れた企業へ転職する可能性があるためだ。
場合によっては、無職の状態で転職活動を続けなくてはならないケースも存在する。そのような状況下では、転職云々の前に生活自体が非常に苦しくなってしまうだろう。また、無職となった場合、安定した収入源を持たないとみなされ、賃貸物件の審査を通過できない可能性もある。そのような理由から、引っ越しは「内定先が決まってから行う」ことがベストである。
近隣エリアでの転職活動について
続いて、近隣エリアへの転職を考えているパターンについて解説しよう。それぞれのパターンにおいて押さえておくべきポイントは異なるため、しっかりと目を通しておこう。
まずは転職先が決まることが大前提
「ここに住みたい」という具体的な場所が決まっている場合が、このケースに当てはまる。このケースにおいても、まずは転職先が決まってから引っ越しを進めることをおすすめする。なぜなら、転居先に近い転職先が確実に見つかるとは言い切れないからだ。
また、理想の転職先を見つけられたとしても、実際には他エリアの支店・営業所に配属されてしまう可能性もある。希望勤務地と実際の勤務地が相違してしまうことは決して珍しくない。必ず、面接時に勤務地を擦り合わせしておくことを強くおすすめする。
内定時に渡される労働契約書には就業場所が記載されるため、しっかりと確認した上で手続きを進めるようにしよう。
資金がカツカツな状況での進行はNG
当然の如くだが、引っ越しにはある程度まとまった初期費用が必要とされる。実際にかかる初期費用は転居先の家賃相場によって大きく差が開くが、およそ「家賃の4~5カ月分程度」がかかると言われている。その他、引越し業者への依頼コストも掛かり、新居用のカーテン・家具の購入等でさらにコストがかさむ場合もある。
「引っ越し貧乏」という言葉があるように、転居直後はどうしても資金がカツカツになりやすい。転居を前提とした転職を志すと決めた段階で、貯金等を進めて費用に余裕を持っておくことをおすすめする。
遠方エリアでの転職活動について
次に、地方・郊外エリア等の遠方から転職活動を志すパターンについて解説しよう。
遠方では内定をもらいにくいのか
どうしても、物理的距離がある=内容をもらいにくい、というイメージがあるだろう。たしかに昔はそのような傾向が見受けられたかもしれない。しかし結論としては、「遠方エリアに住んでいる転職希望者だから」という理由で、内定を得られないというケースはほぼないと言って良い。企業が目を向けるポイントは、「なぜこのエリアに転職したいのか」という理由・背景である。理由・背景にクローズアップした上で、「この人は入社後、うちで長く働けるのだろうか」という部分をジャッジする可能性が高い。
どれだけハイレベルな経験・スキルを持つ人材であっても、入社を志望する理由・背景に説得力がなければ、「この人にとって一番大事なのは働く場所であって、うち以外の会社でも良いんじゃないか?と思われかねないため、注意しておこう。遠方から転職活動を行う人材に対して企業が求める要素は、「その土地柄になじんで活躍することができる力」だ。
これまで住んでいた場所からわざわざ離れて働きたい理由は何なのかを面接でしっかりと落とし込むことで、入社を志望する具体的な理由を理解してもらうことができ、切実な思いをもって転職を望んでいる人であると評価してもらえるはずだ。
職種によって採用への影響が異なる
採用への影響が起こるのは、エリア以外も当てはまる。具体的には、職種によって採用への影響が異なる。数ある職種の中でも、ITエンジニア・デザイナー等の特定スキルが必要とされる専門職は、営業職・事務職・販売職等の職種以上に、経験・スキルが重視される。他職種と比べると、「集団」の力よりも「個」の力が必要とされる領域であるため、働く場所等に囚われにくい傾向だ。
フルリモート等の働き方も可能な職種であれば、他職種よりも転職に対する影響は少ないと言える。中でもITエンジニア等は、フルリモートの働き方を積極的に取り入れているケースも多い。
その一方、営業職・、経理・総務等の職種に関しては、社内メンバーや顧客等を始めとした様々な人と関わり合いながら仕事を進めるため、勤務地・一緒に働くメンバー内の人間関係・カルチャーにマッチするか否か、を重視する傾向だ。
オンライン面接は遠方での転職において有効
業界・業種にかかわらず、オンライン面接を積極的に取り入れている企業が非常に増えている。数年前までは「面接を受ける=直接、足を運んで面接を受ける」というスタイルが主流だったが、オンライン面接の普及によって、場所に関係なく転職活動がしやすい市場傾向である。
地方には「対面面接がメイン」という企業もまだまだ多いが、都心では、ほぼオンライン面接がスタンダードとなっている。オンライン面接は非常に効率的な方法ではあるが、面接を受ける方法がオンライン面接のみの場合は、職場見学や社員面談等の機会をもらえないかを企業へ打診し、企業を直接目で見ると良い。
「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、そのようなワンクッションを挟むことで、より深く企業を理解することができ、入社後のイメージを膨らませやすくなるだろう。
引っ越しをスムーズに進めるポイント
次に、内定後~引っ越しまで円滑に進めていくためのポイントについて解説しよう。
転職活動~入社までの期間
下記は、一般的な転職活動開始~入社までの所要期間である。
転職活動の準備:2週間
エントリー~面接実施:1~2カ月間
内定~入社:1~3カ月間
まとめると、転職活動開始~入社までの期間は、3カ月間~半年間ほど期間が掛かるのが一般的だ。また、内定~入社までの期間は、およそ1~2カ月間ほどである場合が多い。
急募の場合、企業側が入社までの期間をあまり待てない場合もあるため、企業に入社希望日を伝える際は、気合根性論ではなく現実的な所要期間を伝えることをおすすめする。
内定決定後の報告&準備
内定が決定次第、いち早く現職への退職報告&退職日の交渉を進めていこう。同時に、物件契約・荷造り・業者への連絡等も進めておくと良い。現職へ退職意思を示した後は、退職交渉や業務引継ぎが想像以上に長引き、エネルギーを消耗する可能性が高いためだ。
有給休暇等を活用しながら転居の手続きを進めていき、できれば入社の1〜2週間前までは、新たな生活環境が整っているかたちを取ることがベストだ。かなり労力を使う部分ではあるが、落ち着いた気持ちで新たなスタートを切れるようにひと踏ん張りしよう。
転居に伴う各種手続きの実施
最後に役所への転居届け、各種手続きに関しても漏れなく実施しよう。電気・水道・ガス等の光熱費、インターネット回線は、転居当日にすぐ使えるように早めに手続きを進めていくことをおすすめする。
前後は非常に忙しくなるため、銀行、携帯電話、クレジットカード等に関する住所変更手続きも早めに済ませておくのが吉だ。直前、もしくは転居当日になってバタバタしてしまうのは避けておくために、早い段階で手を打っておこう。
まとめ
以上、引っ越しに伴う転職を行うケースについて詳しく解説した。いずれもあなたのライフスタイルを構成する要素と言っても過言ではないほど、決して疎かにはできない重要な要素だ。
いずれも、計画的に進めていくことであなたが理想とする新生活の実現へグッと近づくだろう。かなり労力的にも金銭的にもコストがかかるが、ここさえ頑張ればより良い新生活が始まる。
本記事のタイトルに少しでも「ピン!」と来た方は、ぜひ本記事を参考に、一つひとつのポイントを押さえて行動して、新天地を目指してほしい。