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転職後の住民税はどうすれば良い? 納付方法と注意すべきポイント

転職することになった時、不安なこととして真っ先に思い浮かぶことも多い税金関係の手続き。社会人としては、ある程度のシステムを理解しておく必要がある。

今回は本記事のタイトルで挙げた疑問にフォーカスを当てて解説していこう。かなりとっつきにくい部分に感じるかもしれないが、知らないよりも知っておいた方が間違いなくあなたの身になることは断言できる。今後のためにも、これを機に税金についての知識をつけておこう。

本記事があなたの疑問解決や新たな知識の獲得にむけて役に立つことを願い、執筆していきたいと思う。

目次

住民税の計算方法

住民税は年の始まりの1月1日から12月31日の1年間の収入を元に算出される。この場合の「収入」とは勤務先から受け取る給与だけを指すわけではないので注意しよう。

副業による収入はもちろん、1年間の間に受け取ったすべての利益が住民税の対象である「収入」となる。

具体的な納付方法

日本では、住民税には2つの納付形態がある。「特別徴収」と「普通徴収」である。納税の方法としては、給与所得控除が一般的であるという説が広く知られているが、納税者自身が申告を行い、責任をもって納税を行うことが求められている。

自分で納税し、自分で申告書を作成する人を「普通徴収」、あらかじめ給料から税金を引かれている人を「特別徴収」と言う。普通徴収の場合は、6月末に一括して納めるか、年間を通して4回に分けて納めるのが一般的である。支払いは金融機関やコンビニエンスストア、電子マネー等で受け付けている。

一方、特別徴収は年間を通じて給与から差し引かれるもので、副業による臨時収入や特定の金額を超えた場合等の特殊なケースを除けば、会社員にとってはポピュラーな徴収方法だ。

前年の収入を基に算出する

住民税は、前年1年間の収入をもとに算出され、毎月の給与から天引きされている。

つまり、毎月の給与から引かれている住民税はその年のものではなく、1年前の住民税だ。さらにややこしいことに、支払いは毎年6月から始まり、翌年の5月までかかる。従って、今年の収入を基に算出された住民税は翌年の6月〜翌々年の5月にかけて支払うことになっている。

住民税は現在の給与に関係なく発生する

しばしば住民税は恐ろしいと言われるが、その際たる理由は「現在の給与に関係なく発生する」という点にある。転職して前年より給与が下がったとしても、例外なく前年の給与を基に算出された住民税を支払う必要がある。

また、住民税は収入が全くない状態でも必ず支払わなければならず、退職していて収入がない状態でも例外は認められない。そのときの経済状況によっては、支払いができなくなってしまうケースもあるだろう。

退職や転職の時期で住民税の納め方が変わる

転職先が既に決まっていて、新たな勤め先も特別徴収を行なっている場合には、届出書を出せばそのまま特別徴収を行うことができる。退職後すぐに別の会社に入社しない場合や、事情があって書類を提出できない場合には、一時的に普通徴収に切り替えなければならない。

普通徴収は給与からの天引きはできず、原則として自分自身で納税をしなければならない。納付方法は退職時期によって異なるため留意しておこう。まず、1月〜5月であれば5月までの未納分が給与・退職金から天引きされる。そのため自身での手続きは必要ない。

一方で6月〜12月であれば、一括か4分割払いかを選択することが可能だ。納め方に関しては、退職する会社による特別徴収、再就職先による特別徴収、あるいは自宅に送付される書類を使用して自分で納税する普通徴収のいずれかからシチュエーションに応じて選ぼう。

所得税は前払い

所得税は名の通り、所得に応じて国が課税する税金を指す。年収から各種控除をマイナスした残額に対して、税率をかけて計算される。住民税との最も大きな違いは、税金を納める時期だ。

企業の従業員である場合、所得税は1月から仮計算した税額を天引きで支払っておいて、12月に正式な税額が定められて精算される。いわゆる年末調整と呼ばれるものだ。

その後、税額が正式に決まってから最終的に精算される。つまり前払いだ。足りていなければ追加で納付し、余分に納めていれば戻ってくることになっている。

転職時期次第では確定申告が必要

1年の間に退職→入社をして、1年に2カ所以上の企業から給与を受け取ったときでも、新しい会社に源泉徴収票を提出できれば年末調整をしてもらうことができる。

ただし、期限に間に合わなかったり、転職が翌年にずれ込んだときには申告しなければならない。離職中に支払った国民年金や健康保険料の証明になるものを取っておこう。

ありがちなQ&Aを紹介

これまでの内容を通して、転職時の住民税の納付の詳細と注意点についてお分かりいただけただろうか。慣れていないと難しく感じるかもしれないが、転職する全ての人が避けては通れないフローであるため、しっかりと要点を理解しておこう。

続いて、転職後の住民税対策においてありがちな疑問について解説しよう。

住民税はいつ納める?

転職して得たお金にかかる住民税は、翌年の6月までに納めなければならない。一般的に、給与所得者は収入から住民税を差し引かれ、次の勤め先でも引き続き特別徴収を継続してもらえる。

引継ぎにはおよそ2カ月かかるとされているため、すぐに切り替えが完了するわけではないことを頭に入れておいてほしい。

転職先の給与から住民税が引かれていません

転職直後の間もない時期では、新たな勤め先の給与明細から住民税が引かれていないケースがある。これは、前職から現職への住民税の切り替えが完了していない期間に起こり得ることだ。

およそ、完全な切り替えまで2か月間程度かかると言われている。引かれていなくてラッキーだと錯覚するかもしれないが、引かれていない分の住民税は負担しなくて良いことになったわけではない。

自ら支払うか、前職を退職する際にまとめて支払っておく必要があるのだ。

所得税はどうやって納める?

6月から12月までの間に退職する場合は、1回払いか分割払いのどちらかを選ぶことが可能だ。一方、1月から5月までの間に退職する人は、一括で支払わなければならない。

逆に、所得税は自動的に源泉徴収される。退職後おおむね1カ月以上の無職の場合、払いすぎた税金を返還してもらうことができる。自分がどちらのケースに当てはまるか、しっかりと把握しておこう。

転職後は確定申告が必要?

転職先に源泉徴収票を提出できれば、年末調整をしてもらうことができる。万が一間に合わなかったり、転職が翌年にずれ込んだりした場合には自分で確定申告を行う必要がある。

通常、組織で働く人は、1年ごとに微調整を行うため、確定申告を行う必要はない。

次のような場合には、確定申告をする必要がある。それぞれ目を通しておいてほしい。

年の途中で退職し、年の途中で転職しない場

年末調整は、12月31日現在、その組織で勤務している労働者を対象に行われる。そのため、12月31日以前や年の途中で退職し、年間を通じて役割の変更がない場合は、翌年以降の所得税の確定申告の義務が発生する。

逆に、年の途中で転職した場合は、新しい勤務先で前職の給与を含めて年末調整を行うことになる。しかし、年内に転職しない場合は自分で確定申告をしなければならない。

例えば、12月20日に退職し、1月5日に転職した場合、12月31日時点ではどこの組織にも所属していないため、年末調整が行われず、確定申告が必要になってしまう。

前職での源泉徴収票の提出が間に合わない場合

もしも年の途中で退職して、新たな会社へ転職した場合、年末調整の手続きには前職の書類が必要だ。通常、この書類は給与の支払日前後、または退職後1ヶ月以内に発行される。

転職した場合は、前職の源泉徴収票を期限までに提出しなければ、転職先の会社で年末調整ができない。フリーランスや個人事業主から会社勤めに移行した場合は、事業所得と給与所得を合算するために、新たな勤め先の所得税申告書と源泉徴収票の2つを提出する必要がある。

まとめ

転職後の住民税に関する疑問について様々な視点から解説した。非常にとっつきにくくややこしい要素に思うかもしれないが、基本的に国が定めたルールに則って粛々と進めていけば良い。

この手間さえ超えてしまえば、あとは気を揉まずに新たな仕事に集中できるはずだ。この記事を通して、転職後の住民税に関するギモンが少しでも軽くなれたなら幸いだ。ぜひ参考にしてみてほしい。

この記事を書いた人

アドバイザーナビ株式会社。野村證券出身者が2019年に創業した会社で、金融に特化した転職エージェント業務を行なっている。『金融機関勤務者が転職に使いたいサービスNo.1(日本マーケティングリサーチ機構2020年3月調査)』を獲得している。

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