金融機関への来客のうち半数以上は、引き出し、預け入れ、振り込み等の窓口あるいはATM利用した現金等の取引であるが、その他の利用客は、個人であれば財産運用や不動産取引、相続、法人であれば事業承継や M&Aといった内容の相談対応があるだろう。
その対応には土地や建物といった不動産、株などの有価証券、企業価値の算定や技術の目利きなど、専門知識が要求される場面が想定される。仮に前職でそれらに関係した仕事に従事していれば、その経験が転職後の業務遂行に有利であることは間違いないが、例え経験がなくとも転職前に必要な資格を取得することで転職を、優位に進めることは大いに可能である。
雇用する側からすれば、入社後に資格を取得させるより、有資格者を雇用する方がコスト負担も少なく、即戦力が期待できることから、中途採用の人材に需要が高いのはそうした利用にある。このような観点から、当記事では金融関連への転職に役立つ資格について考えたい。
転職には資格が必要なのか
結論から言えば転職に「有利」つまり「必要」となる。転職を考えている場では「その資格が必要か」が重要だ。保育士に転職を考えている人が、保育士や社会福祉主事の資格を取るのは必要だ。しかし、簿記や社労士の資格を持っていても中々活かすことができない。
資格を取得する際には、目指す職業に対して「どんな資格が必要か」「なぜ必要なのか」熟慮することが前提である。資格は持っていれば持っているほど役に立つと思いがちだが、やはりその業務に必要がない資格は、教養として認められるが、転職活動のプラスにはならないことを覚えておきたい。
資格と一言で言っても、その仕事に「必須の資格」と「取得していれば有利な資格」の二つに分けられる。例えば、医師や薬剤師、保育士などはその業務に関する国家資格を取得しなければ業務を行えない、つまり必須の資格。
しかし、銀行業務検定、証券アナリストなど、資格がなくても業務に従事できるが、取得することでスペシャリストとして知識や信用が高まる。つまり「取得していれば有利な資格」となる。自分が転職を考えている企業などは、資格が必須か、そうでないか確認してみよう。
転職に必要な資格とその取得のポイント
内定を得るための資格についてポイントを考察する。
必要な資格を吟味する
先に述べたように、求めている仕事にその資格が必要なのか吟味をすることをおすすめする。面接などもそうだが、相手が求めていない事柄に答えても点数も、印象も高まらない。
同じように、資格においても求められることを熟慮した上で、転職先の企業が必要としているものは何かを見極めよう。一つ言えるのは、転職者の自身の考えや想いが最も大事なのだ。資格取得ばかりを追ってしまい、面接対策ができなかったなどとならないように気をつけたい。
時間の使い方
取得にあたり、ある程度の学習が必要になる。あくまでも目安であるが「ファイナンシャルプランナー1級 」であれば300時間以上。難関と言われる数理業務の専門職「アクチュアリー」 は8年と言われる。もはや時間単位ではなくなるのだ。
仕事をしながらの取得の場合、効率的に学習を進めることが大事だ。毎日の時間の使い方を考え、継続する、日にちを決めるなど、ルールを決めて毎日コツコツと学習を積み重ねたい。
資格取得までの時間を検討する
資格取得に向けて努力をしているが、中々取得できない、時間が非常にかかっている場合は資格取得までの時間を検討しよう。「必須」でなければ取得に向けて努力をしていることを前提として、転職後など時間に余裕ができたところで取得することを検討したい。
時間がかかり過ぎ、年齢が上がってしまうと、中々転職も難しくなるので注意してほしい。
金融関連の転職で役立つ資格
具体的にどんな資格があるか見ていこう。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格。不動産取引を公正に行うために存在する。
様々ある不動産関連の資格では有名な資格だ。金融機関でも融資を行う時などに不動産に関する知識が必要となるため取得しておきたい。
ファイナンシャルプランナー1級
ファイナンシャルプランナーは暮らしに関するお金、日々の家計やローンなど、お金の運用に関する課題に対して、専門的知識をもとにアドバイスを行う。金融機関での貯金、融資、投資など顧客にサービスを提供する際に様々な場面で、知識や知見として役立つ資格だろう。
資格としては3級からあるが、プロフェッショナルとしては1級を取得しておきたい。
アクチュアリー
アクチュアリーは数理業務の専門職。ビジネスにおけるリスクや不確実性の分析、評価等を業務としている。保険や年金の算定などが主な仕事だったが、近年、企業の資産管理などの業務も増加している。
超難関資格のため取得者も少なく報酬も高額になる。この資格を取得すれば、専門家としてかなり優位に立てるだろう。
中小企業診断士
企業の経営状態を把握、分析してどうすれば会社が利益を生むのか、課題の分析や解決策をアドバイスするコンサルタント業務を行うのが中小企業診断士だ。経営分野唯一の国家資格だ。融資などの際に、この資格の知識が力となる。
現在、金融業界では、貯金や融資だけなどではなく、業務に関するアドバイスなどコンサルタント的な役割を果たすため今後注目の資格といっても過言ではない。
税理士
税金に関することのプロフェッショナルとして、申告の代理、税金の申告書の作成、税務相談が税理士の主な業務だ。節税や納税対策のコンサル、アドバイスも行い、業務は幅広い。
税理士は独占業務を持ち、企業側のプラスにもなる。採用の追い風にも働くだろう。
必要とされる人材を目指して
今回は、金融関連への転職に役立つオススメの資格について考察した。例え経験がない業界に転職したとしても、資格は転職を優位に進めることは可能であることが当記事でわかった。
取得に向けて、仕事をしながら学習を進めるのであれば、学習時間を毎日ルール化するなどして必ず学習するなど効率的に取得できるようにする。もし取得までに時間がかかるようであれば、就職前に拘らず、必須でなければ就職後でも問題ない。
転職活動で最も重要で企業側が必要としているのは、資格でなく転職者の考えや想いであることを忘れないで、転職活動を進めよう。先行書類を丁寧に書く、面接の対策を十分に行うなども忘れずに行おう。
当記事をぜひ参考にして、新たな職場で必要とされる人材となってほしい。