暮らしだけではなく、働き方についても多様性が広がっている。これまで雇用についての大きな価値観として台頭していた「終身雇用」が衰退した。メディアをはじめ、様々な部分でIT化が進み、求人の情報も気軽に取得することができるようになったことで、転職に対しての考え方も変わり、チャレンジできる環境も整ってきた。そして、少子高齢化の人口のバランスから、企業側も優秀な人材をいかに獲得できるかが課題となっている。
様々な情報が手軽に取得できる分、人間の心理として、転職を考えた時に本当に次の仕事がスムーズに見つかるのだろうか、間違いなく転職できるのだろうかという不安に駆られることも増えている。また、募集が多いので転職にチャレンジしたものの、うまくいかずなかなか仕事に就けない人もいるかもしれない。
そこで今回は、転職における現状と成功率について解説していきたい。
転職の成功率はどれくらいなのか
「成功」という価値観は人それぞれ違うと言っても過言ではない。それぞれ、転職を目指した理由や目的によって「成功」とするところが変わる。しかし、どのような状況においても以前より何かが良い方向に向上したことを「成功」と言っていいだろう。
例えば、仕事が楽しいと感じるようになった、給与が上がった、人間関係が良好に転じた、ワークライフバランスが理想の形に上向いたなど様々だ。
厚生労働省が統計を取っている「中途採用に係る現状等について」から見てみよう。
15歳以上の男女で転職を希望した人の中で実際に転職した方の割合として、転職希望者全体の成功率は45.2%となっている。希望した中で約半数しか転職に成功していないと言える。数字としてはかなり厳しい数字だ。
年代別の成功率
全体の成功率は厳しい数字だったが、これを年代別に並べるとまた違ってくる。
15~24歳 | 60.7% |
25~29歳 | 50.3% |
30~34歳 | 41.9% |
35~39歳 | 41.9% |
15~29歳、つまり10代、20代に関しては成功率が50%を超えてかなり高くなってくるのだ。卒業後に一度就職をし、社会人を経験した後に退職し転職活動を行う第二新卒と呼ばれる人たちなども含まれており、ある程度の社会人の経験があり技術や能力などの面など、今後様々な期待ができる世代として、転職の成功率も高い状態にある。
30代になると年齢制限が出てくる、報酬が高くなることで採用を控える傾向にある。そして、仕事、職種が選べないと言っても過言ではない。さらに、40代、50代と年齢が上がるに従い成功率は低くなってくる。
やはり、年齢が低く経験を積みながら長く勤務してくれる人材を求めていることや、人件費の問題なども総合的に考えて、年齢により採用、成功率は変わってくる。
転職の成功率を上げるには
結果、数値としては先に述べたような数字が示されており、実際には転職は厳しい。求人が数多く転職サイトなどに並んでいるので仕事はいくらでもあると錯覚しがちだが、そうでないことを理解した上で研鑽を積んでほしい。なかなかすぐに希望の転職ができるかといえばそうでないことも多い。やはりその可能性を広げるには、自身のスキルアップが最も重要な課題となるだろう。
これまで採用に至らなかった企業について、職種や企業のレベルなどが自分の現時点でのレベルに合ったものなのかも含めて、自己分析を行ってみよう。転職に至った動機や目的、今後どのように働きながらどんな人材として活躍したいかなどのキャリアプランに至るまで、採用されるまでに自分に足りないものは何か振り返りをする。
そして、その足りないものを補うにはどのようなことをすればいいのか。その点が掴めていないと、応募書類や面接など全く見当違いのものになってしまい、書類選考の時点で残念な結果となってしまう。
そのほかにも、やはり自分の考えや今後のキャリアプランについての軸をずらさないことが大事だ。WEBなどからのさまざまな情報や、不採用が続くことの不安から軸がずれてしまうと、面接などでも不安が見えるなどこの人は何がしたい人なのかと思われることもあるだろう。そして、きちんと企業分析を行い、自分の考えやキャリアプランに沿った仕事ができる企業か、採用条件から仕事内容と共に福利厚生までしっかり求人票を確認しておこう。
また、企業選びの際に条件の良さ、掲載されている画像、業界のイメージなどで選択を行っていくとこんなはずではなかった、イメージと違ったというミスマッチが起こってくる。イメージに左右されることなく自分の納得の上で企業を判断することをおすすめする。
転職が成功する人とは
では成功する人はどんな人なのだろうか。先にも述べたように転職活動においては「自己分析」が採用を大きく左右する。自分の弱点、強みどちらもきちんと把握していることで、強みはアピールし弱みは改善できる。自分を知っているということは、それだけ自己PRが上手い、長けているということにも繋がる。
自分はこういう人材なのでぜひ採用してください、としっかりアピールできるくらいアピールできる自分になりたいものだ。そして自身のアップデートを繰り返しながら採用を手にすることができる。ほかに素直であることも一つだ。ある意味、自己分析ができるというのは、ありのままの自分を受け入れることになるが、つまりは素直でなければ受け入れることはできない。
転職に関わるエージェントやアドバイザー、他者の意見、客観的な意見も素直に受け入れることができれば、弱点を改善するなど新たな世界が広がる可能性もある。これはちょっと違うな、と思うことも他社の客観的な意見から成功につながるかもしれない。また、その素直な姿勢は採用後のポテンシャルの高さにもつながるので企業側からも良いイメージを持たれること間違いなしだ。
転職の成功率を上げるポイントを抑えよう
成功する人とそうでない人の差は、自分自身や採用試験を受けようとする業界や受験する企業などで必要とされている人材など、さまざまな部分で「ポイントを抑えられているか」というところに違いがある。
企業分析や自己分析を行い冷静かつ客観的に分析を行っている。さらに転職に至った自分自身の軸をずらさないようにしながら、自分の考えや今後のキャリアプランについて未来を描きながら転職活動をしていると言っても過言ではない。
これらのことがクリアできていれば、自信を持って自己PRができるようになる。それにはその根拠となる研鑽を積みながら前進していってほしい。