独立系ファイナンシャルアドバイザーであるIFAは、働き方の一つとして注目を集めている状況だ。
顧客の資産運用をトータルでサポートする仕事の本質は証券会社と同じであるものの、ワークスタイルを選べたり、提案できる商品ラインナップが増えたりする点に魅力を感じる人が増えている。
この記事では、IFAはどのような人がなっているのか、その前職や年齢層について、IFAに行ったアンケート調査の結果に基づき解説している。
IFAとして活動するのに欠かせない顧客基盤の作り方やIFAになる際の流れもまとめたので、IFAに興味のある人はぜひ参考にしてほしい。
どのような人がIFAになっているのか?
IFAとして働く際は、金融商品仲介業者として国から登録を受けているIFA法人に所属する流れが一般的だ。
IFA法人はさまざまな金融機関や証券会社と提携しており、IFAは提携先の金融商品のなかから顧客に最適な商品を提案し、資産運用・管理に携わる流れである。
IFAの業務は証券会社における営業と本質は同じであるものの、あくまで仲介役なのか、直接販売するのかという点に違いがある。
IFAの概要は上記のとおりだが、どのような人がIFAになっているかに関しては以下の3つに集約できるだろう。
- 年収アップを実現させたい
- 自由な働き方を手に入れたい
- 顧客に最適な金融商品を提案したい
以下でそれぞれについて詳しく解説するので、自身の転職ニーズにマッチするかどうか考えてみてほしい。
年収アップを実現させたい人
IFAになる人の特徴・傾向として、年収アップを実現させたいと考える人は特に多い傾向にある。
実際、年収アップについてはIFA業界に限った話ではなく、「キャリアップ=年収アップ」とも言えるため、当然と言えば当然だろう。
IFA法人への転職を検討するにあたって、必ず押さえておきたいのが転職後の働き方についてである。
IFA法人では、雇用契約または業務委託契約を締結して採用されるため、どちらを選ぶかによって年収アップの実現可能性は大きく異なるのだ。
雇用契約を締結する正社員型のIFAの場合、年収は500〜600万円が一般的なレンジになる。
一部のハイクラスポジションや成績が優秀な場合には年収1000万円も狙えるが、上限があるため注意が必要だ。
業務委託契約を締結する業務委託型のIFAの場合、成果報酬になるため年収は青天井と言っても差し支えないだろう。
正社員型に比べて収入の安定性に欠けるが、年収1000万円以上を狙うハードルはそこまで高くない。
上記のように、働き方によって目指せる収入のアッパーは異なるものの、IFAになっている人の多くが、年収アップの実現を目指しているのは事実だ。
自由な働き方を手に入れたい人
IFAになる人の目的の一つに、自由な働き方を実現したいというニーズを挙げる人も比較的多い印象である。
先ほど解説したように、IFAは法人と業務委託契約を締結して、フリーランス・個人事業主として働くことも可能だ。
フリーランスになれば働く時間や場所の自由が効きやすく、家族と過ごす時間を増やしたり、趣味に充てたりしやすくなるだろう。
価値観が多様化する昨今では、ワークライフバランスを重視した働き方も徐々に浸透してきている。
年収アップを実現して生活水準を高めたいニーズも理解できるが、年収アップよりも、日々の暮らしや時間を大切にしたい価値観も尊重されて当然だ。
ほかにも、証券会社などに勤めて毎月・毎日ノルマに追われる生活から脱却したい人もいるだろう。
業務委託型のIFAであれば、自分に課されるノルマはない。
もちろん、契約を取らなければ報酬もゼロであるため、自分を律して動き続ける自己管理能力が欠かせないのは言うまでもないだろう。
働き方に一長一短はあるものの、IFAとして自由な働き方を手に入れたい人が一定数存在するのも事実だ。
顧客に最適な金融商品を提案したい人
IFAへの転職を通じて、顧客に寄り添った提案をしたいと考える人もいる。
特定の企業に所属すれば、提案できる商品は自社で扱う金融商品だけだ。
ただし、顧客によっては自社の金融商品ではニーズを満たせず、他社商品のほうが最適というケースも想定される。
ほかにも、自社で扱えるのは金融商品だけで、資産運用・管理のためにさまざまなアプローチで提案したい状況にも直面しがちである。
この点、IFAとして働けば、IFA法人が提携している金融機関や証券会社の商品であれば自由に取捨選択できる。
商品ラインナップが豊富になれば、顧客への提案の幅も当然広がるだろう。
また、IFAとして金融商品だけでなく生命保険の提案をすることも可能だ。
相続対策や事業承継といった顧客のあらゆる相談・悩み事を解決するためには、IFAとして活動したほうが顧客のニーズを満たしやすい側面もある。
「IFAへの転職を通じて顧客に最適な商品を提案したい」という、仕事へのさらなるやりがいを求めている人も多いのが実情なのだ。
IFAになる前の前職は?
アドバイザーナビ株式会社が現役IFAを対象に行ったアンケート調査によると、IFAになる前の前職に対する回答は以下のとおりだった。
- 証券会社:69%(大手:45%、外資:2%、その他:22%)
- 銀行系:7%(メガバンク:4%、その他3%)
- 保険系:16%(保険会社:6%、保険代理店10%)
- その他8%:(不動産会社・税理士:各1%、その他:6%)
IFAになる前は証券会社に勤めていた人が圧倒的多数であることがわかる。
大手証券会社だけで全体の45%を占めており、業務の関連性の高さもあり、IFAを次なるキャリアとして選択するケースが極めて多いようだ。
証券会社の次に多いのが保険系で、保険代理店が10%という結果である。
この点、顧客の資産運用・管理を広義で捉えると、生命保険や医療保険などの各種保険も含まれるだろう。
保険商品を切り口に、金融商品の提案につなげるアプローチも取れるため、保険系からIFAへの転身もパターンとして想定しやすいと言える。
次いで銀行系となるが、金融に関する幅広い知識を備えていれば、IFAとしての基礎・素養は十分だ。
ただし、IFAとして顧客に対して具体的な金融商品の提案をするには専門資格が必要であり、別途資格の取得に向けた準備や対策は必要になるだろう。
IFAになっている人はどの年代?
先ほどのアンケート調査によると、IFAとして活動する人の年齢分布は以下のとおりだった。
- 30歳以下:9%
- 31〜35歳:22%
- 36〜40歳:23%
- 41〜45歳:7%
- 46〜50歳:7%
- 51〜55歳:8%
- 56〜60歳:10%
- 61〜65歳:7%
- 66〜70歳:5%
- 71歳〜:1%
年齢層のボリュームとして最も大きいのが30代で、全体の45%という結果である。
新卒で金融系の各業界に10年ほど従事し、次なるキャリアとしてIFAを選んだ背景が推察できる。
40代と50代を比べると、50代のほうが割合が高いのも特徴的だ。
これは、前職におけるポストに限りがあったり、さらなる昇進が見込めなかったりしたため、今まで培った専門知識を活かせる仕事としてIFAを選んだ人が多いからではないだろうか。
ほかにも、証券会社では営業部門の縮小が余儀なくされており、早期退職を迫られた結果として、セカンドキャリアを歩んでいるパターンも想定されるだろう。
30歳以下の若年層においても9%がIFAとして活動していることがわかる。
これは、若くして年収1000万円を目指せることへの憧れや、自由な働き方を求めるニーズの表れかもしれない。
いずれにせよ、30代を除き世代分布はある程度同じであり、各世代においてIFAへのニーズがあることがわかる結果だった。
IFAの外務員としての活動年数
先ほどとは別で、アドバイザーナビ株式会社が実施したアンケート調査の結果によると、IFAとして働く人の外務員活動年数は以下のとおりであった。
- 3年未満:10%
- 4年:4%
- 5年:6%
- 6年:7%
- 7年:3%
- 8年:5%
- 9年:5%
- 10年以上:21%
- 15年以上:13%
- 20年以上:26%
10年以上と回答した割合が全体の60%、10年未満と回答したのが40%という結果だ。
外務員経験は、IFAとして活動するうえでも必ず活かせるものである。
先ほど紹介したIFAの世代分布と照らし合わせると、前職は金融業界の第一線で活躍していた人が大半と言えるだろう。
逆に、外務員経験が10年未満の人は40%存在し、IFAとしての活動と外務員経験が直接的に関連するとは言えないのも事実だ。
顧客基盤はどうしているのか?
IFAとして働く人のバックボーンはある程度わかったが、転職後に最も気になるのが「顧客をどのように見つけるのか・開拓していくのか」ではないだろうか。
IFAのビジネスモデルは、契約した商品の手数料に対するバック率が源泉となっている。
もちろん、正社員型の場合は固定給が支払われるため仕組みは異なるが、根本的には同じだ。
ここでは、IFAとして活動を続けていくための顧客基盤をどのようにしているのか、3つの観点で詳しく見ていこう。
前職の人脈を活用する
IFAとして活躍の幅を広げていく初期段階に頼りになるのが、前職の人脈をフル活用することだろう。
実際問題として、前職との業務上・契約上の兼ね合いがあり、当時の顧客と連絡が取れないこともあるため注意が必要だ。
当時の顧客と連絡が取れないとしても、前職時代の職場の同僚や上司などから顧客を紹介してもらうことはできるだろう。
ほかにも、人脈を新たに作る方法として以下が考えられる。
- 自らオフラインの資産運用セミナーなどを開催して集客する
- SNS発信を通じて集客し、顧客を掘り起こす
- さまざまなコミュニティに参加して人脈を広げる
上記は人脈の「活用」というより、人脈の「拡大」に向けた施策だ。
今ではSNSを使えば見込み顧客の獲得も十分可能である。逆に、オフラインによるセミナーは参加者と直接対話できるため、将来的な顧客になりやすいだろう。
既存の人脈を活用しつつ、新たに広げる取り組みが欠かせないだろう。
紹介をもらえる関係性を構築する
IFAとしての活動基盤をさらに盤石なものにするためには、自ら営業するのではなく、顧客から新しい顧客を紹介してもらえるような信頼関係の構築が重要だ。
自分で新たな顧客を探していくのは焼畑農業に近いため、いつか頭打ちを迎えるだろう。
そのため、資産運用や管理を任せてもらえた既存顧客とのエンゲージメントを高める努力が必要なのだ。
顧客と厚い信頼関係を構築できれば、自身が抱えるより深い悩み・相談を打ち明けてもらえる可能性もある。
その悩みに対して適切なアプローチ・提案ができれば、結果的に収入アップにつながるだろう。
自分だけの力で顧客数を増やし続けることには限界があるため、顧客に対して狭く深いアプローチを心がけて、紹介をもらえる関係性の構築を目指すことも重要だ。
正社員型の場合は安定しやすい
上記はおもに業務委託型のIFAなら誰もが直面する課題であり、乗り越えなければならない壁になる。
一方、正社員型のIFAの場合、所属する法人から顧客を紹介してもらえる場合もある。
かと言って営業活動がゼロになるわけではもちろんないのだが、IFAの駆け出し期においては助かるだろう。
業務委託型のIFAで最も苦労するのが、最初の顧客を獲得するまでである。
そもそもIFAは認知度が低く、一部の手数料稼ぎに奔走するIFAによって、業界イメージもマイナスな状況だ。
このような背景も重なり、活動初期における顧客の獲得は特に苦労しやすい。
この点、正社員型であればIFAとしてのスタートを切りやすい側面があることを覚えておこう。
IFAになる際の流れとは?
IFAへの転職に関して、一般的な転職活動よりも注意すべき点がいくつかある。
そもそも、IFAが国内に普及したのは2004年のことで、市場ができてまだ20年しか経過していない。
そのため、IFAに関する情報はあまり出回っておらず、IFA法人の詳細な情報も限られている状況だ。
ここでは、IFAになるまでの流れとポイントに関して、4つの観点で解説しよう。
- IFAとしてのワークスタイルを決める
- IFAに必要な資格を取得する
- 提案に必要な知識を身につける
- 転職エージェントを有効活用する
それぞれを押さえておけば、スムーズにIFAへの転職活動を実現させられるだろう。
IFAとしてのワークスタイルを決める
IFAになるにあたり、最初に決めておくべきなのがワークスタイル・働き方だ。
記事前半でも解説したように、IFAに関しては以下2つの働き方から自身に合うほうを選ぶ必要があり、選択によって考え方や必要な対策・準備なども異なる。
- IFA法人と雇用契約を締結する正社員型IFA
- IFA法人と業務委託契約を締結する業務委託型IFA
正社員型のIFAであれば、一般的な転職活動と同じ流れで転職先を探せば大きく失敗することはないだろう。
業務委託型の場合、契約内容や待遇に関しては慎重に判断する必要がある。
IFA法人によっては、社会保険に加入できるハイブリッド型の働き方を選択できる場合もあり、募集要項のチェックは一般的な転職活動よりも丁寧に行ったほうがよいだろう。
法人の取り扱い商品や社風などに魅力を感じても、契約形態がマッチしないのは本末転倒だ。
そのため、先にワークスタイルを決めたうえで、実現可能な転職先を探すのがおすすめである。
IFAに必要な資格を取得する
IFAとして活動するには、顧客の前で金融商品の提案をするための証券外務員資格が必要である。
証券外務員の資格がなければ顧客に具体的な商品を提案できないため、現職で外務員を経験していない場合は取得が欠かせない。
言い換えると、証券外務員資格があればIFAとして働けるため、多くの人が条件としてクリアしているだろう。
ほかにも、保険商品も提案したい場合には生命保険募集人などの各種保険商品の提案資格も取得する必要がある。
ちなみに、資産運用と親和性の高いライフプランのシミュレーションについて、FP資格が必要と感じる人がいるかもしれない。
この点について、FP資格は必ずしも必要ではなく、提案の際の権威性として取得しておいて損はない程度だ。
少なくとも証券外務員資格は必要になるため、より広範囲な金融商品を扱える一種資格は事前に取得しておこう。
提案に必要な知識を身につける
IFAとして専門性や権威性を出し、顧客との信頼獲得に勤めるためには、金融に関する幅広い知識も欠かせない。
この点はIFAに限った話ではなく、どの業界に身を置いたとしても、専門的な知識なしに活躍していくのは困難である。
日々の経済ニュースに目を通しておくのはもちろん、法人として扱える金融商品の最新情報をアップデートしておく必要もあるだろう。
顧客の資産運用にまつわる悩みは、相続や事業承継などといった広範囲にわたる場合もある。
顧客と良好かつ長期的な関係を構築していくには、「どんな相談をしても的確なアドバイスや解決策を提示してくれる、頼りになる存在」を目指す必要があるだろう。
そのための前提として、金融に関する幅広い知識は必須である。
転職エージェントを使って効率よく転職活動する
IFAへの転職に関しては、情報量の少なさもあるため、転職エージェントは必ず利用しておこう。
最近では、IFA業界に特化した転職エージェントも少しずつ出てきているため、効率よく情報収集するためにも活用しない手はないだろう。
なかでも、「IFA転職」はキャリアコンサルタントがIFAを経験しているため、転職後の疑問点や業務遂行にあたっての不安な箇所を都度質問できる。
カウンセリングを踏まえた求人の紹介はもちろん、面接日程の調整やIFA法人との条件交渉はすべてサポートしてくれる。
さらに、「IFA転職」の場合は転職後の業務についてもサポート対象となっているため、安心して転職活動を進められるのが特徴だ。
利用者からの口コミ・評判も高いため、IFAへの転職を検討している人は相談することから始めてみてもよいだろう。
まとめ
IFAとして活動している人には、年収アップや自由な働き方を実現したい、顧客に本当に必要な商品を提案したいなどの背景がある傾向だ。
前職としては業務の類似性もあり、証券会社に勤務していた割合が約7割と多数を占めている。
年齢層としては30代が約半数で、その他の年齢層は大差なく、およそ均等に分布している状況だった。
IFAとして活動していくには、顧客基盤をいかにして構築するかが鍵を握り、スムーズに転職を成功させたい場合は転職エージェントを利用するのがおすすめだ。
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