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証券会社の退職金相場を大推察

定年が近づいて退職が身近になった時や、転職等で仕事をやめる時、「退職金はどの程度もらえるのだろう」と考える方が大半だろう。

会社の退職金規定をみれば答えはわかるものの、社内のRUNシステムに退職金規定にアクセスして形跡を残しておきたくないものだ。

本稿は、証券会社の退職金の相場を探る記事である。東京都が発表している「中小企業の賃金・退職金事情」を軸に、複数のデータを組み合わせて、推計した。

この記事を読むことで、会社規模別の定年退職金、自己都合による退職金の金額の相場をイメージできるようになるはずだ

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目次

東京都の金融業・保険業(中小企業)の場合

金融業・保険業(中小企業)定年退職金は、1,422万円

証券会社の退職金を調査するのにあたり、いろいろな統計データをリサーチした。ずばり回答となるデータにはたどり着かなかったものの、もっとも回答に近いデータは東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」であった。

調査対象は「従業員が10人~299人の都内中小企業」である点。さらに証券会社に限定されず「金融業・保険業」としてのデータになっている点をお含みおきの上、ごらんいただきたい。

データによると、金融業・保険業(大卒のみで高卒のデータなし)の退職金平均額1,442万5,000円だ。

金融業・保険業(東京都/中小企業)退職金の金額

勤続年数(年齢)自己都合退職会社都合退職
1年(23歳)15万3,000円
3年(25歳)42万円24万9,000円
5年(27歳)64万6,000円56万8,000円
10年(32歳)127万4,000円155万8,000円
15年(37歳)288万8,000円323万1,000円
20年(42歳)423万1,000円474万6,000円
25年(47歳)572万5,000円697万7,000円
30年(52歳)999万6,000円993万7,000円
33年(55歳)1,137万7,000円1,025万2,000円
定年(60歳)なし1,442万2,000円
出典:東京都産業労働局 「中小企業の賃金・退職金事情」(令和4年版)(2022年12月調査)

自己都合退職の退職金は、会社都合退職の8~9割程度

次に、退職事由による退職金額の違いに着目する。

勤続年数5年(27歳)以降のデータを見ると、自己都合退職の退職金は、会社都合退職の8~9割であることがわかる。

また、勤続年数が長くなればなるほど、退職事由の差異は小さくなる傾向がみられる。

会社規模および学歴による退職金の金額

大企業の定年退職金は、中小企業より約800~900万円多い

学歴別に退職金を比較すると大学卒と高校卒では、各々おおむね1割程度の違いが見られるにすぎない。

会社規模および学歴による定年退職金の金額

大企業中小企業
大学卒2,185万円1,319万円
高校卒2,017万円1,277万円
出典:〈大企業〉厚生労働省中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」〈中小企業〉東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」(2022年8月調査)

一方会社規模に着目すると、大企業と中小企業との退職金は概ね800万円以上も違うことがわかる。特に大卒では約900万円の差がある。

金融業・保険業(大企業)定年退職金は、推計2,322万円

前章で、金融業・保険業(中小企業/東京都)定年退職金は、1,422万円であった。さらに大卒の大企業の定年退職金は中小企業より900万円程度高いことが分かった。

この2つのデータから単純に計算すると、金融業・保険業の大企業における定年退職金は、1,422万円 + 900万円 = 2,322万円程度と推察される。

入社5年目、金融業・保険業(大企業)における自己都合の退職金は

入社10年目までの大企業における自己都合の退職金の推計

前掲の表「金融業・保険業(東京都/中小企業)退職金の金額」では、金融業・保険業(東京都/中小企業)の5年(27歳)の会社都合時の退職金は64万6,000円、10年(32歳)の退職金は127万4,000円であった。これらの数値から金融・保険業の大企業における自己都合の退職金を推計していく。

下のグラフは「会社規模・退職事由」と退職金額との関係を示している。数値は大学卒の推定できる金融・保険業における大企業の退職金(単位は万円)だ。また、グラフ中のモデル退職金というのは大学卒業後すぐに入社した場合の退職金である。

また、計算方法としては

(金融・保険業における大企業の自己都合退社での退職金)=
(金融・保険中小企業の自己都合退社での退職金)×(大企業における自己都合のモデル退社での退職金)÷(中小企業の自己都合のモデル退社での退職金)

とした。

つまり、大企業全体の中小企業全体に対する退職金の増加率は、金融保険業においての大企業と中小企業でも同様の増加率を示すことを仮定して計算している。

勤続年数別退職金金額(モデル退職金/大卒)

出典:東京都産業労働局 「中小企業の賃金・退職金事情」(令和4年版)厚生労働省中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査 調査結果の概要・集計表」より作成

金融業・保険業(大企業)の自己都合時の退職金

前述の退職金の推計をすることで、証券業が含まれる金融業・保険業(大企業)の自己都合での退職金は、勤続年数5年(27歳)で78万円程度勤続年数10年(32歳)で185万円程度と推察される。

20年で1,000万円以上減った退職金

本稿では、各種データを組み合わせて退職金の金額を推計した。退職事由や会社規模、勤続年数による退職金の算出に挑戦した。思ったより高い金額だと思っただろうか?それとも想像以上に低い金額であっただろうか?

最後に1点、お伝えしたいことがある。

それは退職金はおおよそ20年で1,000万円以上減っていることだ。

定年退職金の推移

出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」厚生労働省「平成20年就労条件総合調査」労働大臣官房政策調査部産業労働調査課「平成15年就労条件総合調査」労働大臣官房政策調査部産業労働調査課「平成9年賃金労働時間制度等総合調査」(2022年8月調査)

実際に自己都合退職をするには、相応の理由や目的があるはずだ。退職金の金額より、退職の理由や目的にかなう「新しい働き方・職場」を見つけることが大切だ。しかし、目的や希望条件にかなう「新しい働き方・職場」を見つけることはなかなか難しい。インターネット上にはさまざまな情報があふれているものの、自分が本当に知りたい情報があるとは限らない。

社内での評価制度はどのようになっているのか?何をしたら給与は上がるのか?研修はどの程度の頻度で実施されるのか?など働く際に必要な情報がなかなか手に入らないのが現状だ。

企業にかかわる情報取集や、確認には、転職アドバイザーが役立つ。

アドバイザーは書類をブラッシュアップしてくれたり、面接でのアピールポイントをアドバイスしてくれる。また最近の転職市場の動向や、非公開の求人情報を教えてくれることもある。採用プロセスが進む過程では年収や入社時期の交渉もしてくれる。

退職金は気になるかとは思うが、是非前向きに新しい働きかた・職場探しに関心を寄せて、キャリアアップを図ってほしい。

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