証券会社の営業社員は、営業スキルの習得とともに資格の勉強も進めていかなければならない。取得が必須となる資格もあれば、会社から推奨されている資格もあるため、自分のなかで優先順位を決めながら学習計画を立てることが大切だ。
この記事では、証券会社社員の資格について「必須となる資格」「取得が推奨される資格」「取得をおすすめする資格」の3つに分けて解説していく。
本記事を参考に資格の学習計画を立てて、今後のキャリアに活かしていこう。
証券会社で必須となる資格
まずは、証券会社で業務を行なっていく上で必須の資格について解説していく。
優先順位がもっとも高い資格であるため、確実に合格できるように勉強しておこう。
証券外務員
証券会社の営業社員は「証券外務員」の資格を必ず取得しなければならない。
なぜなら、証券外務員資格を持っていないと、株や投資信託などの金融商品の販売・仲介ができないためだ。
証券外務員には二種と一種の2つの試験があり、一種を取得すると信用取引やデリバティブ取引などのハイリスクな商品も取り扱えるようになる。証券会社に勤める場合は、基本的に一種の取得を求められるだろう。
証券外務員資格は70%前後の合格率であり、独学でも十分に合格できる資格だ。
入社前に取得を求められるケースが多いため、内定している学生や中途採用で入社する人は早めに学習を始めて確実に合格しよう。
生命保険一般課程試験、生命保険専門・変額課程試験
生命保険を取り扱う証券会社の場合、「生命保険一般課程試験」と「生命保険専門・変額課程試験」の取得も必須となる。
生命保険一般課程試験に合格すると「定額保険」が取り扱えるようになり、生命保険専門・変額課程試験の受験資格も与えられる。
そして、生命保険専門・変額課程試験に合格・登録をすると「変額保険」も取り扱えるようになる。
会社を通じて受験を申し込むため、入社してから学習することになる。ほかの資格の勉強などもあるため、一発で合格できるようにしっかりと勉強しておこう。
取得が推奨される資格
証券会社に所属している営業社員は、以下の資格の取得を会社から推奨されるケースが多い。
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 宅地建物取引士(宅建)
- 普通自動車免許
社内での評価や顧客からの信頼にもつながるため、必須の資格を取得した後は上記の資格を目指していこう。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナー(FP)とは、税金や保険、年金、資産運用などの専門知識を体系的に学習できる資格だ。
幅広い分野について学習できるため、金融機関では取得を推奨される資格である。
FPの資格には、国家資格である「FP技能士」の1〜3級と民間資格の「AFP」「CFP」がある。
証券会社では、FP2級またはAFPの取得を最低限求められることが多い。さらに専門的な知識を身に付け、顧客への提案スキルを高めたい人はFP1級やCFPもおすすめだ。
自らの付加価値を高めるためにも、幅広い金融知識を身に付けられるFPの資格を目指していこう。
宅地建物取引士(宅建)
金融系の資格ではないが、宅地建物取引士(宅建)も証券会社で推奨されることが多い資格である。
宅建を取得すると、不動産取引の際に行う重要事項説明や契約書面への記名・押印などの独占業務ができるようになる。実際のところ、証券会社の社員が直接不動産の取引を仲介することはほとんどない。
しかし、顧客のなかには不動産の購入や売却などを検討しているケースもあり、不動産の知識が必要となる場面はある。
宅建を持っていることで不動産取引に関するニーズを聞き出せたり、顧客との信頼関係が深まったりする可能性もあるため、時間をかけて取得を目指したい資格だ。
普通自動車免許
証券会社に入社すると、まずは地方の支店に配属されるケースが多い。地方で取引先を回るためには自動車での移動がメインとなるため、普通自動車免許の取得が必要となる。
もちろん、最初の頃は先輩社員と一緒に取引先を回るケースが多く、自分で運転ができなくても営業に行くことは可能だ。
しかし、自分の担当顧客に営業へ行く際、自分で自動車を運転できるようになっておく必要がある。
証券会社によっては普通自動車免許の取得を必須としているケースもあるため、就職・転職を検討している場合は取得を目指していこう。
証券会社社員におすすめの資格
次に、証券会社社員におすすめの資格を紹介していく。
- TOEIC
- 証券アナリスト(CMA)
- 米国証券アナリスト(CFA)
いずれも証券会社での業務に直接関わることは少ないものの、キャリアアップを目指す場合に活きてくる資格だ。
今後のキャリアアップを目指している人は、上記の資格を目指してみよう。
TOEIC
TOEICとは、国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する試験である。
英語でのコミュニケーション能力やビジネス能力を図ることができ、スコアで評価される仕組みの試験だ。国内の証券会社に勤務する場合、実際に業務で英語を使う場面は多くない。
しかし、海外のマーケット情報を調べる際には英語のレポートなどを読むことがあるため、英語力が必要となるだろう。
また、外資系の金融機関に転職したい場合は、英語力は必須になる。TOIECの勉強を通じて英語力を身に付け、キャリアアップを目指していこう。
証券アナリスト(CMA)
証券アナリスト(CMA)とは、企業の財務分析や金融商品の仕組みなどを専門的に学習する資格である。
金融・投資のプロフェッショナルの証でもあるため、資格を持っていると顧客や社内で高い評価を得られるだろう。
ただし、一次試験の合格までに200時間の勉強時間が必要とも言われており、ややハードルが高い。高度な金融知識や企業分析のスキルを身に付けるために、計画的に学習を進めていくことが重要だ。
米国証券アナリスト(CFA)
米国証券アナリスト(CFA)とは、金融系資格の最難関と言われている資格である。高度な金融知識を求められる上に、問題がすべて英語で出題されることが特徴だ。
海外の金融機関ではCFAの取得を採用の条件としている場合もあり、取得することでキャリアの選択肢が一気に広がる。英語力を有していることの証明にもなるため、転職や希望部署への配属でも有利になるだろう。
もちろん取得するまでの道のりは並大抵のものではないが、資格を取った場合のリターンは非常に大きい。
計画的な学習計画を立て、継続的に勉強をしていこう。
今後のキャリアを考えて資格を取得していこう
証券会社は、さまざまな資格が必須だったり、取得を推奨されたりしている。
激務の証券会社で資格を取得するのは大変かもしれないが、今後のキャリアに役立つ資格ばかりだ。
資格のなかで優先順位を付けながら、計画的に学習を進めていこう。