- 銀行員の転職が難しいと言われる理由が知りたい
- 銀行員が転職活動で評価されるポイントを知りたい
- 銀行員から転職したい
「今よりもステップアップして自分自身のスキルを高めたい」「もっとプライベートの時間を充実させたい」
このような理由から、転職を考えている人も多いのではないだろうか。近年では、新卒で入社した会社を定年まで勤め上げるというよりも、転職してキャリアをアップしていくという風潮が強くなりつつある。
ただ、銀行員は転職が難しいと言われるケースも少なくない。
そこで本記事では、銀行員のよくある転職理由を深掘りしつつ、転職が難しいと言われる理由や転職活動の際に評価されるポイントについて解説していく。
現在銀行員で将来的に転職を検討している方は、最後まで読んで今後の転職活動の参考にしてほしい。
銀行員のよくある転職理由
銀行員のよくある転職理由としては、主に以下の5つが挙げられる。
- 業界の将来性に不安を感じた
- 全国転勤が嫌
- プライベートの時間を確保したい
- 今よりも成長したい/年収を上げたい
- 他に行いたいビジネスがある
それぞれ詳しく見ていこう。
業界の将来性に不安を感じた
新型コロナウイルスの影響により、対面営業が大きく制限されることとなった。
これにより、実店舗を多く保有する銀行においては、近隣の支店との統廃合などにより店舗数を減らして、コストカットに踏み切るケースも増えている。
それだけでなく、近年では、オンライン上で簡単に送金手続きができるインターネットバンキングやスマホアプリを通じて手軽に支払いができるウォレット機能の整備など、顧客が銀行に求めるサービスに違いが出てきているのも事実だ。
また、個人情報保護の観点よりセキュリティ面の規制が一段と厳しくなることから、多角化するサイバー攻撃への対応やESG※を意識した業務運営の確立など、大きな変革を迫られる時期に差し掛かっている。
※Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取ったもので、持続可能な社会の実現に向けて取り組むべき課題のこと
このことから、銀行業界の将来性に不安を感じ、転職を検討する人が多いのだ。
実際に弊社が20代で転職した銀行員を対象に実施したアンケートでも、転職理由として業界の将来性への不安を挙げた回答者が最も多かった。
将来のキャリア設計を描けない、というのは十分な転職理由になり得るのである。
全国転勤が嫌
全国転勤をしたくない、という理由で転職をする人も少なくない。
例えば、メガバンクの場合は全国各地に支店等があり、銀行によって異なるものの大体3〜5年程度のスパンで転勤することとなる。
そうなると、家族がいる方の場合は家族の生活拠点についても考えなければならない。家族には今のままの生活を続けてもらい自分が単身赴任するのか、家族全員で転勤先に引っ越すのか。
また、土地勘がないだけでなく知り合いもいない場所へ転勤になると、転勤先で新たに人間関係を構築する必要がある点もネックになるだろう。
このことから、転勤をせずに同じ場所で働ける会社への転職を考えるのだ。
プライベートの時間を確保したい
銀行員の場合、幅広い金融知識を身につけた上でお客様にご提案する必要があることから、証券外務員資格や生命保険および損害保険の募集人資格など、さまざまな資格の取得が求められる。
もちろん、資格取得のための勉強は勤務時間中にはできないため、業務終了後や休日などに時間を割いて取り組まなければならない。
加えて、リテール担当の場合は、飲み会やゴルフなどで取引先への接待を行うケースも多いだろう。
そうなると、自らのプライベートの時間が確保できず疲弊してしまう。
そのため「土日祝日などの休日をしっかり確保したい」「残業が少ない会社がいい」など、プライベートの時間を確保するために転職を考える人が多いのだ。
今よりも成長したい/年収を上げたい
銀行にはさまざまな部門が存在するため、所属する部門や担当業務によってはルーティン業務となるケースもあり、自分自身にスキルが身につかないと感じる方もいる。
そのため、新たなスキルを身につけ自分自身の成長につなげるために、転職を選ぶ人も多いのだ。
また、銀行には年功序列制度が根強く残るところもあり、高い成果をあげたとしても給与が上がりづらいという特性がある。
このことから、若手でも高い評価が得られれば高い給与・インセンティブが得られるといった「実力主義」の企業に転職を希望する人もいるのだ。
他に行いたいビジネスがある
「銀行ではできないビジネスに挑戦したい」という理由で転職をする人もいる。
例えば、銀行でリテールを担当していると、資産運用に向けた金融商品の提案や個人向けの住宅ローン、中小企業向けの融資といった業務を行うこととなる。
しかし、経験を重ねるにつれて「金融サービスをより便利にするためのシステム導入に向けた営業を行いたい」「多くの経営者と商談を行った経験を活かして、経営コンサルティングを行いたい」といった新たな目標ができることもあるだろう。
そのため、新たな目標を達成するために、転職したり起業をしたりする人も多いのだ。
銀行員の転職が難しいと言われる理由
ここでは、なぜ銀行員の転職が難しいと言われるのか、その理由について見ていくと同時に、銀行員が転職を成功させるために必要な3つのフェーズについて解説していく。
なぜ銀行員の転職は難しいのか
銀行員の転職が難しいと言われる理由として、銀行には多数の部門が存在するため「スキルが見えにくい」ことが挙げられる。
例えば、不動産会社や証券会社のリテール部門の場合「営業力がある」というイメージを持つだろう。しかし、銀行員の場合はそういった共通イメージがない。
また、所属している部門や担当業務によって専門性や知識に差があるのも事実であり、銀行員だからといって全員が金融に関する知識が豊富であるとは限らないのだ。
そのため、採用企業サイドも専門性やスキルが見えにくい銀行員を採用したい、とはなりづらい傾向にある。
その代わり、銀行員と比較して「営業力」というスキルが見えやすい証券会社出身者や、さまざまな課題を的確に認識しそれらを解決するための具体的な戦略立案等ができるコンサル業界出身者を採用したい、となってしまうのだ。
銀行員の転職成功に必要な3つのフェーズ
銀行員はスキルが見えにくいため、転職が難しい傾向にあると述べた。しかし、銀行員以外にも商社など同様の境遇に見舞われる職種は多い。
そのため、転職の難易度としては「どの業界出身であるか」だけでなく「どのような業務を担当してきたか」といった点で左右されることとなり、転職エージェントに相談しても的確な提案を受けづらいという課題もある。
銀行員が転職を成功させるには、以下3つのフェーズが必要だ。
- 自分を理解してくれる転職エージェントに相談すること
- 自分の能力が発揮できる会社を見つけること
- 内定を勝ち取ること
転職は、人生に影響をもたらす一大イベントである。自分や家族にとっていい選択となるよう、自分を理解してくれて信頼のおける転職エージェントに相談することが重要だ。
また、自分の能力が発揮できる会社を見つけることも、転職を成功させる上で大切なポイントとなる。
今までの実務経験や保有している資格を活かせるのかを踏まえ、転職エージェントとともに適切な会社を見つけてほしい。
そして、最も重要なのが「内定を勝ち取ること」だ。自分の実務経験やスキルを活かせて希望とマッチした会社を見つけられても、内定が取れなければ意味がない。
内定に近づくには、主に以下の3つを実施する必要がある。
- 自分自身の実務経験やスキルの棚卸し
- 転職する業界の研究
- 面接の対策
中途採用にエントリーするためには、まず履歴書や職務経歴書の提出が必須となる。
これらを作成するにあたっては、今までどのような職種を担当してきたのか、どのような実績を残したかなど、自分自身の実務経験やスキルを棚卸しし、適切に言語化することが重要だ。
加えて、転職する業界の研究も必ず実施しなければならない。業界研究を踏まえ、自分のどのような実務経験が活かせるのかを明確にしておこう。
最後は面接の対策だ。想定される質問を洗い出し、それに対する回答を準備しよう。
転職活動は、普段の業務を行いながら業務終了後や休日に取り組むこととなるだろう。
「自分自身の経験やスキルの棚卸し」「転職する業界の研究」「面接の対策」は、自分一人でやるのではなく、転職エージェントの力も借りながら進めてほしい。
そうすることで、自分自身を客観的な視点から見つめ直せ、転職活動の成功につながるはずだ。
銀行員の転職活動における市場価値
ここでは、以下の2つについて解説していく。
- 銀行員が転職活動で評価されるポイント
- 銀行員の転職活動で評価されにくいポイント
それぞれ見ていこう。
銀行員が転職活動で評価されるポイント
銀行員が転職活動で評価されるポイントとしては「営業成果」および「専門性」の2つが挙げられる。
営業成果については、一般的に以下の順番で評価されることとなる。
- 同期や同職位の中で上位10%以内など特筆した成果を収めた
- 同期や同職位の中で上位30%以内など相対的に優れた成果を収めた
ただ、この営業成績に関しては、20代半ばくらいまでは特段重視されないケースもある。
なぜなら、若い世代は柔軟性が高く、新たな業務に対する適応力が高いと考えられるからだ。
また、特筆した営業成績を収めていなくとも、学歴や現在勤務している会社の規模、英語力等があるのであれば、その点が評価されることもある。
続いて専門性については、リテール部門の場合保有している資格が評価の対象となる。具体的に評価される資格とその概要は以下のとおりだ。
資格名称 | 内容 |
---|---|
1級ファイナンシャル・ プランニング技能士 | 資産運用や保険、相続など金融に関する高度で幅広い知識が求められる国家資格 |
CFP (Certified Financial Planner) | 日本のみならず、諸外国においてもファイナンシャル・プランニング業務を行うことが認められている資格 |
証券アナリスト | 株式や債券などの有価証券を発行する企業が適切な投資先であるか、財務諸表などの分析によって企業の将来性等について判断するための資格 |
宅地建物取引士 | 土地や建物などの不動産取引において、宅建士の独占業務である「重要事項の説明」などが可能となる資格 |
日商簿記2級 | 商業簿記に加え、工業簿記に関する高度な知識が求められる資格 |
評価が高いのは、以下の順となる。
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP(Certified Financial Planner)、証券アナリスト
- 宅地建物取引士、日商簿記2級
なお、保有する資格の「数」はあまり評価されず、ハードルが高い資格を持っている方が高い評価を受ける。
例えば、宅地建物取引士と日商簿記2級の2つの資格を保有している方と1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持っている方が比較された場合は、後者の方が評価が高くなる傾向にあるということだ。
さらに、年齢が35歳以上である場合など、ある程度年次が上の方であれば、資格の有無のみならず保有する資格に基づいた実務経験が求められる点は覚えておいてほしい。
銀行員の転職活動で評価されにくいポイント
銀行員の転職活動においては、さまざまな部門が存在するという特性上、会社としての特徴や強みが見えづらいため、コングロマリッド・ディスカウント※を受けてしまう。
※多くの部門を抱える企業の価値が、各部門ごとの企業価値を合計したときよりも低く評価されてしまうこと
銀行員は比較的高学歴な人が多いものの、採用人数が多い分野であるのも事実だ。それだけでなく、「営業力がある」「金融知識が豊富」といった共通認識もあまりない。
そのため、例えメガバンクに所属していたとしても、所属しているということだけを持って高い評価を受けることはないのだ。
20代〜30代の若い世代の人が将来的な転職を見据えて銀行で働き続けるのであれば、先述した「上位30%以内に入る高い営業成果」や「保有資格をもとにした実務経験といった専門性」を強く意識して業務に励むようにしてほしい。
難易度の高い銀行員の転職を成功させるには
本記事では、銀行員のよくある転職理由を深掘りしつつ、転職が難しいと言われる理由や転職活動の際に評価されるポイントについて解説した。
銀行員が転職活動をする場合、年次が上がれば上がるほど市場価値は低減してしまう。しかし、専門性の高い資格をもとにした実務経験などがあれば、その点が評価されるケースも多い。
そのため、目に見える高い営業成果を収めたり、専門性の高い資格を取得したりすることでリスクヘッジをしてほしい。
また、今すぐ転職活動を行おうと考えていなくとも、将来的に転職する可能性があるのであれば、早めに転職エージェントにキャリアプランに関する相談をすることがおすすめだ。
なお、転職エージェントは全国各地に多く存在するが、中でもアドバイザーナビは金融業界特化型の転職エージェントである。相談料も無料であるため、まずは気軽に相談してみてほしい。