30代で金融業界から転職するには？おすすめの転職先と転職成功のポイントを解説

銀行、証券、保険など金融業界の仕事は人気が高い。一方で、「ノルマがきつい」「先行きが不透明」といった理由から、30代で転職を考える人は多い。

しかし30代といえば人生において、より大きな責任が生じやすい年代だ。転職は慎重に検討し、正しい判断を下さなければいけない。

そこで本記事では、金融業界における30代の転職実態と、おすすめの転職先、さらに転職を成功させるポイントを解説している。

「30代だが転職すべきかどうか」と迷っている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。

金融業界における30代の転職実態

それでは早速、金融業界における30代の転職実態を解説する。まずは、30代で金融業界から転職する理由を整理しよう。

30代の金融業界人材が転職する理由とは？

30代の金融業界人材は、主に次のような理由から転職するケースが多い。

「業界の先行きが不透明で不安」という転職理由は、30代の金融業界の人材に多いだろう。

先行き不透明な社会情勢や、AIなど先進テクノロジーの登場などにより、金融業界が受けるインパクトは非常に大きい。

それに伴い、人事異動、リストラ、企業買収・合併、倒産などが起こるリスクは、決して低くないのだ。

将来性がより安定している業界に転職したくなるのは、ごく自然なことだ。

一方で、「同じ職場にいてもスキルが広がらない」という向上心から転職したいと考える人もいる。

金融業界は多様なスキルを身につけるほど専門性が高まり、幅広いビジネスを展開可能だ。

したがって、他業種に転職しスキルを広げ、段階的にキャリアアップすれば年収アップも難しくない。

その他の理由については、ライフスタイルの変化に伴うものや、一定の地域に根ざした生活がしたいとなどの気持ちに起因するものが多い。

35歳でも可能？金融業界の転職期限について

金融業界の人材でも「35歳以上は転職が難しい」と考えている人も多い。しかし、キャリア計画によっては35歳でも転職は十分可能だ。

まず、異業種への転職は20代でないと難しいケースが多い。20代の人材と30代の人材とでは、成長性や希望年収の観点から、20代の人材の方が高く評価されやすいためだ。

したがって、30代の転職においてはしっかりと形成され始めたキャリアを高く評価する業界・業種に転職するのがセオリーだ。

たとえば、証券会社のウェルス・マネジメントやプライベート・バンク業界は、30代以上の人材でないと転職が難しい。

富裕層相手のビジネスなので、金融業界で長い経験があり、スキル・提案力が身についていないと顧客から信頼されにくいためだ。

また、例えば現職が証券サービスの人材は、銀行、信託銀行、IFA、オペレーティングリース、不動産などの類似業界にて即戦力として評価されるケースも多い。

このように、35歳以上でも転職先をしっかり選ベば、良いキャリアを描くことができる。

30代の金融業界人材は転職で年収が上がるのか

結論から言って、30代の金融業界の人材は、転職によって年収が上がる可能性は十分にある。ただし、業種によって年収がどう変わるかは大きく違う。

金融業界といっても銀行、証券会社、保険会社など業種は幅広く、それによって平均年収も変わるためだ。

たとえば、日経転職版の年収調査によれば、30代銀行員の平均年収は「651万円」となっている。信託銀行や証券会社に転職し、素早く実績を出せれば30代で1,000万円以上の年収も夢ではない。

証券会社の人材なら、外資系プライベート・バンクやIFA（独立系ファイナンシャル・アドバイザー）に転職し、富裕層・準富裕層などを相手にした仕事で、年収を大幅にアップできる可能性がある。

具体的に言えば、実績によって1,000〜2,000万円の年収を獲得できるだろう。

保険会社の人材で個人営業の場合は、保険代理店やIFAに転職し、取り扱える金融商品の幅を広げるのがポイントだ。金融商品に対する知識や提案スキルを高めながら、同時に年収アップも狙える。

以上のように、30代の金融業界の人材が転職で年収を上げることは大いに可能だ。

30代の金融業界人材の主な転職先

30代の金融業界の人材はどのような企業に転職しているのか。驚くことに、「異業種へ転職する人」が多い。

リクルートエージェントが発表したレポートによると、金融業界の転職市場において、異業種へ転職した人の割合は57.6％だ。他業界と比較してみても、異業種に転職する人の割合が高い。

では、具体的にどういった転職先があるのか。

数字に強く計画性のあるビジネスを得意とする金融業界の人材は、コンサルティングファームや監査法人、あるいは企業の管理部門などに転職するケースが多い。

ちなみにコンサルティングファームといっても総合系、戦略系、M＆Aなど幅広いため、自分のスキルや経験に合った転職先を選べるかどうかが成功のカギだ。

宅地建物取引士資格を保有している人は、不動産企業に転職するケースもある。

住宅ローンに関する知識や提案力も活かせるので、宅地建物取引士資格を保有している金融業界人材は、不動産業界での市場価値が高い。

また、注目度の高い異業種転職先としてフィンテック企業が挙げられる。

フィンテックとは「金融×テクノロジー」の製品・サービスを提供するものであり、金融業界の内部事情、業務内容などを熟知している人材は評価されやすい。

30代の金融業界の人材は、ビジネス構造の変化などから、従来のように営業力が評価される機会が少なくなっている。

しかしその他のポイントで市場価値が高まるケースもあるため、自分に合った転職先を見極められるかどうかが重要だ。

30代金融出身者におすすめの転職先

続いて、30代の金融業界の人材におすすめの転職先を紹介する。30代ならではの転職先選びが重要なので、ぜひ参考にしてほしい。

キャリアを活かせる転職先

30代の金融業界の人材の場合、20代の人材とは異なり現実的に考えるべきことが多い。家庭を持つ人も増え、20代のときよりもさまざまな責任が生じる。

また、現職において将来的なポジションが確立し始めるフェーズでもある。出世コースに乗っている人は、転職すべきか現職に残るべきか、シビアな判断が必要だろう。

また、出世コースにない人でも、30代なら「現職に残る」という選択肢がある。

仕事や人間関係に対するストレスで心や体に不調を起こしている場合を除き、「現職に残る」は有力な選択肢の一つだ。

以上のような理由から、突飛な業界・業種への転職は避けるのがベターだ。これまでのキャリアを十分に活かせて、なおかつ実績を出しやすい。

具体的な転職先

銀行、証券会社、保険会社の人材なら次のような転職先を具体的に検討してみてほしい。

これらの転職先については、30代の金融業界の人材が培ってきたキャリア、スキル、経験、資格などを生かしやすい。

この他、30代の金融業界の人材を対象として「PEファンド」の求人が出ることもある。

PEファンドとは「プライベート・エクイティ・ファンド」のことであり、株式未公開企業の買収および価値向上を行い、売却によってキャピタルゲインを獲得するファンドのことだ。

30代になると大量採用はなく、ポジションの決まった求人も多く、一つ一つの求人を調査し、自分に合った転職先かどうかを見極められるかが重要だ。

30代金融出身者の転職を成功させるには

それでは最後に、30代の金融業界の人材が転職を成功させるポイントを紹介する。重要なのは「転職面接」と「自己PR」だ。

実績に基づいた会話を心がけよう

30代の金融業界の人材が転職面接に望む際は、「実績に基づいた会話」を意識することが大切だ。20代人材のようなポテンシャル採用はなく、採用側は基本的には即戦力を期待している。

そのため営業成績にもとづき、自分のアピールポイントを論理的に伝える必要がある。また、採用担当者から投げかけられる質問も、営業成績に対するものが多い。

目標や計画の立て方、実行フェーズ管理など、営業成績を出すまでのプロセスを明確に説明できるようにしておこう。

30代の金融業界の人材において、営業成績があることは大前提だ。

そのプロセスを論理的に説明することで、「自社においても再現性の高いスキルを持っている」と採用担当者に感じてもらえるかどうかが、内定獲得のカギになる。

30代・金融業界人材の職務経歴書の書き方

30代の金融業界の人材は、転職面接云々よりも書類選考に通過できるかどうかが重要だ。

実績重視の30代の転職活動では、20代の頃よりも職務経歴書を厳しくチェックされる。その中でも「自己PR」欄が重要だ。

たとえば、職歴欄は営業成績や取得資格などを、数字ベースで細かく書くよう心がけよう。

では、秀でた実績のない人材はどのようにアピールすべきか。これについては、自分自身で考えるのが難しいケースが多い。

そのため、転職エージェントなど転職活動の専門家に相談しつつ、自分のキャリアに合った自己PRを考えるのが重要だ。

30代・金融業界からの転職は、転職エージェントに相談しよう

本記事では、金融業界における30代の転職実態と、おすすめの転職先、さらに転職を成功させるポイントを解説した。

記事後半で紹介したとおり、転職面接や職務経歴書の綿密な対策は、30代の金融業界の人材が転職を成功させるのに欠かせない要素だ。

独自の転職活動でこれらの要素を満たすのは難しいため、金融業界に特化した転職エージェントにぜひ相談してほしい。

アドバイザーナビは金融業界特化の転職エージェントとして、30代以上の転職サポートも幅広く行なっている。

転職面接や職務経歴書のこと、あるいは転職すべきかどうかなど、転職を検討し始めたらまずは気軽に相談してみてほしい。