- 金融業界からの転職が難しいと言われる理由が知りたい
- 金融人材が転職活動で評価されるポイントを知りたい
- 金融業界から転職したい
「金融業界からの転職は難しい」などの話を聞いたことはないだろうか。
仕事の専門性が高く求人が狭められる、給与面で不満を抱えやすいなど、さまざまな理由から金融業界からの転職は難しいと考えられている。
一方で、金融業界でスキルを積み上げてきた人材だからこその市場価値もある。
本記事ではそうした話の実態を明らかにしつつ、金融業界からの転職を成功させるポイントについて紹介する。
現在金融業界に勤めており、転職を考えている人はぜひ参考にしてほしい。
金融業界からの転職でよくある理由
まずは、金融業界からの転職でよくある理由を整理しよう。「転職したい」と考えている金融業界人材の中には、以下のような理由に該当する人も多いだろう。
- 業界の将来性が不安
- ノルマがきつい
- 会社との方向性が異なる
- 転勤したくない
- 正当に評価されていない
- やりたいビジネスがある
- 年収を上げたい
- プライベート時間が少ない
それぞれ、詳しく解説する。
業界の将来性が不安
金融業界の中には、将来性に不安を抱えている人も多い。先行き不透明な社会情勢や、AIなど先進テクノロジーの登場などにより、金融業界が受けるインパクトは非常に大きい。
それに伴い、人事異動、リストラ、企業買収・合併、倒産などが起こるリスクは、決して低くないのだ。将来性がより安定している業界に転職したくなるのは、ごく自然なことだろう。
ノルマがきつい
銀行や証券会社など金融業界に分類される組織の多くは、ノルマがある。
貸付、口座開設、投資信託などなど、明確なノルマが決められている上に、体育会系的な姿勢でノルマを追っている企業も少なくない。
ノルマの達成ベースに乗らなければ上司から叱責を受けたり、周囲と自分を比較してしまったり、強い精神的ストレスを受ける人もいるだろう。
「そうしたノルマの世界から解放されたい」と願い、転職する人が多い。
会社との方向性が異なる
金融業界から転職する人の中には、「会社の目指す方向性」と「自分のやりたいこと」が合わず、転職を決意するケースがある。
特に、顧客と近いところで仕事をする営業は、会社と方向性が合わないと強いストレスを感じることが多い。
たとえば、「本当はもっと幅広い選択肢からお客様に合った商品を提案したい」と考えているにもかかわらず、会社がノルマ重視の営業を強いていると、方向性の違いを強く感じることだろう。
こうした金融業界の人材は、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)など、幅広い金融商品を取り扱える企業や、他業界に転職する方が仕事にやりがいを感じられることが多い。
転勤したくない
金融業界の中でもメガバンクや大手企業に勤めていると、転勤するのは当たり前だ。
金融商品を取り扱っているため、「顧客との癒着(不正)を防ぐ」という正当な目的はあるものの、転勤による負担を大きく感じる人が多い。
中には、「新築住宅を購入した矢先に転勤を命じられた」という人もいる。
地域に根ざした生活ができなかったり、家族に必要以上の負担をかけてしまったり、「転勤したくない」という理由で転職を考える人も多いのだ。
正当に評価されていない
「自分の働きが正当に評価されていない」と感じるリスクがあるのは、金融業界に限った話ではない。
ただし、金融業界の中には前時代的な体質を残している組織もあり、いくら頑張っても年功序列で高く評価されるなど、正当に評価されていないと感じてしまうケースはある。
近年では、金融業界でも人事評価の多様化が進んでいる。しかし一部のメガバンクに限定され、業界全体で人事評価の改革が進んでいるかといえば、なんとも答えがたい。
より正当に評価される企業を目指して、転職を考えるのも当然のことだ。
やりたいビジネスがある
金融業界に勤めている人は、他者・他社のビジネスや、その思想・理念などに触れる機会が多い。たとえば銀行の融資営業担当者は、中小企業経営者を中心にさまざまなネットワークを築く。
その中で経営者の考え方、ビジネスなどに触れ、革新的なビジネスアイディアを生み出すこともある。あるいは、他業界のビジネスに触発され、その業界への転職を目指す人も多い。
年収を上げたい
基本的に、平均年収よりも高い年収を獲得できるのが金融業界だ。
しかし、出世コースに乗れなかったり、企業の収益構造が変化したり、さまざまな要因から「これ以上の年収アップは期待できない」という局面に立たされる人もいる。
一方、他業界には実績次第で年収をどんどん上げられる企業も少なくない。ベンチャー企業なら、実績をあげて役員クラスに就任することも可能だ。
意外にも、金融業界に勤める人で「年収を上げたい」という理由から転職する人は多いのだ。
プライベート時間が少ない
プライベート時間が少なく、ライフワークバランスを整えられない問題は、さまざまな業界にもある。
ただし、金融業界は拘束時間が比較的長く、プライベート時間が極端に少ないケースが多い。
たとえば銀行員の場合、企業の方針によってプライベート時間のほとんどを資格勉強に費やすことがある。
また、前時代的な体質が残っている企業では、勤務時間の長さが人事評価に反映されるケースもある。
すべての企業ではないが、プライベート時間が少なく、ライフワークバランスを整えにくい企業が多いのだ。
金融業界からの転職が難しいと言われる理由
結論から言って、金融業界からの転職は、確かに難しいケースもある。
しかし、金融業界に勤める人の評価は基本的に高いので、転職時のポイントをしっかりと押さえれば、希望通りの転職を叶えやすい。
ここでは、金融業界からの転職がなぜ難しいと言われているのか、その理由を紹介する。
現職の年収が高い
金融業界に勤めている人の多くは、現職の年収が高い。
厚生労働省の調査によると、日本の社会人全体の平均年収は約382万円だ。一方、金融業界の平均年収は472万円であり、社会人全体の平均年収よりも90万円高い。
金融業界はそもそも高年収者が多い業界なので、転職時に現職以上の年収を獲得できる転職先が少ないのだ。
「年収を下げてても転職したい」という人は少ないので、金融業界からの転職を難しくしている理由の一つとなっている。
仕事の専門性が高く汎用的なスキルが少ない
金融業界に勤めている人が他業界に転職したい場合、現職で培ったスキルや経験が評価されにくいケースが多い。
なぜなら、金融業界は仕事の専門性が高く、他業界にも流用できる汎用的なスキルが身につきにくいからだ。
結果として応募可能な求人件数を狭めてしまい、金融業界からの転職を難しくしている。ただし、金融業界で培ったスキルや経験の中には、他業界への転職でアピールできるものもある。
大切なのは、金融業界のスキル・経験をどのようにアピールできるかを知ることだ。
転職市場における「営業力」の重要性が下がっている
さまざまな業界でビジネス構造が大きく変化している。たとえば、営業よりもマーケティングに注力する企業が増えている。
営業を行わずインバウンドマーケティングのみで案件を獲得するなどの経営スタイルは、新興企業を中心に広がっている。
また、近年では「ビジネスエコシステム」の創造を進めている業界も多い。
従来のように市場競争の中で単に顧客を取り合うのではなく、さまざまな企業が協業し、大きなエコシステム(生態系)を作ることで、業界全体で成長していこうという思想だ。
これに伴い、従来のように営業力を重視する企業が少なくなっていく可能性がある。
金融業界に勤める人材、とりわけ法人営業などに従事する人は、労働力と営業力の高さが大きなアピールポイントだった。
しかし、コロナ禍で加速した働き方改革もあり、営業力に対する市場価値の見方が、大きく変化しているのだ。
金融人材の転職活動における市場価値
最後に、金融業界に勤める人材が、転職活動においてどのような市場価値をアピールできるか整理していこう。
転職が難しいと言われる金融業界の人材が、転職活動でどのように立ち回るべきかを紹介する。
金融業界の人材が評価されるポイント
ポテンシャル採用が主な新卒の就職活動とは異なり、転職活動では「現職・前職での実績」が何より重要視される。
中途採用とはいわば即戦力を求めるものであり、どのような実績があり、それをどのように実現したかという点に、焦点が充てられるのだ。
したがって、高い営業成績を持っている人材なら、それを積極的にアピールするといい。ただし前述のように、営業力に対する市場価値の見方は変化している。
「こんな営業実績があります」と単にアピールするのではなく、目標とそれに対するプロセス、実行力、そして転職先での再現性をアピールするのが有効的だ。
具体的な数値でいうと、同世代で上位10%程度の営業成績を出していると、転職活動において高く評価される。上位30%程度でも好印象を与えられるだろう。
それ以下の場合では、営業実績以外のアピールポイントを検討し、効果的なアピール方法を考える必要がある。
また、金融業界の人材は社会人としてのビジネスマナーや基礎的素養が備わっていると認識されている。
金融業界の人材が評価されにくいポイント
金融業界の人材が評価されやすいポイントがある一方で、「評価されにくいポイント」もある。
たとえば他業界への転職において、金融業界での専門性の高いスキル・知識・資格などはなかなか評価されない。
前述のように、中途採用は即戦力を求めており、新卒採用のようなポテンシャル評価は期待できないからだ。
にもかかわらず、金融業界で培った専門性の高いスキル・知識・資格をアピールする人は多い。
スキル・知識・資格を獲得するまでの苦労は多大なものがあるだろうが、他業界の採用担当者からすれば、そうしたスキル・知識・資格とそれに個室するプライドは「無用の長物」なのだ。
ただし、同じ金融業界内の転職なら大きなアピールポイントになるケースは多い。
したがって自分がどのような市場価値を持っているかを冷静に見極め、それに応じて転職先を決めることも重要だ。
また、労働環境に慣れてしまって目標達成意欲が低い人材や、年収要望が高すぎる人材も評価されにくいので注意してほしい。
難易度の高い金融業界からの転職を成功させるには
本記事では、金融業界からの転職が難しい理由や、転職活動における金融業界人材の市場価値などを紹介した。
結論を述べると、金融業界からの転職は難しいケースも多い。同じ金融業界内の転職でも、限定的なスキル・知識・資格ばかりでは、自分の市場価値をうまくアピールできないだろう。
そこでおすすめしたいのが、金融業界特化型の転職エージェントを早期段階で利用することだ。
金融業界からの転職は難しいからこそ、業界構造を熟知し、他業界へのコネクションも持つ転職エージェントの力を頼って欲しい。
アドバイザーナビは金融業界特化型の転職エージェントとして、いくつもの金融業界の転職を成功させてきた経験とノウハウがある。
金融業界からの転職を検討しているなら、まずは気軽に相談してみてほしい。