- 証券会社からなぜ転職するのか
- 証券業界からの転職方法
- 適切な転職相談先の選び方
証券会社からの転職を考えているが、どこに相談すれば良いかわからない方へ。
証券会社リテールで勤務中の方の中には、転職を検討して転職エージェントと会話してみたが中々業務内容や自分の価値を理解してもらえない等の経験をした人も多いだろう。
この記事では、証券業界特有の経験をどのように転職市場でアピールするか、どのような相談先があるのかを詳しく解説する。
転職のプロセスをスムーズに進めるための具体的なアドバイスを提供し、あなたのキャリアの次のステップへと導く。
証券会社からの転職理由と多い相談
証券会社を退職し、他の会社に転職する人の多くはどのようなことが理由が多いのだろうか。
証券業界では10年ほど前からストック収入という経営指標が主に用いられるようになったことを皮切りに、高齢者ルールの厳格化や投資信託の短期売買取引、外国株式の店頭取引の規制等目まぐるしく変わってきたと言える。
5年前から10年前ほどの証券会社の方の悩みといえば、
- 年収は高いがノルマが厳しい
- 活躍ができず、業界を変えたい
- 顧客本位の営業がしたい
等が多くを占めていた。
しかしここ数年働き方改革が進み、顧客への提案内容も改善されたことにより、証券会社によって濃淡があるものの上記のような悩みは減少していると言える。
では、どのような悩みを抱えている人が多いのだろうか。
会社の方針への不満
会社への方針に不満を抱えている人は多い。特に大手証券ではここ3年ほどは毎年のように会社の経営方針が変わり、働く人の評価項目も大きく変わってきている。
例を挙げると、収益目標がなくなった、顧客セグメントが明確になった、取り組む仕事が増えた、等が挙げられる。
収益目標がなくなることも、顧客セグメントが明確になることも悪いこととは言えず、経営施策としては正解である可能性も多分にあると言えるだろう。
しかし各施策を従業員目線で見ると様々な解釈が出るのも当然であり、収益のみが評価であった過去と比較すると社内の序列にも大きな変化が出るので不満を持つ人も出るであろう。
顧客セグメントも自分の希望と反対の分野(例:富裕層ビジネスがしたいがマスリテール分野への配属等)になった場合の不満が出るのも納得できる。
現にそう言った相談は数多く、社内での異動を待つ手もあるものの可能性が不明確なまま待つこともできないと考える人も多い。
全国転勤が受け入れられない
これは社会的な変化が大きく影響していると考えられる。過去。生涯を通し10支店以上経験し全国を回るというようなことも特に違和感を感じた人も少なかったかと思う。
実際、証券会社に全国転勤型で入社した方は入社時はそれを前提として入社している。
ただ、現代においては多くが共働きであり、パートナーも働いているとなると物理的に一方が全国転勤をすることができなくなってきている。これは全国転勤が嫌、というよりは不可能な世帯が多くなったという表現が適切だろう。
それでも支店長や役員を目指すために、という明確な目標がある場合はなんとか受け入れられる可能性もあるものの、支店長や役員を目指すという声もかなり少なくなった。
ライフステージの変化により全国転勤が受け入れられない、という課題の解消に関しては全国転勤のない職種への転換という選択肢もある。今後普及していく可能性もあるがまだまだ社内に抵抗があるのが現状だと言える。
全国転勤があることにより顧客との付き合いが数年で終わることにストレスを抱える人も多い。顧客のゴールベースプランを一緒に策定し、実行したとしても数年で転勤してしまう。
この影響は大きく、プランは策定でなく実行が最も重要であるとも言えるが、担当者が変わることによりそのプランが実行されない又は曲がった形で実行されるというような懸念がある。
この点でも転勤制度自体を疑う声が大きくなってきている。
年収への不満
証券会社は、働き方改革や業績不振をきっかけに全体的に年収が下がってきており、そこへの不満の声も多い。大手証券数社はかなりの金額の営業費用を向こう数年で削減すると公表していたり、人事制度の変化により家賃補助等を大幅に下げるような動きが出てきている。
これは顧客セグメントや部署によって大きく乖離が出ているケースもあり、ウェルスマネジメントや富裕層部署は年収が下がっていないことも多い。逆に、年収の上限ない職種を作る等年収を上げてでも人材確保の動きもある。
一般的なリテール部署は年収面でいうと厳しい傾向にあり、ビジネスモデルも属人性を排除するスキーム構築の傾向にある。
こういったことによる賞与の減額や残業代の減少等を加味すると不安を抱える人が多く、今後年収が上がるという希望が持てないという声も聞こえる。
証券会社からの転職をする際の相談先の選択肢
このような悩みは、証券会社独特のものが多く、相談しても本音の部分まで理解してもらえないケースもある。
1番理解してくれるのは職場の同僚であったりするが、内容が内容だけに気軽に相談できない。ここでは転職サイトや転職エージェントの利用等も含めて選択肢を整理していく。
証券会社から転職経験のある同僚への相談
まず、1番相談しやすいのが転職経験のある同僚への相談である。
転職経験のない同僚だとあまり参考にならないし、どうしても現在同じ職場であると相談がしにくい。
しかし元々同じ職場で、そこから別会社へ転職した元同僚であれば情報が漏れる心配も少なく転職の実体験を聞くことができるので最高の相談相手となるだろう。
特に同業他社への転職の場合、元々の職場(つまり相談者にとっての現職場)と比較してどうかなど具体的にイメージがしやすいのでおすすめである。
異業種の場合は業務内容に関しては深く理解しづらいだろうが、環境の違い等は十分に聞くことができる。
ここでの注意点は、相談相手のポジションである。
すでに転職をした元同僚の場合、後戻りはできないので「転職しなければよかった」等のコメントは本心はともかく、出ることはほとんどない。
よっぽど仲の良い関係性で聞くか、もしくは相談の方法として感想を聞くよりも
- 年収
- 残業時間
- 評価体系
- 昇給昇格条件
等事実ベースのものを参考にするにとどめるのが良いだろう。
転職サイトの利用
転職サイトを活用した情報収集も最近では一般的になった。
転職サイトに自身の情報を登録することで企業からの直接のオファーや転職エージェントからのメッセージを受け取ることができる。
あらゆる手段の中で最も情報量が多く有効に活用できれば転職活動の良い材料となる。情報を受け取るのに重要なのは、情報入力である。
過去の経歴は部店ごとに記載する。表彰歴等も全て記載することに加えて志望業界や希望年収の記載欄があれば記載することをおすすめする。できるだけ細かく入力することでフィットしたオファーが来るようになる。
転職サイト利用の場合、企業や転職エージェントからメッセージがくるが、それはあくまでも広く送られているメッセージなので、メッセージがたくさん来る=転職できるという勘違いをしないようにしなければいけない。
実際に応募可能かを確認するためにも、まずはメッセージ送信先である転職エージェントとの面談までは済ませておくと良い。
転職サイトの場合の注意点は、年齢により受け取ることができるオファー量にかなり差が出ることである。
20代の場合は100通を超えるメッセージを受け取るので全て確認し、その100社と面談することは物理的に不可能であり結果的に良い情報が埋もれてしまうことが多い。
30代以降は逆に受け取ることのできるメッセージが年々減少していき、ある年齢になるとほとんど来なくなる。
この理由は、採用企業や転職エージェントが転職サイトを利用する際に一般的にはメッセージ送信ごとに料金が必要であり、優先順位をつけているため年齢でフィルターをかけることが多いことにある。
能動的なアクションも難しいことから登録した後に有効なオファーが来なければ待つより他になく、転職時期を急いでいる場合は適さないこともある。
多くの転職媒体やサイトは、最終ログインタイミングを見ることができるため定期的にログインをしておくとメッセージが来る可能性が上がる。
転職エージェントの利用
転職エージェントの利用は、良い出会いがあれば最も効果的であると言える。
難点となるのは、その人にとって良い転職エージェントの見つけ方である。インターネット上では検索が難しいことに加え、良い会社が見つかったとしてもその中でもかなり担当者によりレベルの差はあり、属人性の高い業界となっている。
良い転職エージェントとの出会い方として、同じ会社から過去転職したことのある元同僚に紹介してもらうということは有効である。
実際に利用して満足している知人からの紹介だと大きなトラブルになりづらいことや金融業界の事情に詳しい可能性が高い。
転職エージェントには、転職希望者と企業側の担当を分けている業態や、一気通貫で同じ担当者が支援する業態、業種特化など様々な種類が存在し、全国に約3万社程度と10年前の2倍程度まで急増している。
この背景にはそもそもの業態として初期投資がかからず事業の立ち上げが容易なことや、時代背景として企業の中途採用ニーズが増えていることが挙げられる。
選択肢が増えた一方、相談先の選定難易度は上がっており、証券という特殊な領域の場合証券特化ないしは金融特化の転職エージェントが最も良いと言えるだろう。
証券会社の人におすすめの転職サイト
本項では、証券会社リテールの人にとっておすすめの転職サイトを解説していく。
証券会社の人は全業種で比較すると年収が高い所謂ハイクラスにセグメントされるので、ハイクラスに強い転職サイトが適切である。
活用する転職サイトを間違えるとそもそも希望年収に合わないオファーが来るので取り越し苦労になる。
ビズリーチ
筆頭の転職サイト候補になるのはビズリーチである。年収の高いハイクラス向けの転職サイトであり、年収1000万円以上の人にとって最適な候補となる。
また、登録されているヘッドハンターもフィルターがかかっており優秀な人が多い。採用したい企業2万社程度と、5000名を超えるヘッドハンターからオファーを受けることが出来る。
外資系企業や管理職の求人も多く、金融業界内での転職に関わらず広い業種から年収の高い情報を取ることが出来る。
doda X
doda Xはパーソルキャリアが運営するハイクラス特化の転職サービスである。
年収1000万円以上の非公開求人が多数あり、その中でも特徴としてはオファーを待つだけでなく自ら応募することも出来る。公開求人は4.5万件あり、利用者は30代から50代が中心となっている。
サービス開始は2019年であり比較的新しいことから、今後も新しい情報が増えてくる期待感も持てるサイトだと言える。
リクルートダイレクトスカウト
リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営するハイクラス・エグゼクティブ限定の会員制転職スカウトサービスだ。
公開求人数は7万件以上あり、多くの情報を受け取ることができる。
年収帯は800万円から2000万円の求人を主に扱っているため、証券会社の人にとってフィットするオファーが来る可能性が高いと言えるだろう。こちらでもスカウトを待つだけでなく求人を検索したり自ら応募することも出来る。
証券会社の人におすすめの転職エージェント
本項では証券会社リテールの人におすすめの転職エージェントに関して解説していく。
転職エージェントは転職希望の方の担当と企業の担当が異なる業態や一貫して担当する業態であったり、全業種を扱うエージェント会社や業界特化等様々な特色がある。
現在は全国で3万社程度となり、自分に合った転職エージェントを探すのは至難の技と言える。本項を通して転職エージェント選びの参考として欲しい。
転職エージェントの選び方
転職エージェントの選び方は、主に
- 業界特化か広く扱う業者か
- 転職希望者担当と企業担当が同じか否か
という2点で選ぶこととなる。
まず、業界特化か否かに関してはキャリアプランによって選択が異なる。
業界特化でない場合は、証券の人以外も多くの人のキャリア相談にのっているが故に膨大な事例を持っている。
固定概念にとらわれない提案が欲しい場合は、証券業界に特化していないエージェントに相談することで要件から広く提案をもらうことができる。
証券会社の事情に詳しいというわけではないことが多いので、受けた提案を自身で見極める必要がある。
提案を受けることのできる数は多い傾向にあるので、そこから自身で選択することができる場合には、良い選択肢の一つであると言える。
一方、証券/金融業界特化の場合は自身と似たような方の相談事例を多く持っているため、比較的スムーズに転職活動を進められることが多い。
証券会社リテールから同業、類似業種、異業種の事例を多く持っているため、そもそも現実的にどのような対象があり、どのような人が合格して活躍しているのかを知ることができ、自身の置かれている状況や悩みも話が通じやすいと言える。
今までの経験とは全く異なる特殊なキャリアを目指す場合は提案の幅が狭くなるという懸念点もある。
もう1つ、転職希望者と企業の担当が同じか否かというのも転職エージェント会社によって異なる。
転職希望者の担当と企業の担当が異なるケースでは、転職エージェントに自身の悩みやキャリアの考え、希望条件を伝えた上でシステム上で整合する求人の提案を受けることができる。
こちらも、固定概念にとらわれずに提案を受けたい場合には優れた選択肢だと言える。
窓口の転職エージェントに、「この会社の業務内容について実態はどうなのか教えてくれ」等の質問に関してのフィードバックは相対的に劣る傾向にあるため、企業の内容をリアルタイムで詳しく知りたい、面接対策等も細かくやりとりしたい、という方にはやや不向きなケースもある。
一気通貫型の転職エージェントの場合は、転職エージェントが直接受ける企業の経営陣や人事とやりとりしているため、双方のニーズをリアルタイムで細かく認識しているというメリットがある。
企業側の採用要件や見ているポイント等も理解していることが多いので、キャリアプランの策定から応募、合格までの相談としては心強い。
証券転職byアドバイザーナビ
証券の人の転職に特化した転職エージェントサービス証券転職は、
というかなり業態を絞った転職エージェントサービスである。
担当転職エージェントも全メンバーが大手証券出身であることから各証券会社の方が抱えている悩みの理解や、その解決策としてのキャリアプランの提案及び合格までのサポートに定評がある。
最近の証券会社の評価制度変更のポイントや各社の特徴も理解しているため、自身と似たような事例を多く持っていると言える。
紹介案件は証券会社のウェルスマネジメントや大手信託銀行、金融機関向け代理店営業やIFA、上場前後のベンチャー企業等証券会社の人が行くことが多いものがあるためトータルの支援を受けることができる。
リクルートエージェント
ご存知、リクルートエージェントはなんと言っても膨大な数の求人から自身の条件に合ったものを提案してくれるところが強みである。
なので、固定概念にとらわれない情報を取得することができる。
転職の希望条件は明確で、全く異なる業界にチャレンジしたいケース等は良い選択肢になる。
証券会社からの転職の相談は業界特化の転職エージェントがおすすめ
証券会社からの転職は、適切な準備と戦略が重要である。
専門の転職支援を利用し、業界経験を強みに変えよう。
新しいキャリアへの一歩を踏み出す際、豊富なリソースとサポートが利用可能だ。
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