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【5029】サークレイス株式会社代表取締役社長 佐藤潤氏「自社DXの成功を通じた企業成長・利益貢献を支援し、社会課題の解決を目指す」

※本コラムは2022年12月2日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ソフトウェアベンダーでの長きにわたる実務経験を経て2016年より代表取締役社長に就任された佐藤潤氏は、自社SaaS製品「Circlace®」の提供などを通じ事業成長を実現し続けております。代表就任の経緯や上場を経たさらなる成長の戦略、会社の目指す姿について教えていただきました。

目次

サークレイス株式会社を一言で言うと

人材不足という世の中の課題に対し、テクノロジーを活用すること(本質的なDXを社内外ともに推し進めること)により解決し、お客様のビジネスを加速させるサービスを提供する会社です。営業やマーケティング、コスト削減など企業の利益に貢献する領域で事業を展開しております。

代表就任の経緯

当社の始まりは2012年に設立されたパソナテキーラ社に遡ります。パソナ社のSalesforce導入にあたり、欧州に本社を構え導入コンサルティングをすでに行なっていたテキーラ社(Tquila International PTE Ltd.)と合同で会社を立ち上げ、そこにSalesforce社が出資をしたジョイントベンチャーの形です。翌年2013年に、認定技術者のトレーニング事業(人材育成事業)、資格取得者のシステム保守・運用を目的とした人材派遣事業、およびテキーラ社の人材を活用したSIサービスの三つを同時に立ち上げております。

私の経歴はと言いますと、まさにインターネットが台頭し始めたタイミングで、国内の非IT企業からジャストシステム社へ営業職として転職しました。そこで業務改善提案等のソリューションセールスを経験し、1998年にはSAPジャパンへ移り、12年間ERPパッケージの提案業務に従事しておりました。

ですが、ソフトウェアベンダーの立場では導入後の実際の業務変革の領域に関わることがなかなかできません。自分の中でモチベーションも変化しつつあり、より企業様との関係値が近い職種を求めアクセンチュアに転職し、その後、当社と出会うこととなります。

当初、当社の業務について話を聞いた時点では、正直イメージが湧かない部分もありました。ですが、パソナ社に派遣登録している女性やシニア層の中には高い志を持ってフルタイムでの社会復帰を目指す方々がおり、この方々に対して「Salesforceの認定資格取得機会を提供し、資格取得後、IT人材として活躍できるように支援をしたい」という事業方針を伺い、関心を抱くようになりました。営業責任者として当社に2014年に入社し、その後2016年の7月に取締役社長、2019年1月に代表取締役社長に就任し、現在に至ります。

現在までを振り返ってみて、当社の転換点は大きく二つあります。

一点目はアジャイル開発に特化したことです。システム開発を発注する側の企業の多くは成果物コミット型の請負契約を好む傾向にありますが、Salesforceの開発はアジャイル型のほうがより早く、結果安価にシステムを構築できることが特徴です。この強みを一番活かせる形を考え、請負開発をやめて100%アジャイル開発にシフトしました。この構造改革を行った当初は、受注獲得に大きな苦労も生じましたが、この方針を貫いたことが現在の当社の強みに繋がっております。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

二点目は独自プラットフォーム「Circlace®」の提供を開始したことです。当社がサービスを開始した2012年当時に比べ、Salesforce自体のマーケットが拡大したこともあり、徐々に派遣事業の競合他社が増え始めていました。また、IT分野に限らず人材不足が進行しており、当社自身もDXの必要性を強く感じておりました。このような背景から、自社サービスプラットフォームとして「Circlace®」を開発して人材派遣サービスをDXし、より高付加価値なサービスへと提供形態を変化させました。「Circlace®」をリリースした2020年のタイミングで社名変更もしておりますが、上場にあたり「DX銘柄」として認識されるためのリブランディングの意味もありました。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

創業当初より現在まで、さまざまな試行錯誤を重ねてきていますが、上記のような変革が成功し、2017年からは事業も単月黒字化、それとともに成長軌道にのり、設立から10年目の2022年4月に上場を果たすことができました。

事業内容について

事業はコンサルティングサービス事業とプラットフォームサービス事業の大きく二つに大別されます。コンサルティングサービス事業では、SalesforceやAnaplanを中心としたクラウドによるシステム開発を準委任型で行っており、引き続きコンサルタント、デベロッパー等の社員数を増やすことで成長させていくビジネスとなっております。

一方プラットフォームサービス事業は社員数以上にお客様の数を増やしていくことのできるビジネスです。カスタマーサクセスにおいては、自社開発・販売をしているSaaS型の統合型デジタルコミュニケーション・プラットフォーム「Circlace®」を自社サービスでも積極的に活用、さらには異なる分野を得意とする人材で一つのチームを組むことにより、これまでは一人1社担当という派遣型のビジネスモデルから、一人当たり2-2.5社をリモート型で対応できるようになってきました。このようにビジネスモデルを変革し続けていることにより、足元でも単価・顧客数ともに増加傾向にあります。

また、ベンダー認定トレーニングの提供や自社オリジナルトレーニングの提供を行う「エデュケーション」、および自社SaaS製品「Circlace®」や「Agave(アガベ)」の販売、顧客のDXビジネスを推進する「DX」があります。エデュケーション事業はリカレント教育に国からの資金が出されるといった外部環境もあり、新規事業を含め多方面に展開が可能な分野です。また、DX事業においては「Circlace®」や「AGAVE」などのSaaS製品を軸としたバックオフィス系のDX支援を自社製品で対応しているため、成長による利益貢献が大きい期待の分野でございます。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

自社開発プラットフォーム「Circlace®」の存在は、各事業間シナジーを生み出すと言う点でも非常に大きな強みとなっております。当社では当社事業全体、システムの開発から、運用・活用支援、そして社内での定着化の支援に至るまで、「Circlace®」を通して常にお客様とナレッジを共有しながらサービスを提供してきます。そうすることで、お客様自身にもシステム開発の意義を正しく理解していただくことに繋がり、当社からの新しい提案もスムーズに行うことができます。さらに、ナレッジを集約させることにより、どこかの時点で情報が分断されてしまうことがありませんので、他社から見た参入障壁としての役割も担っているのです。得意とする特定の業界はありませんが、各業界のリーディングカンパニーと言えるような企業様との取引を中長期的に継続させていくことに特に注力しております。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

成長戦略において、当社は「基盤」「再構築」「次世代」「成長」の4つの軸でサイクルを回し続けながら事業推進や投資を判断しております。

たとえば、足元ですと元々「基盤」に分類しておりましたプラットフォーム事業(カスタマーサクセス)を「再構築」におろしデジタルシフトを進めております。先に上げましたチーム制で対応するハイブリッドサービスの推進により、現在はSalesforceかつ運用・活用支援のみの守備範囲から、ノーコード/ローコードでの導入を含めた中堅向けのサービスへと展開させていくことを考えております。このように常に変化・強化を繰り返していくことが当社の成長の源泉となっております。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

また一例として、2022年9月にリリースいたしましたパソナ社および日本通運社との業務提携を通じたSaaS製品提供によるストック比率の向上などにより、DX事業の成長を実現させていきます。

「Circlace®」に並ぶ二つ目の自社製品であります、海外駐在員向け情報管理SaaSプロダクト「AGAVE」は、既にこの分野において導入企業数国内シェアNo.1のお墨付きをいただいております(2022年9月末現在、東京商工リサーチ調べ)。事業内容がニッチなため、ライセンスの数で言いますと海外駐在員の数以上に増えることはないのですが、海外駐在向けのサービスを検索すると必ず当社に問い合わせがくる、という状態をパソナ社と日本通運社との提携によりさらに強化させていく方針です。

また、パソナ社は給与計算などのサービス、日本通運社は赴任地への引越しやその周辺手続きなどのサービスにおいてそれぞれ連携させていただきますので、今後は両社からのプラットフォーム利用料が当社にストック収益として積み上がっていくことになります。さらに、安否確認や税務処理といったサービスを展開する事業者様にも「AGAVE」を活用していただくことで、同様の仕組みで事業を成長させていくことができると考えております。

さらに長期的な目線において、当社は「労働集約からの脱却」と「サーキュラーエコノミーの実現貢献」を目指すべき姿と定めております。特に製造業の企業様にとっては、サプライチェーンの混乱や資源高、カーボンニュートラルへの対応など複数の要因からDXへの対応が急務になってきております。そのような企業様と共同でビジネスプラットフォームを構築することで、社会課題の解決とさらなるビジネスへの発展にも繋げていきたいと考えております。

サークレイス株式会社 2023年3月期第2四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

日本が直面している労働人口の減少は、向き合い対処するべき大変な社会問題だと思います。当社は自社自身のDX成功を通じて、業務効率化・利益貢献に役立つサービスを提供しこの問題を解決することを目指しています。また、この問題の解決を高収益なサービスで行い、当社も成長しながら株主の皆様にも利益還元をしていく方針です。

投資家の皆様におかれましては、当社の成長を後押しする気持ちで、中長期的な目線で見守っていただければと思います。

サークレイス株式会社

本社所在地:東京都中央区京橋1-11-1 関電不動産八重洲ビル 4F

設立:2012年11月1日

資本金:3億8,705万円(2022年10月13日現在)

上場市場:東証グロース(2022年4月12日上場)

証券コード:5029

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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