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【9258】株式会社CS-C代表取締役社長 椙原健氏「デジタルとリアルの掛け合わせでローカルビジネスの活性化を目指す」

※本コラムは2022年12月20日に実施したIRインタビューをもとにしております。

収益化や事業成長が難しいというイメージの強いローカルビジネス領域に特化し、クライアントのマーケティング課題の解決をサポートしています。代表取締役社長の椙原健氏に当業界で成長を実現できる理由や今後の事業展開について教えていただきました。

目次

株式会社CS-Cを一言で言うと

ローカルビジネスにおけるマーケティングのDX化を図る会社です。当業界はまだ圧倒的にアナログな状態ですので、市場規模が大きく伸び代もあります。加えて、「デジタル×リアル」というコンセプトで、当社が提供するサービスやSaaSツールをしっかりと活用していただけるようにカスタマーサクセスの部隊を設置するなど、デジタルへのシフトをリアルも含めて行っていく会社です。

創業の経緯

私は福島県出身なのですが、いわゆるシャッター街のような地方経済の衰退を目の当たりにしてきました。そこで、飲食店や美容室といったローカルビジネスが元気になることで、地域復興に繋げていくことができないかと考えました。当時、起業すること自体に明確な意思はなかったのですが、ローカルビジネスにリーチする事業をやりたいと考えた時、この業界に特化する企業が存在しなかったため、それでは自分で会社を作ろうと思い、2011年に設立しました。また、現在の当社のビジョンでもあります「公益資本主義」という考え方に基づいて事業を展開していきたいという思いもあり、それを実現できる企業がなかったという理由もあります。

創業当初は、グルメ業界特化のSEO対策に絞って、非常にニッチなサービス展開をしていました。しかし、クライアント様と定期的に面談をしていく中で、やはりSEO以外のデジタルマーケティングの相談や、さらには会社全体のデジタルマーケティングをコンサルティングして欲しい、というご要望が増加していきました。当社としても非常に大きなチャレンジでしたが、ここをやり切ったことで、逆にコンサルティングをいくつかのパッケージにパターン化させることができました。ここから、我々が積み上げてきたノウハウをスケールさせることに成功しましたので、当社の転換点であったと言えます。

また、コンサルティングサービスである程度のスケールはできていたものの、やはり労働集約型のビジネスモデルですので限界があります。ローカルビジネスの活性化というミッションを達成するためにも、事業をSaaSサービスの提供に移行する選択をし、統合マーケティングツールの「C-mo」を開発いたしました。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

この、「C-mo」サービスの成長を加速させること、そしてCS-Cという会社が世間の目に触れた状態で経営を続けていくことを目的とし、上場することを決意いたしました。私は、会社を代々継続させていくためにはパブリックカンパニーとして世間から評価されることが何よりも重要であると考えています。情報の開示や内部統制などをきちんと整備することは労力のかかる部分ですが、これがあるからこそ持続的な成長が実現できると思います。また、上場後にはたとえば金融機関などといった、ビジネスにおいてこれまでお取引のなかった先とのお付き合いが進んだり、採用環境が変化するといった効果も感じています。

事業内容について

ローカルビジネスの市場に特化し、マーケティングの課題を解決するサービスとして、「C-mo(シーモ)」「C+(シープラス)」の2つを提供しています。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

「C-mo」はSaaS型のマーケティングツールで、ニーズ調査から新規獲得、固定客化までをワンストップで、継続的にご支援します。

一方、「C+」は企画、実行および効果検証までをトータルサポートするコンサルティングサービスです。こちらは祖業になりますが、現在の立ち位置としては「C-mo」を開発するためのデータ取りというポジションです。当事業の担当者がコンサルタントとして各業界に深く入り込み、そこで掴んだニーズを開発部へフィードバックしています。こうすることで現場と開発部とのずれがなくなりますし、まさに当社の要件定義はコアノウハウであると認識しています。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

ローカルビジネスに特化した事業展開の背景には、創業時の思いの他にも、マーケットの大きさに対して参入企業が少ないという点もありました。クライアントの大半がスモールBであるため、収益化が難しそうというイメージが先行しており、心理的な障壁が存在しているのです。

その点、我々は逆にローカルビジネスにどっぷり浸り、そのような事業者がクライアントであってもしっかりと利益を出せる体制に振り切ったことが、現在の競争優位性にもつながっています。例えば、広告の単価は業界平均が300万円に対して当業界の予算は3万円ほどです。そこで、広告運用に全自動で対応するためのシステムを開発することで小口案件でも収益化を可能にしています。

そのほかにも、SNSに投稿する文書を自動で作成する機能など、徹底的な簡素化・自動化をコンセプトとしています。当社のお客様は相対的にITリテラシーがそこまで高くはないため、各領域特化でハイスペックな機能を提供するベンダーさんと比較しても、当社の提供価値が生まれていると思います。

また今期はトラベル業界への本格参入を進めていきます。当業界は現在事業を展開しているグルメやビューティーと業界構造が非常に似ています。施設供給数が多くレッドオーシャン化しやすく、またほとんどの事業者がスモールBでもあります。つまり、本来はデジタルマーケティングをしなければ集客がままならないのですが、そのための人材・資金・ノウハウが足りていないのです。その他にも、多くが旅行予約サイトのメディアに依存しており、高手数料に課題意識がありながらも、解決手段がないために本業の利益率を低下させてしまっているという課題もあります。

これまでトラベル業界への参入に先立ち現場検証を半年以上進め、事業化して問題ないだろうと言う判断ができていますので、今後は営業構造を作り上げていくとともにまずは「C+」から事業を展開し、トラベル版の「C-mo」を開発していきます。

このように「C+」は当社の競争力の源泉でもありますが、今後は属人性の高い部分はできるだけ減らしていく方針です。新規事業の開発に際して効果的に活用しつつ、全体としてはSaaS領域の割合を高めていきたいと考えています。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

営業体制の強化を通じた契約社数の拡大により売上高を成長させていきます。特に、当社はアライアンス企業様とのリレーション強化を大変重要視しています。例えばグルメであれば飲料メーカー、ビューティーはディーラー、トラベルは銀行や特定の地域で活性化コンサルを行う事業者など事業を展開する業界ごとに組先が変わってきます。それぞれの特性に合わせ、定期的な報告会や最新のデジタルマーケティング市場の動向をお伝えする勉強会なども開催し、関係性を深めていきます。また、税理士など業界横断的にお付き合いのあるパートナーも増やしていく方針です。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

先ほども申し上げた通り、今後はトラベル業界への参入を本格的に開始しますが、中でもインバウンド系のソリューションには積極的に注力していきます。「泊まる」「食べる」「遊ぶ」「使う」という4つの消費行動の分野とシナジーが高いところは優先的に進めていきます。ただ、会社全体の売上構成としては多少の偏りは出てくるものの各ローカルビジネス領域での売上を最大限とっていきたいと考えています。例えばコロナ禍でグルメ業界がマイナスの影響を受けたように、今後も外部環境の変化が向かい風になることも想定されます。ですが、当社が成長していくことで業界への偏りは少なくなっていきますので、そういったビジネス環境の変化への耐性はさらに強くなっていくと考えています。

株式会社CS-C 2022年9月期 決算説明資料 より引用

ローカルビジネスのマーケットは、オールドなビジネスの場と見られることが多く、実際に国内おいて二桁成長をするような産業ではありません。ですが、ローカルビジネスのうち、グルメ、ビューティー、トラベル、アパレル業界だけでもマーケティング予算は約2.8兆円と、実は非常に市場規模の大きい業界なのです。そして何より、その予算の使い手であり当社のお客様となる事業者は、まだまだアナログな状態です。このギャップこそが当社の成長余地ですし、ここに対してSaaSとカスタマーサクセスの2軸で提供価値を高め、ローカルビジネスの活性化を実現していきたいと考えています。

投資家の皆様へメッセージ

ローカルビジネスは、デジタルマーケティングや採用、生産性など多方面で課題があります。当社は、この課題を一つずつ解決するための事業を作っていきたいと思っています。それぞれの市場規模も大きいですので、これを着実に進めていくことで収益が拡大し、最終的には株価にも紐づいていきます。今後の事業展開をご理解いただき、ぜひ当社の株主としてご支援いただけますと幸いです。

株式会社CS-C

本社所在地:東京都港区芝浦4-13-23 MS芝浦ビル12F

設立:2011年10月

資本金:758百万円(2023年1月アクセス時)

上場市場:東証グロース(2021年12月24日上場)

証券コード:9258

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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