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【5134】株式会社 POPER代表取締役 栗原慎吾氏「教育現場の業務を効率化し、素晴らしい先生との出会いを」

※本コラムは2023年1月19日に実施したIRインタビューをもとにしております。

業務管理とコミュニケーションを同時に行うシステム「Comiru」を提供し、塾の円滑な経営をサポートする株式会社 POPER。

代表取締役の栗原慎吾氏に、今の日本の教育業界への想いや、今後の成長戦略について伺いました。

目次

株式会社 POPERを一言で言うと

「『教える』をなめらかに」をミッションに掲げる、自分の人生を変えるような先生との出会いをつくる会社です。

わが社は、SaaSで教育業界の効率化をすることに加え、さらにはその先にある、子どもたちにいい先生・指導者に巡り会ってほしいということも見据えたサービスを展開する会社です。

創業の経緯

幼少期から身近なところに経営者がいたため、将来は自分も起業して経営者になりたいと考えていました。しかし、初めて立ち上げた会社は1年程で失敗に終わってしまったのが現実でした。今振り返ると、その失敗は「事業として具体的になにを選択するか」という明確な意思や、会社を経営する上での理念が曖昧になっていたからだと思います。

次に何をやろうかと考えていた2010年代初頭、”〇〇×IT”といった言葉が流行りだしました。また、時を同じくして個人塾を立ち上げた友人からの誘いを受け、私も共同経営者兼講師として加わることになりました。

自分の体験ベースから教育現場における課題を見つけ、それが起業や事業領域を決める上でのきっかけになるのではないかと考えたことが理由です。そのために、まずは自分自身が実際に教える現場に立つということが将来への重要なステップになると思い、塾講師として2012年から3年間勤めていました。

入社してすぐに今の「Comiru」の基盤となるアイデアは浮かんでいました。というのもシステム化が全く進んでおらず、授業以外で非常に手間がかかる作業が大量に残っていたのです。この経験から、”教育×IT”に具体的な起業のヒントが得られるのではないかと考えるようになりました。

ですが、塾で生徒と接するのを楽しんでいた自分もいたため、すぐには退社せずに勤務は継続していました。その後卒業生を輩出したことで、自分も次のステップに進む頃合いだと思い、塾を退職し2015年に当社設立いたしました。

創業当初、社員は増やさずいわゆるスモールビジネスの状態で事業を進めてきました。エンジニアは大学生のインターンを雇い、私が営業に行ってお客様からいただいた要望を形にするという作業を地道に続けていました。ですが、2年経っても10件ほどしか契約が取れず、一度はキャッシュアウトしそうなほどにまでなってしまいました。

そのような中、起業家応援プログラム「Seed Accelerator Program」に参加したことは一つの転換点となっています。そこでは、投資家の方々と事業計画やスケーラビリティに乗せるためにはどうすればよいかなどを協議しました。プロダクトが大きく変わったわけではないのですが、振り返ると私自身の考え方を変えることができたきっかけとなっていると思います。

また、そこで優勝することができ、2017年にはファイナンスもさせていただきました。そこからは社員を増やすようになり、特にフルコミットのエンジニアを採用できたことでお客様の要望をどんどん実装していける体制が整っていきました。上場についてもこのタイミングで具体的に意識するようになりました。

また、外部環境としてはスマートフォンの普及により保護者の方々がアプリを使いこなせるようになったことが大きかったと思います。それまで、ウェブの専用マイページを持っていた大手塾にも、徐々にアプリ化したいというニーズが増え始めました。

実際、2018年に大手塾に導入していただき、これを起点に横展開も一気に進み、事業をスケールさせていくことができました。

事業内容について

民間の教育機関、特に学習塾に対して、保護者とのコミュニケーションや業務を効率化するSaaS「Comiru」を提供しています。塾では、保護者向けに紙や電話、メール、郵便を用いた煩雑なやり取りが頻繁に行われています。

当社はこれらをアプリ化することによって業務効率向上の一助を担っています。また、保護者とのコミュニケーションを円滑にすることによって、退会率が改善し、塾の売上にも貢献するようなツールとしても認識をいただいています。

株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料 より引用

その他、成績管理などのコミュニケーション以外の部分も機能を付け加え、最近では、オンライン授業・自宅学習支援サービス「ComiruAir」や講師の労務管理・コミュニケーションサービス「ComiruHR」、さらには、大手塾の基幹システムをリプレイスするようなサービスとして「ComiruPRO」もリリースしています。

株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料 より引用

人生を振り返った時に、自分を導いてくれるような大人との出会いは極めて大きいはずです。そしてこれこそが教育業界を良くしていくベースになるものだと思うのですが、今の教育現場は忙しくそのような余裕がないのが現実です。その忙しさの原因となっているものを取り除きたいという想いで我々はサービスを展開しています。

現在当社は1000社を超える顧客基盤を保有しています。お取引の中で適宜ユーザーにとってプラスのものを加え、サービスを進化させ続けてきており、このようにお客様の要望に答え続けてきた姿勢が大手塾にも評価していただけていると感じています。

そして、機動的なサービス改善や新規サービスのリリースを可能にしているのは豊富な開発リソースです。例えば、「ComiruAir」は2021年に実装予定だったのですが、その前から既にモックは完成していました。コロナが流行による社会情勢の変化に伴い、モックのままでも良いからリリースしようと決断をしました。そういった意味では柔軟性も兼ね備えていると思います。

教育マーケットに携わる者として、少子化の影響は避けられないと認識しています。現状、一人当たりの教育単価が上昇していることもあり市場規模としてはこの10年くらい横ばいなのですが、今後さらに絶対数が減ればマーケットも減少していくと思います。

ただ、先ほども触れた通り、学習塾の内部は非常にアナログですので、その分IT投資は増えると考えており、当社サービスへのニーズも高まると考えています。


株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

大手から個人経営の規模まで、それぞれの属性に合わせた施策を展開していきます。

まず、生徒数5000人以上の大手塾へは、「Comiru」ではカバーできないシステムをサブシステムとして構築し、基幹システムとセット販売する戦略を進めていきます。何千人と生徒を抱えているとシステムなしでは経営に障害が生じますので、ほぼ100%何らかのシステムを既に導入しています。

ただ、導入当時はクラウドもなかったため、大半はSIerに依頼したフルスクラッチのシステムです。また、売上規模からIT投資の予算は限定的であり、20年ほど前のシステムを使い続けているのです。このような彼らのDX化ニーズに応えてまいります。

株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料 より引用

規模が1000人くらい中堅層は、システム化ニーズはあるものの予算がなく、excelのマクロ等で対応しているのが現状です。ここに対しては「ComiruPRO」をパッケージとして販売していきます。大手塾が自社のシステムを外販しているケースもあり、顧客を奪い合うようなマーケットになっています。

個人塾は規模が小さくシステム導入のニーズもありません。保護者とのコミュニケーションでサービスアップしたいという点には共感していただけるものの、個人塾に対しても高いITリテラシーが求められますので、この市場では現状30%程度にとどまる見込みです。

そのためシステム以外での規模拡大を狙っており、その一つが備品購買です。「Comiru」のEC上で、塾の経営において必要不可欠な紙や印刷機などの備品を割引価格で販売し、「Comiru」導入の誘因にしています。

これにより、本来取り込めない見込みであった層にも当社のサービスを利用していただけると考えています。


株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料
 より引用

また、学習塾のほかには習い事市場にも裾野を広げていこうと計画しております。今、小学生の子どもは平均して3.6個の習い事をしており、教育単価の上昇には習い事マーケットが関係しています。塾単体の市場が1兆円に対し、習い事マーケットは2.5兆円あります。

事実、習い事業界の方がよりビジネスモデルが洗練されておらず、上場会社もほぼありません。そのため、必要性を説くという点で、塾よりも時間がかかると思っています。まずはマーケティングを通じた無料版の「Comiru」へと取り込み、中長期的な成長を見越しています。

株式会社 POPER 2022年10月期決算説明資料 より引用

売り上げ面においては、今後5年で塾以外の領域を2-3割までにしていきたいと考えております。さらに、「Comiru」の顧客数を増やし、プラットフォーマーとしてマネタイズすることも視野に入れています。

具体的には、教材の販売や教師の募集、集客などへ応用し生徒IDだけでなく、多方面からマネタイズポイントを作っていきます。現状、どの程度の規模になるかは事業計画上も想定しておらず、あくまでもバッファーの立ち位置で捉えています。

今のID課金だけで今後数年間は30%の成長をしていくと目標を設定し、他のマネタイズポイントで多少の売り上げの確保を見込んでいます。

投資家の皆様へメッセージ

今の日本をマクロな環境で見たとき、少子化というワードは外せなく、教育に間接的に携わる我々も少なからず影響があるとは感じています。実際、塾の時価総額もかなり低いのが実情。

ですが我々は、学習塾以外にも習い事領域にも展開し、この情勢の裏側に入りこめる存在です。また、日本の教育を変えていけるような立場にあるプレーヤーであると考えています。

我々は、塾や学校の教壇に立っている先生たちに輝いてもらいたいという想いで日々取り組んでいます。

日本の教育に課題感を持っている方や、より良いものにしたいと思っている方は、投資というかたちでぜひ当社を応援していただけますと幸いです。そして、我々はその期待にお応えできるような成長が可能な会社です。

株式会社 POPER

本社所在地:東京都中央区日本橋茅場町 1-13-21 日本橋茅場町阪神ビル 4F

設立:2015年1月15日

資本金:171,119千円(2022年10月末現在)

上場市場:東証グロース(2022年11月15日上場)

証券コード:5134

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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