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【4053】株式会社Sun Asterisk代表取締役 小林泰平氏「デジタルを活用したビジネス変革のインフラを目指す」

※本コラムは2023年2月13日に実施したIRインタビューをもとにしております。

スタートアップの創生や成長を、リソースやナレッジの提供を通じて支援する「デジタル・クリエイティブスタジオ」をベトナムで立ち上げ、上場企業の輩出や優秀な人材の育成を実現してきた株式会社Sun Asterisk。

代表取締役の小林泰平氏に日本進出の経緯や今後の成長戦略を伺いました。

目次

株式会社Sun Asteriskを一言で言うと

価値創造するためのデジタル・クリエイティブスタジオを運営する会社です。

今はまだ、この言葉を聞いてもイメージの湧かない方が多いと思いますが、これを浸透させることが、我々の一つの目標でもあります。

代表就任の経緯

2012年の創業時より、当社に参画いたしました。当時我々が目指していたのは起業や新しいビジネスの立ち上げをオペレーションレベルで支援する「ベンチャービルダー」です。

事業会社で複数のビジネスを立ち上げる経験はあっても、起業してビジネスを作ることを体験する人はそう多くいません。そして、それが故にナレッジの共通化が全くされていなかったのです。そこで、技術面も含め、オープンソース的な発想でノウハウをシェアし企業を支援するという発想が生まれました。

当時私はエンジニアだったのですが、この文脈で「最強のテックチーム」を作るということに大変興味を持ちました。一口にエンジニアと言っても、共通項はプログラミングを使うことだけであり、携わる内容によって求められるスキルは大きく異なります。巨大な基幹システムをつくるエンジニアと新規事業を高速で立ち上げるためのエンジニアでは、野球とサッカーを比べるほどにその必要な能力は大きく異なります。

日本には、事業開発においてビジネス・デザイン・プログラミングのプロセスが製造ラインのようにきっちり分かれていることが多いという大きな特徴があります。高品質で完璧なものを作ることが目的の場合には大きな強みになりますが、実際の事業はユーザーニーズやマーケット環境に合わせて次々に変化するものであり、求められるのは正確性よりも柔軟性やスピードです。

しかし、対応できるスキルをもつエンジニアは非常に少なく、私自身も課題と認識していました。これを実現するエンジニア集団を、アジアでつくることをミッションにお誘いをいただき、加わったというわけです。

株式会社Sun Asterisk 2022年12月期 通期決算説明資料 より引用

すぐにベトナムで法人をスタートさせ、まずは現地で優秀な人材を集めて育成するところから始めました。当時のベトナムにはコスト削減の目的でオフショア開発拠点が多くあったのですが、新しいサービスをゼロから作るような仕事はありませんでした。才能あふれるエンジニアほどスタートアップに特化した我々の取り組みに注目をしていただき、順調にエンジニア集団は立ち上がっていきました。このような経緯から、創業3年目の2015年にベトナム法人の代表に就任しています。

我々にとって転機となったのは2017年です。当社のクライアントが1年間に5社ほど上場を迎えました。まだ起業間もないエンジニアチームもなかったような時から並走してきたスタートアップが一つのマイルストーンを迎えるのを相次いで目撃したのです。

また、彼らも「スタートアップで開発をお願いするならサンアスタリスクがいい」という口コミを形成してくれました。5年目を迎え、我々自身も多くのことが共通化できてきたという実感もありました。

一方で違和感を感じていたのが日本の現状です。世界と比較し、国内のデジタル化の遅れには強烈な危機感を覚えました。また、ちょうど経産省から「2025年の崖」という問題が提唱され始めた時期でもありました。

アジアから世界に轟くスタートアップをつくることをミッションに更なる拡大を目指していた我々ですが、培ったナレッジやアセット、ケーパビリティを日本のために活用すれば、少しでもデジタル化を進められるのではないかと考えたのです。

ここで経営方針を大きく転換し、日本でデジタルを使ってビジネスを変革させたいと考える人のためのインフラ的存在を目指そうと決めました。当時日本拠点には30人ほどしかおりませんでしたので採用を強化する必要がありました。

また、今後はスタートアップだけではなくエンタープライズの支援をしていくという意味でも、認知度や信用力を高めることが重要でした。

このような背景から日本本社、ベトナム子会社というグループ体制への移行とともに、それまでベトナムで1番大きいチームを率いていた私が代表に就任いたしました。その後、2020年に上場を果たし、現在にいたります。

事業内容について

起業や新規ビジネスの創出、既存ビジネスのデジタル化など、ITという技術を使って何か新しいことを始めたい人たちのインフラを目指し、デジタル・クリエイティブスタジオ事業を展開しています。

サービスラインは大きく二つあり、一つは、企業が作りたいビジネスを当社のプロフェッショナルチームで開発する、Creative & Engineeringです。この事業を通じて生まれたコミュニティやネットワークを生かし、スタートアップにCXO人材の紹介をしたり、当社が世界中で育成している優秀なエンジニアを越境紹介するのがもう一つのTalent Platformです。

売上全体のポートフォリオとしては前者の開発支援が9割、人材紹介料をメインとする後者が1割程度です。

株式会社Sun Asterisk 2022年12月期 通期決算説明資料 より引用

これまで当社は新規のクライアント獲得をインバウンドで誘発する施策をとってきました。事業作りのコツを伝えるウェビナーやスタートアップとVCが繋がるイベントの開催 など、スタートアップ支援の延長線上の施策が新規獲得に繋がるというとても良い循環が生まれていました。

これにより当社の重要KPIでもあるストック型顧客は順調に積みあがり、事業は成長を続けてきました。これは引き続き事業拡大のメイン戦略となりますが、足元では顧客層が拡大したことで、既存クライアントのカスタマーケアにもさらに磨きをかける施策を実行しています。

スタートアップであれば事業戦略がほぼ経営戦略と同一なのですが、エンタープライズでは必ずしもそうとは限りません。ビジネスモデル上、顧客離脱率はある程度織り込むべきであり、実際過去10年間ほぼ変動していません。

既存クライアントとのリレーションを強化することで、今後は既存案件の予期せぬ縮小や解約をできるだけ減らしていけると考えています。

株式会社Sun Asterisk 2022年12月期 通期決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

スタートアップ、エンタープライズともに事業のデジタル化(デジタライゼーション)には引き続き高い需要があります。ストック型顧客数の増加と顧客単価(ARPU)の上昇を通じ、マーケットの拡大とともに当社デジタル・クリエイティブスタジオ事業の更なる成長を実現していきます。

先ほどお伝えした既存クライアントとのリレーション強化による案件縮小率の低減については、顧客のアカウント担当者の増員を通じて対応していきます。また、クライアントの経営戦略に対する理解を深め、クロスセル・アップセルの提案を積極的に実施します。

一方、現状はエンタープライズの顧客数がまだ少なく、それが故に一社、二社の案件終了や契約終了に伴うARPUへのインパクトが大きくなってしまうという課題もあります。エンタープライズや大型のSMB顧客案件の新規獲得に向けた営業部隊の拡充も同時に進め、ARPUの持続的な成長をさせていきます。

株式会社Sun Asterisk 2022年12月期 通期決算説明資料 より引用

国内は労働人口の減少が今後も続きますので、いかに必要な人材を自社で育成できるかが企業のサステナブルな成長には欠かせません。この点、我々がこれまで10年間海外で培ってきた育成プログラムなどの教育アセットは大きな優位性であると認識しています。

今後はこれらを集合体にさせ、さらに洗練させることで、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の質を組織の内側からも向上させていけると考えています。

また、Talent Platform事業も一番の目的は世界中の才能を集めて育成することです。これは自社の新卒採用にも繋がりますし、最近では日本で働きたいと考える方々も増えています。優秀な彼らのスキルを国内に還元することができれば、日本の国力アップに貢献できると考えています。

そういった意味では当事業は世界中の才能ある方々を、どう日本の成長に繋げるかを考えているビジネスなのです。もしかすると足元の人材紹介などのビジネスモデルはあまりユニークなものではないかもしれません。

ただ、我々は足元の成長の先にある、日本への還元という大きな成果に目を向けていますので、その思いに対する希望だと捉えて見ていただければと思います。

株式会社Sun Asterisk 2022年12月期 通期決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

まず、経営においては足元の事業成長は当たり前だと認識しています。その上で、現状は日本にフォーカスしていますが、将来的には世界中の人たちがデジタルを使って何かビジネスをしたいとなった時に、最初に相談される存在になることを目指しています。

いかに持続的に成長しながら、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」という大きなビジョンに向かっていくかだけを考えていますので、あまりテクニカルなことはいたしません。

発信する情報は我々の本質的な部分なので是非注目していただきたいですし、当社の活動や思想に共感できるのであれば、株主になるという形で応援していただけますと幸いです。

株式会社Sun Asterisk

本社所在地:東京都千代田区大手町1丁目6番1号 大手町ビルB1

設立:2013年3月

資本金:1,713,171千円(2022年12月31日時点)

上場市場:東証グロース(2020年7月31日上場)

証券コード:4053

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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