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【2183】株式会社リニカル代表取締役社長 秦野和浩氏「プロフェッショナル人材とデジタル技術を融合しグローバルでさらなる成長を目指すCRO」

※本コラムは2023年2月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社リニカルは医薬品開発のプロフェッショナルとしてグローバルに事業を展開し新薬開発に貢献してきました。代表取締役社長の秦野和浩氏に、創業からこれまでの歩み、そして今後の更なる成長戦略について伺いました。

目次

株式会社リニカルを一言で言うと

日本発のグローバルCROです。

  • CRO(Contract Research Organization):医薬品開発段階での治験、医薬品の製造販売後臨床試験などに関わる業務の一部を代行、支援する会社のこと。

創業の経緯

前職では藤沢薬品で医薬品開発をしていましたが、同社の合併を機に独立することを決め、2005年6月7日に起業いたしました。業界での知見はある一方、もちろん経営という面では全くの素人だったため、この日は大安吉日で縁起が良かったことから、験を担ぎました。

また事業領域としては、重篤な疾患が多く新薬開発の増加が見込まれる、がん・中枢・免疫関連に特化することに決めました。単に商売として利益を求めるのではなく、有益な医薬品を提供することで患者さんの健康を追求するという会社としての意義もありました。

創業当初は人材採用やスポンサー企業の信用獲得に大変苦労いたしました。そこで、資金力や会社としての透明性を示すには最短で上場するしかないと考えました。2008年にマザーズ市場に上場し、これにより資金調達環境が改善されたほか、新卒の応募数も増え人材採用もしやすくなりました。また、2013年には東証一部に上場したことで、さらに知名度を高めることもできました。

これまでの過程を振り返ると、やはりグローバル展開をキーワードにそのための体制拡充に取り組んできたというのが当社の歩みです。まず、グローバルに展開するためにはやはり業界の中心かつ最先端であるアメリカに子会社を設立することが必要であると考えました。

そこで、マザーズに上場してすぐに、現地の情報を仕入れるためのインフォメーションセンターの様な立ち位置で子会社を立ち上げました。これが当社のグローバル展開において一つ目の大きなターニングポイントとなりました。その後、東証一部に上場したのを契機に、韓国とヨーロッパの企業を買収することでグローバルCROとして会社を成長させる基盤を整えていったことが二つ目の転換点です。

さらに2018年、ますますアクセルを踏んで事業を拡大させていこうということで、アメリカでM&Aを行いました。以降、世界20カ国で1000人規模の組織としてグローバルに医薬品開発を行うことを第一目標とし、事業を成長させてきました。

現在はさらに規模を拡大し、世界60か国への進出を目指しています。患者さんは世界中にいますので、グローバルに医薬品開発を行い、世界中の患者さんに新薬を届けることこそ、我々が創業から一貫して目指していることなのです。

株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

事業内容について

CRO(Contract Research Organization)事業といって、製薬会社のパートナーとして、治験で収集される患者さんのデータが、倫理的、科学的に適切かどうかを確認し、スポンサー企業に報告することで、新薬の承認を得る手助けをしています。

株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

また、製造販売後に行われる臨床研究・調査の受託などを行う育薬事業も展開しております。承認された薬が患者さんに投与された後も、その副作用や有効性を評価することはとても重要です。

当社は、2011年より臨床研究支援のパイオニアとしてこの分野にも取り組んできました。当事業ではカルテやレセプト(診療報酬情報)などの患者さんの日常診療における様々なデータが活用されます。

これらはリアルワールドデータと呼ばれ、データの品質の面ではまだ課題が残るものの、効率性や医療機関の負担軽減という観点から足元で需要が高まっています。

株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

さらに2016年からは市場分析や開発戦略立案等、医薬品開発を初期段階からサポートする創薬支援事業を開始いたしました。国内における医薬品市場は成長鈍化の傾向にあるものの、世界全体で見るとまだまだ大きな市場です。

また例えばヨーロッパと比べると、単一の国で世界全体の約6%の医薬品マーケットであることは、欧米のバイオベンチャーから見ても魅力的な市場であることに変わりはありません。

近年は従来問題視されていた「ドラッグ・ラグ」に代わり、海外で開発された新薬が日本に入ってこないという「ドラッグ・ロス」を懸念する声も高まっています。当社は新有効成分含有医薬品の申請・販売の65%を占めるこれらの新興バイオ医薬品企業を国内市場に誘致し、日本の患者さんに最先端の治療をお届けできるように取り組んでいるというわけです。

  • ドラッグ・ラグ:海外ですでに承認されている薬が日本国内での薬事承認を得るまでに長い年月を要する問題のこと。近年では申請から承認までにかかる期間が短縮されるなど、課題は解消傾向にある。
株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

世界の医薬品市場は2026年までに平均3-6%程度での成長が見込まれています。一方日本は先進国で唯一のマイナス成長予測となっており、持続的な会社成長には引き続きグローバルでの事業拡大が必須であると認識しています。

具体的には全体で60カ国程度に拠点を拡充させる目標を掲げ、各極でM&Aなどの成長投資を行いつつ、黒字維持および利益率の向上を実現させてまいります。先ほども申し上げたように、当社はグローバル展開をキーワードに海外の企業を買収し業績拡大を実現してきたという特徴を持っています。

買収後もその企業に深く入り込み、当社や日本のビジネスカルチャーを徹底的に浸透させることを意識してきました。これにより、M&Aによる事業成長を最大化することができたと認識しておりますし、勝ちパターンとも言えるノウハウ獲得することができました。このことからも、今後の当社のグローバル展開による成長の蓋然性を感じていただければと思います。

さらに当社は、プロフェッショナルな人材とデジタル技術を組み合わせ、最強のCROとなることを目指していきます。

株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

デジタル技術の活用という面においては、治験のリモート化がキーワードとなります。臨床試験はどうしても労働集約型で力技的なところがあるのですが、このような取り組みにより効率化が期待されます。また、開発に携わる者にとっては、効率化により、サイエンスを考えることにより集中できるようになり、CROとしての質をより高めることができると考えています。

今後はこれを加速させるため、ノウハウを持つ企業の買収も視野に入れながら、グローバルでノウハウを蓄積することを検討しています。デジタル技術を活用することが、結果としてプロフェッショナルな人材の育成に繋がり、中長期的な会社の価値として還元されていくと考えています。

さらに今後は、がんや認知症以外にも高齢化により重要性が高まる領域への拡大を進めています。まず一つ目は眼科です。老眼などの進行による視力低下はもちろん、失明してしまった際には生活に支障をきたしてしまうことが考えられます。

二つ目は皮膚科です。痒みで睡眠を妨げられることもありますし、クオリティオブライフを著しく損なう危険性があります。さらに新しい治療法の開発にも貢献していきます。製薬会社は基本的に、例えば100万人の患者さんがいればそのうちの95万人に効果が期待できるような治療方法の開発を行います。

そのため、現在の再生医療のような患者個人個人に対して行うテーラーメイドの治療方法に注力することは少ないです。ですが我々としては再生医療などの新しい技術が発展し、様々な疾患治療に応用されるまで、先陣を切って取り組むことを次の正義と捉え、さらなる成長を目指してまいります。

株式会社リニカル 2023年3月期 第2四半期決算 説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

投資家の皆様には、CRO事業を軸としつつも、創薬支援事業や育薬事業も併せて、単なるCROとしての枠組を超えた事業展開を行なっていること、そしてM&Aによる買収戦略が成功していることをぜひご理解いただきたいと思っています。

すでに海外展開における勝ちパターンは固められつつありますので、日本発のグローバルCROとしてさらなる成長を目指す我々の中長期戦略に期待していただき、応援していただけますと幸いです。

株式会社リニカル

本社所在地:大阪市淀川区宮原一丁目6番1号 新大阪ブリックビル10階

設立:2005年6月7日

資本金:214,043,500円(2023年3月アクセス時)

上場市場:東証プライム(2008年10月27日上場)

証券コード:2183

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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