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【5576】株式会社オービーシステム 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年1月30日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社オービーシステムは金融・産業流通・社会公共の幅広い社会インフラ領域で事業を展開し、社会ニーズを最前線で解決するシステムインテグレーター(Sier)です。

代表取締役社長の豊田利雄氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社オービーシステムを一言で言うと

社会的なニーズを最前線で解決するシステムインテグレーターです。 

オービーシステムの沿革

株式会社オービーシステム代表取締役社長 豊田利雄氏

創業経緯

当社は1972年に現相談役の山田によって設立されました。

1968年に設立された株式会社オービックの創業者の野田会長と山田は、以前勤務していた会社での先輩後輩の関係でした。

そして山田はプログラミングの黎明期にプログラミングを学び、その技術を活かして、野田会長の勧めにより、オービックへのソフトウェア供給を目的に事業をスタートしました。

その後の事業拡大は順調で、1976年には日立製作所の関西進出のパートナーとして選ばれました。

以降、日立製作所グループと40数年、三菱電機グループと30数年の継続した取引など大手企業との取引を通じて成長してきました。

2023年6月の上場までの長い道のり

創業以来、山田は事業を拡大し続け、常に上場を見据えていました。

しかし、バブルの崩壊や、リーマンショックの影響などで、業績の落ち込みもあり、上場は難しい状況でした。

そんな折、彼の遠縁であり証券会社勤務で上場についての専門知識を持っていた私と再会し、上場に関しての相談を受けるようになりました。

この背景から、私は取締役経営企画室長として会社に参画し、やがて社長を引き継ぎました。

そして着々と上場準備を進め、2023年6月に上場を果たしました。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

オービーシステムの事業の概要と特徴

概要

創業から半世紀を超える当社は、金融から産業流通、さらには社会公共インフラに至るまで、幅広い分野でビジネスを展開してきました。

主な顧客は国内大手SIerが中心で、日立製作所、三菱電機ソフトウェアなど日本を代表する企業のビジネスパートナーとして、システム開発を受託しています。

特に金融分野では、時間と労力を要するミッションクリティカルな地銀の基幹系業務が中心となっています。

産業流通事業では、コネクテッドカーやマイコン、量販店システムなどに加え、自社開発の臨床検査システムを提供しています。

社会公共事業では公共性が高い電力託送やガバメントクラウド事業を手がけています。

またDXの進展に伴い、ITイノベーションを中心に社会ニーズに応える先進的なソリューションを提供しています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

事業における優位性

大企業との長期的な関係性

当社は日立製作所をはじめ、大企業からの受託を安定的に得ています。

これは一朝一夕で積み上げられるものではありません。

システム開発は予期せぬトラブルがつきものですが、当社がプロジェクトに対して最後まで責任を持って完遂してきたからこそ信頼関係を築けてきたものだと考えています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

高い業務知識・知見

金融業界や電力業界など特定の知識が必要な分野では、専門的な知見や業務上どのように使われるのかといった観点が非常に大切です。

このような業務知識とシステム開発スキルの融合が、私たちの大きな強みです。

そしてユーザのDX化の潮流の中で、長年蓄積したレガシーシステム開発の知見も生かし、DX事業を拡大しています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

社員教育の強化

顧客ニーズに応えるシステムを提供するために、手厚い社員教育の体制を備えていることも強みだと考えています。

当社では新卒社員を毎年30名前後、今年は50名以上採用し、約3ヶ月の研修後に現場に配属しています。

やはり実践を通じて学ぶOJTが、知識を身につける上で非常に重要だと考えています。

また東京をはじめとした地域では人材投資が活発で、競争も激しいですが、当社の退職率は6%台と、業界平均の9~10%を下回っています。

これも、社員が働きやすい環境を整え、定着率を高めた努力の結果だと自負しています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

オービーシステムの中長期の成長イメージとそのための施策

システム業界の人材不足

システム業界は、現在人手不足に直面しており、官民問わず技術開発の遅れが見られます。日本は先進国の中でもIT人材の不足が課題だと考えています。

当社にも数多くの需要が寄せられていますが、そのニーズに必ずしもすべて応えられているわけではありません。

当社が数多くの案件を受注し、安定的に事業を拡大していくために肝心なのは適切な人材を確保し、育成していくことです。

市場の需要は十分にありますが、DXの波に乗り遅れず、迅速に技術革新を取り入れていく必要があると考えています。

人材の補強と技術力の強化

当社は先ほども触れたように、銀行、保険、電力、自動車関連など、幅広い分野でシステム開発の仕事を手掛けています。

しかしこれらの業界のシステム開発は規模が大きく、長期にわたる取り組みが必要です。

現在、社員の稼働率は実質100%に近い状態で、新たなプロジェクトが舞い込んだ場合、既存の業務から人員を再配置し、適切なチームを組み直さなければなりません。

既存の仕事だけでも十分安定成長は可能ですが、将来的にはDX、とりわけクラウド、AIなどの技術が絶対的に必要で、特に若手社員を中心に人材育成のための投資を増やし、高度化してゆく技術のキャッチアップを図っていきます。

そのため、今年は50名以上の新卒採用を行い、教育にもそれまでの倍の費用を投じる予定です。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

積極的なM&A

先ほども申しましたが、IT業界には人材への投資が急務です。

そこで当社は積極的なM&Aも検討しています。

上場による調達を含め、この潤沢な資金を有効活用することが次のステップだと考えています。

特定のターゲットに限定しているわけではありませんが、当社の強みを活かせる分野での拡張を目指しています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

注目していただきたいポイントは、当社がいかにして人材を育成し、確保していくかです。

特にクラウド技術をはじめとする最先端の業務は、実際に手を動かして経験しなければ習得が難しいため、特に若い社員を中心に積極的に関わらせていくことが必要です。

これにより、彼らが成長するにつれて、企業として扱える仕事の範囲も広がっていくと期待しています。

また上流工程、つまり顧客のニーズを理解し、それに応えるシステムを設計する能力を持った人材は、極めて重要です。

このような人材を、今後2年から3年の間により多く育て、増やしていくことが当社の戦略的な目標の一つです。

この取り組みを通じて、当社は技術革新に対応し続け、市場での競争力を保つことができると考えています。

株式会社オービーシステム 2024年3月期2Q 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

スタンダード市場への上場から既に半年が経過し、当社の株価も安定期に入ってきたように感じています。

今期の業績予測についても公表しておりますが、計画達成は十分可能であり、さらなる業績の上振れを目指して取り組んでおります。

投資家の皆様への還元策としては、配当を中心に考えており、現在の配当性向は40%弱ですが、今後も増配を続けていきたいと考えています。

当社に長期的に投資していただけるよう、引き続き努力していく所存です。

式会社オービーシステム

本社所在地:〒541-0046 大阪市中央区平野町2-3-7 アーバンエース北浜ビル

設立:1972年8月25日

資本金:190百万円(2024年2月アクセス時点)

上場市場:東証スタンダード市場 (2023年6月21日上場)

証券コード:5576

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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