60代から加入できる個人年金保険おすすめと選び方・注意点を解説

この記事の要点
  1. 60代の個人年金保険は「受給ギャップを埋めるか」「長生きリスクに備えるか」で選ぶ型が変わる。
  2. 公的年金は原則65歳開始、個人年金は55〜75歳など開始年齢を選べるため目的に応じた設計が可能。
  3. 以下でタイプ別の違い、税制適格の条件、リスクと併用策を整理する。

60歳を過ぎると、「退職金をどこに預ければいいのか」「年金だけで暮らせるのか」といった不安が急に現実味を帯びてくる。公的年金は原則65歳から受け取れるが、60歳で退職すると5年間の収入ギャップが生じる。

個人年金保険は、その「橋渡し」として検討される。ただし、加入年齢の上限や税制適格の条件、途中解約のリスクなど、60代ならではの落とし穴もある。目的に合ったタイプの選び方から、控除の活かし方、iDeCoやNISAとの併用まで、判断に必要な情報をまとめた。

※本記事の数値情報は2026年2月時点のものだ。税制は改正があり得るため、契約前に最新情報を確認されたい。

目次

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個人年金保険おすすめ60代の結論はどれ?

60代で個人年金保険を選ぶなら、まず「何のために入るか」をはっきりさせておきたい。退職金をまとまった形で預けたいのか、毎月少しずつ積み立てたいのか。65歳までの収入ギャップを埋めたいのか、それとも長生きに備えて終身で受け取りたいのか。この目的次第で、払込方法も受取期間も大きく変わる。

公的年金は原則65歳から受け取れるが、60〜75歳の間で受給開始時期を選ぶこともできる。一方、個人年金保険は55歳・60歳・65歳・70歳・75歳など、商品ごとに設定された開始年齢から選べる設計が一般的だ。つまり、公的年金の開始時期と個人年金の開始時期を組み合わせることで、自分なりの受取プランを組み立てられる。

ただし、60代は加入できる年齢の上限が近づいている。平準払(毎月払い)の積立型は60〜70歳が上限の目安とされ、一時払なら70〜80歳代まで受け付ける会社もある。加入を検討するなら、早めに選択肢を確認しておくほうがよい。

60代で個人年金保険が向く人の特徴

個人年金保険が向くのは、投資のリスクを取ることに抵抗があり、決まった金額を決まった時期に受け取りたい人だ。受取額や受取期間が契約時に確定するタイプを選べば、将来の収入を見通しやすくなる。退職後の家計を安定させたい、年金だけでは不安がある、という人にとっては心理的な安心材料になり得る。

一方、数年以内に使う可能性がある資金や、急な出費に備えたい資金を個人年金保険に充てるのはおすすめしにくい。途中解約すると、払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」が起こりやすい。特に外貨建てやMVA(市場価格調整)付きの商品は、為替や金利の変動で解約返戻金が大きく動く。向き不向きを見極めてから検討したい。

おすすめは「一時払」か「平準払」か

払込方法は、資金の形で決まることが多い。退職金などまとまった資金があるなら「一時払」、毎月の余裕資金から積み立てたいなら「平準払」が基本だ。

一時払は70〜80歳代まで加入できる会社もあるが、平準払は60〜70歳が上限の目安だ。ただし、この数字はあくまで傾向であり、会社や商品によって65〜70歳、あるいは80歳代後半まで扱う例もある。希望する払込方法で加入できるかどうか、まずは条件を確認するところから始めよう。

もう一つ注意したいのが、保険料控除との関係だ。個人年金保険料控除(税制適格)を受けるには、「10年以上の定期的な払込」「60歳以降に受取開始」「10年以上の年金受取」などの要件を満たす必要がある。一時払は払込が1回で終わるため、この要件を満たさないケースが多い。控除を狙うなら、平準払で設計するのが基本だ。

項目平準払一時払
加入年齢の目安60〜70歳70〜80歳代
控除との相性税制適格を満たしやすい控除対象外になりやすい
流動性途中解約で元本割れの可能性同左(MVA付きは特に注意)
向く資金形毎月の余裕資金退職金などまとまった資金

年金の受取期間は確定・終身で決める

受取期間には大きく分けて「確定年金」「有期年金」「終身年金」がある。確定年金は5年・10年・15年など期間を定めて受け取り、被保険者が亡くなっても遺族が残りを受け取れる。有期年金も10年・15年などの期間だが、被保険者が亡くなると支払いが終わるのが原則だ。終身年金は生きている限り受け取れるため、長生きリスクへの備えになる。

60代で「65歳までの橋渡し」を目的にするなら、5年確定や10年確定が合う。一方、90歳、100歳まで生きる可能性を考えて「終身で少しでも上乗せしたい」なら、保証期間付終身年金が候補になる。保証期間付きであれば、保証期間中に亡くなっても遺族が残りを受け取れる。

ただし、受取開始後に種類を変更できる商品もあるが、その場合はその時点の利率などで年金額が再計算される。最初の設計で目的に合った型を選んでおくほうが、後から慌てずに済む。

種類受取期間死亡時の遺族への残り方向く目的
確定年金5年・10年・15年など残りを遺族が受け取れる受給ギャップの橋渡し
有期年金10年・15年など原則、支払い終了一定期間の上乗せ
保証期間付終身終身(保証期間あり)保証期間中は遺族が受け取れる長生きリスクへの備え

では、60代で個人年金保険を検討するとき、どんな判断軸で整理すればよいか。次章で確認していく。

個人年金保険を60代で始める判断軸の整理

60代で個人年金保険を検討するなら、判断軸を「用途→加入条件→安全性→負担」の順で固定すると迷いにくい。最初に「いつ使うお金か」を決め、次に「そもそも加入できるか」を確認し、安全性と負担を見積もってから契約に進む。この順番を逆にすると、条件が合わない商品に時間を使ったり、生活資金を圧迫する設計になったりしやすい。

まず確認するのは「いつ使うお金か」

公的年金は原則65歳から受け取れる。60歳で退職し、65歳まで公的年金がない期間を「受給ギャップ」と呼ぶ。このギャップを埋めるために個人年金を使うのか、それとも65歳以降の上乗せとして使うのか。目的によって、設計がまったく変わる。

ギャップを埋めるなら、年金開始を60歳や55歳に設定し、5年確定や10年確定で受け取る設計が候補になる。上乗せなら、65歳や70歳開始で終身や長期確定を選ぶケースが多い。まずは「自分が何歳から、いくら必要か」を書き出すところから始めるとよい。

加入できる年齢の目安と注意点

60代は払込方法によって加入上限が異なりやすい。平準払の積立型は60〜70歳が目安、一時払は70〜80歳代が上限の例が多い。ただし、会社や商品によって65〜70歳まで、あるいは80歳代後半まで扱う例もあり、一律ではない。

年齢だけでなく、健康状態や過去の病歴によって引受条件が変わることもある。「年齢がギリギリだから急いで契約する」のではなく、複数社の条件を比較したうえで判断したい。加入可否は各社に確認が必要だ。

安全性は保護制度と健全性で見る

保険会社が万一破綻した場合、契約者は生命保険契約者保護機構によって一定の保護を受けられる。責任準備金等の90%までが補償される仕組みだ。ただし、「高予定利率契約」と呼ばれる契約は、さらに最大10%の引き下げが行われる例外もある。100%保護ではない点は頭に入れておこう。

保護制度があるからといって、どの会社でも同じというわけではない。契約前にはソルベンシー・マージン比率(支払余力を示す指標)や格付けなど、会社の健全性を確認しておくとよい。保護制度はあくまで「最後の砦」であり、健全な会社を選ぶことが先決だ。

保険料負担は生活防衛資金を残す

個人年金保険は、一度契約すると途中解約で損が出やすい。生活防衛資金(病気や介護、急な出費に備える資金)を確保せずに契約すると、いざというときに解約せざるを得なくなる。生活防衛資金を先に確保し、残った余裕資金の範囲で保険料を決める。これが基本だ。

払込中に収入が減る、介護費用がかかるといった事態も想定しておきたい。契約前に「減額」や「払済」(保険料の払込を止めて保障を継続する方法)ができるかどうかを確認しておくと、いざというときの選択肢が増える。重要事項説明書や約款の該当部分もチェックしておこう。

判断軸が整理できたところで、次は具体的なタイプの違いを確認しよう。

60代の個人年金保険のタイプはおすすめ基準でどう選ぶ?

タイプを比較するときは、「受取期間→価格変動→通貨→税」の順で項目を潰していくと整理しやすい。最初に確定・有期・終身の違いを押さえ、次に定額か変額か、円建てか外貨建てかを確認し、最後に受取時の税金を見積もる。この順番で進めると、比較表を作るときに抜け漏れが減る。

確定年金・有期年金・終身年金の違い

確定年金は、契約時に定めた期間(5年・10年・15年など)だけ年金を受け取る。被保険者が亡くなっても、残りの期間分は遺族が受け取れる。有期年金も10年・15年などの期間を定めるが、被保険者が亡くなると支払いが終わるのが原則だ。終身年金は生きている限り受け取れるため、長生きリスクに備えられる。

60代で「65歳までの橋渡し」を目的にするなら、5年確定や10年確定が現実的だ。一方、「90歳以降も収入を確保したい」なら、保証期間付終身年金が候補になる。保証期間中に亡くなれば遺族が残りを受け取れるため、「長生きリスク」と「遺族への配慮」を両立しやすい。

なお、受取開始後に種類を変更できる商品もあるが、その時点の利率等で年金額が再計算されることがある。当初の設計を変えるとプランが崩れやすいので、最初の段階で目的に合った型を選んでおきたい。

定額型と変額型の向き不向き

定額型は、契約時に将来の年金額が確定する。受取額が読めるため、老後の家計を組み立てやすい。一方、変額型は運用実績によって年金額や解約返戻金が変動する。運用がうまくいけば受取額が増える可能性があるが、運用リスクは契約者が負う。解約返戻金に最低保証がない商品も多い。

60代で「安定した受取」を優先するなら定額型が向いている。ただし、定額型であっても、受取額の「実質価値」は物価上昇の影響を受ける。10年後、20年後に同じ金額を受け取っても、物価が上がっていれば買えるものは減る。定額型にもこうした弱点がある点は頭に入れておきたい。

円建てと外貨建てのリスクを見積もる

外貨建ての個人年金保険は、米ドルや豪ドルなど外貨で運用される。外貨ベースでは安定していても、円に換算するときの為替レートで受取額が変わる。円高が進めば、払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」になる可能性がある。為替リスクは契約者が負うのが原則だ。

また、一時払の外貨建て商品には「MVA(市場価格調整)」が付いているものがある。MVAとは、解約時や一時金受取時に市場金利の変動を反映して解約返戻金を調整する仕組みだ。市場金利が上昇している局面で解約すると、返戻金が減ることがある。外貨建て+MVAの組み合わせは、リスク要因が重なる点に注意したい。

受取は年金か一時金かで税金が変わる

個人年金保険の受取方法によって、かかる税金の種類が変わる。年金形式で受け取ると「雑所得」として課税される。計算式は「その年の年金額−その年金額に対応する払込保険料」だ。差引後の金額が25万円以上になると、10.21%の源泉徴収がかかる場合がある。

一方、年金の代わりに一時金で受け取ると「一時所得」として扱われる。計算式は「(総収入金額−その収入のための支出−特別控除50万円)×1/2」だ。特別控除50万円があり、さらに1/2課税となるため、条件によっては年金受取より税負担が軽くなるケースもある。ただし、どちらが有利かは個別の状況による。

注意したいのは、契約者(保険料負担者)と年金受取人が異なる場合だ。たとえば夫が保険料を払い、妻が年金を受け取る設計では、年金受給権の取得時点で贈与税や相続税の対象になり得る。夫婦で加入を検討する場合は、契約関係と課税関係を事前に確認しておきたい。

税金の仕組みがわかったところで、次は保険料控除を最大限活かす方法を見ていく。

60代の個人年金保険で保険料控除を無駄なく最大化する

個人年金保険料控除は、契約の設計が「税制適格」の要件を満たして初めて使える。要件を満たさない契約では、そもそも控除の対象にならない。「控除があるから得」と考える前に、自分の契約が対象になるかどうかを確認するのが先だ。

税制適格の条件は「60歳以降×10年以上」

個人年金保険料控除の対象になるには、次の要件をすべて満たす必要がある。

  • 年金受取人が被保険者本人または配偶者であること
  • 保険料を10年以上にわたって定期的に払い込むこと
  • 年金受取開始が60歳以降で、受取期間が10年以上(終身含む)であること

この3点セットがそろわないと、税制適格とは認められない。特に見落としがちなのが「受取人」の設定だ。受取人を子どもにしていると要件を満たさないケースがある。契約時に「税制適格特約」を付けるかどうか、保険会社に確認しておきたい。

控除額の上限と年末調整・確定申告

生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の3枠に分かれている。それぞれの枠ごとに上限があり、さらに全体の合計にも上限がある。新契約(2012年1月1日以後に締結した契約)の場合、各枠の上限は所得税で4万円、住民税で2万8,000円だ。3枠の合計では所得税12万円、住民税7万円が上限となる。

個人年金保険料控除の計算式は、年間保険料が8万円を超えると所得税の控除額は4万円で頭打ちになる。年間保険料を8万円以上払っても、控除額がそれ以上増えるわけではない。控除目的で保険料を増やしても、上限を超えた分は節税効果がない点に注意したい。

なお、2026年分(令和8年分)の所得税に限り、23歳未満の扶養親族がいる世帯では「一般生命保険料控除」の上限が6万円に引き上げられる時限特例がある。ただし、これは一般枠の話であり、個人年金枠は従来どおり4万円が上限だ。混同しないよう注意されたい。

一時払は控除対象外になりやすい

税制適格の要件には「10年以上の定期的な払込」が含まれている。一時払は払込が1回で終わるため、この要件を満たさない。つまり、一時払の個人年金保険は、個人年金保険料控除の対象外になるケースがほとんどだ。

控除を狙うなら、平準払(月払・半年払・年払など)で契約するのが基本だ。契約前に「税制適格特約が付けられるか」「要件を満たすか」を保険会社に確認しておくとよい。設計書やパンフレットだけでは判断しにくい場合は、約款の該当箇所もチェックしておきたい。

受取時の課税「雑所得・一時所得」入門

控除は払込時のメリットだが、受取時には課税がある。受取方法によって税区分が変わるため、控除だけで判断すると全体像を見誤る。

年金形式で受け取ると「雑所得」として課税される。計算式は「その年の年金額−その年金額に対応する払込保険料」だ。差引後の金額が25万円以上になると、10.21%の源泉徴収が行われる場合がある。確定申告で精算することになるため、他の所得と合算した税額を見積もっておきたい。

一時金で受け取ると「一時所得」として扱われる。計算式は「(総収入金額−その収入のための支出−特別控除50万円)×1/2」だ。特別控除50万円があり、さらに課税対象が1/2になるため、条件によっては年金受取より税負担が軽くなることもある。ただし、どちらが有利かは他の所得や控除の状況によるため、一概には言えない。

税制のメリットを確認したところで、次は「焦って決めると後悔しやすい理由」を見ていく。

60代は個人年金保険を急いで決めないほうがいい理由

60代は運用期間が短いため、設計ミスが損失に直結しやすい。若いうちなら時間をかけて取り戻せる失敗も、60代では取り返しがつかないことがある。焦って契約して途中解約、というパターンは避けたい。ここでは、急いで決めないほうがよい理由を整理する。

途中解約で元本割れしやすい

個人年金保険は、途中解約すると解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることがある。特に契約から間もない時期は、解約返戻金がゼロに近い設計の商品もある。

外貨建てやMVA付きの商品は、為替や金利の変動で解約返戻金がさらに減る可能性がある。契約時に「途中で解約したらいくら戻るか」を確認しておくことが大切だ。設計書に記載された「解約返戻金の推移」をチェックし、少なくとも5年後、10年後の返戻率を把握しておきたい。

インフレ・金利で価値が目減りすることがある

定額型の個人年金保険は、契約時に将来の受取額が確定する。これは安心材料になる一方、物価が上昇すると受取額の「実質価値」が下がるリスクがある。たとえば、20年後に月10万円を受け取る契約でも、物価が2倍になっていれば、実質的な購買力は半分だ。

また、金利の変動はMVA付きの商品に影響する。市場金利が上昇している局面で解約や一時金受取をすると、解約返戻金が減る可能性がある。金利は自分ではコントロールできない要素なので、MVA付き商品を選ぶ場合は「途中で解約しない前提」で設計する必要がある。

外貨建て・MVAは市場リスクが乗る

外貨建ての個人年金保険は、外貨ベースでは安定していても、円に換算するときの為替レートで損益が変わる。円高が進めば、払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」が起こり得る。円で受け取る場合でも、為替の影響は避けられない。

MVA(市場価格調整)は、解約時や一時金受取時に市場金利の変動を反映して返戻金を調整する仕組みだ。金利が上昇している局面で解約すると、返戻金が減る。外貨建て+MVAの組み合わせは、為替リスクと金利リスクが同時にかかる。「高金利の外貨で有利」という見方だけで飛びつくと、想定外の損失を被ることがある。

比較は返戻率だけで終わらない

個人年金保険を比較するとき、返戻率(払込保険料に対する受取総額の割合)だけに目が行きがちだ。しかし、返戻率が高くても、税制適格の要件を満たさなければ控除は使えない。外貨建てやMVA付きなら、為替や金利の変動で実際の受取額が変わる。

比較するときは、次の項目をそろえて比較表を作るとよい。

  • 税制適格の要件を満たすか
  • 受取時の税区分(雑所得か一時所得か)
  • 解約返戻金の推移(特に契約後5年・10年)
  • 外貨建てか円建てか、MVAの有無
  • 加入年齢の上限と健康条件

返戻率だけでなく、これらの項目を並べて比較すると、思わぬ落とし穴に気づきやすくなる。

リスクを整理したところで、次は個人年金保険だけに頼らない「併用」の考え方を見ていく。

60代は個人年金保険とiDeCo・NISAを併用しよう

60代の資産形成は、個人年金保険だけで完結させる必要はない。「安定した受取」と「流動性のある運用」を分けて考えると、迷いが減る。個人年金保険は受取設計に強く、iDeCoやNISAは成長や税制優遇に強い。それぞれの役割を理解したうえで、併用を検討するのが現実的だ。

iDeCoは原則60歳まで引き出せない

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、原則として60歳まで資産を引き出せない。60代から加入する場合、加入期間によって受給開始年齢が後ろ倒しになる。加入期間が10年以上あれば60歳から受け取れるが、10年未満だと61〜65歳にずれ込む。たとえば、加入期間が2〜4年未満なら64歳、1〜2年未満なら65歳が受給開始年齢だ。

60代でiDeCoを始める場合、掛金の上限も確認しておきたい。自営業なら月6万8,000円まで拠出できるが、会社員は加入区分によって月1万2,000〜2万3,000円と上限が低い。拠出期間が短いと積立額も限られるため、iDeCoだけで老後資金をまかなうのは難しい。併用の一部として考えるほうがよい。

NISAは運用益が非課税で引き出し自由

新しいNISAは、運用益が非課税で、引き出し制限がない。年間投資枠は「つみたて投資枠」120万円と「成長投資枠」240万円の合計360万円。生涯非課税枠は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)、非課税保有期間は無期限だ。

iDeCoと違い、いつでも売却して現金化できる。急な出費に備えたい資金や、数年後に使う可能性がある資金は、NISAで運用するほうが柔軟性がある。ただし、NISAで購入できるのは株式や投資信託などのリスク資産だ。元本保証はないため、値下がりリスクがある点は忘れないでほしい。

保険は受取設計、投資は成長狙い

個人年金保険の強みは、将来の受取額や受取時期を自分で決められること。「65歳から10年間、毎月○万円ずつ受け取る」といった計画が立てやすい。一方、iDeCoやNISAは運用成果によって受取額が変わるため、確定的な設計には向かない。

役割を整理すると、次のようになる。

  • 個人年金保険:受取設計(いつ・いくら受け取るかを確定)
  • iDeCo:老後資産の税制優遇(掛金が全額所得控除、運用益非課税)
  • NISA:成長と流動性(運用益非課税、引き出し自由)

どれか一つに集中するより、目的に応じて分散させるほうが、リスクも分散できる。「保険で安定」「NISAで成長」「iDeCoで節税」と役割を分けて考えるとよい。

迷ったら相談先と必要資料を準備する

ここまで読んで「結局どうすればいいかわからない」と感じたら、専門家に相談するのも一つの手だ。相談する前に、次の項目を紙に書き出しておくと話がスムーズになる。

  • 目的:受給ギャップを埋めたいのか、長生きリスクに備えたいのか
  • 希望する年金開始年齢と受取期間
  • 払込に充てられる余裕資金(生活防衛資金を除いた額)
  • 税制適格の要件を満たしたいかどうか

相談先は、保険会社の担当者、保険代理店、ファイナンシャルプランナー(FP)などがある。ただし、販売を目的とする相談先は、自社商品を勧めやすい立場にある。提案を受けたら、必ず設計書や重要事項説明書をもらい、比較検討する時間を確保したい。その場で契約を決める必要はない。

まとめ

60代で個人年金保険を検討するなら、「何のために入るか」を最初にはっきりさせることが大切だ。受給ギャップを埋めるなら確定年金、長生きリスクに備えるなら終身年金が候補になる。払込方法は資金の形で決まり、控除を狙うなら平準払で税制適格の要件を満たす設計が必要だ。外貨建てやMVA付きは、為替や金利の変動で元本割れになる可能性がある。

個人年金保険だけで老後資金をまかなう必要はない。iDeCoやNISAと併用し、「安定した受取」と「成長・流動性」を分けて考えると迷いが減る。判断材料がそろったら、専門家に相談してみるのも一つの選択肢だ。設計書や重要事項説明書をもらい、比較検討する時間を確保してから契約に進むとよい。

FAQ

個人年金保険は受取開始後に解約できる?

年金の受取開始後は、原則として解約できない。年金として分割で受け取る契約に切り替わっているためだ。ただし、確定年金などでは「年金現価の一括受取」という形で、将来の年金をまとめて受け取れる例もある。商品や会社によって扱いが異なるため、契約前に「受取開始後の選択肢」を確認しておくことをおすすめする。

個人年金保険は夫婦で入るとどう違う?

夫婦で加入する場合、契約者(保険料負担者)と年金受取人の関係によって税金の扱いが変わる。たとえば、夫が保険料を払い、妻が年金を受け取る設計では、妻が年金受給権を取得した時点で、贈与税や相続税がかかる可能性がある。「夫婦だから非課税」ということはない。契約関係と課税関係を事前に確認し、必要に応じて税理士やFPに相談するのが安心だ。

個人年金保険と終身保険(貯蓄型)はどう使い分ける?

目的が「老後の年金化」なら個人年金保険、「死亡保障」なら終身保険が主目的になりやすい。個人年金保険は55〜75歳などの開始年齢を選び、5年・10年・終身といった受取期間を設計できる。終身保険は死亡時の保障が主目的で、解約返戻金を「年金化」するには別途手続きが必要になる。目的を明確にしたうえで、どちらが合うか比べてみてほしい。

個人年金保険は何社くらい比較すべき?

社数よりも「同じ条件で比較する」ことが重要だ。比較する項目は、税制適格の要件を満たすか、受取時の税区分、解約返戻金の推移、外貨建て・MVAの有無などだ。条件をそろえずに返戻率だけで比較すると、見落としが生じやすい。3〜5社程度を目安に、設計書をもらって比較表を作るのがおすすめだ。迷ったら、複数社を扱う代理店やFPに相談するのも一つの方法だ。

出典一覧

日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html

公益財団法人 生命保険文化センター「個人年金保険は何歳くらいまで加入できるの?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/pension/414.html

公益財団法人 生命保険文化センター「個人年金保険|主契約の種類」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/kind/main/30.html

公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険会社が破綻した場合、契約はどうなるの?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/162.html

国税庁 タックスアンサー No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm

国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm

国税庁「令和7年度税制改正のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/0025005-010.pdf

公益財団法人 生命保険文化センター「新旧両制度で対象契約がある場合の生命保険料控除は?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/560.html

国税庁 タックスアンサー No.1490「一時所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm

国税庁 タックスアンサー No.1610「本人が受け取る個人年金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1610.htm

国税庁 タックスアンサー No.1615「遺族が受け取る個人年金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1615.htm

iDeCo公式サイト「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html

iDeCo公式サイト「iDeCoをはじめるまでの4つのステップ」
https://www.ideco-koushiki.jp/start/

金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html

公益財団法人 生命保険文化センター「変額保険|主契約の種類」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/kind/main/28.html

公益財団法人 生命保険文化センター「外貨建ての生命保険とは?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/133.html

公益財団法人 生命保険文化センター「市場価格調整(MVA)を利用した生命保険とは?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/134.html

執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。