- どのような場合に団体信用生命保険がおりないのか知りたい
- 団体信用生命保険がおりなかった時の対応策がわからない
- 自分に合った団体信用生命保険を選ぶポイントが知りたい
住宅ローンを組むときに必要な団体信用生命保険。
万が一のときに住宅ローンの残高が保険金として支払われるため、残された家族に経済的な負担をかけずに済む。
しかし、いくつかの場合には保険金が支払われないケースもあるため注意が必要だ。
そこで本記事では、「団体信用生命保険がおりない」具体的なケース、その背後にある原因や適切な対策方法を解説する。
必要な知識を得て、あなたの大切な資産と生活を守る手助けになれば幸いだ。
おりないケースもある?団体信用生命保険とは何か
住宅ローンを契約する際、団体信用生命保険(団信)も同時に加入するケースは少なくない。
しかし「説明されたけれど実は仕組みがよく分かっていない」という方も多いのではないだろうか。
ここでは、団信の基本的な仕組みや加入条件について解説していく。
団体信用生命保険の基本的な仕組み
団信は死亡保険の一種であり、被保険者の死亡時に保険金が支払われるタイプの保険商品だ。
基本的な仕組みは一般的な死亡保険と変わらないが、異なるのは受け取り保険金額についてである。
一般的な死亡保険の場合、被保険者の死亡時にはあらかじめ設定していた保険金額が支給される。
保険金額を2,000万円に設定していれば、保険金受取人は2,000万円を受け取れる仕組みだ。
一方、団信は「死亡時点の住宅ローン残高」が支給される。
ローンの残高が500万円なら500万円が、残高が3,000万円なら3,000万円が保険金として支払われる。
ローン残高がゼロになるため、残された家族が経済的な負担をせずに住宅に住み続けられる仕組みだ。
また、保険料はローンを提供する金融機関が負担することになるが、一般的に保険料相当額がローンの金利に含まれている。
金融機関によっては、団信への加入によってローンの金利が優遇される可能性もあるためチェックしておこう。
住宅ローンは長期にわたって支払いが継続するケースが多いため、一家の大黒柱が亡くなってしまった場合は残された家族にとって大きな負担となる。
万が一の時に家族に経済的な負担をかけずに済むよう、団信に加入しておくと良いだろう。
団体信用生命保険の加入条件とは
団信への加入条件としては以下の2点が挙げられる。
- 住宅ローンを契約する人
- 健康状態などの条件をクリアした人
団信は、これから住宅ローンを新規で契約する、または他の金融機関の住宅ローンに借り換えを行う場合のみ契約できる保険となっている。
団信に加入せずに住宅ローンを契約した場合、あとから追加できるわけではないため注意が必要だ。
また、加入後に違うプランへの変更もできない。
住宅ローンは数十年にわたって支払っていくことになるため、本当にリスクをカバーできているか慎重に考えた上で契約を進めよう。
そして、団信に加入する際は、通常の生命保険と同様に健康状態などの条件を満たしていなければならない。
現在の健康状態や持病・既往歴について告知を行い、内容をもとに加入できるかどうかの判断が行われる仕組みだ。
現在持病を治療していたり、過去に特定の病気で入院・手術をしていたりすると、審査に通過できずに加入を断られる可能性もある。
ただし加入の基準が比較的緩い「ワイド団信」という選択肢もあるため、持病や手術歴がある場合もあきらめる必要はない。
団体信用生命保険の種類
団信には、保障内容によって以下のような種類が用意されている。
- 特約なしの団信
- がん保障付団信
- 三大疾病保障付団信
- 八大疾病保障付団信
- 全疾病保障付団信
特約なしの団信は、被保険者が死亡または高度障害状態となった場合のみ保険金が支払われる。
もっともシンプルなプランとなっており、特約がない分保険料が比較的安いことが特徴だ。
がん保障付団信は、特約なしの団信にがん保障が上乗せされたタイプである。
死亡・高度障害状態のほかに、がんにかかった場合も保険金が支払われる。
三大疾病保障付団信は「がん」「心疾患」「脳血管疾患」、八大疾病保障付団信はその3つに加えて「高血圧疾患」「糖尿病」「腎疾患」「肝疾患」「慢性膵炎」によって就業不能となった場合に保険金が支払われるタイプだ。
そして全疾病保障付団信になると、がんを含むすべての病気やケガによって就業不能な状態が続くと保険金が支払われる仕組みとなっている。
上記のようにさまざまな種類の団信が用意されているが、金融機関によって取り扱いがないケースもある。
住宅ローンを組む金融機関を選ぶ際は、金利や返済期間だけでなく、団信の内容などもチェックしておくと良いだろう。
団体信用生命保険がおりないケースと対策法
住宅ローンを契約し、団信に加入したのにもかかわらず、保険金がおりないというケースがある。
保険金が受け取れずにローンが残ってしまうと、経済的に大きな負担になってしまうため事前によく確認しておこう。
ここでは、団信で保険金がおりないケースと対策法について解説していく。
保障開始日以前の傷病や疾病が原因となった場合
団信による保障が開始するより前の傷病・疾病が原因で死亡または高度障害状態となった場合、残念ながら保険金はおりない。
加入前からの持病がある状態で団信に加入した場合は注意が必要だ。
保障開始日以前の傷病・疾病については、契約時に告知をしていても保険金支払いの対象とはならない。
もちろん持病等があることを隠して加入した場合も、保険金支払いの対象外だ。
こうしたリスクを避けるためには、持病を抱えるより前の健康なうちに団信に加入するしかない。
しかし住宅の購入は大きな買い物となるため、簡単に契約時期を早めることも難しいだろう。
できる限り早めに団信に加入するよう心掛け、すでに持病を抱えている方は保険金がおりない可能性があることを覚悟しておこう。
保険が失効している場合
団信がすでに失効となっている場合も、保険金は支払われない。
保険金がおりなかった場合は、契約者が団信の保険料や住宅ローンの支払いを延滞しているなどの理由で契約が失効していないかチェックしてみよう。
前述の通り、保険料は住宅ローンの金利に上乗せされているのが一般的だ。
つまり「住宅ローンの支払いを滞納する=団信の保険料を滞納する」ということになる。
また、フラット35の場合は別途保険料を支払う形が基本となっている。
この場合は住宅ローンが滞っていなくても、保険料を滞納していると団信が失効してしまう。
場合によっては、住宅ローンの返済が滞ったあとでも金融機関が団信の保険料を払っていることがあり、契約が失効していない可能性がある。
しかし住宅ローンの滞納が数ヶ月以上続いていれば、失効となっている可能性が高いだろう。
住宅ローンは借金であるため、滞納せずに毎月しっかりと返済するのは当然である。
もし遅れてしまった場合、契約が失効してしまうとさまざまなリスクが想定されるため早めに返済手続きを進めることが重要だ。
住宅ローンが弁済されない時はどうする?
団信に加入していたのに保険金がおりず、住宅ローンが弁済されなかった場合、残された家族には「不動産とローンを相続する」または「相続を放棄する」という2つの選択肢がある。
相続するか、放棄するかは3ヶ月以内に決めなければならない。
不動産とローンを相続をする場合、「そのまま住宅ローンを支払っていく」または「不動産を売却して住宅ローンを完済する」という選択をすることとなる。
継続してローンを支払っていくことが難しいのであれば、不動産を売却して現金化し、住宅ローンの残債を完済してしまう方が良いだろう。
しかし、不動産を売却しても住宅ローンの残債を支払えない場合がある。
この場合、相続を放棄するという選択肢も出てくる。相続放棄をするのであれば、不動産や預貯金などの資産も放棄することとなるため注意が必要だ。
しかし、不動産の売却によって住宅ローンの残債を支払えるかどうかは「不動産がいくらで売れるか」という点を把握しなければならない。
また、相続に関する手続きについては自分ひとりで進めることが容易ではないだろう。
相続に強い弁護士などの専門家に相談し、どうするべきかアドバイスをしてもらうのが賢明だ。
「保険がおりない」事態を未然に防ぐために!団体信用生命保険を選ぶポイント
前述の通り、団信は加入してからプランを変更できないため慎重に保障内容を決める必要がある。
選ぶ際のポイントを理解し、万が一のリスクに備えておこう。
団信を選ぶ際、以下の3つのポイントを押さえることが重要である。
- 保障内容が十分であるか
- 保険料の支払い方法
- 保険金が支払われやすい条件か
上記3つのポイントを確認し、自分に合った団信を見つけ出そう。
保障内容が十分であるか
前述の通り、団信にはさまざまな種類があり、保障される範囲が異なる。
契約した団信の保障内容に不足がないかをしっかりと確認しておこう。
団信の種類ごとの保障内容は以下の表の通りだ。
団信の種類 | 保障内容 |
特約なしの団信 | 死亡または高度障害状態になった場合に保険金が支払われる |
がん保障付団信 | 通常の団信保障に加え、所定のがんと診断された場合に保険金が支払われる |
三大疾病保障付団信 | 通常の団信保障に加え、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」で就業不能となった場合に保険金が支払われる |
八大疾病保障付団信 | 死亡・高度障害、三大疾病に加え、「高血圧疾患」「糖尿病」「腎疾患」「肝疾患」「慢性膵炎」などで就業不能となった場合に保険金が支払われる |
全疾病保障付団信 | すべての病気やケガの影響で就業不能となった場合に保険金が支払われる |
上記のほかに、医師によって余命6ヶ月以内と診断された場合にローン残高がゼロになる「リビングニーズ特約」も上乗せできる。
自分がカバーしておきたいリスクを想定し、十分な保障を得られるタイプの団信を選ぶことが重要だ。
しかし、保障される範囲を広げるほど保険料の負担は大きくなり、住宅ローンの支払いが厳しくなる可能性がある。
「とにかく手厚くすれば良い」というわけではないため注意が必要である。
必要な保障内容と保険料のバランスを見極め、過不足のない保障内容を備えた団信に加入しよう。
保険料の支払い方法
加入する団信がどういった形で保険料を支払うのかを確かめておくことも重要だ。
銀行が提供する住宅ローンと住宅金融支援機構が提供するフラット35では、保険料支払いの仕組みが異なっているためよく確認しておこう。
銀行の住宅ローンの場合は団信への加入は義務付けられており、保険料が含まれた金利となっている。
そのため、別で保険料を納める必要がない。
一方、フラット35は団信への加入が任意となっており、基本的には加入者が別で保険料を支払わなければならない。
保険料は「特約料」と呼ばれ、毎年決められた時期に支払うこととなる。
ただし「新機構団体信用生命保険制度」は、フラット35と団信がセットになった商品であるため年払いでの特約料の支払いが不要となっている。
月々の住宅ローン返済によって、団信の保険料も同時に支払っているという仕組みだ。
このように、同じ団信であっても商品によって保険料の支払い方法に違いがある。
別途保険料を支払うのが面倒に感じる場合は、銀行の住宅ローンまたは「新機構団体信用生命保険制度」の利用をおすすめする。
保険金が支払われやすい条件か
似たような保障内容であっても、金融機関によって保険金の支払い条件が細かい部分で異なる場合がある。
金融機関ごとの保険金支払い条件を比較し、保険金が支払われやすい条件の団信を選ぶと良いだろう。
例えば全疾病保障付団信を契約し、すべての病気やケガに備えているケースについて考える。
病気やケガで就業不能となったらすぐに保険金が支払われる場合と、就業不能な状態が一定期間継続していないと保険金が支払われない場合がある。
もしもの時に「別の金融機関なら保険金が支払われたのに」となってしまっては非常に後悔する。
特に住宅ローンは負担が大きいため、保障が受けられなかった時のダメージが大きい。
複数の金融機関が提供している住宅ローン・団信をきっちりと比較し、保険金が支払われやすい条件の商品を選ぼう。
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団体信用生命保険が「おりない」主な原因は契約不備!事前確認で適切な保険を選ぼう
「団体信用生命保険がおりない」理由には、保険契約に対する理解不足や条件不具合等多様な原因が考えられる。
リスクを防ぐためには、保険の知識や自身の生活状況に合った適切な選択が必要となる。
しかし、保険商品はとても複雑であり、専門的知識がないと理解できないようなものも多い。
一人で適切な選択をするのは困難であると感じる方も多いだろう。そんな方は保険のプロへの相談をおすすめする。
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