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個人年金保険の保険料は一括払いするべき?一括払いの基礎知識とポイントを解説

この記事で解決できるお悩み
  • 個人年金保険の保険料を一括で支払うべきかがわからない
  • 一括払いするメリットが知りたい
  • 一括払いのデメリットと対策が知りたい

高齢化社会と老後生活の長期化に伴い、公的年金だけでは経済的に安定したセカンドライフを送ることが難しくなってきている。

そこで注目されているのが個人年金保険である。老後の資金計画に多く活用される保険だが、その支払い方法には月払いや年払い、一括払いといった複数の種類が存在する。

その中で一括払いは、最初にまとめて保険料を払うことで全体で支払う保険料を安く出来るメリットがある。

では、保険料はすべて一括払いで支払うべきなのだろうか。

本記事では、個人年金保険の一括払いについて、基礎知識やメリット・デメリットを徹底解説する。

支払い方法をどうするべきか悩んでいるという方には、ぜひ本記事を参考にして理解を深めてほしい。

目次

個人年金保険の一括払いの基礎知識

個人年金保険は、老後の生活費などを準備する目的で加入する保険だ。

近年話題となった「老後2,000万円問題」によって注目を集めており、名前を耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。

個人年金保険の保険料支払い方法にはいくつか種類があり、それぞれ特徴も異なる。

特徴を正しく理解し、自分に合った支払い方法を選択しよう。

個人年金保険の保険料支払い方法

個人年金保険の保険料支払い方法は、大きく分けると「一括払い」と「分割払い」の2種類がある。

さらに「分割払い」には、「月払い」や「年払い」、「半年払い」などがある。

それぞれの特徴は以下の表の通りだ。

保険料支払い方法特徴
一括払い保険期間中の保険料を一度にまとめて支払う方法
月払い保険料を毎月分割して支払っていく方法
半年払い半年ごとに保険料を支払う方法
年払い1年ごとに保険料を支払う方法

なお、保険会社によって対応できる支払い方法が異なる。

あらかじめ希望する支払い方法が利用できるかどうかを確認しておこう。

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一括払いにも2種類ある

一括払いにも「全期前納払い」と「一時払い」という2種類がある。

保険期間中の保険料をすべて負担する点では共通しているが、細かな特徴が異なるため理解しておこう。

全期前納払いとは、保険期間中のすべての保険料を保険会社に「預ける」という支払い方法だ。

預けた保険料は、保険会社が「月払い」「年払い」などの方法で保険料として充当する仕組みになっている。

一方の一時払いは、保険期間中のすべての保険料を保険会社に「払い込む」方法である。

払い込んだ時点で保険料の支払いが完了し、もっとも保険料の負担を抑えられる方法だ。

全期前納払いの場合、保険料はあくまでも預けている状態であるため、払込は完了していない。

途中で解約をする場合、未充当分の保険料が返還される。

また、被保険者の死亡時には死亡保険金と未充当分の保険料が支給される仕組みだ。

一時払いは保険料の支払いが完了した扱いとなるため、途中で解約しても保険料の返還はない。

被保険者の死亡時に支給されるのも死亡保険金のみとなる。そうしたリスクを抱える分、保険料は安く抑えられる仕組みになっている。

同じ一括払いでも特徴が異なっているため、どちらが自分に合っているか判断して支払い方法を選択しよう。

個人年金保険の保険料支払い方法として一括払いが適している人とは

一括払いが適しているのは、以下のようなタイプの人だ。

  • まとまった貯蓄がある人
  • 保険料の支払い総額を減らしたいと考えている人
  • 貯金があると使ってしまう人

まず、一括払いにはまとまった貯蓄があることが前提となる。

全保険料をまとめて支払うため、ある程度貯蓄に余裕がないと一括払いはできないだろう。一括払いをしてもお金が残り、生活にも支障をきたさない方は一括払いの検討を検討しよう。

また、できる限り保険料の支払い総額を減らしたいと希望している場合も、一括払いが向いている。

前述の通り、分割払いに比べて保険料の支払い総額が安くなるためだ。

そして、貯金があると使ってしまう性格の人も一括払いをすると良いだろう。

銀行の預金口座と違い、保険料として払い込んでしまえば簡単には引き出せない。老後までしっかりと資金を守ることができる。

上記の条件に該当する方は、一括払いによる保険料支払いを検討してみてはいかがだろうか。

個人年金保険の保険料を一括払いするメリット

一括払いのメリット 生命保険ナビ

一括払いのメリットとして、主に以下の4点が挙げられる。

  • 他の支払い方法よりも保険料を安くできる
  • 返戻率を高めることができる
  • 保険金を受け取るタイミングを調整できる
  • 相続税の非課税枠が利用できる

上記の4点について解説していく。

他の支払い方法よりも保険料を安くできる

ここまで解説してきた通り、一括払いは分割払いに比べて保険料総額を安く抑えられる。

なぜなら、一括払いの方が保険会社側のコストが低くなるためだ。

分割払いの場合、保険料が振り込まれるたびに事務作業や銀行の手数料が発生する。

毎回、人件費や手数料などのコストがかかってしまう。

一方で一括払いの場合、保険料は一度に振り込まれるため事務作業や手数料の負担が小さくなる。

その分保険料も割引できるという仕組みだ。

同じ一括払いでも、全期前納払いより一時払いの方がコストが低く済むのも同じ理屈である。

保険料を預けて少しずつ充当していくよりも、一度で保険料の払込を終えた方がコストを下げられる。

まとめて保険料を支払うのは負担が大きいが、長期的に見ると保険料負担を抑えることが可能だ。

貯蓄に余裕があるという前提の上で、保険料総額を安くしたい場合は一括払いを活用しよう。

返戻率を高めることができる

一括払いを選択すると保険の返戻率を高めることができ、将来的に受け取れる年金額が増える。

なぜなら一括払いの方が高い運用効率を実現できるためだ。

支払った保険料は、保険会社によって運用が行われている。

支払われた保険料と運用で得た利益をもとに、被保険者へ年金が支払われる仕組みだ。そしてその運用は一括払いの方が効率良く利益を上げることができる。

例えば、「年間100万円を10年間で分割払いをして運用するケース」と「1,000万円を10年間で運用するケース」を考えてみよう。

どちらも結果的には1,000万円を運用することに違いはない。

しかし得られるリターンには大きな違いが生まれる。

仮に毎年1%のリターンが生じた場合、分割払いのケースでは1年目のリターンが「100万円×1%=1万円」となる。一方で一括払いのケースでは1年目のリターンが「1,000万円×1%=10万円」だ。

その後、分割払いのリターンは少しずつ増えていくものの、一括払いのリターンとは差が開いていく。

一括払いを選択した方が効率良くリターンを得られる仕組みとなっているのだ。

将来受け取れる年金額を増やしたい場合は、一括払いによる保険料支払いを視野に入れておこう。

保険金を受け取るタイミングを調整できる

まとまった資金を貯蓄している場合、一括払いの利用によるメリットが多い。

保険金を受け取るタイミングを調整できる点がそのひとつだ。

老後のために貯蓄を続け、まとまった資金を準備できたとしても、使い方に失敗すると貯蓄を失ってしまう可能性がある。

特にお金があると使いたくなってしまう性格の人は、思わず使い過ぎてしまう恐れがあるだろう。

貯蓄を個人年金保険の一括払いで支払ってしまえば、手元の資金を無駄遣いする心配がない。

保険金は年金形式で定期的に支給されるため、一気に使ってしまうことも避けられる。

そして自分のライフプランに合わせて保険金を受け取るタイミングを決めることができ、「65歳から15年間毎月受け取る」など自由に調整可能だ。

貯蓄をしているだけのケースに比べ、計画的に老後資金を使うことができる。

「貯蓄の無駄遣いを避けたい」「老後資金を計画的に使いたい」という場合は、手元のまとまったお金を一括払いで個人年金保険に使ってみても良いだろう。

相続税の非課税枠が利用できる

まとまった貯蓄を預金のままにせず、一括払いで個人年金保険に移すメリットとしては、相続税の非課税枠利用という点も挙げられる。

万が一死亡したときの相続税対策として、個人年金保険の活用を視野に入れておこう。

個人年金保険の被保険者が、保険料支払期間または保険金受取期間中に死亡した場合、死亡保険金が支払われる。

そして死亡保険金は「みなし相続財産」として扱われ、一定額までが非課税となる。

みなし相続財産の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で算出される金額だ。

仮に法定相続人が配偶者と子どもの計2人の場合、「500万円×2人=1,000万円」までの死亡保険金が非課税となる。

みなし相続財産の非課税枠は銀行の預金などには適用されない。

つまり単純に貯蓄をしているよりも、個人年金保険にお金を移しておく方が税金面で有利になる可能性があるということだ。

預貯金や不動産、金融資産などを多く所有しており、相続税対策を検討している方は個人年金保険による非課税枠の活用も検討してみてはいかがだろうか。

なお、相続税はさまざまな問題が絡むケースも多く、途中で法改正などがあると税金の取り扱いが変わる場合もある。

税理士・弁護士などの専門家に相談しながら、最適な活用方法を検討していくのが良いだろう。

個人年金保険の保険料を一括払いするデメリット

一括払いのデメリット 生命保険ナビ

一方、一括払いには以下のようなデメリットも存在する。

  • 支払いにまとまったお金が必要になる
  • 一時払いだと生命保険料控除が一度しか受けられない
  • 支払い後早期解約すると損する可能性がある

契約後のトラブルを避けるためにも、あらかじめ上記の注意点を把握しておこう。

支払いにまとまったお金が必要になる

契約時点でまとまった費用が発生する点は、一括払いを利用するデメリットである。

ある程度貯蓄がないと利用できず、貯蓄があっても一気に現金が減ってしまうため注意が必要だ。

「保険料総額が安くなる」と聞くと、一括払いを利用した方がお得に感じる方も多いだろう。

しかし、まとまったお金を支払うことで急な出費に対応できなかったり、必要なお金が不足してしまったりするリスクが考えられる。

分割払いであれば、保険料を1ヶ月・1年などの単位に分割して支払うため、1回あたりの支払い負担は小さく済む。

住宅ローンの支払いや教育費の負担などがある場合、手元に少しでも多くの現金を残しておきたいと考える人は少なくない。

一括払いで手元の現金を減らすより、分割して少しずつ保険料を支払った方が良いケースもあるだろう。

一括払いを利用する際は資金計画をしっかりと立て、まとまった現金を支払っても問題なく住宅ローンや教育費などを準備できるのか確認しておこう。

一時払いだと生命保険料控除は一度しか受けられない

個人年金保険は、年間で支払った保険料が「生命保険料控除」の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できる。

しかし一時払いを利用した場合、保険料を支払った年しか控除の対象とならない点に注意が必要だ。

分割払いの場合、保険料を毎年負担していくことになるため、控除も毎年受けられる。

継続的に所得税・住民税の負担を軽減できる。

一時払いは一度に保険料を支払ってしまうため、控除は最初の1年しか受けられない。

その分控除できる金額は大きいものの、ほとんどの場合は上限を超えてしまうため税金の軽減効果は分割払いに比べて低くなる。

一時払いは保険料の総額が安くなる一方、税金面では損をする可能性があるため、よく確認しておこう。

なお、同じ一括払いでも全期前納払いの場合は、保険会社に預けた保険料を分割で支払っていることになるため控除の適用が可能だ。

支払い後早期解約すると損する可能性がある

一括払いで保険料を支払った個人年金保険を早期解約すると、損をする可能性があるため注意が必要だ。

特に5年以内に解約する場合、税金面でもデメリットがあるため、契約時には「途中で解約することがないか」を慎重に考えておこう。

個人年金保険などの貯蓄型保険は、早期解約で受け取れる解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性が高い。

一時払いの場合はすべての保険料を先に支払っているため、損失が発生した場合のダメージが大きくなってしまう。

また、一定の条件を満たす貯蓄性がある保険を一時払いで契約し、5年以内で解約した場合は税金の計算方法が通常と異なる。

分割払い等で保険料を支払ったケースと比べ、解約返戻金にかかる税金が多くなる可能性が高い。

税金の面からも損をする可能性が高いため、支払い後すぐの早期解約はよほどの理由がない限り避けた方が良いだろう。

個人年金保険の一括払いの特徴を理解してあなたに最適な支払い方法を選ぼう

まとめ 生命保険ナビ

個人年金保険の一括払いには、全体の保険料を減らし、返戻率を高めて受け取る保険金を増やせるメリットがある。

一方で、支払い時にはまとまった資金が必要な点や、保険料控除の適用が一回のみである点には注意が必要だ。

また、保険料の支払い方法は年払いや月払いなど他の選択肢もあるため、自分の経済状況に合わせて支払い方法を決めるようにしよう。

支払い方法を決める時には、保険料控除を利用するか・支払い後の解約の危険性はないかなど複数の要素を考慮する必要がある。

そのため、本記事を理解しただけではどの支払い方法を選ぶべきか判断できないという人もいるだろう。

そんな時は保険のプロへの相談も検討してほしい。一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、最適な保険料の支払い方法を選択できるはずだ。

ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることは難しい。

マッチングサイトである「生命保険ナビ」を使うことで、自身の条件に合った保険のプロを見つけ、適切な相談ができる。

無料で利用できるので、ぜひ活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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