- ドル建て保険の特徴が知りたい
- ドル建て養老保険のメリット・デメリットが知りたい
- 人気のドル建て養老保険を知りたい
資産形成方法の一つとして、外貨を活用したドル建て保険への関心が高まっている。
終身保険、養老保険、個人年金保険などいくつかの種類にわかれるが、10年満期のドル建て保険というと、一般にはドル建て養老保険のことを指す。
養老保険は死亡保障と資産形成の二つの役割を持つ保険で、満期時には満期保険金を受け取ることができる。
このように、魅力の多いドル建て養老保険だが、はたしてどのような方におすすめな保険なのだろうか。
そこで本記事では、ドル建て養老保険に焦点を当てて解説を行なっていく。
本記事を通じて理解を深め、ドル建て保険を上手に活用できるようになれば幸いだ。
ドル建て養老保険とは?
まずは、ドル建て保険の特徴や種類に加えて、ドル建ての養老保険の概要について詳しく確認していこう。
ドル建て保険の特徴・種類
ドル建て保険とは、外貨建て保険の中でも特に米ドル建てで運用される保険商品のことを指す。
外貨建て保険は、米ドルの他にユーロや豪ドルなど主要通貨で運用されることが多いが、その中でも最も販売数が多いドル建て保険について解説していく。
そもそも外貨建て保険は、保険料の支払いや保険金・解約返戻金の給付がすべて「外貨」で行われる保険のことを指す。保険期間中の運用も外貨で行われる。
外貨建て保険の種類としては、以下のようなものが挙げられる。
種類 | 特徴 |
---|---|
終身タイプ | 被保険者の死亡時に保険金が給付される。解約返戻金があるため、一定の資産形成機能も持つ。 |
個人年金タイプ | 将来の公的年金にプラスして年金を受け取るために加入する保険。定められた期間運用した後、年金もしくは一括で支払われる。 |
養老タイプ | 被保険者が死亡すると死亡保険金が支払われ、満期まで生存すると満期保険金が支払われる。保障と資産形成の2つの役割を持つ。 |
ドル建て保険は、払い込んだ保険料が米ドルで運用される保険だ。
日本と比べて金利が高い米ドルで運用されることによって、高い利回りが期待できるのが大きな特徴と言える。
「外貨での運用」と聞くと難しいイメージを持ちやすいが、実際には加入者は毎月日本円で保険料を支払うだけで、米ドルへの交換や外貨での運用は保険会社が全て行ってくれる。
そのため、「外貨に興味はあるが何から始めたら良いかわからない」という人でも、取り組みやすいという点がメリットだ。
保険料はドルで設定されるため、毎月の保険料がドルベースで一定だとしても、日本円に直して計算すると支払う金額が変わってくる。
例えば、毎月100ドルを支払う場合、1ドル=140円換算だと日本円ベースで14,000円となるが、円安になって1ドル=150円になると15,000円となる。
保険金や解約返戻金もドルベースで決定されるため、その時の為替水準によって円換算した時の金額が異なる点に注意しよう。
10年満期のドル建て保険とは
「10年満期のドル建て保険」は、主に10年に満期が設定された米ドル建ての養老保険を指す場合が多い。
養老保険は、被保険者の死亡時には死亡保険金が支払われ、無事に満期を迎えると満期保険金が支払われるという仕組みの保険だ。
死亡保険金と満期保険金は同じ金額に設定されているのが一般的なので、万が一の事態に死亡保険金で備えつつ、将来に向けて満期保険金で資金を確保する、というニーズに応えられるという特徴を持つ。
しかし、日本では低金利が長く続いているため「貯蓄性を有する」とは言っても円での運用ではほとんど運用益を期待できない。
そこで、円よりも金利の高い米ドルで運用することで返戻率を高め、将来に向けてしっかりと資産を形成したいという人向けに人気の保険となっている。
10年で満期が来るため、比較的先の見通しが立てやすく「子供の教育資金に充てたい」「退職から公的年金が支払われる年齢までのつなぎの資金にしたい」といったように、ニーズに合わせて受け取ったお金を使いやすい。
ドル建て養老保険とドル建て終身保険との違い
資産形成の役割を持つ保険として、ドル建て養老保険と同じく人気が高いのがドル建て終身保険だ。
どちらも保障に加えて資産形成の役割を持つという点や、保険料支払いや保険金の支給といったお金のやりとりがすべて米ドルで行われるという点は変わらない。
大きく異なるのは「満期」が設定されているかどうかだ。
養老保険には、10年や20年といった単位で満期が設定されていることが多い。
一定期間が経過するとまとまったお金が支給されるため、将来のお金の使い道を考えやすいというメリットがある。
しかし、満期を迎えると契約は終了となるため、保障の役割もなくなってしまう。
新たに死亡保障が欲しいと考える場合は、再度保険に加入しなくてはいけないため注意しよう。
一方、終身保険には満期が設定されていないため、一生涯保障が継続するという魅力がある。
保障の手厚さを特に重視したい人にとって選択肢になり得る商品と言える。
ただし、満期がないため、生存中にお金を受け取るためには保険契約を解約する必要がある。
解約返戻金の金額は契約から解約するまでの期間によって異なり、契約後すぐに解約した場合は元本を割り込むリスクが非常に高い。
そのため終身保険に加入する際は、解約返戻率がピークを迎えるタイミングなどをきちんと理解した上で契約することが重要だ。
10年満期のドル建て養老保険のメリット・デメリット
数ある保険の中で、ドル建て養老保険を選ぶメリット・デメリットについてそれぞれまとめると下記の通りだ。
メリット | デメリット |
保障と資産形成を両立できる 資産を外貨に分散できる 円安が進めば為替差益が期待できる 満期保険金は米ドルのまま据え置きできる | 保険料負担が大きくなりやすい 元本割れのリスクがある 満期が到来すると保障が終了する |
それぞれ順番に確認していこう。
10年満期のドル建て養老保険のメリット
まず、万が一に対する備えと将来に向けた資産形成という2つの性質を併せ持つ点が挙げられる。
万が一の事態に死亡保険金で備えつつ、満期を迎えた時には同額の満期保険金を確保できる。
自分に何かあった際に家族にお金をしっかり残しながら、将来に向けた資産形成も同時に行いたいと考えている方におすすめの保険だ。
米ドルで運用する分、日本円で運用するよりも効率よく運用益を狙いやすい点も魅力と言える。
保険料さえ支払えば、あとはプロが運用してくれるため、自分で運用するのは難しいと考えている人でも始めやすいだろう。
契約時より円安が進めば、満期時に為替差益が期待できる場合もある。
逆に円高が進んでいる場合、保険会社や商品によっては米ドルのまま据え置きしておけることもある。
為替の動きを見計らいながら、好きなタイミングで満期保険金を円に戻せるため、為替のリスクを抑えやすいのも特徴だ。
10年満期のドル建て養老保険のデメリット
客観的に判断するために、良い面だけではなく悪い面にも目を向けてみよう。
まず、保障と資産形成の両方の性質を持つ分、終身タイプや掛け捨てタイプの保険に比べて保険料負担が大きくなりやすいことが挙げられる。
とにかく保険料負担を安く抑えたいという人にとっては、他の保険の方が適しているかもしれない。
また、保険料が米ドル建てで設定される点にも注意が必要だ。
月払いや年払いで保険料を支払う場合、その時の為替水準によって円換算した時の金額が変わってくるため、毎回支払い金額が異なる。
支出の見通しが立てにくかったり、為替水準によっては想定よりも保険料支出が高額となったりするリスクもある。
また、為替の状況によっては、保険金の金額が払い込んだ保険料の総額を下回る場合もある。
極端に円高が進んでいる場合は、すぐに円に戻さずに外貨のまま様子を見た方が良いケースもあるだろう。
養老保険は、満期が到来すると保障が終了してしまう点にも留意したい。
なるべく長く保障を続けたいなら満期を長く設定するか、終身タイプの保険に加入する方が良いだろう。
ドル建て養老保険を効果的に活用する方法
ドル建て養老保険を活用するためには、インフレ対策や資産分散といった目的で加入するのが良いだろう。
円だけを保有していると、極端に円安が進んでいった際に相対的に自分の持っている資産の価値が目減りしていってしまう。
米ドルを保有しながら運用することで、資産を分散させてリスクヘッジに繋げられるだろう。
また、将来ドルをそのまま使う予定のある方にもおすすめだ。
満期保険金を子供の留学費用や老後の海外旅行の費用に充てれば、為替手数料などを考慮せずにそのまま現金として利用できるため便利だ。
10年というある程度短いスパンで満期を設定できる商品も多いため、お金の使い道を決めやすいのも魅力と言えるだろう。
さらに、養老保険は一時払に対応した商品も多く、高齢者の相続税対策にも活用しやすい。
生命保険には、500万円×法定相続人の非課税枠が設けられているため、相続資産が多くなりそうな場合は前もって保険に加入しておくことで、相続税を減らして次の世代にスムーズに資産を引き継ぎやすくなる。
人気の10年満期のドル建て養老保険を紹介!
最後に、人気の高いドル建て養老保険の概要やメリットなどを詳しく解説する。
以下では、おすすめの3つの商品を紹介する。
- 明治安田生命:米ドル建一時払養老保険
- メットライフ生命:USドル建IS養老保険
- ソニー生命:米ドル建特殊養老保険(無配当)
また、以下の記事で解説している養老保険の種類についても改めておさらいしていただくと、商品への理解もより深まるはずだ。
明治安田生命:米ドル建一時払養老保険
商品名 | 米ドル建一時払養老保険(5年ごと利差配当付一時払特別養老保険(指定通貨建)) |
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販売会社 | 明治安田生命 |
契約年齢 | 契約者:満18歳〜満85歳、被保険者:0歳〜満85歳 |
保険期間 | 10年 |
保険料払込期間 | 一時払 |
一時払い保険料 | 0歳〜満15歳:100万円〜1,000万円 満16歳〜満17歳:100万円〜5,000万円 満18歳〜満85歳:100万円〜5億円 |
明治安田生命が販売する「米ドル建一時払養老保険」は、保険期間10年のシンプルな一時払養老保険だ。
一時払保険とは、加入後すぐに保険料をまとめて支払うタイプの保険だ。
保険期間の10年間の間は死亡保険金や災害死亡保険金の対象となり、解約すればその時点での解約返戻率に応じた解約返戻金が給付される。
保険の満了を迎えると満期保険金を受け取れて、最長10年間据え置きながら円で受け取りたいタイミングを選べる。
満期のタイミングで契約時よりも円安になっていればすぐに円に交換しても良いし、満期時に円高となっていれば、最長10年為替の動きを見ながら円安になったタイミングで円に交換できるため、為替のリスクも抑えやすいというメリットがある。
明治安田生命は対面での保険申込となるため、ネット申し込みに比べて保険契約に手間がかかりやすいのが注意点となる。
ただし、担当者によるしっかりとしたアフターフォローが受けられるため、手厚いサポートを受けながら保険を契約したいという方には適しているだろう。
メットライフ生命:USドル建IS養老保険
商品名 | USドル建IS養老保険(積立利率変動型養老保険(貯蓄重視型 米国通貨建) |
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販売会社 | メットライフ生命 |
契約年齢 | 0歳〜満72歳 |
保険期間 | 10年〜20年/25年/30年/18歳/50歳/55歳/60歳/65歳/70歳/75歳/80歳/82歳 |
最低保険金額 | 1万米ドル |
メットライフ生命の「USドル建IS養老保険」は、積立利率の最低保障がつけられている保険だ。
年2.5%の最低保障が付いていて、市場金利に合わせて毎月見直される。
保険期間を細かく設定できるのも特徴で、「30年間の長期にわたって保障が欲しい」「60歳になったタイミングでまとまったお金を受け取りたい」などニーズに合わせて満期を設定できるのも特徴だ。
基本的な保障としては、死亡・高度障害保険金および満期保険金というシンプルな形だが、特約を付加することで保障を充実させることもできる。
付加できる主な特約としては、以下のようなものがある。
- 一定期間の死亡・高度障害保障(定期保険特約(無解約返戻金型米ドル建))
- 余命6ヶ月以内の生前給付(リビング・ニーズ特約)
- 円入金特約
- 円支払特約
- 年金支払特約
- 給付金代理請求特約
ソニー生命:米ドル建特殊養老保険(無配当)
商品名 | 米ドル建特殊養老保険(無配当) |
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販売会社 | ソニー生命 |
契約年齢 | 0歳〜78歳 |
保険期間 | 年齢によって異なる |
保険料払込期間 | 年払・半年払・月払・全期前納 |
保険金額 | 1万米ドル〜500万米ドル未満、または円に換算して7億円以下のうち低い金額 |
ソニー生命の「米ドル建特殊養老保険」は少し変わった仕組みとなっている養老保険だ。
保険期間のうち前半は、契約時に定めた基本保険金額のまま推移していくが、後半は保険金額が2倍に達するまで毎年徐々に増加する。
年齢が上がるにつれて万が一の際の保障を手厚くしたいと考えている方におすすめの養老保険だ。
満期を迎えた場合も、基本保険金額の2倍の満期保険金が支払われるため、将来に向けた備えもしっかりとできるというメリットがある。
ただし、解約返戻率は時間の経過とともに徐々に上昇していくため、契約後すぐに解約すると元本を割り込むリスクが高くなる点に注意しよう。
10年満期のドル建て養老保険を検討しよう
本記事では、ドル建て養老保険に焦点を当てて解説を行った。
10年満期のドル建て保険というと、一般にはドル建て養老保険のことを指す。
保障と貯蓄の両立や満期保険金の据置が可能な点は大きな魅力と言えるだろう。
一方、保険料は割高な傾向にあり、満期がくれば保障もなくなる。
今回紹介した商品と活用法を参考に、加入するべきかについては慎重に判断するようにしてほしい。
自分がドル建て養老保険に適しているのか、またどの商品に加入するべきか、一人で判断することに疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討すると良いだろう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に適した保険を的確に選ぶことができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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