- 学資保険の返戻率と予定利率という言葉の意味が知りたい
- 学資保険の返戻率を高くする方法がわからない
- 学資保険を選ぶ時のポイントが知りたい
将来の子供の教育資金を準備するため、学資保険を利用したいと思っている人は多いのではないか。
学資保険には返戻率と予定利率という数字が存在する。
2つの違いについて、理解している人は少ないだろう。
だが、返戻率の考え方と高めるポイントを理解しておくことで、お得な学資保険を選ぶことができるようになる。
本記事では、学資保険の返戻率と予定利率という考え方、返戻率を高くする方法、そして返戻率以外に学資保険を選ぶポイントについて解説する。
よりお得に学資保険を利用したい、と考えている方は参考にしてほしい。
学資保険の返戻率・予定利率とは
学資保険の返戻率とはなんだろうか。返戻率という言葉を使う場合も、解約返戻率という場合もある。
学資保険の特徴
学資保険は、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝金として受け取ることのできる貯蓄型の保険だ。
子どもが幼いうちに申込し、15歳や18歳といったタイミングで満期を迎えると、満期保険金が支給される。
また満期近くになって保険を解約した際、満期保険金相当額の解約返戻金を受け取れる可能性が高い。
いわば教育費用に特化した終身保険といえるだろう。
学資保険のもうひとつの特徴は、保険加入中に契約者である親が病気やけがにより死亡・高度障害となったとき、以後の保険料を支払わなくてもいいとする仕組みだ。
加入している学資保険自体は継続するため、子どもの教育費確保を保障することができる。
現預金はもちろん、NISAなどの資産運用にもこの仕組みは存在しない。
学資保険の返戻率とは
まず返戻率の算出方法から解説する。返戻率は加入している保険を将来解約したときに、それまで支払った保険料総額と比較して、どれくらいの金額が戻ってくるかの計算式だ。
保険料総額と、返ってくる解約返戻金が同額であれば、返戻率は100%となる。
つまり、学資保険として万が一の際に保障機能があり、かつ1円も損をしていない状態だ。
今日の現役世代が子どもの頃、親が加入していた学資保険の返戻率は110%を超えているものも多かった。
2010年代に入り100%前後の学資保険が目立ったものの、最近は持ち直して105%付近の返戻率を予定した学資保険が主流となっている。
さて、返戻率はどのようにして決まるのだろうか。
学資保険において加入者が支払った保険料の原資は、保険会社が安定的な債券などで運用をする。
現在日本では、金融緩和政策で低金利が長く続いているため、あまり高い利率での運用ができない。
そのため返戻率も以前のように高くは設定できないままである。
学資保険の返戻率と予定利率の違い
学資保険を解約したときの金額を計算するときに、返戻率のほかに予定利率という言葉を聞くことがある。
まず返戻率は契約者から見た戻ってくる金額のことだ。
一方の予定利率とは、保険会社が契約者から受け取った保険料をもとにした、運用後の想定利率を指す。
なお契約者から受け取った全額を運用するのではなく、営業職員の人件費や保険契約のコスト、保険会社の維持管理コストを引いた「純保険料」で計算する。
学資保険の返戻率を高くするには
学資保険の返戻率を高くするには、どのような方法があるのだろうか。
できるだけ子どもの年齢が低いうちに学資保険に入る
学資保険の返戻率を高くするには、子どもが小さいうちからの申込を推奨する。
保険会社は学資保険の契約者から受け取った保険料を運用している。
この運用期間が長くなればなるほど、運用利率を高めることができる仕組みだ。
保険会社の担当者に依頼すると、自分の子どもの場合の運用利率が記載された設計書を作成してもらうことができる。
気軽に依頼したい。
最近の学資保険の傾向としては、保険会社によっての運用利率の違いも注目だ。
2020年代に入って利率回復を打ち出す学資保険が増えているので、優先順位を上げて考えるようにしたい。
ソニー生命などは高い返戻率を前面に打ち出している。なお一部の学資保険は、子どもの出生前から申し込むこともできる。
学資保険の保険料払込期間を短くする
保険会社の運用期間を長くするためには、保険料払い込み期間を短くすることも効果的だ。
例えば半年分を1度に支払う半期払いや、1年分を支払う年払いがある。
申込時にすべての保険料を支払う一括払いも可能だ。
祖父母が学資保険の保険料を負担するケースもある。祖父母は比較的、経済的な余裕がある場合が多い。
年払いや前納制度を使えば、返戻率を高くすることができる。
ただ、祖父母が保険料負担の場合、保険料は贈与税の対象となる。
贈与税の対象外となる年間110万円までの暦年贈与を活用することを考えよう。
学資保険の満期の時期を遅めに設定する
学資保険にもよるが、子どもが18歳になったときに満期となる保険と、22歳になったときに満期の保険に分かれる。
高い解約返戻金を望むのならば、満期の時期を遅めに設定するのも有効的な手段だ。
出生直後は学資保険に入らず、3歳を過ぎてから保険への加入を検討する場合は、より満期を遅めにすることで保険料払い込み期間を長くすれば、高い返戻金を期待することできる。
もちろん子どもに実際にお金がかかる時期を最重要視するのは前提だが、運用利率も考えて設定したい。
返戻率以外で学資保険を選ぶ際のポイント
返戻率以外で学資保険を選ぶ際は、どのようなポイントがあるのだろうか。
自分の家庭に合った保険料に設定する
学資保険をはじめとした生命保険の保険料は将来の大切な備えだが、その保険料を捻出するために現時点の生活を必要以上に苦しくするのはお勧めしない。
目安としては、月次収入の10-12%が適切な保険料といえるだろう。
ただ家計における保険の割合は解釈が難しい。上記の10%という数字はあくまで病気やケガに対する保険料の定義だ。
学資保険は教育費の確保、終身保険は死亡保障という意味合いがあるが、同時にこれらは貯蓄型保険である。
保険料に加えていいものかどうかは、それぞれの家計によるだろう。
貯蓄型の学資保険や終身保険は、10%にまったく加えず、別物として把握することも選択肢だ。
学資保険の保険金の受け取りをいつにするか考慮する
学資保険は満期保険金の受取が後になればなるほど、高い返戻率が期待できる。
契約時には子どものどの段階で教育費が最も必要になるかを計算し、申込時期と保険料の受取時期を考慮するようにしたい。
できるだけ加入期間を長くすることが大切である一方、子どもが大学を卒業して、教育費がかからなくなったあとに満期が到来してもあまり意味はない。
ちょうどいいタイミングを算出して、学資保険を申込したい。
特約の必要性があるか検討する
学資保険は、病気やケガに対する医療保険を特約でつけることができる。
ただ学資保険に医療保険の特約をつけると、その分が戻ってくるお金から控除され、解約返戻金が目減りしてしまう恐れがある。
医療保険は生命保険各社から充実している商品が提供されていることに加え、公的医療制度もある。
子供や家族がほかの医療保険に加入しているか、公的保障からどのような支援が受けられるかを認識したうえで、学資保険の医療特約を検討したい。
特に最近の国内生命保険会社から提供されている格安の医療保険は注目だ。
年齢にもよるが月々数千円の保険料で、充実した保障を得ることができる。
学資保険は主契約の部分のみで、これらの医療保険を組み合わせる形をお勧めする。
学資保険の返戻率と予定利率の違いを理解してそれぞれの数字が高いものを選ぼう
本記事では、学資保険の返戻率と予定利率という考え方、返戻率を高くする方法について、返戻率以外で学資保険を選ぶポイントについて解説した。
学資保険の返戻率はもらえる保険金を支払う予定の保険料合計で割ったもので、予定利率は保険料の運用で将来得られる利益を数値化したものになる。
それぞれの数字が高い学資保険を選ぶことで、将来の教育資金を高い水準で積み立てることができるようになるだろう。
ただ、返戻率を高くするには保険料の払込期間を短くする必要があり、その分一度に払う保険料も高くなる。
保険料が高くなりすぎて、解約せざるを得ないという状態になってしまうのは、元も子もない。
返戻率が高い学資保険が自分に適切かどうかを考える必要があるが、本記事を理解しただけでは、考えるのが難しいと思う人もいるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、加入するべき学資保険を判断することができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
マッチングサイトである「生命保険ナビ」を使えば、希望条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。
無料で利用できるので、是非活用してほしい。