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個人年金保険料控除を最大限利用するには?適用条件や活用方法を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 個人年金保険料控除の仕組みを理解したい
  • 個人年金保険料控除の活用方法を知りたい
  • 個人年金保険を選ぶ際のポイントを把握したい

老後の生活に備えて個人年金保険に加入するというのは最近一般的になっている。

しかし、その制度には複雑な点も多く、特に保険料控除の仕組みについては理解が不十分な方もいるのではないだろうか。

そこで本記事では、個人年金保険の保険料控除の仕組みとこれを最大限に活用する方法、さらに自分に最適な個人年金保険の選び方について解説する。

個人年金保険料控除を賢く活用したいという人は、ぜひ参考にしてもらいたい。

目次

個人年金保険料控除の仕組み

個人年金保険料控除の仕組み 生命保険ナビ

個人年金保険料控除は、上手く活用することで所得税や住民税の負担を軽減できる仕組みとなっている。

まずは特徴を正しく把握し、控除を最大限に活用しよう。

ここでは「そもそも個人年金保険とは」といった基本的な内容から、個人年金保険料控除の概要、計算方法などを解説していく。

個人年金保険の概要

そもそも個人年金保険とは、老後の生活資金を自分で準備するために加入する保険商品だ。

公的年金だけでは不足する分を補うことを目的として、支払った保険料を積み立てながら老後に向けて資産を準備していく仕組みとなっている。

個人年金保険には、大きく分けると「定額個人年金保険」と「変額個人年金保険」の2種類がある。

それぞれの特徴を把握し、自分に合うタイプの商品を選ぶことが大切だ。

定額タイプは、契約時に定められた利率で運用されるタイプの商品である。

決まった利率でずっと運用されていくため、契約時点で将来受け取れる年金額が確定している点が大きな特徴だ。

ライフプランを立てやすく、老後に向けて安全に資産を準備できる一方、物価が上昇すると年金の価値が目減りしてしまう点がデメリットと言える。

変額タイプは、投資信託などの金融商品を選択し、その運用実績に応じて受け取れる年金額が変動するタイプの商品だ。

運用方法次第で受け取れる年金額を大きく増やせる可能性がある点は大きな魅力である。

しかし、運用に失敗すると年金額が払い込んだ保険料を下回る「元本割れ」を起こすリスクも考えられる。

定額タイプに比べると、リスクが高い商品であると言えるだろう。

また、定額タイプと変額タイプでは年金の運用方法だけでなく、控除の種類も異なる。

定額タイプは「個人年金保険料控除」、変額タイプは「一般生命保険料控除」の対象となる点もしっかりと押さえておこう。

個人年金保険料控除とは

個人年金保険料控除とは、その年に支払った個人年金保険料の一部または全部を課税所得から控除できる仕組みのことだ。

課税対象となる所得が減る分、所得税・住民税の負担を軽減させることができる。

個人年金保険料控除は「生命保険料控除」という所得控除のひとつであり、ほかに「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」もある。

前述の通り、定額タイプの個人年金保険は個人年金保険料控除、変額タイプの個人年金保険は一般生命保険料控除の対象だ。

所得税や住民税は課せられる税金の中でも比較的負担が大きい。控除によって税金の負担が軽減できる点は大きなメリットと言えるだろう。

個人年金保険料控除の仕組みを正しく理解し、税負担を軽減させながら老後の生活資金を準備していこう。

個人年金保険料控除の計算方法

2012年1月1日以降に締結した契約(新制度)の場合、個人年金保険料控除の金額は以下の表のように計算を行う。

所得税

年間の保険料控除額
20,000円以下支払った保険料の全額
20,000円超〜40,000円以下支払った保険料×1/2+10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払った保険料×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

住民税

年間の保険料控除額
12,000円以下支払った保険料の全額
12,000円超〜32,000円以下支払った保険料×1/2+6,000円
32,000円超〜56,000円以下支払った保険料×1/4+14,000円
56,000円超一律28,000円

例えば年間の保険料が30,000円の場合、所得税の控除は「30,000円×1/2+10,000円=25,000円」、住民税の控除は「30,000円×1/2+6,000円=21,000円」となる。

また、2011年12月31日以前に締結した契約(旧制度)の場合、個人年金保険料控除の金額は以下のようになる。

所得税

年間の保険料控除額
25,000円以下支払った保険料の全額
25,000円超〜50,000円以下支払った保険料×1/2+12,500円
50,000円超〜100,000円以下支払った保険料×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円

住民税

年間の保険料控除額
15,000円以下支払った保険料の全額
15,000円超〜40,000円以下支払った保険料×1/2+7,500円
40,000円超〜70,000円以下支払った保険料×1/4+17,500円
70,000円超一律35,000円

旧制度で契約した商品の年間保険料が30,000円の場合、所得税の控除は「30,000円×1/2+12,500円=27,500円」、住民税の控除は「30,000円×1/2+7,500円=22,500円」となる。

なお、以下の記事でも個人年金保険料控除の具体的な金額について解説しているので、気になる方はあわせてチェックしていただきたい。

あわせて読みたい

個人年金保険料控除の活用方法

個人年金保険料控除の活用方法 生命保険ナビ

次に、個人年金保険料控除の活用方法について解説していく。

適用される条件や申請方法、注意点などをご紹介するので、参考にして税負担を軽減させよう。

個人年金保険料控除の適用条件

個人年金保険に加入すればすべて控除を受けられるわけではない。

控除の適用を受けるためには以下の4つの条件を満たさなければならない。

  • 年金の受取人が契約者または配偶者であること
  • 年金受取人が被保険者と同一人物であること
  • 保険料払込期間が10年以上であること
  • 確定年金・有期年金の場合、年金受け取り開始が60歳以降でかつ年金受け取り期間が10年以上であること

そして上記の4つを満たした上で、商品の「個人年金保険料税制適格特約」を上乗せする必要がある。

特約を付加しないと一般生命保険料控除の対象になるため注意しておこう。

個人年金保険料控除の申請方法

個人年金保険料控除は、年末調整または確定申告によって申請を行う。

会社員は年末調整、フリーランスや個人事業主は確定申告で控除の申請を進めよう。

会社員の場合、勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」で申請する。

申告書に保険会社名や1年間で支払った保険料などを記入し、保険会社から送られてきた「生命保険料控除証明書」を添付の上で会社に提出すると手続き完了だ。

フリーランス・個人事業主の場合、確定申告書の生命保険料控除の欄に控除金額を記入し、「生命保険料控除証明書」とともに税務署に提出する。

いずれの場合も生命保険料控除証明書が必要となる。毎年10月頃に保険会社から送られてくるため、忘れずに保管しておこう。

個人年金保険料控除を受ける際の注意点

個人年金保険料控除の適用を受ける際の注意点としては主に以下の2点が挙げられる。

  • 個人年金保険料税制適格特約を付加しないと一般生命保険料控除の対象になる
  • 主契約の解約や契約者名義の変更などを行うと特約が消滅する

前述の通り、4つの条件を満たした上で個人年金保険料税制適格特約を付加しないと、個人年金保険料控除の対象とはならない。

一般生命保険料控除の対象となってしまう点に注意が必要だ。

一般生命保険料控除でも控除が適用されるため「特に問題ない」と感じる方も多いだろう。

しかし一般生命保険料控除は、終身保険や定期保険、学資保険なども対象となる。ほかに終身保険などに加入している場合、控除の枠をすでに使い切ってしまう可能性がある。

個人年金保険料控除はほかの保険商品は基本的に対象とならない。

より効果的に控除を受けるためにも、特約の付加を忘れないようにしておこう。

また、特約を上乗せしている場合でも、主契約を解約したり、契約者名義を変更したりすると特約は消滅してしまう。

途中で契約内容などを変更すると、個人年金保険料控除の適用が受けられなくなってしまうため注意が必要だ。

控除でしっかりと税負担を軽減させるためにも、上記2つの注意点を押さえておこう。

個人年金保険料控除を最大限活用するために!あなたに最適な個人年金保険を選ぶポイント

自分に最適な個人年金保険を選ぶポイント 生命保険ナビ

ここまで個人年金保険料控除について解説してきたが、実際に保険商品を選ぶ際にはどういったポイントに気を付ければ良いのだろうか。

自分に最適な商品を選ぶためにも、商品選びのポイントを押さえておくことが重要だ。

ここでは、自分に最適な個人年金保険を選ぶポイントを3つご紹介する。

商品の特性と目的がマッチしているか

個人年金保険にはさまざまな種類があり、商品ごとに特性が異なる。

まずは商品の特性が自分の目的とマッチしているかどうかを見極めることが大切だ。

個人年金保険は、年金受け取り期間によって以下の3種類に分けられる。

  • 確定年金
  • 有期年金
  • 終身年金

確定年金は、10年・15年などの契約時に定めた一定期間にわたって年金を受け取れるタイプだ。

期間中に万が一被保険者が死亡した場合も継続的に支払われる。

有期年金も一定期間にわたって年金を受け取れるタイプだが、確定年金との違いは死亡によって受け取れなくなる点である。

終身年金は、被保険者が死亡するまで年金を受け取れるタイプだ。

一生涯にわたって保障を得られる安心感があるが、早く死亡してしまった場合は十分に年金を受け取れない可能性がある。

「退職してから元気な60代のうちに保障を手厚くしたい」という場合は確定年金・有期年金、「死亡するまでの年金を充実させたい」という場合は終身年金がおすすめだ。

また前述した通り、年金の運用方法によって「定額タイプ」と「変額タイプ」がある。

「堅実に年金を準備したい」という場合は定額タイプ、「リスクを取って年金を増やしに行きたい」という場合は変額タイプを活用しよう。

保険料の負担額と受け取る年金額を比較する

保険料の負担と将来受け取れる年金額の比較も重要なポイントになる。

「保険料は無理なく支払っていけるか」「負担した保険料に見合った年金額を受け取れるか」などの点をしっかりと確認しておこう。

例えば、将来の年金を充実させるために保障内容を手厚くすると、その分保険料の負担も大きくなる。

結果的に保険料を支払っていくことができなくなり、保険を途中で解約してしまうパターンがあるため注意が必要だ。

個人年金保険の場合、途中解約をすると受け取れる解約返戻金が支払い保険料の総額を下回る可能性が高い。

せっかく加入したのに元本割れを起こすリスクがあるため、無理なく継続できる範囲で保険料を設定しよう。

また、保険料の負担と受け取る年金額のバランスを見極めるポイントとして「返戻率」もチェックしておこう。

返戻率とは、支払った保険料の総額に対して将来年金としてどのくらいの金額が戻ってくるかを示す割合のことだ。

返戻率は数字が大きくなるほどリターンが大きいことになるため、しっかりと比較して選ぶことをおすすめする。

商品ごとのシミュレーションなどを比較し、なるべく返戻率が高い商品を選ぼう。

年金を受け取るタイミングとライフプランを一致させる

個人年金保険では、年金の受け取り開始時期を自分で指定できるケースが多い。

年金を受け取るタイミングは自身のライフプランと一致させることをおすすめする。

例えば60歳で退職するライフプランを描いている場合、65歳までは公的年金が支給されないため、収入がない状態となってしまう。

60歳から年金を受け取れるように設定しておくと、公的年金の受給開始までの収入減少に備えることができる。

また、子どもの教育資金の準備などをする場合も受け取るタイミングを調整すると良いだろう。

進学のタイミングに合わせて年金を受給することで、まとまった進学費用を準備できる。

このように、自身のライフプランと年金を受け取るタイミングを一致させるように準備しておくことで、効果的に資金を備えることが可能だ。

まずは自分の希望するライフプランをイメージし、「いつまでに」「どのくらいの」費用が必要となるのかを明確にしておくことをおすすめする。

個人年金保険料控除の仕組みを理解して最大限活用しよう

まとめ 生命保険ナビ

本記事では個人年金保険の保険料控除の仕組みと活用方法、そして個人年金保険の選び方のポイントを解説した。

個人年金保険の保険料控除は、きちんと理解して活用することで節税効果も期待できるものである。

だからこそ、自分のライフプランに合わせて最適な個人年金保険を選び、税制を活用することが重要となる。

しかし、自分に最適な保険を見つけるためには保険料や年金を受け取るタイミングなど様々な要素を考慮する必要がある。

そのため、もし保険の比較や自身にとって適切な保険の選択にまよったら、保険のプロに相談することも検討してみよう。

一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を判断することができるはずだ。

また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。

「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。

気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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