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【3656】KLab株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年3月7日に実施したIRインタビューをもとにしております。

KLab株式会社は「世界と自分をワクワクさせろ」をミッションとし、自社で企画・開発した良質なモバイルオンラインゲームを国内外で提供しています。

代表取締役社長CEOの森田英克氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

KLab株式会社を一言で言うと

モバイルオンラインゲームで世界的ヒットを目指す会社です。 

マンガ、アニメ、家庭用ゲームなどのIPを活用したゲーム作りが強みです。

KLabの沿革

KLab株式会社代表取締役社長CEO 森田英克氏

創業経緯

当社の創業は、現会長である真田が株式会社サイバードの研究・開発部門をスピンアウトする形で2000年8月に株式会社ケイ・ラボラトリーとして独立したのが始まりです。

初期は(株)サイバードから出資を受けて、携帯電話向けアプリケーション開発やアプリ関連のコンサルティング事業等を展開していました。

2000年前後からiモードをはじめとした携帯電話向けネットサービスが広まり、携帯電話を通して情報コンテンツを消費者が課金して購入する、サブスクのようなビジネスモデルが成長した時期がありました。

当社は単にアプリの開発のみに留まらず、他社との協業や自社配信による情報サービスの運営も行い、事業を拡大してきました。

ゲームアプリの開発と上場

創業以来、2000年から2009年にかけては、このような携帯電話向けアプリケーションと情報サービスの開発と運営が私たちの主要な事業でした。

2009年ごろ、facebookにて、フレンドと一緒に遊ぶことが出来るソーシャルゲームの提供が開始され、海外でブームになりつつありました。

我々はこの動向が日本にも波及することを予見し、mixiがSNSプラットフォームを開放し、サードパーティーがゲーム提供可能となった時点で参入しました。

さらにmixi PlatformはPCとモバイルの両方に対応しており、ソーシャルゲームとモバイルの組み合わせはとても相性が良いと見て、よりこの分野に力を入れるために、2009年には子会社としてKLabGamesを設立しました。

そしてmixi Platform向けに「恋してキャバ嬢」をリリースし、続いてモバゲー、GREEのプラットフォームにも展開しました。

このタイトルが当社における最初のヒット作となりました。

この後も『真・戦国バスター』、『キャプテン翼 ~つくろうドリームチーム~』などのタイトルがヒットしたことで、2011年には東証マザーズ市場への上場を果たすことができました。

その後は、スマートフォンの普及とともにゲームもアプリへとシフトし、『ラブライブ!』シリーズや『BLEACH Brave Souls』、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』などの、IPを活用したタイトルを生み出しながら事業を伸ばし、現在に至ります。

KLabの事業の概要と特徴

概要

当社は主に、スマートフォン向けゲームの企画・開発及び運用をしています。

スマートフォンゲームは、主にAppleやGoogleのアプリプラットフォームを通じて提供しているため、当社で開発するタイトルはグローバル配信を基本としており、日本国内だけでなく世界中に配信しています。

ビジネスモデルに関しては、ゲームにおけるユーザーからの課金収益が主となります。

ビジネススキームは、大きく二つのパターンがあります。

一つは、自社でリスクを負ってゲームの企画・開発からパブリッシングまで一環して行うパターンです。比較的リスクは高くなりますが、成功時のリターンは大きくなります。

もう一つは、他社と共同でプロジェクトを立ち上げ、参画する形です。複数社で分散する分、リスクは下がりますが、その分より多くの売上を上げる必要があるため、有名IPを活用するケースが多くなります。

その他のビジネスとしては、日本のIPを版元よりお預かりし、海外のパブリッシャーにサブライセンスすることで共同でゲームプロジェクトを立ち上げる事業、比較的小規模な広告収益モデルのカジュアルゲームを開発して提供する事業などを行っています。

事業における優位性

IPの活用

当社では、世界中の幅広い国や地域で認知度が高く、人気のあるIPの利用許諾を得て、当社が保有するゲームエンジンと掛け合わせてゲームを開発していますが、IPをお借りしてゲームを開発する理由は、大きく2つあります。

一つ目は、人気のIPには既にファンが多数存在しているため、サービススタートの時点で一定のユーザー獲得が見込めることです。

日々数多くのゲームがリリースされる中で、いかにユーザーに注目していただけるか、ダウンロードして遊んでいただけるかという点で、IPを活用することには大きな優位性があります。

二つ目は、オリジナルタイトルに比べて初期のマーケティングコストが少額で済むため、リスクを抑制できるためです。

前提として、モバイルオンラインゲームの開発は、数十億円規模の費用を要しますので、その上で、いちからユーザー獲得を行う必要が出てくるオリジナルタイトルの開発には高いリスクが伴います。

こうした考えのもと、より確実性の高い戦略として、既存のIPを利用してゲームを開発する方針をとっています。

KLab株式会社 [修正版]2023年12月期第4四半期及び通期 決算説明資料 より引用

AIを活用した開発と成功するための開発体制

AIに関しては、現在のゲーム開発において必要とされる様々な技術や手法を、積極的に業務に取り入れているほか、九州大学とも共同研究を行っております。

これまでにAIを利用したリズムゲームの譜面自動生成や自動UIテストなどの開発を行ったほか、現在は実際にゲームに生成AIを組み込み、新たなゲーム体験を創出するための研究開発も進めています。

大規模なプロジェクトにおいて、研究開発を進めていくことで、現場の開発体制の強化や、より楽しめるゲームコンテンツの創出に繋げていきたいと考えています。

ゴリラテスト モバイルゲームのUIを自動的に検出・操作する モンキーテスト より引用

次に、ゲームが成功するための開発体制や工夫についてです。

当社のプロジェクト規模ですと、ゲームの開発開始からリリースまでに2〜3年程度の期間が必要になりますので、開発のプロセスを複数のフェーズに分け、それぞれのフェーズでユーザーテストを実施しながら調整を行い、ユーザーが求める高品質なゲームに近づけるように取り組んでいます。

具体的なプロセスとしては、まずはゲームの基本的な部分が一通りプレイできるアルファバージョンを制作し、これを内部や外部の関係者でテストを行い、市場での受容性があるかどうかを確認します。

これにより、早い段階で問題を特定し、修正を行うことが可能です。

この後、ほぼ全ての機能やアセットを実装したベータバージョンに進み、クローズドベータテストやオープンベータテストを通じて、ユーザーデータを収集して最終的な調整を行い、リリース準備を整えます。

このように段階的に開発を進めることで、リスクを最小限に抑えつつ、ヒットタイトルの創出に取り組んでいます。

KLabの中長期の成長イメージとそのための施策

大型ゲームタイトルのリリース

当社では、現在開発中であり、今後2024年から順次リリースされる予定の三本の大型タイトルを市場に出すことで、業績改善を目指しています。

特に注目していただきたいのは、アメリカの大手ゲーム会社であるElectronic Arts Inc.との協業による「EA SPORTS FC™ TACTICAL」です。

これまでに培ってきたサッカーシミュレーションゲームの開発・運営ノウハウと、Electronic Arts Inc.の保有する「EA SPORTS FC™」ブランド及びリアルサッカーのライセンス・パートナーシップを組み合わせることで、他のサッカーゲームにはない、新たなサッカー体験を提供します。

具体的には、当社の世界規模でのヒット作である「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」をベースにしながら、リアルサッカー選手でプレイできるよう新たに開発したもので、幅広い方に受け入れられやすいコマンド形式での操作性で他のサッカーゲームとの差別化を図っています。

他にも、TVアニメシリーズ「僕のヒーローアカデミア」のモバイルオンラインゲームや、国内の大手コンソールゲーム会社との協業タイトルがあり、それぞれ幅広いファン層が存在する人気のあるIPタイトルを開発中です。

今後の業績回復に向けて、これらの大型タイトルを成功に導けるよう取り組んでまいります。

KLab株式会社 [修正版]2023年12月期第4四半期及び通期 決算説明資料 より引用

ハイブリッドカジュアルゲームへの展開

ハイブリッドカジュアルゲームは、ハイパーカジュアルゲームの手軽さとオンラインゲームの持続的な遊びがいを兼ね備えた新しいゲームジャンルです。

KLab株式会社 [修正版]2023年12月期第4四半期及び通期 決算説明資料 より引用

2023年もグローバルでの大ヒット作が複数出ており、21億ドルの市場規模まで成長していると予測されています。

もともとカジュアルゲームは、ゲーム内広告が主な収益源であり、ゲームをインストールしたユーザーが獲得費用を超える広告収益を生むことが重要でした。

そのため、ファーストインプレッションで多くのユーザーに面白いと思ってもらえるゲームを作る必要があり、企画力が求められます。

当社は過去2、3年の間に100を超えるプロトタイプを開発してきましたが、やっと現在リリース確度の高いタイトルを2本まで絞り込むことができました。

今後、このカジュアルゲームに運営要素を加えたハイブリッドカジュアルゲームを開発・提供することで、新たな収益源の獲得を目指します。

KLab株式会社 [修正版]2023年12月期第4四半期及び通期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

特に注目していただきたいポイントは、当社が日本のモバイルオンラインゲーム業界において、グローバル市場への展開に成功している数少ない企業であることです。

現在、当社のゲームの海外売上比率は約50%で、これは業界内でも際立って高い数値です。

例えば、「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」は海外での売上が全体の約70%を占めており、サッカーが特に人気のある香港などの地域からの熱い支持を受けています。

また、「BLEACH Brave Souls」は主にヨーロッパやアメリカで人気があり、これらの地域での売上が高いです。

このように、当社がIPを活用して開発したゲームは海外でも人気があり、今後の新規タイトルも含め、海外での売上拡大を見込めるという点に注目していただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

現在、当社では、間もなくリリースされる「EA SPORTS FC™ TACTICAL」をヒットさせるべく、全力で取り組んでいる最中です。

このゲームは世界的にも注目されており、グローバル市場で大きな成功を収めることができると考えています。

ぜひ当社がリリースする新たなゲーム「EA SPORTS FC™ TACTICAL」に注目して下さい。

また、このほかにも大型の新作タイトルやハイブリッドカジュアルゲームなど、今後数年間に渡って、良質なゲームコンテンツの開発に務め、企業価値の向上を図ってまいりたいと考えておりますので、引き続きご支援をお願い申し上げます。

KLab株式会

本社所在地:〒106-6122 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

設立:2000年8月1日

資本金:54億5,795万円(2023年12月時点)

上場市場:東証プライム市場 (2011年9月27日上場)

証券コード:3656

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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