「カードローンの利用していると住宅ローンの審査に影響するのか」 「カードローンを返済中でも住宅ローンは組めるのか」 このような疑問を持つ人は多いだろう。
カードローンの利用状況は、住宅ローン審査で重要なポイントとなる。ただし、カードローン利用者の住宅ローン契約が不可能というわけではない。
この記事では、カードローンが住宅ローン審査に与える具体的な影響や、審査で重視されるポイントを詳しく解説する。
また審査を有利に進めるための対策方法も紹介するので、カードローンを利用中の方だけでなく、契約のみをしている人もぜひ参考にしてほしい。
カードローンと住宅ローンの違い
カードローンと住宅ローンの違いは、以下のとおりだ。
項目 | カードローン | 住宅ローン |
---|---|---|
提供元 | 銀行・信販・クレジットカード会社・消費者金融 | 銀行・専門金融機関 |
使用目的 | 自由(事業性資金以外) | 居住用住宅の購入・改築のみ |
借入方法 | 限度額内で繰り返し可能 | 一括借入のみ |
借入額 | 比較的少額 | 高額(数百万円~数千万円) |
金利 | 高め(1.5~18.0%程) | 低め(固定金利1%前後、変動金利0.5%前後) |
返済期間 | – | 1年(銀行による)~50年 |
担保・保証人 | 不要 | 必要 |
審査基準 | 比較的緩やか | 厳格(長期的な返済能力重視) |
総量規制 | 消費者金融・信販・クレジットカード会社:対象(年収の1/3まで)銀行:対象外(ただし独自の貸付基準あり) | 対象外 |
カードローンと住宅ローンは、いずれも個人向け融資商品だが、その性質には大きな違いがある。
カードローンは、銀行や消費者金融、クレジットカード会社などが提供する少額融資サービスだ。
設定された限度額内で自由に借り入れ・返済を繰り返せる点が特徴である。
担保や保証人も不要で、審査基準も比較的緩やかだ。金利は、1.5~18.0%程と高めに設定される。
消費者金融と信販・クレジットカード会社は総量規制により年収の1/3までという借入制限があり、銀行には総量規制がないものの、同様の規制が各金融機関で定められている。
一方住宅ローンは、マイホーム購入に特化した高額融資商品である。
数百万~数千万円規模の借り入れが可能だが、使途は契約者とその家族の居住用住宅の取得や改築に限定される。
一般的な返済期間は35年程度と長期にわたり、2024年11月現在では固定金利で1%前後、変動金利なら0.5%前後という低金利が特徴だ。
審査は厳格で、長期的な返済能力が重視される。総量規制の対象外だが、一括借入方式のため途中での追加借入はできない。
このように両者は、融資金額・使途・借入方法・金利水準・審査基準などあらゆる面で異なる特徴を持つ金融商品である。
住宅ローンの審査では何が見られる?
住宅ローンの審査で見られる点は、主に以下のとおりだ。
- 属性情報
- 信用情報
- 返済比率
それぞれどのような内容なのか、詳しくみていこう。
属性情報
住宅ローン審査では、申込者の基本的な属性が重要な判断材料となる。
属性情報とは、主に以下のような内容を指す。
- 年齢
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 家族構成
年齢においては、多くの金融機関が完済年齢を80歳未満と定めており、申込時は70歳未満が基準だ。
50歳以上では退職後の返済計画や年金等の収入源確認が必須となる。
年収は返済能力の主要指標であり、借入可能額の上限目安は年収の7〜8倍程度だ。
勤務先では安定性が重視され、大手企業社員や公務員は高評価だが、個人事業主やフリーランスは収入変動リスクから評価が厳しい。
勤続年数も重要で、3年未満の在籍期間は評価が低い一方、長期勤続者は昇給の期待も含め高評価となる。
家族構成や住居状況からは、教育費等の固定支出や将来的な支出増加リスクが判断される。
信用情報
信用情報とは個人の取引における信用度を示す重要な指標で、以下の3つの指定信用情報機関に記録されている。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
これらの機関では、主にクレジットカードやカードローンの契約状況、返済履歴などが管理されている。
延滞・遅延、債務整理、強制解約などは「異動情報」として記録され、一般的にブラックリストと呼ばれる重要な審査項目となる。
例えば60日以上の長期延滞や複数回の短期遅延は、異動情報として記録される。
住宅ローン審査では意外に思われがちな、奨学金返済の滞納や携帯電話の分割支払いの未納も信用情報に影響を与えるため、慎重な管理が必要だ。
審査過程ではカードローンの利用状況も確認され、返済履歴や現在の借入状況が審査結果を左右する重要な要素となる。
返済比率
返済比率とは、年間返済額の年収に対する割合を指す。
この年間返済額は住宅ローンだけでなく、カードローンや自動車ローンなど、全ての借り入れの返済額が含まれる。
金融機関は一般的な返済比率の基準として30~35%、無理のない返済比率として20~25%を目安としている。
審査では返済の安全性を確認するために将来の金利上昇も想定され、実際の金利よりも3~4%程度高い審査金利が適用される。
返済比率が高いと、金利上昇時の返済負担増加や家計の圧迫が懸念されるため、できるだけ低い比率を目指すことが賢明だ。
また、住宅ローンの申込時には、現在の借入状況を漏れなく申告する必要がある。
金融機関は申告内容の正確性を重視しており、後から未申告の借り入れが発覚した場合、承認取消しとなる可能性があるためだ。
返済比率の改善には頭金増額や返済期間延長、既存借入の完済などの方法が考えられる。らえる制度になる。
カードローンを借りていると住宅ローンの審査に影響する?
カードローンを借りていると住宅ローンの審査に影響するのか、以下の利用状況別にそれぞれ解説する。
- 約定返済に遅れた場合
- 現在借入残高がある場合
- 契約だけしてまだ借り入れしていない場合
- 複数の会社からカードローンを借りている場合
カードローンの利用状況は、返済履歴から契約内容まで様々な角度で審査される。
事前に自身の状況を確認し、適切な対策を講じることが重要だ。
約定返済に遅れた場合
約定返済とは、毎月決められた日に行う返済のことを指す。
毎月の決められた返済日に遅れると、住宅ローン審査に影響を及ぼす可能性がある。
ただし、数日程度の短期遅延や、入金ミス・残高不足による一時的な遅れは、即時返済により信用情報機関への記録を防げる場合もある。
一方、現在進行形の延滞や過去の延滞歴は重大なマイナス要因となるのだ。カードローンは無担保融資のため、返済遅延には特に厳しい評価が下される。
延滞を繰り返せば信用情報機関への記録は避けられず、遅延損害金の発生や新規借入停止などのペナルティも生じる。
住宅ローン申込前は特に返済期日の遵守が重要だ。
現在借入残高がある場合
カードローンの借入残高は住宅ローン審査における重要な評価項目であり、返済比率の計算に含まれる。
借入額が多いほど返済比率は上昇し、返済能力への懸念材料として扱われる。特に複数の借り入れがある場合は、より慎重な審査対象となるのだ。
審査では、カードローンの完済や解約を条件とされる可能性もある。その場合は条件に従った対応が審査通過への近道となる。
対策としては以下の方法が有効だ。
- 借入残高を可能な限り減らす
- 新規契約を控える
- 複数の借り入れを一本化する
- 限度額の見直しを検討する
これらの対策により返済比率を改善し、審査通過の可能性を高めることができる。
契約だけしてまた借り入れしていない場合
カードローンの契約は、借入限度額の設定自体がリスク要因と判断されるため、現在の借入残高がゼロでも審査に影響を与える。
金融機関は将来的な借り入れの可能性を懸念しているので、完済している契約であっても解約していなければ審査対象として扱われるのだ。
カードローンのほかにも、キャッシング機能付きクレジットカードは、限度額全額を借り入れ可能な状態として扱われる点に注意が必要だ。
対策としては、以下の方法が有効である。
- 利用予定のないカードローンは事前に解約する
- キャッシング機能付きクレジットカードは契約内容の見直しを検討する
- 必要な契約は住宅ローン完了後に新規申込を検討する
「将来必要になるかもしれない」という理由で契約を残すのではなく、現時点での必要性を基準に判断することが重要だ。
住宅ローン完了後に必要な契約を再度検討しても遅くはないだろう。
複数の会社からカードローンを借りている場合
複数社との契約は、住宅ローン審査において特に慎重な判断対象となる。各社の限度額は合算で評価され、総借入可能額の大きさが重要な審査項目だ。
また、複数社からの借入自体が信用リスクとして扱われ、返済能力の評価はより厳格になる。
複数の会社と契約すると、それぞれの限度額が合算され、潜在的な借入可能額が大きくなる。
金融機関はこれを将来的な返済負担のリスクとみなしている。また、返済先が複数に分散することで、返済管理が複雑になる点も問題視されるのだ。
対策としては以下の方法が効果的である。
- 不要な契約は解約する
- メインとなる1社へ集約を図る
- 貸金業者からの借り入れは特に慎重に管理する
- 審査前の計画的な借入状況整理を進める
このような対策を早めに実施することで、審査をスムーズに進められる上、自身の借入状況も把握しやすくなるだろう。
カードローンを借りているなら住宅ローンの前に対策しておこう
カードローンを借りている人は、住宅ローンの申込前に以下の対策をしておこう。
- カードローンの利用限度額とあわせて返済比率を試算する
- 借入金額を完済して完済証明書を提示する
- 使っていないクレジットカードを解約する
それぞれ詳しく解説する。
カードローンの利用限度額とあわせて返済比率を試算する
住宅ローン審査では、カードローンなど他の借り入れも含めた返済比率が重要な判断基準となるため、事前に試算しておくことが重要だ。
返済比率の具体的な計算方法は、以下のとおりだ。
例えば、年収500万円でカードローンの年間返済額が60万円の場合、以下のような結果となる。
ただし、この計算はあくまで現在の金利での試算だ。
先述したとおり、審査では将来の金利上昇に備え3~4%高い金利で返済額が計算されるため、実際の審査ではより高い返済比率となる。
また、年収区分によって上限基準も変わり、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下が基準だ。
このように事前に試算することで、現時点での返済比率が分かり、必要に応じて対策を講じることができる。
借入金額を完済して完済証明書を提示する
完済証明書は、借金の返済義務が消滅したことを証明する書類である。
この証明書は住宅ローン審査において、過去の借り入れに関する返済能力や信用力を示す証拠となる。
特に複数の借り入れがあった場合、すべての完済を証明できれば、審査での評価にプラスとなる。
カードローン会社によっては、完済証明書の代わりに以下のような書類を発行するケースもある。
- 残高証明書
- 解約通知書
- その他の証明書
なお、オンラインでのダウンロードに対応している金融機関も増えている。
完済後は各カードローン会社に証明書の発行方法を確認し、取得しておこう。
取得した証明書は審査時にすぐ提示できるよう、適切に保管しておくことが重要だ。
使っていないクレジットカードを解約する
クレジットカードの所有枚数は、住宅ローン審査に影響を与える。
ショッピング専用カードを複数枚所持していても大きな問題とはならないが、キャッシング機能付きカードは限度額全額が潜在的な借入可能額として審査されるため、返済比率の計算に影響する。
そのため、未使用や利用頻度の低いカードは、審査前に解約するのが賢明である。
必要最小限のカードに絞り込むことで、返済比率を下げられる上、カード管理も容易になるだろう。
また、キャッシング枠のあるカードを減らすことで、急な出費時の安易な借り入れを防ぎ、返済計画の安定性が高まる。
このように解約することで住宅ローン審査の評価向上だけでなく、健全な家計管理にもつながるだろう。
住宅ローンの審査に落ちた原因を調べる方法
住宅ローンの審査に通過できなかった場合、以下の3つの信用情報機関へ開示請求することで原因の手がかりを得られる。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
この3つの機関は個人の借り入れや返済に関する情報を管理しており、これらの記録から自身の信用状況を確認できる。
開示内容には、現在の借入状況、各種ローンの限度額、毎月の返済実績、延滞記録、金融商品の契約状況などが含まれる。
開示請求は各機関のWebサイトから申請可能で、本人確認書類と所定の手数料を用意し、オンラインまたは郵送で手続きを進めることが可能だ。
ただしこの開示請求だけでは、審査結果の具体的な理由は開示されない点に注意が必要だ。
信用情報は審査材料の一部に過ぎず、年収や資産状況、勤務先の規模など、他の要因も影響している可能性がある。
そのため開示情報はあくまで判断材料の1つとして活用し、今後の審査対策や信用情報の改善には、他の要因も含めて総合的に検討するといいだろう。れている。
カードローンは住宅ローン審査に影響するが解約は慎重に検討しよう
カードローンの利用状況は、住宅ローン審査の重要な判断材料となる。
審査では返済履歴や借入残高、契約状況など、複数の観点から総合的な評価が行われる。
特に返済遅延は信用情報に大きな影響を与え、審査のマイナス要因となりやすい。しかし、カードローンは予期せぬ支出や、緊急時の備えとして活用できる金融商品だ。
急な出費や入院費用などの事態に備えて契約したカードローンを解約してしまうと、再度申し込む際に同じ条件での契約は難しい可能性がある。
そのため、解約のタイミングは慎重に検討する必要がある。
また、住宅ローンを検討している人でカードローンの利用が急ぎ必要な場合は、今すぐカードローンを申込むことをおすすめする。
カードローンの利用が不要になった時点でカードローンを完済、解約し、住宅ローンの申込みを検討するのも選択肢の1つになるだろう。