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近年の銀行を取り巻く環境・ビジネスモデルの変化について解説

長く続く低金利政策やネット銀行の台頭などで、銀行業界を取り巻く環境は大きく変化している。従来のビジネスモデルでは収益を上げるのが難しいため、新しく収益を上げられるビジネスモデルを構築していかなければならない。

この記事では、近年の銀行を取り巻く環境やビジネスモデルの変化について解説していく。

今後の銀行業界の課題についても合わせて解説するので、本記事を参考にこれからの銀行について考えていこう。

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目次

銀行業界を取り巻く環境の変化

近年の銀行業界を取り巻く環境には、以下のような変化が見られる。

  • 収益性の低下
  • 他業界からの参入
  • ネット銀行の拡大

それぞれの変化について見ていこう。

収益性の低下

銀行の基本的なビジネスモデルは、「顧客から預かったお金に利ざやを上乗せして貸し付け、収益を上げる」という構造である。

しかし日本ではマイナス金利などの低金利政策が長く続いており、貸出金利の低下とともに利ざや収益も減少している。従来のビジネスモデルでは収益を上げることが厳しく、各銀行は変化への対応が迫られているのが現状だ。

特に、地方銀行は地域の人口や企業の減少などにより、地方経済が停滞している。

長引く低金利政策や経済の停滞の影響で収益性が大きく低下している点が、近年の銀行の変化として挙げられる。

他業界からの参入

近年の銀行法改正などの規制緩和により、サービス業や小売業などの他業界から金融分野への参入が多く見られる。自社で抱える顧客基盤を活用し、コストを抑えて金融サービスの顧客を獲得できることが大きな特徴だ。

例えばセブン銀行では、ATMをセブン&アイグループの各店舗に設置することで出店コストを削減した。コンビニで利用できる利便性の高さから顧客も獲得でき、金融分野への参入に成功した事例のひとつだ。

今後はテクノロジーの活用も進んでいくため、他業界からの参入がさらに増えていくだろう。

ネット銀行の拡大

近年の銀行業界の大きな変化として、ネット銀行が勢力を拡大している点も見逃せない。

店舗がないネット銀行はコストを抑えられていることにより手数料が安く、コンビニATMなどから入出金できるという点で顧客からの支持を集めていることが特徴だ。

例えば、ネット銀行大手の「楽天銀行」では、2022年9月末時点の口座数は1,303万口座、預金残高は8兆円を超えている。2017年9月末時点の口座数が607万口座、預金残高が約1.9兆円だったことを踏まえると、ここ5年間で急速に利用者数、預金残高が増えていることが分かる。

さらにキャッシュレス化も進んでおり、ネット銀行の存在感は今後も増していく可能性が高い。既存のメガバンクや地方銀行は新たなビジネスモデルへと変化していくことが求められるだろう。

ビジネスモデルの変化

近年の銀行のビジネスモデルは、以下のような変化が見られる。

  • オンラインの活用
  • コストの削減
  • 海外市場へのシフト

近年の銀行業界のビジネスモデルがどのように変化しているかを確認しておこう。

オンラインの活用

新型コロナウイルスが流行したことにより、従来のような対面での顧客接触が制限された。そこで各銀行はウェブ上での面談を導入し、オンラインと対面を活用しながら顧客にアプローチしていく方法が増えてきている。

例えば資産運用や住宅ローンなどの相談は、これまでは平日に銀行窓口まで出向く必要があった。

しかし、オンラインを活用することで平日の昼間に時間を取れない人や、子どもがいて相談に出かけにくい人も気軽に相談できるようになっている。

より気軽に相談しやすい環境を整え、積極的に顧客にアプローチするような変化が見られる。

コストの削減

低金利による収益性の低下を受け、各銀行はコストの削減に向けても動き出している。

通帳をデジタル化して紙のコストを削減したり、店頭での事務作業をタブレットにしたりと、着実にコスト削減を進めている。

さらにあらゆる銀行取引がオンラインで完結する「インターネットバンキング」の強化も、コスト削減に向けた取り組みのひとつだ。店舗やATMの数を減らすことにつながり、家賃や人件費などのコストも抑えている。

今後も業務の効率化などで徹底的にコストを削減していくことが必要となっていくだろう。

海外市場へのシフト

メガバンクは金利の低下で収益を上げづらい国内市場から、成長性に期待を持てる海外市場への進出にシフトし始めている。特にタイやベトナム、インドなどのアジアを中心に積極的に投資を行っており、新たな成長ドライバーとして注目が集まっている。

例えば三菱UFJ銀行は、タイやインドネシア、ベトナム、フィリピンの銀行に対して総額140億米ドル以上を出資した。

また三井住友銀行は、インドネシアやインドの銀行を連結子会社化し、成長性の高いアジアで「マルチフランチャイズ戦略」を推進している。

このようにメガバンクは積極的に海外市場に進出し、収益性が低下した国内市場に代わる収益の柱を模索しているのだ。

今後の銀行業界の課題

ここまで近年の銀行の変化について見てきたが、これからの銀行はどういった課題に向き合っていくのだろうか。

ここでは、以下の3つの課題について確認していく。

  • デジタル化の推進
  • 地方銀行の再編
  • 新たな収益源の模索

それぞれの課題について見ていこう。

デジタル化の推進

加速していくデジタル化社会のなかで、銀行業界もあらゆる対応が求められる。

テクノロジーを活用したサービスやデジタルマーケティングなど、ITを駆使した経営戦略にシフトしていかなければならない

例えば、銀行やグループ会社が持っている顧客データを活用し、取引顧客の商談支援などの新規ビジネスを創出していく事例などが挙げられる。

また、クラウド会計システムを導入してバックオフィスの業務効率化を図り、コストの削減に向けて動き出しているケースもある。

他業界がテクノロジーを活用して参入し始めているため、銀行業界もデジタル活用が必須だ。

地方銀行の再編

今後の銀行業界について考えていく上では、地方銀行の再編も注目すべきだろう。

「同一地域の地方銀行同士の合併に独占禁止法を適用しない特例法」が2020年に施行されたため、今後は合併するケースが増えていくと見られる。

例えば、青森県にある青森銀行とみちのく銀行は共同持株会社を設立し、合併に向けて動き出している。

また、福井銀行は同じ福井県の福邦銀行を子会社化している。

このように、低金利や地方の人口減少に苦しむ地方銀行は、合併や資本提携などによって経営基盤を強化したり、コストを削減したりする動きは今後も増えていくだろう。

新たな収益源の模索

低金利が続き、従来のビジネスモデルで収益を上げることが厳しい現状では、新たに収益源を見つけ出すことが重要となる。今後は新たな収益源に向けていち早く動き出せる銀行が生き残っていける時代になるだろう。

メガバンクはすでに海外進出を進め、成長性の高い新興国市場に積極的に投資を行っている。

しかし地方銀行が海外に進出することは難しいため、地域の顧客と新たなビジネスを生み出していくことが大切だ。

例えば、近年は銀行でM&Aの仲介ビジネスや人材紹介などの新規事業に乗り出している銀行が多い。

抱えている顧客データをしっかりと活用し、新たなビジネスにつなげていくことで収益源を確保していくことが求められる。

まとめ

近年の銀行業界は、低金利による収益性の低下やネット銀行の拡大、他業界からの参入など、取り巻く環境が大きく変化している。

従来のビジネスモデルでは収益を上げることが厳しくなっているため、オンラインを活用しつつコストを削減する流れとなっている。

今後もさらにデジタル化を推進し、新たな収益源を模索していくことが銀行の課題となるだろう。

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