IFAとして活動するにあたって、どのような資格が必要になるのだろうか。金融機関で取得した資格を活用できるか不安に感じている人も多いかもしれない。本記事では、IFAでの活動に必須の資格や役に立つ資格について解説していく。
IFAとして活動するための必須資格とは?
IFAとして仕事するための必須資格は、「外務員資格」のみだ。外務員資格とは、日本証券業協会が付与する資格で、金融商品の販売や勧誘を行うための資格である。この資格がなければ金融商品の提案が行えないため、IFAとして活動するには必須の資格となっている。
外務員資格には、「一種」と「二種」の2種類があるが、主な違いは取扱できる金融商品の種類についてである。二種では現物株式や債券、投資信託などが勧誘・販売できるが、一種はそれに加えて信用取引やデリバティブ取引などの取り扱いが可能だ。顧客へより広く提案活動を行うためには、一種も取得しておく方が望ましいだろう。
また、金融機関で働いている人の多くは既に外務員資格を取得していると考えられるが、IFAに転身するにあたって外務員資格の再取得は不要である。金融機関を辞めても外務員資格が取り消されることはないため、そのままIFAとしての活動に活かすことができる。
ただし、所属するIFA法人から再度「外務員登録」の手続きを行う必要がある点には注意しよう。
外務員資格の試験概要は下記の通りである。
開催時期 | 平日毎日 |
受験料 | 13,860円(税込) |
試験方法 | CBT形式 |
合格基準 | 7割以上 |
IFAとしての活動に役立つ資格とは?
IFAの必須資格は外務員資格のみであるが、他にも営業活動の幅が広がる資格が複数ある。より多岐に渡った金融知識を顧客へ還元するためには、外務員資格以外の資格も積極的に検討したい。
ここでは、その一部を紹介していこう。
生命保険募集人
生命保険募集人資格とは、生命保険の勧誘・販売を行うための資格である。IFAとして広く活動するためには保険商品の取り扱いも欠かせないため、ぜひ取得しておきたい資格だ。
生命保険募集人資格には、下記の6種類の過程がある。
- 一般過程
- 専門課程
- 応用過程
- 生命保険大学課程
- 変額保険販売資格
- 外貨建保険販売資格
定額保険と変額保険のどちらも取り扱うためには、「一般過程」「専門課程」「変額保険販売資格」の取得が必要となる。
また、2022年4月から外貨建保険の販売についても登録制度が導入された。外貨建保険の販売にあたっては「外貨建保険販売資格」が必須となったため、こちらも併せて取得しておこう。
なお、金融機関で既に生命保険募集人資格を取得している場合、退職から2年以内の転職であれば「専門課程」「応用課程」「生命保険大学課程」については引継ぎが可能だ。ただし外務員資格と同様に、新たに所属するIFA法人から生命保険募集人登録の届出を行う必要があるため注意しよう。
生命保険募集人の試験概要は下記の通りである。
開催時期 | 平日毎日 |
受験料 | ・一般課程試験:2,050円(税込) ・上記以外:1,800円(税込) |
試験方法 | CBT形式 |
合格基準 | 70点もしくは60点(科目によって異なる) |
FP(ファイナンシャルプランナー)技能検定
IFAとして幅広い金融知識を得るためには、FP資格も取得しておきたい。FP資格には国家資格の「FP技能士」と民間資格の「CFP、AFP」がある。どちらも金融商品の知識だけでなく、税務や相続、不動産に関する知識が得られるなど、IFAの業務にも大いに役立つといえる。
なお、FP技能士には有効期限や更新手続きはないが、CFPおよびAFPには2年ごとの資格更新と継続教育が必須となっている。
FP資格の試験概要は下記の通りだ。CFPとAFPについては定められた期間内に認定研修を修了する必要があるため、計画的に受講しよう。
FP技能士 | CFP・AFP | |
---|---|---|
開催時期 | 1級:年1回 2、3級:年3回 | CFP:年2回 |
受験料 | 1級:2万円2級:学科5,700円 実技6,000円 3級:学科・実技 各4,000円 ※2022年9月試験より | CFP:1課目5,500円(税込) 2課目以上の出願は1課目ごと4,400円(税込) AFP:入会金1万円、年会費1万2,000円 |
試験方法 | 筆記 | 筆記(四肢択一式) |
合格基準 | 6割以上 | 実施回によって異なる |
内部管理責任者
内部管理責任者とは日本証券業協会が付与する資格で、営業責任者及び内部管理責任者を務めるために必須の資格だ。IFAとしての活動に必須のものではないが、営業上のコンプライアンスについて学べる資格であるため、ぜひ積極的に取得したい。
なお、金融機関で取得した内部管理責任者資格は、外務員資格同様に転職後も有効である。これから取得する人については、個人では受験申し込みができない点に注意しよう。内部管理責任者試験の受験は、日本証券業協会の協会員に限られているため、金融機関在籍中に受験するか、IFA法人への所属後に受験する流れとなる。
また、一種外務員を取得していなければ受験できない点にも注意しよう。
内部管理責任者資格の試験概要は下記の通りである。
開催時期 | 平日毎日 |
受験料 | 公式サイト記載なし |
試験方法 | CBT方式 |
合格基準 | 7割 |
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、いわゆる「宅建」と呼ばれる資格で、不動産取引にあたって重要事項の説明を行うために必要な資格である。IFAの営業活動を行う中で、相続税対策として不動産の活用を検討するといったケースもあるだろう。その際に宅地建物取引士を取得していれば、不動産知識を活かしながらより顧客の意向に沿った提案が可能となる。
また、IFAは不動産業と兼務で行う人もいる。IFAと不動産業は相互のシナジー効果も高いため、副業として選択するのもひとつの方法だろう。
宅地建物取引士の試験概要は下記の通りである。
開催時期 | 年1回 |
受験料 | 8,200円 ※消費税及び地方消費税は非課税 |
試験方法 | 筆記(マークシート) |
合格基準 | 実施回によって異なる |
証券アナリスト(CMA)
証券アナリストは日本証券アナリスト協会が付与する資格で、金融商品の分析・評価やファイナンス理論を身につけるための資格である。主に証券アナリストとして働く人が取得する資格であるが、事業戦略やM&Aにも活用できるなどIFAにとっても活用の場面が多い知識を取得できる。
証券アナリストの試験概要は下記の通りである。証券アナリストの試験には「第1次レベル講座」と「第2次レベル講座」のステップがあるため、それぞれ計画的に受講を進めよう。
開催時期 | 1次:年2回 2次:年1回 |
受験料 | 1次試験:科目Ⅰ6,400円、科目Ⅱ3,300円、科目Ⅲ3,300円(全て税込) 2次試験:1万5,000円(税込) |
試験方法 | 1次:筆記(マークシート) 2次:筆記(記述、計算) |
合格基準 | 実施回によって異なる |
DCプランナー
DCプランナーとは金融財政事情研究会が主催する資格で、企業年金に関する知識を取得するためのものである。「DC」とついているが確定拠出型年金だけでなく、試験内容では年金制度全般に関する知識が問われる。
人生100年時代といわれるなかで、公的年金だけでは不安を感じている顧客も多いだろう。確定拠出年金も含めて年金制度に関する詳細なアドバイスを行うことで、顧客の長期のマネープラン形成にも大いに役立つといえる。
なお、DCプランナーには1級と2級の2種類がある。1級では「老後資産形成マネジメント」といったより実践的な問題も出題されるため、ぜひ1級の取得を目指そう。
DCプランナーの試験概要は下記の通りだ。
開催時期 | 平日毎日 |
受験料 | 1級:各4,400円(税込) 2級:6,600円(税込) |
試験方法 | CBT方式 |
合格基準 | 7割 |
住宅ローンアドバイザー
住宅ローンアドバイザーは住宅金融普及協会が実施する試験で、住宅ローンに関する講座を受講して資格取得を行うものである。資格取得にあたっては「基礎編」と「応用編」を受講し、それぞれ受講内容の取得に対する効果測定が行われる。
若年層の顧客へ営業活動を行う際、住宅取得に関する相談は避けて通れないだろう。金融商品の提案だけでなく住宅ローンに関する助言も行えれば、より顧客との関係構築にもつながる期待がある。
住宅ローンアドバイザーの試験概要は下記の通りだ。
開催時期 | 年2回 |
受験料 | 受講料:2万3,100円(税込) 登録料:1万1,000円(税込) ※登録料は3年ごとに必要 |
試験方法 | 基礎編:Web受験 応用編:筆記(マークシート) |
合格基準 | 実施回によって異なる ※2021年度の応用編は40問中29問以上正解かつ計算問題10問中6問以上正解 |
まとめ
本記事では、IFAとして活動するための資格について解説してきた。IFAの必須資格は外務員資格のみであるが、営業活動の幅を広げるためには生命保険募集人資格やFP資格なども積極的に取得することがおすすめだ。
また、IFAに転身する上では必要な資格や雇用体系、報酬の仕組みや証券会社のアドバイザーとの違いについて理解しておくことが大切だ。
まずは証券外務員資格を取得し、金融機関である程度の実務経験を積んでから転職活動を始めよう。IFAは雇用体系によって報酬の仕組みや働き方が大きく異なる。自分に合った雇用体系を選び、IFAとしての活躍を目指していこう。
IFAになる際に、基本的にはどこかの法人に所属する形を取ることになる。しかし、全国には約650社ものIFA法人があり、情報を取ることや比較することが難しい。また、
「いくらぐらいの預かりがあれば良いのか?」
「金融機関時代の様なビジネスはできるのか?」
等、IFAになること自体に対する不安の声も多い。IFAへの転職に悩んでいる方は、ぜひIFA特化型の転職エージェント「アドバイザーナビ」に相談してみて欲しい。弊社はこれまでに100名以上のIFAへの転職支援実績があり、「IFAへの転職利用満足度No.1」を獲得している。
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