- 個人年金保険の利用に向いている人の特徴を知りたい
- 個人年金保険のメリットやデメリットを比較検討したい
- 個人年金保険以外でもおすすめの資産形成の方法を知りたい
高齢化社会と生活の長期化に伴い、公的年金だけでは経済的に安定した老後生活を送ることが難しくなってきている。
そこで注目されているのが個人年金保険である。あなたは個人年金保険に加入している、または加入を考えたことがあるだろうか。
中には個人年金保険への加入がおすすめできないと言われたことがある人もいるのではないか。
個人年金保険の特性を正しく知ることで、自分が加入の必要があるかどうかは判断できるだろう。
本記事では、個人年金保険のメリットとデメリット、利用に向いている人の特徴や個人年金保険以外の資産形成方法について解説する。
個人年金保険の利用を悩んでいる人は、参考にしてほしい。
個人年金保険をおすすめしない理由
個人年金保険をおすすめしない理由とは何なのだろうか。まずは、個人年金保険の基本的な仕組みや特徴、メリット・デメリットについて確認していこう。
個人年金保険と一口にいっても、保険のタイプや年金の受け取り方によって特徴が異なる。
どんな商品タイプがあるのかをイメージしながら、自分に向いているかどうかを考えていこう。
個人年金保険の特徴
個人年金保険を活用すると、将来必要な資金を計画的に準備することができる。
公的年金に上乗せできる私的年金としての役割を持ち、契約時に定められた年齢から年金形式で給付を受けられる。
大きく分けると以下の2種類に分けられる。
- 定額個人年金保険(定額タイプ)
- 変額個人年金保険(変額タイプ)
定額個人年金保険は、契約時に決めた予定利率で運用を行う年金保険のことだ。
保険会社は、契約者から預かった保険料を一定の予定利率で運用し、年金受け取り期間に到達したら年金の形で支払う。
定額タイプは、将来の年金原資が加入時にほぼ確定するため、途中解約をしなければ元本割れの可能性が低く、安定した運用を期待しやすい。
老後の生活費を確実に準備したい方や、株や投資信託などのリスク商品が苦手な方にも適しているだろう。
ただし、契約時に運用利率を固定してしまう分、インフレに弱いというデメリットもある。
仮に世の中の金利が上昇した場合も、保険の運用利率は固定されているため、当初計画した以上のリターンは期待できない。
これに対して変額個人年金保険は、投資信託などの価格が変動しやすい金融商品で運用する保険商品だ。
相場の状況によっては定額タイプよりも高い利回りが見込めるものの、運用次第では元本割れのリスクもあるため、注意が必要だ。
積極的にリスクをとってリターンを狙いたいという方や、生活に必要な資金は預貯金などで確保しているという方に適しているだろう。
さらに、個人年金保険は、年金の受取方法の違いによっても、以下の3つに分類できる。
- 確定年金
- 有期年金
- 終身年金
上記の3つは、どのような場合に年金を受け取れるかによって分けられる。
確定年金は、あらかじめ決めた保険期間中は、保険者の生死にかかわらず保険金を受け取れるというタイプの保険だ。
被保険者が亡くなった場合は、遺族が残りの保険金を受け取れる。
有期年金は、被保険者が生存している場合に限って、あらかじめ決めた保険期間中に年金を受け取れる保険だ。被保険者が亡くなると、その時点で年金の給付は打ち切られる。
終身年金は、加入者が生きている限りずっと年金が支払われる保険だ。
長生きリスクに備えられる分、保険料が割高になりやすいという点に注意しよう。
個人年金保険をおすすめしない理由
価格変動のある金融商品で運用する変額タイプは、運用状況によっては年金額が払込保険料を下回る場合もある。
「よくわからないまま契約したら元本割れしてしまった」ということのないよう、契約時には内容をよく理解した上で加入手続きを進めよう。
また、個人年金保険の中には、米ドルなどの外貨建て保険も存在する。
円建てに比べて高い利回りを期待しやすい一方、為替リスクが生じたり保険料の払込時・年金受取時に為替手数料が必要となったりするなどのデメリットもある。
為替リスクについてよく理解していない方や、金融商品について苦手意識を感じているという方は、円建ての保険を選んだ方が良いだろう。
また、個人年金保険は、途中解約すると元本割れのリスクが高まる。
生きていく上ではさまざまなライフイベントが発生するため、急な出費に見舞われることも多い。
そんなときに、保険料が家計の支出の重荷になっていると、どうしても解約せざるを得ないかもしれない。
将来のために加入したにもかかわらず、途中解約によって元本割れしてしまっては、あまり加入した意味を感じなくなってしまうだろう。
個人年金保険がおすすめな理由
続いて、個人年金保険に加入するメリットを確認しよう。主なメリットは以下の3点だ。
- 将来必要な資金を計画的に準備できる
- 年金の受給開始時期や受取期間を自由に設定できる
- 生命保険料控除を活用して税負担を軽減できる
個人年金保険は、定期預金などと比べて利回りが高い傾向があるため、将来に向けて資産を規制しやすいというメリットがある。
老後に向けてコツコツお金を積み立てたいという方や、銀行預金よりも高い利回りで運用したいという方に向いているだろう。
ただし、個人年金保険の利回りは商品によって異なるため、あらかじめパンフレットや設計書をよく確認するのをおすすめする。
また、「将来どのくらいのお金を何年間受け取りたいのか」という希望に合わせて、条件を設定しやすいのも特徴だ。
例えば、60歳の定年退職から公的年金が支払われる65歳までの生活費が不安な方は、60歳から65歳の5年間年金を受け取るという設計にできる。
仮に、契約後に受け取り時期を先延ばししたくなったり、受取期間を長くしたくなったりした場合も、柔軟に変更しやすいというメリットがある。
さらに、生命保険料控除を活用して、税負担を抑えられるという魅力もある。
年末調整や確定申告の手続きを行うことで、1年間に支払った保険料の金額に応じた所得控除が受けられるため、節税ニーズがある方にもおすすめだ。
個人年金保険をおすすめしないのはどんな人?
個人年金保険は、誰にでも適した保険商品ではない。
そこでここでは、個人年金保険を特におすすめしない人、さらに個人年金保険をおすすめできる人の特徴についてそれぞれ解説していく。
個人年金保険をおすすめしない人とは
毎月の支出額が大きく貯蓄にあまり余裕がない人や、大きな支出を控えている人は個人年金保険の加入が適していない場合がある。
個人年金保険は途中で解約すると元本割れのリスクが高いため、解約しないことが前提となる。加入する場合は、余裕を持って保険料を支払い続けられるかどうかしっかりとシミュレーションを行おう。
また、資産を大きく増やしたいと考える人も、別の資産形成方法の方が良いかもしれない。
個人年金保険は、将来の生活資金を着実に貯めていけるというメリットがある一方、運用利回りはそれほど高くない。
年間5%や10%といった高い利回りを求めるなら、株や投資信託などのハイリスクな投資商品を検討してみよう。
個人年金保険をおすすめできる人
個人年金保険は、誰にでも適した保険商品ではない。
特に個人年金保険がおすすめな方や、活用した方が良い方は、以下の条件に当てはまる方だ。
- 金融商品の扱いに慣れていない人
- 税金の控除枠を活用できる人
詳細を確認するとともに、個人年金保険の利用が適していない方についても確認していこう。
金融商品の扱いに慣れていない人
円建ての定額個人年金保険は、加入時に予定利率が固定される。
将来、世の中の金利が下がったとしても、契約時に固定した金利で運用されるため、予定していた年金額を受け取れる。
定期預金のようなシンプルな商品性なので、金融商品の扱いに慣れていない方でも取り組みやすいだろう。
保険料の支払い方法を口座引き落としにしておけば、強制的に口座から保険料が引き落とされるため、自分で金融商品を購入したり積み立て手続きしたりする手間も省ける。
また、個人年金保険の運用は保険会社が行うため、自分で運用する必要はない。
変額個人年金の場合も、運用のプロが保険料を運用してくれるため、運用に興味はあるが知識がないという方にもおすすめだ。
株や投資信託といった金融商品を自分で運用するのは自信がない、仕事や家事で忙しく資産運用に割く時間がない、といった方は、個人年金保険を活用することで、将来に向けた資産形成がしやすくなるだろう。
税金の控除枠を活用できる人
個人年金保険に加入すると、払い込んだ保険料の金額に応じて、所得税や住民税の負担が軽減される場合がある。
この制度を「個人年金保険料控除」といい、生命保険料控除という所得控除のうちの一つだ。
生命保険料控除には、「個人年金保険料控除」のほか「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」の全部で3種類の控除があり、それぞれ最大で所得税40,000円、住民税28,000円の所得控除を受けられる。
個人年金保険料控除を受けるためには、下記の4つの条件を全て満たす必要がある。
- 年金受取人が契約者またはその配偶者となっていること
- 年金受取人と被保険者が同じ人であること
- 保険料の払込期間が10年以上あること
- 年金受取開始が60歳以降で、年金受取期間が10年以上あるか終身の年金であること
所得税や住民税の負担をなるべく抑えたいと考えている方や、個人年金保険料控除の適用条件を満たす方は、ぜひ活用してみよう。
個人年金保険をおすすめしないのなら!他の金融商品を検討してみよう
個人年金保険は、主に将来の生活に備えるための保険だ。
同様の制度や他の金融商品と何が違うのか確認していこう。
ここでは、公的な年金保険制度や株式や投資信託といった金融商品との違いについて解説しつつ、NISAとの関連性にも触れる。
一般的な年金保険との違い
個人年金保険は、公的年金制度の上乗せ部分を担う役割として活用されている。
そもそも、公的年金とはどのような制度か確認していこう。
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金保険」の2階建となっている。
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する年金で、被保険者の区分によって加入手続きや保険料の納付方法が異なる。
加入者区分 | 加入者例 |
第1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の農業者、自営業者、無職の人など |
第2号被保険者 | 会社員・公務員など |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されていて、年収130万円未満の配偶者(専業主婦/主夫など) |
公的年金の年金保険料を支払っている人は、65歳になると老齢年金を受け取れる。
国民年金に加入していた自営業者やフリーランス、専業主婦などは、65歳以降老齢基礎年金が支給される。
厚生年金にも加入している会社員や公務員は、老齢厚生年金が受給される。
公的年金は、国が運営している年金で、加入が義務付けられており、支給条件や加入者要件も細かく決まっているのが特徴だ。
これに対して個人年金保険は、民間の保険会社が販売している保険商品で、加入は任意となっている。
年金の支払いが開始される年齢を希望の年齢に設定できたり、年金の受け取り期間も5年や10年といった定期から終身まで自由に決められたりと、柔軟性が高いのが特徴だ。
投資信託や株式との違い
個人年金保険は、将来に向けて「備える」ために利用する保険商品だ。
老後に向けて計画的にお金を準備しつつ、万が一の死亡にも備えられるというメリットを持つ。
お金をしっかりと確保することを重視した商品なので、お金を「増やす」目的にはそぐわない場合がある。
お金を積極的に増やしたい場合は、投資信託や株式などの金融商品での資産運用が適しているだろう。
長い時間をかけて運用することで、短期的な価格の影響を受けにくくなるというメリットもある。もちろん、個人年金保険と投資信託や株式は併用可能だ。
例えば、少額投資非課税制度であるつみたてNISAは、月100円といった少額からでも始められる。
保険で将来の生活資金を確保しつつ、少しずつ資産運用に回すという活用方法も可能だ。
老後資金に向けてお金を準備するなら、なるべく早いうちから資産形成を始めた方が、安定的にお金を増やしやすくなる。
NISAとの関連性
個人年金保険のように、将来に向けてお金を積み立てていける制度として、NISA制度がある。
NISAは少額投資を応援するために作られた税制優遇制度だ。NISA口座内で取引される金融商品から生まれる利益は非課税となる。
2024年からは新しいNISA制度が始まる予定で、成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円の非課税投資枠で運用が可能だ。
成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能で、非課税保有期間も無期限に延長されるため、2023年までのNISAよりもさらに使い勝手が良くなると予想される。
個人年金保険は保険会社で取り扱われているため、一般NISAやつみたてNISAの口座内で購入することはできない。
ただし、両者は併用可能なので、うまく組み合わせて活用すると良いだろう。
例えば、老後に向けてしっかりと確保したい生活資金部分は円建ての定額タイプで積み立てていき、余暇に充てる余裕分はNISAを活用して積極的にリターンを狙うといった活用法が考えられる。
どちらか片方だけ、と決めてしまうのではなく、リスクを取れるお金と取れないお金に分けた上で、2つを併用するのがおすすめだ。
個人年金保険をおすすめしない理由を理解して自分にあった方法を見つけよう
本記事では、個人年金保険のメリットやデメリット、利用に向いている人の特徴や個人年金保険以外の資産形成方法について解説した。
個人年金保険は将来に向けて資産を計画的に積み上げたい人や、保険料控除を利用した節税対策がしたいという人にはおすすめできる。
ただし、自分のニーズを正確に把握できている人は少なく、必要性の判断に迷うこともあるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討してほしい。一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、的確に必要な保険を選択することができる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることは難しい。
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