60代から加入できる個人年金保険おすすめと選び方・注意点を解説

この記事の要点
  1. 60代の個人年金保険は、「65歳までの収入ギャップを埋めるのか」「長生きリスクに備えるのか」で選ぶ型が変わる。
  2. 公的年金は原則65歳開始だが、60〜75歳の間で受給開始時期を選べる。個人年金保険は、公的年金の開始時期や退職後の収入に合わせて設計する。
  3. 保険料控除を使いたい場合は、税制適格の条件を満たす必要がある。一時払、外貨建て、MVA付き商品は、控除・為替・金利リスクを必ず確認する。

60歳を過ぎると、「退職金をどう使えばよいのか」「公的年金だけで生活できるのか」「長生きしたときに資金が足りるのか」といった不安が現実味を帯びてくる。

個人年金保険は、退職後の収入を補う選択肢の一つだ。たとえば、60歳で退職して65歳まで収入が減る場合は、公的年金が始まるまでの生活費を補う目的で使える。一方、65歳以降の生活費を一生涯補いたい場合は、終身で受け取れるタイプを検討することになる。

ただし、60代で個人年金保険を選ぶ際は、加入年齢の上限、払込方法、税制適格の条件、途中解約のリスク、外貨建てやMVAのリスクを確認しなければならない。

この記事では、60代におすすめの個人年金保険の考え方、確定年金・有期年金・終身年金の違い、保険料控除の条件、iDeCo・NISAとの併用、契約前の注意点を整理する。

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。税制・年金制度・iDeCo・NISAの内容は変更されることがあるため、契約前に必ず公式情報や保険会社の最新資料を確認してください。

目次

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60代におすすめの個人年金保険は目的で変わる

60代で個人年金保険を選ぶなら、最初に「何のために入るのか」を決めることが重要だ。目的が曖昧なまま返戻率や控除だけで選ぶと、必要な時期にお金を受け取れない、途中解約で損をする、税制メリットを使えないといった失敗につながりやすい。

個人年金保険の主な目的は、次の3つに分けられる。

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目的向いている受取タイプ確認すること
65歳までの収入ギャップを埋める5年確定年金、10年確定年金退職後から公的年金開始までの生活費
65歳以降の生活費を上乗せする10年確定年金、15年確定年金、有期年金公的年金と生活費の差額
長生きリスクに備える保証期間付終身年金、夫婦年金何歳まで生きても収入を確保したいか

公的年金は原則65歳から受け取れるが、60歳から65歳までの間に繰上げて受け取ることも、66歳から75歳までの間に繰下げて受け取ることもできる。個人年金保険は、この公的年金の受給開始時期や退職後の収入状況と組み合わせて設計する。

65歳までの収入ギャップには確定年金が候補

60歳で退職し、65歳まで公的年金を受け取らない場合、5年間の生活費をどう確保するかが課題になる。

この目的で個人年金保険を使うなら、5年確定年金や10年確定年金が候補になる。確定年金は、契約時に決めた5年・10年・15年などの一定期間、被保険者の生死に関係なく年金を受け取れるタイプだ。

受取期間中に被保険者が亡くなった場合でも、残りの期間に対応する年金や一時金を遺族が受け取れるため、「決めた期間分は使い切りたい」という目的に合いやすい。

長生きリスクには保証期間付終身年金が候補

90歳、100歳まで生きる可能性を考えて、毎月の収入を一生涯確保したい場合は、保証期間付終身年金が候補になる。

保証期間付終身年金は、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金を受け取り、その後は被保険者が生存している限り一生涯年金を受け取れるタイプだ。保証期間中に亡くなった場合は、残りの保証期間に対応する年金または一時金を遺族が受け取れる。

ただし、終身年金は長生きに備えられる一方、早く亡くなった場合や保証期間の設計によっては、受取総額が年金原資相当額を下回る場合がある。長生きリスクへの備えと、遺族に残すお金のバランスを確認して選びたい。

おすすめは一時払か平準払か

払込方法は、資金の形で決めるのが基本だ。

退職金などまとまった資金を活用したい場合は「一時払」、毎月の余裕資金から積み立てたい場合は「平準払」が候補になる。

生命保険文化センターによると、個人年金保険の加入年齢は生命保険会社・商品・払込方法で異なる。一般的には、月払や年払などで払い込む積立型は60〜70歳が多く、一時払型は70〜80歳代を契約時年齢の上限とする会社が多いとされている。

ただし、これはあくまで目安であり、商品によって加入できる年齢や健康状態の条件は異なる。希望する払込方法で加入できるか、必ず保険会社や代理店で確認しよう。

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項目平準払一時払
資金の使い方毎月・毎年の余裕資金で積み立てる退職金などまとまった資金を入れる
加入年齢の目安60〜70歳が多い70〜80歳代まで扱う商品もある
保険料控除との相性税制適格の条件を満たしやすい個人年金保険料控除の対象外になりやすい
流動性途中解約で元本割れの可能性途中解約で元本割れの可能性。外貨建て・MVA付きは特に注意
向いている人控除を使いながら積み立てたい人退職金の一部を年金化したい人

個人年金保険料控除を使いたい場合は、平準払で10年以上払い込む設計が基本です。一時払は「10年以上の定期的な払込」という要件を満たさないため、個人年金保険料控除の対象外になりやすい点に注意しましょう。

60代で個人年金保険を始める前の判断軸

60代で個人年金保険を検討するなら、「用途 → 加入条件 → 安全性 → 生活資金への影響」の順で確認すると迷いにくい。

返戻率や節税効果だけで選ぶと、途中解約できない資金を増やしてしまい、医療費・介護費・住宅修繕費などの急な支出に対応しにくくなる可能性がある。

まず確認するのは「いつ使うお金か」

個人年金保険に充てるお金は、「いつ使う予定か」を先に決める必要がある。

1〜3年以内に使う可能性があるお金や、病気・介護・家電買い替え・住宅修繕などの緊急資金は、個人年金保険に入れるべきではない。途中解約すると、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回ることがあるためだ。

個人年金保険に回すのは、生活防衛資金を確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金に限定しよう。

加入できる年齢と払込期間を確認する

60代は、個人年金保険に加入できる年齢上限が近づいている年代だ。

積立型では60〜70歳を上限とする商品が多く、一時払型では70〜80歳代まで加入できる商品もある。とはいえ、商品によっては健康状態の告知や診査、契約可能年齢、年金開始年齢に制限がある。

特に税制適格の個人年金保険を検討する場合は、10年以上の保険料払込期間が必要になる。60代で加入する場合、年金開始年齢や払込満了年齢との整合性を必ず確認したい。

安全性は保護制度と保険会社の健全性で見る

生命保険会社が破綻した場合、契約は生命保険契約者保護機構によって一定の保護を受けられる。

ただし、原則として補償されるのは破綻時点の責任準備金の90%までであり、保険金や年金額そのものの90%が保証されるわけではない。また、高予定利率契約では補償率がさらに下がる場合がある。

保護制度は最後の備えであり、契約前には保険会社のソルベンシー・マージン比率、格付け、決算資料なども確認しておくとよい。

保険料負担は生活防衛資金を残して決める

個人年金保険は、預貯金のように自由に引き出せる商品ではない。保険料を払い続けられなくなった場合や、急な出費で解約する場合には、元本割れする可能性がある。

契約前には、以下を確認しておこう。

  • 生活防衛資金を十分に残せるか
  • 医療費・介護費・住宅修繕費などの予備資金を確保しているか
  • 途中で保険料を払えなくなった場合、減額・払済・解約の選択肢があるか
  • 解約返戻金の推移を5年後・10年後・年金開始前で確認したか
  • 退職金のうち、個人年金保険に回す割合が大きすぎないか

生活資金を圧迫しない範囲で契約することが、60代の個人年金保険選びでは最も重要だ。

60代の個人年金保険のタイプ比較

個人年金保険のタイプは、「受取期間」「運用方法」「通貨」「税金」の順に比較すると整理しやすい。

返戻率だけで見ると、外貨建てや変額型のようにリスクを取る商品が有利に見える場合がある。しかし、60代では大きな損失を時間で取り戻しにくいため、リスクの中身を先に確認する必要がある。

確定年金・有期年金・終身年金の違い

個人年金保険の受取期間には、主に確定年金、有期年金、保証期間付終身年金がある。

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種類受取期間死亡時の扱い向く目的
確定年金5年・10年・15年など残り期間分を遺族が受け取れる65歳までの橋渡し、一定期間の生活費補填
有期年金10年・15年など原則として死亡時に支払い終了一定期間の生活費上乗せ
保証期間付終身年金保証期間後も生存中は一生涯保証期間中は残り期間分を遺族が受け取れる長生きリスクへの備え
夫婦年金夫婦のいずれかが生存している間など商品により異なる夫婦で長期の生活費を確保したい場合

60代で「公的年金開始までの生活費」に使うなら、確定年金がわかりやすい。反対に、「一生涯の生活費の上乗せ」に使うなら、保証期間付終身年金や夫婦年金も候補になる。

なお、年金受取開始時に年金の種類を変更できる商品もあるが、変更時点の利率などで年金額が再計算されるのが一般的だ。後から変更できるかどうかに頼りすぎず、契約時点で目的に合う型を選びたい。

定額型と変額型の向き不向き

定額型は、契約時に将来の年金額がある程度決まるため、老後の家計を組み立てやすい。安定した受取を重視する60代には、まず検討しやすいタイプだ。

一方、変額型は運用実績によって年金額や解約返戻金が変動する。運用が良ければ受取額が増える可能性があるが、運用が悪ければ払込保険料を下回る可能性もある。

60代で変額型を選ぶ場合は、余裕資金であること、運用リスクを理解していること、値下がりしても生活に影響しないことが前提になる。

円建てと外貨建てのリスクを見積もる

外貨建ての個人年金保険は、米ドルや豪ドルなど外貨で保険料を払い込み、外貨で運用・受取を行う商品だ。

外貨ベースでは受取額が安定していても、円に換算するときの為替レートによって実際の受取額が変わる。円高になると、円換算の受取額が減り、払込保険料の総額を下回る可能性がある。

一時払の外貨建て商品には、MVA(市場価格調整)が付いているものがあります。MVAは、解約時や一時金受取時に市場金利の変動を反映して解約返戻金を調整する仕組みです。契約時より解約時の市場金利が上昇している場合、解約返戻金が減少することがあります。

外貨建てとMVAが組み合わさると、為替リスクと金利リスクが重なる。高い利回りだけで判断せず、円建てでの受取額、為替手数料、解約返戻金の推移、MVAの有無を確認しておこう。

受取は年金か一時金かで税金が変わる

個人年金保険は、受取方法によって税金の扱いが変わる。

保険料負担者と年金受取人が同一の場合、年金形式で受け取る年金は、公的年金等以外の雑所得として所得税の対象になる。雑所得の金額は、その年に受け取った年金額から、その年金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いて計算する。

年金の年額から対応する保険料や掛金を差し引いた残額が25万円以上の場合、原則として10.21%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収される。

一方、年金受給開始前や受給開始後に、将来の年金給付の総額に代えて一時金で受け取る場合は、一時所得として所得税の対象になる。一時所得は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と最高50万円の特別控除を差し引き、その2分の1を他の所得と合算して税額を計算する。

どちらの受取方法が有利かは、他の所得、控除、契約内容によって変わる。受取前に保険会社や税理士へ確認すると安心だ。

60代の個人年金保険で保険料控除を使う条件

個人年金保険料控除は、契約が税制適格の条件を満たして初めて使える。

「個人年金保険だから必ず個人年金保険料控除の対象になる」と考えるのは誤りだ。税制適格特約が付いていない契約や、変額個人年金保険などは、一般生命保険料控除の対象になる場合がある。

税制適格の条件は「10年以上の払込」と「60歳以降の受取」

個人年金保険料控除の対象になるには、主に以下の条件を満たし、個人年金保険料税制適格特約を付加する必要がある。

  • 年金受取人が契約者(保険料負担者)またはその配偶者である
  • 年金受取人が被保険者と同一人である
  • 保険料払込期間が10年以上である(一時払は不可)
  • 確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、年金受取期間が10年以上である

60代で控除を狙う場合、10年以上払い込めるかが大きな確認点になる。たとえば、65歳加入で10年以上払い込む設計にすると、受取開始年齢や家計負担とのバランスを慎重に見る必要がある。

控除額の上限と年末調整・確定申告

2012年1月1日以後に締結した新契約では、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3枠がある。

個人年金保険料控除の所得税の上限は4万円、住民税の上限は2万8,000円だ。所得税では、年間の支払保険料が8万円を超えると控除額は一律4万円となる。3枠を合計した所得税の生命保険料控除額は、最大12万円が上限である。

会社員は年末調整、自営業や年末調整で申告しなかった人は確定申告で手続きする。保険会社から届く控除証明書で、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料のどの区分に該当するか確認しよう。

2026年分の所得税では、23歳未満の扶養親族がいる場合、新制度の一般生命保険料控除の上限が6万円となる時限措置があります。ただし、これは一般生命保険料控除の話であり、個人年金保険料控除の上限は従来どおり4万円です。混同しないよう注意しましょう。

一時払は個人年金保険料控除の対象外になりやすい

一時払の個人年金保険は、保険料を1回で払い込むため、「10年以上にわたる定期的な払込」という条件を満たさない。

そのため、退職金を一時払で入れる商品は、個人年金保険料控除の対象外になりやすい。控除を重視するなら、平準払で税制適格の条件を満たす設計を検討する必要がある。

一時払を選ぶ場合は、控除よりも「年金化したい資金か」「途中解約しない資金か」「円建てか外貨建てか」「MVAがあるか」を重視して判断しよう。

60代は個人年金保険を急いで決めないほうがいい理由

60代は運用期間が短く、途中で失敗を取り戻しにくい年代だ。加入年齢の上限が近いからといって焦って契約すると、生活資金を固定化しすぎたり、外貨建てやMVA付き商品のリスクを十分理解しないまま契約したりするおそれがある。

途中解約で元本割れしやすい

個人年金保険は、契約から間もない時期に解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることが多い。

特に一時払型や外貨建て商品では、契約時には有利に見えても、為替や市場金利の影響で解約時の返戻金が大きく変動することがある。

契約前には、設計書にある解約返戻金の推移を確認しよう。少なくとも、契約直後、5年後、10年後、年金開始直前の返戻率を見ることが大切だ。

インフレで受取額の実質価値が下がることがある

定額型の個人年金保険は、将来受け取る金額が見えやすい点がメリットだ。

一方で、物価が上がると、同じ金額を受け取っても買えるものが減る。たとえば、契約時に月10万円の受取を予定していても、10年後・20年後に物価が上がっていれば、その10万円の実質的な価値は下がる。

個人年金保険だけで老後資金をすべて固定するのではなく、預貯金、NISA、iDeCo、退職金、就労収入などと組み合わせて考えることが重要だ。

外貨建て・MVAは市場リスクが乗る

外貨建てやMVA付きの個人年金保険は、預貯金や円建て定額保険とはリスクの性質が異なる。

外貨建てでは、円高になると円換算の受取額が減る。MVA付きでは、解約時の市場金利が契約時より上昇すると、解約返戻金が減少することがある。

「外貨の利率が高い」「返戻率が高い」といった一面だけで判断せず、円換算の損益、為替手数料、MVA、解約控除、受取時の税金まで含めて比較しよう。

比較は返戻率だけで終わらない

個人年金保険を比較するときは、返戻率だけでなく、以下の項目をそろえて確認したい。

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比較項目確認する理由
税制適格の有無個人年金保険料控除を使えるかが変わる
払込方法平準払か一時払かで控除や流動性が変わる
受取期間受給ギャップ対策か長生き対策かが変わる
受取時の税区分雑所得、一時所得、贈与税・相続税の可能性を確認する
解約返戻金の推移途中解約時の元本割れリスクを確認する
円建て・外貨建て為替リスクの有無を確認する
MVAの有無市場金利による返戻金変動を確認する
保険会社の健全性長期間契約を続けるために確認する

返戻率が高い商品ほど、外貨建て、変額型、MVA付きなどのリスクが含まれている場合がある。比較表を作るときは、同じ条件で設計書を取り寄せることが大切だ。

60代は個人年金保険とiDeCo・NISAの併用も検討する

60代の老後資金づくりは、個人年金保険だけで完結させる必要はない。

個人年金保険は「いつ・いくら受け取るか」を設計しやすい。一方、iDeCoやNISAは、税制優遇を受けながら運用できる。ただし、iDeCoは引き出し時期に制限があり、NISAは元本保証がない。

それぞれの役割を分けて使うと、資金の流動性と安定性を両立しやすい。

iDeCoは60代前半でも条件を満たせば拠出できる

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用する私的年金制度だ。公式情報では、掛金は一定の条件のもと65歳になるまで拠出可能とされている。

また、60歳以上で初めてiDeCoに加入した人は、通算加入者等期間がなくても、加入から5年を経過した日から受給できる。

掛金の上限は加入区分によって異なる。たとえば、第1号加入者は月6万8,000円、企業年金等に加入している第2号加入者は月2万円、企業年金等に加入していない第2号加入者は月2万3,000円などとされている。

iDeCoは原則として中途解約して払い戻しを受けることはできません。60代で始める場合も、受給開始時期、手数料、掛金上限、運用商品、退職所得控除・公的年金等控除との関係を確認しましょう。

NISAは運用益が非課税で引き出しの自由度が高い

NISAは、株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度だ。

2024年からのNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、併用で年間360万円まで利用できる。生涯を通じての非課税保有限度額は1,800万円で、成長投資枠はそのうち1,200万円までとなっている。

iDeCoと違い、NISAで保有している商品は売却して現金化できるため、資金の流動性は高い。一方で、投資信託や株式は値下がりする可能性があり、元本保証はない。

数年以内に使う可能性がある生活資金は預貯金で確保し、長期的に運用できる余裕資金をNISAに回すのが基本だ。

保険は受取設計、投資は成長と流動性で使い分ける

個人年金保険、iDeCo、NISAは、それぞれ役割が異なる。

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制度・商品主な役割向いている資金注意点
個人年金保険受取時期・受取期間の設計途中で使わない老後資金途中解約で元本割れする可能性
iDeCo老後資金形成と所得控除長期で引き出さない資金原則途中解約不可。受給開始条件あり
NISA非課税運用と流動性長期運用できる余裕資金元本保証なし。値下がりリスクあり
預貯金生活防衛資金・緊急資金数年以内に使うお金インフレに弱い可能性

「保険で安定した受取をつくる」「NISAで成長と流動性を確保する」「iDeCoで税制優遇を受けながら老後資金を積み立てる」というように、目的別に分けると判断しやすい。

相談前に準備する資料と質問

個人年金保険を相談する前に、以下を準備しておくと、提案を比較しやすくなる。

  • 公的年金の見込額(ねんきん定期便・ねんきんネット)
  • 退職金の見込額と、すぐ使う予定のある金額
  • 生活防衛資金として残す金額
  • 個人年金保険で受け取りたい開始年齢と受取期間
  • 税制適格にしたいかどうか
  • NISA・iDeCo・預貯金との配分

提案を受けたら、設計書や重要事項説明書を必ず持ち帰り、同じ条件で複数商品を比較しよう。その場で契約を決める必要はない。

60代の個人年金保険は「目的」と「流動性」で選ぶ

60代で個人年金保険を検討するなら、「何のために入るか」を最初に決めることが大切だ。

65歳までの収入ギャップを埋めるなら確定年金、65歳以降の生活費を一定期間上乗せしたいなら10年・15年の確定年金や有期年金、長生きリスクに備えたいなら保証期間付終身年金が候補になる。

保険料控除を使いたい場合は、年金受取人、10年以上の払込、60歳以降の受取開始、10年以上または終身の年金受取など、税制適格の条件を満たす必要がある。一時払は個人年金保険料控除の対象外になりやすいため、控除を重視する人は平準払で設計するのが基本だ。

ただし、個人年金保険は預貯金のように自由に引き出せる商品ではない。途中解約で元本割れする可能性があり、外貨建てやMVA付き商品では為替や金利のリスクもある。

生活防衛資金を残したうえで、個人年金保険・iDeCo・NISA・預貯金の役割を分けることが、60代の老後資金づくりでは重要です。迷ったら、複数の設計書を同じ条件で比較し、必要に応じてFPや税理士にも確認しましょう。

FAQ

個人年金保険は受取開始後に解約できますか?

受取開始後は、契約内容によって解約や一括受取の扱いが異なります。年金として分割で受け取る契約に切り替わるため、受取開始前と同じように自由に解約できない商品もあります。

確定年金などでは、年金現価の一括受取を選べる場合もあります。ただし、商品や保険会社によって扱いが異なるため、契約前に「受取開始後の解約・一括受取・受取方法変更」ができるか確認しておきましょう。

個人年金保険は夫婦で入ると税金はどう変わりますか?

夫婦で個人年金保険に加入する場合は、契約者、保険料負担者、被保険者、年金受取人の関係で税金が変わります。

たとえば、夫が保険料を負担し、妻が年金を受け取る契約では、給付事由発生時点で夫から妻へ年金受給権が贈与されたものとみなされ、贈与税がかかる可能性があります。夫婦だから非課税になるわけではありません。

相続税や贈与税が関係する設計では、契約前に税理士や保険会社へ確認すると安心です。

個人年金保険と終身保険はどう使い分ければよいですか?

目的が老後の年金化なら個人年金保険、死亡保障を残すことが主目的なら終身保険が候補になりやすい。

個人年金保険は、一定の年齢から5年・10年・終身などの形で年金を受け取る設計に向いています。一方、終身保険は死亡保障が主目的で、解約返戻金を老後資金として使う場合は、解約や年金移行などの手続きが必要になります。

「生きている間の生活費を補うのか」「亡くなった後に家族へ残すのか」で使い分けましょう。

個人年金保険は何社くらい比較すべきですか?

社数よりも、同じ条件で比較することが重要です。目安として3〜5社程度の設計書を取り寄せると、違いを把握しやすくなります。

比較するときは、受取開始年齢、受取期間、払込期間、税制適格の有無、解約返戻金の推移、円建て・外貨建て、MVAの有無、受取時の税区分をそろえましょう。

返戻率だけで比較すると、リスクや税金を見落としやすくなります。

出典

日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」(更新日:2026年4月1日)
日本年金機構「年金の繰下げ受給」(更新日:2026年3月24日)
公益財団法人 生命保険文化センター「個人年金保険は何歳くらいまで加入できるの?」
公益財団法人 生命保険文化センター「個人年金保険の選び方は?」
公益財団法人 生命保険文化センター「個人年金保険|主契約の種類」
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険会社が破綻した場合、契約はどうなるの?」
公益財団法人 生命保険文化センター「市場リスクを有する生命保険とは?」
公益財団法人 生命保険文化センター「市場価格調整(MVA)を利用した生命保険とは?」
公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」
国税庁「No.1140 生命保険料控除」
国税庁「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」
国税庁「No.1490 一時所得」
国税庁「No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
国税庁「No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金」
厚生労働省「令和7年度税制改正の概要(厚生労働省関係)」(公開日:2024年12月25日)
iDeCo公式サイト「iDeCoの特徴」
iDeCo公式サイト「iDeCo加入者・運用指図者の方へ」
iDeCo公式サイト「iDeCo加入手続きについて」
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」

執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。