- 県民共済にしか入っていないが大丈夫なのか知りたい
- 県民共済と生命保険の違いについて知りたい
- 自分にあった「保障」を得るため、共済や生命保険を選ぶポイントを知りたい
日本では、日々の生活に安心と安全をもたらす仕組みとして、生命保険と並び、県民共済も広く利用されている。
保険料が比較的安く、シンプルでわかりやすい保障プランが魅力の県民共済だが、「これだけで本当に十分なのか?」という疑問を持つ方も少なくないだろう。
生命保険との違いも、多くの人が理解したいポイントの一つだろうし、共済や保険をどのように選ぶべきかは、誰にとっても難しい問題だ。
これらの疑問や悩みに答えるため、この記事では県民共済について詳細に解説する。
メリットやデメリット、さらには生命保険との違いについても説明し、個々に適した保障を得るための選び方についても触れる。
県民共済に加入しているが内容を見直したい方、またはこれから加入や追加を考えている方にとって、この記事が有用な情報となることを願っている。
県民共済しか入ってなくても大丈夫?県民共済の基本
「県民共済」は、「共済」のうち、各都道府県で行われる共済事業である。
※本記事では、「県民共済」という言葉を、県民共済、都民共済、府民共済、道民共済、全国共済を含む総称として用いる。
そもそも「共済」とは何か
共済は「共に助け合う」社会的な保障の仕組みであり、多くの人々にとって、生活安定とリスクヘッジのための良い選択肢だ。
共済という言葉はもともと、一定の地域や職域に所属する人々が、経済的に助け合う制度や仕組みを意味する。
公務員の健康保険等の「共済組合」、企業の従業員福利厚生の「共済会」など、様々な場面で使用される。
共済の仕組み
共済は、狭義では組合等が行う「保険事業」を指す。
対象となるリスクは、死亡、入院、火災、自然災害、自動車事故など多岐にわたる。
組合員はリスクに備えるため「共済掛金(以下、「掛金」)」と呼ばれる一定の金額を拠出する。
この拠出された財産は、不測の事故や困難が発生した場合に「共済金」として支払われ、組合員やその家族の経済的な損失を補填する。
共済の種類
共済には主に、「生命共済」、「傷害共済」、「年金共済」、「火災共済」および「自動車共済」がある。
共済を実施する団体には、農業協同組合、漁業共同組合、事業共同組合、農業共済組合、そして生活協同組合がある。
「県民共済」は、生活協同組合の会員団体である全国生活協同組合連合会(全国生協連)が、消費生活協同組合法(生協法)に基づき、厚生労働省の認可を得て実施する共済事業だ。
ざっくりと「各都道府県にある共済」と考えれば良い。
手がける共済種類は、生命共済、火災共済、傷害共済である。
県民共済に加入することのメリット
県民共済への加入には、以下のようなメリットがある。
掛金が手頃で家計への負担が少ない
県民共済を活用する際の最大のメリットは、掛金が安く、年齢や性別に関係なく一律の金額であることだ。
たとえば埼玉県民共済の「医療・生命共済」は、月の掛金2,000円からである。
プランがシンプルで、勧誘や複雑な手続きが不要なため、経費を抑えることができ、保障を安価で提供することが可能なのだ。
また、年齢や性別に関わらず掛金は一律という点も魅力である。長期にわたって安心を得ることができる。
給付が早くスムーズである
給付がスムーズに行われる点も、県民共済のメリットである。
一般的に、民間の保険では、申請から給付までに時間がかかることが多く、複雑な手続きを要する。
一方、県民共済では、給付における加入者のストレスが比較的少ない。
提供プランがシンプルなので意思決定が容易
県民共済は、提供されるプランが少なく、選びやすいことも、魅力の一つだろう。
生命保険の仕組みは複雑なうえ、商品や特約・オプションも多い。そのため、選択の負担は大きい。
対して、県民共済は、プランが2つほどに限定されていることが多い。
はじめて検討する人や、多忙な人でも、容易に意思決定ができる。
割戻金で「リターン」が得られる可能性がある
共済は営利目的で運営されるものではないため、決算により剰余金が生じた場合は、「割戻金」として加入者に還元される。
この割戻金は、共済金が支払われたか否かにかかわらず、決算日に加入している状態であれば、一定の条件で還元される。
たとえば、埼玉県民共済の2023年7月決算の割戻率は、払込掛金の20.20%(年間掛金24,000円の場合、割戻金は4,848円)、2022年は26.75%、2021年で48.96%であった。
加入の際の健康状態が厳しく問われない
県民共済は、加入の際の健康状態の審査が比較的緩やかだ。
民間の生命保険に加入する際には、詳細な医療情報の提出が必要とされることが多い。
しかし、県民共済では告知書の記入のみで、医師等による診査は不要である。
県民共済に加入することのデメリット
一方で、県民共済に加入する場合は、以下のようなデメリットも考慮しなければならない。
死亡時の保障額が少ない
死亡時の保障額が少ないことは、県民共済しか加入していない場合に特に不安要素となるだろう。
県民共済の死亡保障は、多くは1,000万円から2,000万円であり、民間保険と比較すると少ない。
死亡の原因によっては、さらに低い額になる可能性がある。
家計の主な収入源が亡くなった場合、生活費や子どもの教育費などを準備できないケースも想定できる。
家庭の状況によっては、住宅ローンや介護費用などが必要かもしれない。
県民共済の死亡保障だけでは不足する可能性が高い。
終身保障がなく85歳までしか保障されない
県民共済は満期が85歳に設定されており、終身保険が存在しない。
そのため、85歳を過ぎると保障は終了してしまう。高齢になると医療費や生活費が増加し保障の必要性が高まるが、県民共済しか入っていない場合は、このニーズに応えられない。
年齢が上がるにつれて保障が小さくなる
県民共済には、年齢が上がるにつれて保障額が減少するという特性がある。
埼玉県民共済の「新型・県民共済」の月掛金2,500円コースで確認してみよう。
死亡保障(不慮の事故)の場合、15〜50歳で1,500万円、60歳までで1,200万円だが、それ以降は保障が大きく下がる。
70歳までで600万円、75歳までで300万円、80歳までで180万円となる。
入院保障も同様だ。50〜60歳では入院1日当たり10,000円だが、60〜70歳で6,000円に大きく下がる。
県民共済しか入っていない場合、必要なお金を確保できないケースは想定しておいた方が良い。
掛け捨て型のため解約返戻金がない
県民共済は定期保険の掛け捨て型である。そのため、解約払戻金がなく、一定期間掛金を支払っても、貯蓄にはつながらないのだ。
提供プランが柔軟性に欠ける
県民共済のプランはシンプルであり、意思決定を容易にする一方で、カスタマイズの余地が少ないというデメリットもある。
たとえば、生命共済では死亡保障と医療保障がセットになっており、切り離して独自のプランを設計することはできない。特定の保障を強化したい場合も、オプションなどは限られている。
【県民共済しか入っていない方向け】県民共済と生命保険をうまく活用しよう
共済と生命保険は、どちらもリスクに備えるための金融商品だ。
これらは、生活の安全とリスクのヘッジに貢献するものだが、運営形態や根拠法、そして根底にある哲学は異なる。
県民共済と生命保険の違い
共済と生命保険には、それぞれ独自の特色があり、違いがある。
これらの違いを理解してこそ、より自身や家庭のニーズに合致した最適な保障を選ぶことができる。
営利を目的とするかしないか
共済事業は非営利であり、組合員が自ら運営することで組合員の福祉を最大化しようとする。一方で、生命保険会社は株主への配当を目的とする営利企業である。
加入対象者
共済は、基本的に特定の組合や団体の組合員とその家族が対象だ。一方の生命保険は、広く一般の消費者を対象とする。
根拠法
県民共済はと生命保険はそれぞれ異なる法的基盤に立っている。生命保険は「保険業法」に基づいて、県民共済は「消費生活協同組合法」に基づいて運営されている。
プラン設計の考え方
共済は特定のグループに焦点を当て、そのメンバーが直面するリスクを低減する目的でプランが設計される。対照的に、生命保険は、より多くの一般の人々のリスクに対処する目的で設計されるため、商品やサービスが多様になる。
県民共済と生命保険を併用する
県民共済のみに加入している場合、「県民共済に加入することのデメリット」によって、不安や不足を感じるかもしれない。
この場合、民間の生命保険と併用する選択肢が有効となり得る。
生命保険は一般的に、同じ保障内容でも、複数の保険会社から保険金や給付金を受け取ることができる。
県民共済と民間の生命保険を組み合わせることで、より多様かつ広範なリスクに備えることができるのだ。
たとえば、共済の保障は継続しつつ。特定の疾病リスクに対応する医療保障を追加する。
両方の良さを活かすことで、より大きな安心を得るのだ。
また、保障の分散は、生命保険会社の経営破綻によるリスクも低減する。
ただし、過度な保険加入や健康状態や既往症に関する不正確な申告は、将来的に保険金の支払いが拒否されるリスクを高めるため、慎重な計画と選択が必要である。
県民共済と生命保険を組み合わせた保障例
必要な保障を得るために、県民共済と生命保険商品を組み合わせた例を考えてみよう。
高齢期の入院・通院保障を強化
たとえば、60歳以降で県民共済の保障金額が減少することを考慮し、その年齢になる前に入院・通院保障が充実した民間の生命保険に加入する。
特定疾患に対応保障を加える
がんなどの特定の疾患に対する保障を充実させたい場合も、併用は有効だ。
がんは治癒が可能な疾患となりつつあるが、長期の通院や在宅治療を要することが多くある。
この負担に備えるため、民間の「がん保障」や「三大疾病保障」を追加しておく。
万一への備えを追加する
もし、現在の死亡保障が不十分と感じる場合は、追加の生命保険商品を検討しよう。
子どもが自立するまでの期間は、しっかりとした保障が必要だ。
このようなケースでは、「終身保険」よりも、特定の期間だけ必要な保障を提供する「定期保険」や、死亡時に遺族に毎月一定額が支払われる「収入保障保険」が適しているかもしれない。
【県民共済しか入っていない方向け】保険追加の必要性を見極めるポイント
県民共済にしか入っていない場合に、追加の保険加入が必要かどうかを検討する際には、以下のポイントに基づいて自身の状況を詳しく確認してみよう。
家庭に必要な保障内容を検討する
家族の構成や状況によって、必要な保障は異なる。
たとえば、小さなお子さんがいる家庭では、教育費や将来の生活費に対する保障が不足している可能性もあるだろう。
高齢の親がいる場合は、介護に関わる費用も考慮に入れるべきだ。
ライフプランをしっかり見直し、現在および将来に必要な保障が何かを、そして何が不足しているかを明確にしよう。
年齢に応じた保障を検討する
年齢を重ねれば、求める保障の内容も変わってくる。
自身の年齢と将来のリスクを考慮して、必要となる保障を見直してみよう。
たとえば、病気やケガによる入院費用が十分にカバーされているか、老後の生活費の補填ニーズはないかなどを検討する。
これらの不安要素が生命保険商品で軽減できる場合、追加保険の検討は有用である。
家計と保険料のバランスを確認する
理想的な保障を求めることは重要だが、それにかかる保険料が家計に見合っていなければ、意味はない。
生命保険を追加するなどの場合、保険料は通常、増加する。月々の支出と収入をしっかりと把握し、将来的にも継続して保険料が支払えるかどうかを確認しよう。
保険商品は多種多様なので、複数の保険会社を比較し、最も効率的な保障を慎重に選んでほしい。
県民共済しか入っていない方は生命保険との併用がおすすめ!
この記事では、「県民共済だけしか入っていないが、保障は十分か?」という疑問に対応するため、県民共済について詳細に解説した。
また、より充実した保障を目指す目的で、生命保険商品との併用についても考察した。
しかしながら、個々の家庭の状況により必要な保障は異なる。だから「県民共済だけで十分だ」とも「十分ではない」とも言うことはできない。
安直に選んでしまうと、県民共済から得られる利点を失ったり、保障の重複で過度な負担がかかる原因にもなるため、意思決定は慎重に行って欲しい。
県民共済に限らず、保障の見直しを考えている方には、保険のプロへの相談を強くおすすめする。
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