- 親が加入する生命保険の保険料を子どもが支払えるのか知りたい
- 親に生命保険をかけるための具体的な契約方法や注意点について知りたい
- 親のための生命保険の選び方を把握したい
親が高齢になり、万が一に備えて生命保険に加入させたいと考えている方も多いだろう。
その際、親が加入する保険の保険料を子どもが代わりに払うことができるのだろうか。
また、親のための保険選びではどのような点に気をつけるべきなのだろうか。
そこで本記事ではこれらの疑問について解説していく。
親と生命保険の話をする機会が増えたという方には、ぜひ参考にしてほしい。
親の生命保険の保険料を子どもが払えるのか
自分の親が生命保険に加入していないことを心配し、自分が代わりに保険料を負担できないかと検討している方も多いだろう。
親が万が一死亡してしまったり、病気やケガで入院・手術となったりした時に備え、保障を充実させておく必要性は高い。
ここでは、親が病気や事故に遭った時のリスクや子どもが親の生命保険料を払えるのか、そして親に生命保険をかけるメリットについて解説していく。
親が病気や事故に遭った時のリスク
自分の親が病気や事故に遭った場合、以下のようなリスクが想定される。
- 入院・手術などの医療費がかかる
- 高額な費用がかかる先進医療による治療が必要となる
- 万が一死亡した場合は葬儀代や墓石代などがかかる
自分の親が病気やケガで入院・手術となった場合、当然ながら治療に費用がかかる。
特に入院が長期化すると、入院中の食費や差額ベッド代などの負担も大きくなっていく。
親が医療保険などに加入していない場合は大きな経済的負担となるだろう。
また、病気やケガの状態によっては「先進医療」による治療が必要となる場合もある。
先進医療とは、厚生労働省に認められた高度な医療技術を用いる治療法のうち、公的医療保険の対象外となっているもののことだ。
数十万円〜数百万円の技術料がかかるケースもあるが、公的医療保険で保障されないため全額自己負担をしなければならない。
医療保険に加入していなければ、先進医療による治療をあきらめるケースも出てくるだろう。
さらに、病気やケガを原因として死亡してしまった場合にもさまざまな費用がかかる。
葬儀代や墓地・墓石代などが必要となり、場合によっては数百万円のお金が必要となる場合もある。
上記のようなリスクがあることを踏まえ、親に生命保険をかけるべきかどうかを判断しよう。
子どもが親の加入する生命保険の保険料を支払えるのか
親を被保険者とする生命保険の保険料は、子どもが支払うこともできる。
その場合は子どもが契約者となり、責任を持って保険料を支払っていくこととなる。
生命保険に加入していない親を心配している方は、自分で保険料を支払って保障を備えることも視野に入れておくと良いだろう。
なお、親の加入する生命保険の保険料を支払った場合は生命保険料控除を受けることもできる。
生命保険料控除とは、払い込んだ保険料のうち一定額がその年の所得から差し引かれる仕組みのことだ。
課税対象となる所得が減るため、所得税・住民税の負担も軽減できる。
親が加入する生命保険の保険料を支払う場合は、生命保険料控除を活用して税負担を軽減させることを忘れないでおこう。
親に生命保険をかけるメリット
親に生命保険をかけるメリットとして「死亡保険金を相続税の納税資金に充当できる」という点が挙げられる。
相続税は金額が大きくなるケースも多いため、納税資金を準備できる点は大きな魅力と言えるだろう。
例えば、60歳の親に生命保険をかけるパターンについて考えてみよう。
死亡保険金が1,000万円、月々の保険料が5万円であると仮定する。
もし親が70歳で亡くなった場合、死亡保険金が支払われる時点での保険料支払い総額は「5万円×12ヶ月×10年間=600万円」となる。
死亡保険金を1,000万円受け取れるため、実質的な収入は「1,000万円-600万円=400万円」だ。
仮に相続税が200万円かかったとしても、400万円から十分に支払うことができる。
残った資金を葬儀代や墓石代などに充当することも可能だ。
ただし、先ほどのパターンで親が80歳で死亡した場合、保険料支払い総額は「5万円×12ヶ月×20年=1,200万円」となる。
死亡保険金が1,000万円であるため、実質的には赤字となってしまう。
このように、必ずしも得をするわけではないため注意しておこう。
親に生命保険をかける際の注意点
親が加入する生命保険の保険料を子どもが支払う場合、いくつか注意すべき点がある。
契約後のトラブルを避けるためにも、事前に注意点を把握しておくことが重要だ。
ここでは、以下の3つの注意点について解説していく。
- 保険料が高額になる
- 保険金受取人の設定に気を付ける
- 保険金にかかる税金を確認する
それぞれの注意点を把握し、契約後のトラブルを回避しよう。
保険料が高額になる
生命保険は、年齢を重ねるほど保険料が高額になる仕組みとなっている。
そのため、自分の親が加入する生命保険の保険料を負担する場合は注意が必要だ。
例えば、アフラックの「かしこく備える終身保険」の保険料シミュレーション(計算基準日2023年10月4日)をチェックすると、60歳男性が保険金額1,000万円に設定した場合の月払保険料は「41,370円」である。
一方30歳男性で同じ条件に設定すると、月払保険料は「16,630円」となった。
同じ保障内容を備えていても、30歳男性と60歳男性では保険料に約2.5倍の差がついてしまうのだ。
親の分の保険料も支払うとなると、かなり大きな負担になることが分かるだろう。
また、親が年齢を重ねて持病などを抱えている場合、通常の生命保険には加入できないケースもある。
「引受基準緩和型」や「無選択型」などの保険であれば加入できるケースもあるが、それらの商品は通常の生命保険よりも保険料が割高だ。
このように、親が高齢の場合は保険料が大きな負担になってしまう可能性も考えられる。
親が加入する生命保険の保険料を支払うことを検討しているのであれば、保険料が高くなる前に早めに手続きを行い、無理のない範囲で支払っていこう。
保険金受取人の設定に気を付ける
親が加入する生命保険の保険料を支払う場合、誰を保険金の受取人に設定するかという点も重要となる。
被保険者に万が一のことがあった時、どういった保障を備えたいのかということを基準に保険金の受取人を考えよう。
例えば、父親が亡くなってしまった時に残された母親の生活を保障したい場合、保険金の受取人は母親に設定するのが良いだろう。
まとまった死亡保険金を受け取ることが出来れば、母親の生活費の足しになる。
一方、親が亡くなった時の葬儀代や墓地・墓石代を自分で負担しようと考えている場合は、保険金の受取人を自分に設定することをおすすめする。
一般的に葬儀代や墓石代、死後の整理費用などは数百万円程度と言われているため、死亡保険金も数百万円程度に設定しておくと良いだろう。
ただし保険金の受取人を設定する際には、後述する税金の内容も踏まえて考えなければならない。
契約者や受取人によって、保険金にかかる税金が異なるためだ。
備えたい保障や税金の内容を踏まえた上で、保険金受取人を設定しよう。
保険金にかかる税金を確認する
生命保険を契約する際、契約者や保険の受取人によって保険金にかかる税金の種類が異なる。
支払うことになる税額にも違いが出るため、あらかじめ確認しておくことが重要だ。
保険金にかかる税金の種類は以下の表の通りである。
契約者・被保険者・保険金受取人の名義 | 税金の種類 |
契約者が自分・被保険者が親・保険金受取人が自分のケース | 所得税 |
契約者が自分・被保険者が親・保険金受取人が第三者(自分の子どもや親など) | 贈与税 |
契約者が親・被保険者が親・保険金受取人が自分 | 相続税 |
自分で親に生命保険をかけ、受取人も自分に設定した場合、保険金は「一時所得」として所得税の対象となる。
一時所得の課税対象金額は「(死亡保険金額−払込保険料−50万円)×1/2」で算出される。
算出された課税対象額はほかの所得と合算され、税率をかけて所得税が計算される仕組みだ。
自分の親に生命保険をかけ、受取人を自分の子どもや母親(被保険者が父親)などに設定した場合、保険金は贈与税の対象となる。
贈与税額は「死亡保険金額−基礎控除(110万円)」で算出された課税対象額に税率をかけて計算される。
また、親が自分を被保険者とした生命保険を契約し、保険金の受取人を子どもに設定した場合は相続税の対象となる。
自分で親の生命保険の保険料を支払う場合は問題ないが、親が契約した生命保険の受取人が自分になっている場合は相続税の対象となることを頭に入れておこう。
親のための生命保険の選び方
親に必要な生命保険を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておく必要がある。
保険の選び方を正しく理解し、万が一のリスクをしっかりとカバーすることが重要だ。
ここでは、生命保険選びで押さえておきたいポイントをご紹介する。ぜひ参考にして、親と一緒に必要な保険商品を考えていこう。
加入目的と必要な保障内容を考える
まず、どういったリスクをカバーするために生命保険に加入するのかを考えよう。
保障したい内容によって契約条件も異なるため、想定されるリスクを考えることが重要だ。
例えば「親が亡くなった後の葬儀代や死後の整理費用などを備えたい」と考えている場合。
葬儀代や整理費用は一般に数百万円ほどかかると言われている。親の貯蓄状況を踏まえ、どの程度の死亡保険金が必要なのかを考えよう。
また「父親が亡くなった時の相続税を納税するための資金を準備したい」というケースもある。
税理士などに相談し、相続税がどの程度かかる可能性があるのかを計算してもらった上で必要な保険金額を設定すると良いだろう。
このように、どういった保障内容を希望するのかを考えた上で必要な保険金額を決めていくことが大切だ。
保険会社選びのポイント
生命保険は、人生でマイホームの次に高い買い物と言われている。
それだけ高額な保険料をトータルで支払うことになるため、信頼できる保険会社を選ぶことが重要だ。
保険会社を選ぶ際にチェックしたいポイントは以下の2点である。
- 格付けを確認する
- ソルベンシーマージン比率を確認する
格付けとは、民間の格付機関が企業の財務状況を調査し、スコア化して発表している指標のことだ。
専門調査による財務状況がひと目で分かるようになっているため、保険会社の経営が良好かどうかを簡単に判断できる。
格付けは「AA」「BBB」などで示されており、ランクが上にあるほど財務の健全性が高い。
保険会社を選ぶ際の参考指標として活用しよう。
また、ソルベンシーマージン比率のチェックも重要となる。
ソルベンシーマージン比率とは、通常の予測を超えるようなリスク(大災害など)が起きた時に保険金を支払う余力があるかどうかを示す指標のことだ。
ソルベンシーマージン比率は、数値が高いほど財務健全性が高いと言え、200%以下の数値は行政指導が入る基準となっている。
先ほどの格付けと合わせて、ソルベンシーマージン比率もチェックしておくと良いだろう。
もちろん2つの指標が経営の安定性を確実に示すものではないため、指標の結果を鵜呑みにするのは危険だ。
しかし財務状況が不安定な保険会社を避ける材料となるため、しっかりと事前にチェックしておこう。
保険プラン選びのポイント
親が加入する保険商品を選ぶ際、結局どの商品が適しているのか分からないという方も多いだろう。
そんな方は保険のプロにアドバイスを求めることをおすすめする。
保険のプロに相談することで、親子で備えておくべきリスクや必要な保障内容についての適切なアドバイスをもらえる。
さらには保険金にかかる税金なども踏まえ、適切な保険プランの設計をサポートしてくれるだろう。
しかし保険のプロは数多く存在し、自分たちの状況に合った最適な担当者を探すことは容易ではない。
そんな時には「生命保険ナビ」の利用がおすすめだ。
「生命保険ナビ」は、保険のプロと相談希望者をマッチングさせるサービスである。
全国にいるアドバイザーの中から、あなたの希望に合った条件の担当者を見つけ出すことができるはずだ。
保険の加入についてお悩みの方は、ぜひこの機会に「生命保険ナビ」で信頼できる担当者を探してみてはいかがだろうか。
子どもは親のために生命保険をかけられる!
本記事では親に生命保険をかけるメリットや注意点、また親のための保険選び方について解説した。
自分の親が病気や事故に遭った場合、保険に加入していないと大きな経済的負担となってしまうだろう。
また年齢とともにこれらのリスクも高まるため、高齢の親が生命保険に入ることは、親が健康で安心して生活し、突如起こる事故や病気から家庭の経済を守るために大切な手段となる。
その保険料を子どもが負担することも可能だが、保険金の受取人や保険金にかかる税金なども考慮しなくてはならない。
また、何より重要なことは、数ある保険商品の中から、親に必要な保障内容を備えた保険を選ぶことだ。
そのため、これらの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を的確に判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。